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第6章 変化と成長と新たな旅
爽やか王子は"魔法剣王子"である
しおりを挟む別の日の夜。
「…………氷魔法よ!」
クリスティドの言葉に、刃に氷が発現する。それを見て、顔を明るくした。
「やっと………………全ての属性を纏わせることができるようになった………………!」
私は自分の剣を天に掲げる。
やっと全ての属性の魔法剣を得たのだ。…………旅をして最初の頃、水属性しか纏えなかった頃が懐かしい。
水、火、風、氷、聖、土……………アルティア様の扱う雷や闇までとは行かないだろう。雷は未だに解明されていない魔法だし、闇属性は龍神とその支配下の悪魔等のアンデッドしか使えない。
いや、……………アルティア様に御教授を願えば、或いは魔力を分けてもらえばできるのではないだろうか?ならば、私はまだまだ強くなる。
強くなれば______ラフェエルが死ぬことは、なくなるかもしれない。
ラフェエルの死。
それは、セイレーン皇国で神々から聞いた話だ。旅の最終目的地であり、地図にすら記されない"幻の島"・ワールドエンドで、必ずラフェエルは死ななければならなくなる、と。
その理由は、_____アルティア様が死神・ハデスと闇の精霊・ケルベロス、そして"真なる王"を喰らう時、その大きな力を受け止める為に魂を使うからだという。
死神とは?
闇の精霊とは?
"真なる王"とは?
分からないことは多いが、妖精神達が言うのだから真実なのだろう。
___こんなに惨いことがあるか?
幼い頃からラフェエルのことを知っている。………大切な、親友だ。
"20歳に必ず死ぬ"という呪いのような人生からやっと解放されたと思っていた。
なのに。
……………………そんなの、黙って見てはいられない。勿論、アルティア様には龍神様になってほしい。
なにか、別の方法があるはずだ。
それを考えながら自分の力を高める。どんな方法でもつかみ取れる"力"を。
「必ず____身につけてやる」
「何をだ?」
「………………!」
不意に、後ろから声がした。
見るとラフェエルが剣を片手に立っていた。
「今日も鍛錬とは、精が出るな」
「ラフェエル……………」
「私も体を動かしたい。相手になれ」
ラフェエルはそう言って鞘を地面に捨てた。私もそれに合わせて構える。集中力を高めろ。奴は強い。
「……………!」
一瞬の瞬きの間に距離を詰められた。カキィン、と鉄が擦れる音が響く。辛うじて受け止めることが出来たが、強力だ。ラフェエルはもう既にもう片手に短刀を握っている。
「ッ、氷魔法!」
「___!」
剣に氷を纏う。ラフェエルはすぐさま距離を取った。
「なるほど、もう氷魔法まで使えるか」
「ッ、行くぞ!」
キィン、カキィン、キン、と何度も剣を交える。ラフェエルが火の魔法剣を使っているから相性が悪い。
「水魔法!」
「風魔法」
属性をチェンジすると、ラフェエルも属性を変えた。私が何ヶ月もかけて手に入れた魔法剣を当然のように扱う。
____昔からそういう奴だった。
なんでも完璧に熟すんだ。
アルティア様の力に隠れているけれど、ラフェエルは天才だ。
「ッ、うぉぉぉぉ!」
「ふん」
「っ!」
ビュウ、と風魔法が暴れた。私の剣は吹き飛ばされ、それを取ろうとする間もなく剣を鼻先に当てられる。
「中々に楽しかった。やはり、貴様は優秀だな」
「………………………」
なんで、こんなに強いやつが…………………
「なんで_____お前が死ななければならないんだ」
「_____!」
ラフェエルの眉がぴくり、と動いた。
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