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第12.5章 "隠された真実"と"真なる王"
"隠された真実"の全貌 #1
しおりを挟む_______転移魔法の先には、教会には似つかわしくない豪華なホテルのフロントのような場所が広がっていた。
まるで、客人をもてなすような円状の大きな部屋、そしてその中心には大きく広い幅の階段。
ここは_____!?
「だ、誰!?」
ゴゴゴ、と音を立てて階段の上にある扉が開いた。そして、ゆっくりとした歩みで出てきたのは______私よりも全然長い黒髪に豪華な装飾を施された髪飾りを無数に着けた、衣類とは呼べない、胸とアンダーを隠しただけでほぼ裸の女。
フランが構えている。他のみんなもだ。
だけど、女はただ両手を広げて言った。
『ようこそ、ワールドエンドへ。
長い旅路を終え、よくぞここまで来ましたね。大いなる祝福という名の力を____授けましょう。
我が究極の秘儀、"真なる王の継承"を。
では、契約者、前に「その前に!」……………?』
私は声を張り上げた。女の手が止まる。
ここに来るまで決めていたこと、前世の私が言っていたことを口に出す。
「私は_____契約者を用いずに、その継承を破棄する!」
「!」
「アルティア様!?」
みんなが驚くような声を上げている。ラフェエルが喋ろうとしているから呪術で口を塞いだ。もう準備は出来ている。
あとは私の要件を言うだけだ。
「………………私の、私の命を差し出せば、契約者は死なないのでしょう?ならば喜んで差し出します。
龍神になどなりません、なってたまるもんですか。そんなのクソ喰らえ!
次期龍神の私の死で!この巫山戯た龍神の継承は終わる!龍神はもう終わりだ!」
震える心を抑えて怒鳴るように言った。私は言ったぞ。もうこれで龍神などいなくなる。継承する相手がいなければ真の龍神など産まれない!
私が考え出した答えはこれだった。
けれども、その答えは______
『………………ふふ、ふふふ』
女は、笑った。口元を抑えているのにも関わらず、ここまで笑い声が届いている。
「何がおかしいッ!」
『貴方____現龍神の娘でしょう?親子というのは同じことを言うのですね』
「………………何?」
私が聞くと、女は笑うのをやめて私を見下した。
『貴方が死ねば____契約者が死なない。そうね、間違ってはいないわ。"貴方は契約者を殺さない"わね』
「………なにを…………言ってるの?」
含みのある言葉。
嫌な…………予感がした。
嫌な予感、というのは大抵当たるもので。女はゆったりとした口調で言った。
『_____貴方は自分が死ねば契約者は死なない、龍神がいなくなる、そう思っているようだけど………………それは間違っているわ。
貴方が死んでも、龍神は生き続ける。…………貴方の体を、乗っ取ってね。
無知な貴女に教えてあげましょう』
女はゆっくり階段を降りながら、歌を歌うように続けた。
『きっと妖精神は、私達が何も知らないと思っているのでしょう。この階段の先に在る"死神・ハデス"、"闇の精霊・ケルベロス"が企てた"次期龍神本人の意思を残す為に契約者を器として使う"……………なんて、愚かしいわ。
我らが"真なる王"__初代龍神がそれを見抜けないはずがないのにね。…………そこの契約者も"くだらない期待"を残す為に死ぬつもりなのでしょうけど………………片腹痛い。
初代龍神様は動けないわ、けれども支配はできる。
仮に契約者を使わず貴方が死んだ場合は完全に心まで初代龍神様に染まる。そして、契約者の命を器としても……………根本的な所に初代龍神様が舞い降りる。
つまり_____貴方が死のうが死なないが、初代龍神様は消えないのよ』
「…………………!」
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