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【旧館一階・魔法書図書館】
大成は、魔王を決める大会まで魔法を覚えれるだけ覚えようと思い、【魔法書図書館】に籠もり沢山の魔法書を読んでいた。
テーブル上に、置いている沢山の魔法書を次々に読破していく。
初めは楽しかったが、流石に疲労が溜まってきていた。
「う~ん、一気に沢山の本を読んでいくと流石に疲れるな。少しだけ寝ようかな」
開いてた魔法書を閉じ、大成はテーブルに凭れ掛かる様にうつ伏せになって寝ることにした。
【過去・ラーバス国・スルト荒野】
少し前…。
スルト荒野で大成は、ジャンヌとウルミラにグリモア・ブックの能力を説明が終わりジャンヌにあのことを頼んでみることにした。
「ジャンヌ、頼みがあるんだけど」
「何?」
「大会が開催されるまでで良いから、少しでも多くの魔法書読を閲覧したいから【魔法書図書館】を使わせて欲しいのだけど」
「そんなことなら大丈夫よ。はい、これを扉の凹みに差し込めば扉が開くわ。その代わり、あとで返してね」
ジャンヌは、ポケットから六角型の紅いクリスタルを2つ取りだして1つを大成に渡した。
「ありがとう。でも、あの時クリスタルは使わなかったよね?」
「それはですね。あの扉は、姫様の魔力で開くようになってます。そのクリスタルには、姫様の魔力が込められていますので、1度だけ扉が開きます。図書館には、禁断書も保管されており、【召喚の間】や【解析の間】と同等に厳重に管理しないといけません。なので、姫様が信頼した人しか立ち入りできないようになってます」
ジャンヌの代わりに、ウルミラが説明をした。
「なるほど、ありがとうジャンヌ。早速、行ってくるよ。大会まで、もう時間がないからね」
「あ、待って大成。食事の用意ができたら教えるわね」
「ありがとう。じゃあ、また後で」
大成は、ジャンヌとウルミラと別行動して【魔法書図書館】に向かったのだ。
【旧館一階・魔法書図書館】
そして、今に至る。
大成が寝ている時、【魔法書図書館】の扉が開いた。
「大成、起きなさい。あなた、ここで寝たら風邪引くわよ」
ジャンヌが、後ろから大成を揺らしたが起きる気配はなかった。
「もう!」
ジャンヌは頬を膨らませていたが、大成の頑張りと寝顔を見て口元が緩む。
「フフフ…予想していた通りですね。姫様、これをどうぞ」
ウルミラは、準備していたジタオルケットをジャンヌに渡した。
「そうね。大成の寝顔を見ていると、何だか私達も眠くなってきたわね」
「フフフ…ですね」
ジャンヌとウルミラは、お互いの顔を見て笑った。
「おやすみ、大成」
「おやすみなさい、大成さん」
2人は大成にタオルケットを被せて、大成の寝顔を見て微笑みながら静かに部屋から退出した。
「う、うう~ん…。ふ、ふぁ~あ~ぁ」
窓から朝日が射し込み、大成は目を覚まし欠伸をした。
「フ~。やば、朝練しないと」
大成は、慌てて部屋を出て日課の朝練をしに行く。
【ラーバス国・新館の庭】
大成は、今日からいつもと同じメニューに魔力コントロールの練習も加え、全ての訓練をやり終えた。
「おはよう、ウルミラ。あと昨日、タオルケットありがとう。タオルケットを掛けてくれたのは、ジャンヌとウルミラだよね?」
「おはようございます、大成さん。どういたしまして」
「あれ?ジャンヌは?」
「先に、これをどうぞ」
ウルミラは、大成にタオルなど持ってきて渡した。
「ありがとう」
大成は、受け取ったタオルを肩に掛けて汗を拭く。
「姫様は明日大会なので、大成さん以外の魔王候補達とヘルレウス・メンバーが戻って来られてますので。それで、忙しくなり来られませんでした。私は手伝えることがなかったので…」
「ううん、そんなことないよウルミラ。僕は、こうして助かっているよ。ありがとう、ウルミラ」
「そ、そんな…。うぅ~」
