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第7章 次期龍神、人狼少年を拾う
一際輝く素質
しおりを挟む「アル様、はやく、はやく」
「ガロ、ちょっ、はや!早いって!」
私は必死に馬にしがみつきながら、前を走るガロ_狼の姿をしている_を追いかける。
ガロがパーティに加わって、もうそろそろ1ヶ月になる。言葉すら喋れなかった奴隷少年は何処へやら、今では私の手を離れてこうして前を走るほどになっていた。
言葉は未だに苦手だけど、戦闘訓練や礼儀作法、魔法は完璧に近い程の結果を残していると全員が大絶賛していた。現に、最近盗賊グループ連合_何度もこの道中襲ってくる大きな盗賊グループで、追い返してたら本格的に潰しにかかってきた_300人を1人で片付けてしまった。
その手管はとっても見事だった。上位魔法魔法をぶつけて、辛うじて生きた残党を剣で、体術で退けさせた。極めつけには逃げようとする人間を狼の姿で喰らっていた。
ここまで強いともう笑うしかないというか…………………なんで奴隷で居続けたのこの子、って感じ。やっぱり教育って大事だなーって思う今日この頃_____
「ッぎゃぁぁ!!」
そんなことを思っていると黒い雷が落ちた。罰だ………って、
「は!?なんで私罰を受けてるの!?」
「自分の側近に負けているというのにも関わらずボケっとしているからだ」
「はぁ!?それはしょうがな…………っぎゃふん!」
また、罰が落ちた。
………………教育者の人格ってかなり大事だなって思う今日この頃です……………………
私はライディーンに乗りながら、涙を飲んだ。
* * *
「だから、こうして、こうやるのよ」
アルティアは手に聖の魔力を纏いながら空に掲げた。すると、小さな隕石が大きな音を立てて川に落ちた。それを聞いてたフランはギャン、と吠える。
「全くわからない!なんで隕石が聖の魔法で落ちてくるのよ!」
「RPGゲームでは割とあるでしょ。シューティングスター☆つって。それを想像してやってみれば誰でも出来るし…………というか聖女でしょアンタ。龍神に魔法を教わるっていいのそれ?」
「そうだけどさぁ………先輩の魔法かっこいいんだもん………でも!こんなの出来るわけない!」
「………しゅてんぐ、すた…………」
その横で同じように練習していたガロが聖の魔力を纏って、アルティアと同じように隕石を落とした……………って!
「はあ!?なんでガロちゃんできるの!?」
「アルさま、せつめー、したよ?」
「ほら、誰でも出来る」
「ガロちゃんは別格だよ!規格外すぎる!ねえ!?エリーちゃん!」
「は、はい、わたくしもできなかったです………」
「エリーは治癒魔法特化だもの、幻獣も3体持ってるし、フランだけ何も出来ないの?」
「じゃあ私にも教えてくださいよ先輩~~~!」
休憩時間、女性陣が騒いでいるのをみながら、ラフェエルとクリスティド、リーブは話していた。
「はは、賑やかだな。私も混ざりたい………と言いたいが、その前に。
アイスバーンはまだ遠いのか?リーブ」
「いいえ、もうすぐ傍ですね。順調に行けば明後日には着きます」
「そうか。しかし…………鎖国国家なのだろう?アイスバーンは」
「ああ。プリズンで聞いた話だと、強い結界が張られているらしい。侵入不可能とまで言われている要塞のような国だと聞いた」
「……………どうするんだ?ここまで来て入れないとなると…………」
「さあな。行ってみなければわからない。最悪、その結界をアルに壊させる」
「それは……………国際問題になるだろう」
「相手の出方次第ではそれも視野にいれている」
「本気か…………………?」
「過激だねえ」
険しい空気になる前に、ダーインスレイヴが割って入ってきた。
「そんなことしなくても入れると思うぞ?星の妖精神は頭が切れる。そして色男だ」
「………………何を根拠に言っている?」
「行けばわかるさ」
ダーインスレイヴはそう言ってふ、と消えた。
ラフェエル、クリスティドは顔を合わせた。
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