大成は落ち込むウルミラの頭を撫で、ウルミラの頬が赤く染まった。
物陰に隠れて大成とウルミラの光景を見ていたヘルレウス・メンバーのニールとシリーダの2人は、深い溜め息をした。
【新館一階】
大成とウルミラは、朝食の時間になったので大広間に向かっていた時、廊下で大成と同じ魔王候補のグランベルク達と遭遇した。
「おい、ガキ!まだ、居たのか…。ん?少しは魔力が使えるようになったみたいだな。それでも、そこらの一般人と同じぐらいか?怪我しないうちに立ち去れ。邪魔だ!」
「ガハハハ」
「ホホホ」
大成を見てグランベルクは不機嫌な顔になり、ガディザムとルーニングが両隣で嘲笑う。
「それはできない。万が一でも勝てるかもしれないから、僕は出場する予定だよ」
「生意気だぞ。今ここで、殺してやろうか?」
大成に向けてグランベルクは殺気を放ったが、大成は何もなかったように先に進み、そのあとをウルミラは駆け足で追った。
「舐めやがって、あの糞ガキ!」
「ガハハハ…。ヨイデハ、ナイカ。タイカイデ、コロセバヨイ」
「そうじゃぞ、大会に余興が増えて良いと思うがのぅ。いや、その前に知らん奴に倒されているかもしれないのぅ」
グランベルク達は笑いながら、大広間に向かった。
【新館一階・大広間】
ジャンヌ、ヘルレウス・メンバー、そして魔王候補の全員が大広間で集まり食事を摂っていた。
食事中、ジャンヌとウルミラを除く、他の者達は大成を見ているが、大成は視線に気付いていたが特に気にした様子もなく食事をしている。
食事が終わり、大成は【魔法書図書館】に必要なクリスタルを貰いにジャンヌを探していた最中、ジャンヌとウルミラ、それにニールとシリーダが集まっていた。
「姫様!なぜ、大成殿を出場させるのですか?いくら、過去に美咲様を倒したお方でも、あれは不意打ちでした。シュゲールの時は、相手が油断していたかもしれません。それに、魔力を身につけたみたいですが、普通の一般人の人様達と変わらないぐらいの微量の魔力量です。出場すると確実に死にますよ。私は、目の前で恩人が死ぬ光景は見たくはありません。どうか、考え直して下さいませ」
ニールは、ジャンヌを説得する。
「姫様、私もニールに同意ですわ。大会は生死問わずなので、棄権させた方が宜しいかと思います。特に姫様とウルミラは、あの子に好意を抱いているように見受けられますのでなおのことです。それに、私はあの子が美咲を倒した件やシュゲールの件、今でも信じられませんわ」
シリーダは、過去に美咲が裏切った時はミリーナの護衛でラーバスに居らず、大成が美咲を倒すところを見てはいなかった。
「それに関しては大丈夫よ、2人とも。大成の実力は、私が保証するわ。それと、シリーダあなたに言って置くけど、私達は…べ、別に大成に、こ、好意を抱いて何かないわ!」
「そ、そうです」
頬を赤く染めて取り乱しているジャンヌとウルミラを見たシリーダとニールは、溜め息をついた。
「ニールさん、僕と手合わせしてみませんか?それで、判断して欲しいのですが」
大成は、ニールに話し掛けながらジャンヌ達に歩み寄る。
「それは、面白いですな。良いでしょう。では、訓練所に…」
「いえ…できれば、人気のない場所が良いです。あまり、手の内を周りに見せたくないので」
「ほほう。確かにそうですな」
「この子、言うわね」
ニールとシリーダは、面白いものを見るような視線を大成に向ける。
「それは、良いわね」
「え、え、ええ~!?」
ジャンヌは納得したが、ウルミラは大成を心配した。
そして、大成達は屋敷の近くにあるモンドルの森へと向かう。
【モンドルの森】
大成達は、モンドルの森の前にいた。
「この森は凶悪なオーガも出現するので、中級者は5人以上の班、もしくは上級者の者しか立ち入りできませんのでご注意を。あと、この森の奥に広場がありますので、そこで手合わせしましょう」
森に入る前にニールは説明をした。
「わかりました。警告ありがとうございます、ニールさん」
大成は、表情を変えずに森に足を踏み入れる。
「いえいえ」
ニールとシリーダは、動揺しない大成の態度を気に入り、大成に続く。
森の中は、木々が多く生えており視界が悪かった。
進行中、リスやウズラなどの野生動物、大人しいウサギみたいな魔物を見かけただけで順調に先に進んでいたが…。
「グオォォ~!」
空気を震わせるほどの大きな雄叫びが聞こえると、大成の前から棍棒を持った皮膚が紅いオーガが突進してきた。
オーガは木々を無視して、へし折りながら一直線に突進してくる。
ウルミラが迎撃するために前に出ようとしたが、大成が手を横に出して止めた。
「大丈夫、ウルミラ。僕が相手をするよ。丁度、試したいこともあるから僕に任せて。皆さんは、僕から離れて下さい」
ジャンヌ達は大成から離れ、ウルミラ以外は大成を興味気に見ており、ウルミラただ1人はオドオドして大成を心配する。
「大丈夫かしら?」
シリーダは、頬に手を当てて心配する。
「大丈夫よ、シリーダ」
「でも、あの子、優しいからオーガを倒すことはできるのかしら?」
「見ていたら、わかるわよ」
「そうです、大成さんなら大丈夫です」
普段オドオドしているウルミラがジャンヌに迷わずに賛同する態度を見て、シリーダとニールは大成に興味を持った。
「グオォォ!」
オーガは勢いがついたまま、大成に向けて棍棒を振り下ろしたが、大成はオーガの横に移動し棍棒を避けて、そのまま通り過ぎた。
大成に避けられた棍棒は、地面に当たる直前、いつの間にか刃物で斬られたような切り口で3分割になっており、オーガ自身も胴体をX字に斬られており切口から血が飛び散った。
「ガァァァ」
それでも、オーガは倒れることなく大成に振り向き、右手の大きな拳で殴りにいく。
オーガの大きな拳が大成に迫る。
大成は振り返るが立ち止まっており、避ける素振りをみせなかった。
そして、大成は顔面に迫ってくるオーガの右拳から腕に掛けて4分割に切断した。
「ガ、ガァァァ」
痛みと恐怖でオーガは後退りする。
「逃がさない。グリモア・ブック、アイス・ロック」
大成はグリモアを出して、氷魔法・アイス・ロックを唱え発動してオーガの両足を氷漬けにして動きを封じた。
大成は、ゆっくりとオーガに歩み寄る。
オーガは、左拳で大成を殴ろうとし腕を動かした瞬間、大成はオーガを無数の肉片に切断した。
「こんな感じかな?」
大成は、魔力の発動と制御を確認しながらジャンヌ達に振り向いた。
「あっ、そこ窪(くぼ)みができているから気をつけて」
大成が指を差した先は、オーガが突進して木をへし折った際、根っこごと抉れた場所だった。
「「……。」」
大成の戦いを見たていたジャンヌ達は、固まっていた。
大成が何をしたのかはわかったが、秘めた膨大な魔力とそれを完全にコントロールした魔力コントロールがあまりにも精密過ぎて鳥肌がたっていた。
棍棒とオーガを切断した大成の力は、魔法ではなくただの魔力を込めた右手の手刀だった。
攻撃を当てる瞬間に、魔力を右手に集中して刃物をイメージした攻撃。
それに加え、目に霞むほどの速さは攻撃する時だけ身体強化して極限までに速度あげていた。
そして何より、普段は穏やかな大成が容赦がないほど冷酷で冷徹な心。
ジャンヌやウルミラは大成がシュゲールの時に冷酷な大成を知っていたが、冷酷な大成を知らないニールとシリーダは目を見開いて驚愕していた。
この技の説明を聞けば、魔法は使わずに、ただの魔力コントロールだけなので簡単そうに聞こえるのだが、実は大変難しく神業といえた。
なぜなら、精密な魔力コントロールと高度な武術がないと、あの目に霞むような速さは出ない。
そして、オーガは筋肉質で魔力も高く攻防が高い魔物だ。
あの防御力の高いオーガを、切断するほどの攻撃力を出すには、膨大な魔力や精密な魔力コントロールだけではなく、イメージ力も必要なのだ。
大成が、イメージしたのは日本刀だった。
大成は警戒されないように、いつも一般人程度の魔力に抑えている。
「ん?どうしました?先に進みませんか?」
固まっているジャンヌ達に、大成は話しかける。
「い、いえ…。もう、手合わせはする必要がありません。大成殿の強さは、今の戦いを見てわかりました。出場を認めます」
「で、ですわね。疑ってごめんなさいね。これからは、よろしく大成君」
ニールとシリーダは、大成の実力を認め握手を交わす。
「そうですか」
大成も自分の戦い方を、これ以上見せなくて済むと思いホッとしたが…。
「何を言っているのよ。せっかく、ここまで来たのよ。手合わせしなさい」
「「え!?」」
ジャンヌの意見に、誰もがジャンヌに振り向いた。
「先に進むわよ」
ジャンヌは周りを気にしないで先を進み、大成達は苦笑いしながら後を追った。
オーガと遭遇した以降は何事もなく、大成達は無事に目的だった森の奥に辿り着き、奥はニールが言ってた通り広場になっていた。
「では、大成殿。申し訳ないのですが、手合わせしましょうか」
「ハァ~、せっかく認められたのに…。それに、あまり手の内を見せたくないって言っているのに。はぁ、ジャンヌは一体何を考えているんだ」
「さぁ、早く始めなさいよ」
ニールと大成は苦笑いしながら話していたら、ジャンヌが急がせる。
大成とニールはお互い距離をとり、ジャンヌ達は2人から離れた。
「では、コインを弾きます」
ウルミラがコイントスし、コインが宙を舞い地面に落ちた音が響く。
大成は身体強化して、ニールに向かって一直線に走る。
ニールも身体強化して、横に走りながらポケットからパチンコ玉みたいなものを5つ取り出して大成に投げつけた。
「ん?」
怪しいと思った大成は鉄の玉を回避してニールに接近しようとしたが、ニールの手元から離れたパチンコ玉ぐらいの大きさの鉄の玉は急に大きくなり、1つの大きさが大体直径1メートルぐらいになった。
「う、嘘だろ!」
あまりにも予想外のできごとで大成は驚愕し、大きくなった鉄の玉は大成の退路を塞ぎながら迫る。
大成は、魔王を決める大会まで魔法を覚えれるだけ覚えようと思い、【魔法書図書館】に籠もり沢山の魔法書を読んでいた。
テーブル上に、置いている沢山の魔法書を次々に読破していく。
初めは楽しかったが、流石に疲労が溜まってきていた。
「う~ん、一気に沢山の本を読んでいくと流石に疲れるな。少しだけ寝ようかな」
開いてた魔法書を閉じ、大成はテーブルに凭れ掛かる様にうつ伏せになって寝ることにした。
【過去・ラーバス国・スルト荒野】
少し前…。
スルト荒野で大成は、ジャンヌとウルミラにグリモア・ブックの能力を説明が終わりジャンヌにあのことを頼んでみることにした。
「ジャンヌ、頼みがあるんだけど」
「何?」
「大会が開催されるまでで良いから、少しでも多くの魔法書読を閲覧したいから【魔法書図書館】を使わせて欲しいのだけど」
「そんなことなら大丈夫よ。はい、これを扉の凹みに差し込めば扉が開くわ。その代わり、あとで返してね」
ジャンヌは、ポケットから六角型の紅いクリスタルを2つ取りだして1つを大成に渡した。
「ありがとう。でも、あの時クリスタルは使わなかったよね?」
「それはですね。あの扉は、姫様の魔力で開くようになってます。そのクリスタルには、姫様の魔力が込められていますので、1度だけ扉が開きます。図書館には、禁断書も保管されており、【召喚の間】や【解析の間】と同等に厳重に管理しないといけません。なので、姫様が信頼した人しか立ち入りできないようになってます」
ジャンヌの代わりに、ウルミラが説明をした。
「なるほど、ありがとうジャンヌ。早速、行ってくるよ。大会まで、もう時間がないからね」
「あ、待って大成。食事の用意ができたら教えるわね」
「ありがとう。じゃあ、また後で」
大成は、ジャンヌとウルミラと別行動して【魔法書図書館】に向かったのだ。
【旧館一階・魔法書図書館】
そして、今に至る。
大成が寝ている時、【魔法書図書館】の扉が開いた。
「大成、起きなさい。あなた、ここで寝たら風邪引くわよ」
ジャンヌが、後ろから大成を揺らしたが起きる気配はなかった。
「もう!」
ジャンヌは頬を膨らませていたが、大成の頑張りと寝顔を見て口元が緩む。
「フフフ…予想していた通りですね。姫様、これをどうぞ」
ウルミラは、準備していたジタオルケットをジャンヌに渡した。
「そうね。大成の寝顔を見ていると、何だか私達も眠くなってきたわね」
「フフフ…ですね」
ジャンヌとウルミラは、お互いの顔を見て笑った。
「おやすみ、大成」
「おやすみなさい、大成さん」
2人は大成にタオルケットを被せて、大成の寝顔を見て微笑みながら静かに部屋から退出した。
「う、うう~ん…。ふ、ふぁ~あ~ぁ」
窓から朝日が射し込み、大成は目を覚まし欠伸をした。
「フ~。やば、朝練しないと」
大成は、慌てて部屋を出て日課の朝練をしに行く。
【ラーバス国・新館の庭】
大成は、今日からいつもと同じメニューに魔力コントロールの練習も加え、全ての訓練をやり終えた。
「おはよう、ウルミラ。あと昨日、タオルケットありがとう。タオルケットを掛けてくれたのは、ジャンヌとウルミラだよね?」
「おはようございます、大成さん。どういたしまして」
「あれ?ジャンヌは?」
「先に、これをどうぞ」
ウルミラは、大成にタオルなど持ってきて渡した。
「ありがとう」
大成は、受け取ったタオルを肩に掛けて汗を拭く。
「姫様は明日大会なので、大成さん以外の魔王候補達とヘルレウス・メンバーが戻って来られてますので。それで、忙しくなり来られませんでした。私は手伝えることがなかったので…」
「ううん、そんなことないよウルミラ。僕は、こうして助かっているよ。ありがとう、ウルミラ」
「そ、そんな…。うぅ~」
大成は落ち込むウルミラの頭を撫で、ウルミラの頬が赤く染まった。
物陰に隠れて大成とウルミラの光景を見ていたヘルレウス・メンバーのニールとシリーダの2人は、深い溜め息をした。
【新館一階】
大成とウルミラは、朝食の時間になったので大広間に向かっていた時、廊下で大成と同じ魔王候補のグランベルク達と遭遇した。
「おい、ガキ!まだ、居たのか…。ん?少しは魔力が使えるようになったみたいだな。それでも、そこらの一般人と同じぐらいか?怪我しないうちに立ち去れ。邪魔だ!」
「ガハハハ」
「ホホホ」
大成を見てグランベルクは不機嫌な顔になり、ガディザムとルーニングが両隣で嘲笑う。
「それはできない。万が一でも勝てるかもしれないから、僕は出場する予定だよ」
「生意気だぞ。今ここで、殺してやろうか?」
大成に向けてグランベルクは殺気を放ったが、大成は何もなかったように先に進み、そのあとをウルミラは駆け足で追った。
「舐めやがって、あの糞ガキ!」
「ガハハハ…。ヨイデハ、ナイカ。タイカイデ、コロセバヨイ」
「そうじゃぞ、大会に余興が増えて良いと思うがのぅ。いや、その前に知らん奴に倒されているかもしれないのぅ」
グランベルク達は笑いながら、大広間に向かった。
【新館一階・大広間】
ジャンヌ、ヘルレウス・メンバー、そして魔王候補の全員が大広間で集まり食事を摂っていた。
食事中、ジャンヌとウルミラを除く、他の者達は大成を見ているが、大成は視線に気付いていたが特に気にした様子もなく食事をしている。
食事が終わり、大成は【魔法書図書館】に必要なクリスタルを貰いにジャンヌを探していた最中、ジャンヌとウルミラ、それにニールとシリーダが集まっていた。
「姫様!なぜ、大成殿を出場させるのですか?いくら、過去に美咲様を倒したお方でも、あれは不意打ちでした。シュゲールの時は、相手が油断していたかもしれません。それに、魔力を身につけたみたいですが、普通の一般人の人様達と変わらないぐらいの微量の魔力量です。出場すると確実に死にますよ。私は、目の前で恩人が死ぬ光景は見たくはありません。どうか、考え直して下さいませ」
ニールは、ジャンヌを説得する。
「姫様、私もニールに同意ですわ。大会は生死問わずなので、棄権させた方が宜しいかと思います。特に姫様とウルミラは、あの子に好意を抱いているように見受けられますのでなおのことです。それに、私はあの子が美咲を倒した件やシュゲールの件、今でも信じられませんわ」
シリーダは、過去に美咲が裏切った時はミリーナの護衛でラーバスに居らず、大成が美咲を倒すところを見てはいなかった。
「それに関しては大丈夫よ、2人とも。大成の実力は、私が保証するわ。それと、シリーダあなたに言って置くけど、私達は…べ、別に大成に、こ、好意を抱いて何かないわ!」
「そ、そうです」
頬を赤く染めて取り乱しているジャンヌとウルミラを見たシリーダとニールは、溜め息をついた。
「ニールさん、僕と手合わせしてみませんか?それで、判断して欲しいのですが」
大成は、ニールに話し掛けながらジャンヌ達に歩み寄る。
「それは、面白いですな。良いでしょう。では、訓練所に…」
「いえ…できれば、人気のない場所が良いです。あまり、手の内を周りに見せたくないので」
「ほほう。確かにそうですな」
「この子、言うわね」
ニールとシリーダは、面白いものを見るような視線を大成に向ける。
「それは、良いわね」
「え、え、ええ~!?」
ジャンヌは納得したが、ウルミラは大成を心配した。
そして、大成達は屋敷の近くにあるモンドルの森へと向かう。
【モンドルの森】
大成達は、モンドルの森の前にいた。
「この森は凶悪なオーガも出現するので、中級者は5人以上の班、もしくは上級者の者しか立ち入りできませんのでご注意を。あと、この森の奥に広場がありますので、そこで手合わせしましょう」
森に入る前にニールは説明をした。
「わかりました。警告ありがとうございます、ニールさん」
大成は、表情を変えずに森に足を踏み入れる。
「いえいえ」
ニールとシリーダは、動揺しない大成の態度を気に入り、大成に続く。
森の中は、木々が多く生えており視界が悪かった。
進行中、リスやウズラなどの野生動物、大人しいウサギみたいな魔物を見かけただけで順調に先に進んでいたが…。
「グオォォ~!」
空気を震わせるほどの大きな雄叫びが聞こえると、大成の前から棍棒を持った皮膚が紅いオーガが突進してきた。
オーガは木々を無視して、へし折りながら一直線に突進してくる。
ウルミラが迎撃するために前に出ようとしたが、大成が手を横に出して止めた。
「大丈夫、ウルミラ。僕が相手をするよ。丁度、試したいこともあるから僕に任せて。皆さんは、僕から離れて下さい」
ジャンヌ達は大成から離れ、ウルミラ以外は大成を興味気に見ており、ウルミラただ1人はオドオドして大成を心配する。
「大丈夫かしら?」
シリーダは、頬に手を当てて心配する。
「大丈夫よ、シリーダ」
「でも、あの子、優しいからオーガを倒すことはできるのかしら?」
「見ていたら、わかるわよ」
「そうです、大成さんなら大丈夫です」
普段オドオドしているウルミラがジャンヌに迷わずに賛同する態度を見て、シリーダとニールは大成に興味を持った。
「グオォォ!」
オーガは勢いがついたまま、大成に向けて棍棒を振り下ろしたが、大成はオーガの横に移動し棍棒を避けて、そのまま通り過ぎた。
大成に避けられた棍棒は、地面に当たる直前、いつの間にか刃物で斬られたような切り口で3分割になっており、オーガ自身も胴体をX字に斬られており切口から血が飛び散った。
「ガァァァ」
それでも、オーガは倒れることなく大成に振り向き、右手の大きな拳で殴りにいく。
オーガの大きな拳が大成に迫る。
大成は振り返るが立ち止まっており、避ける素振りをみせなかった。
そして、大成は顔面に迫ってくるオーガの右拳から腕に掛けて4分割に切断した。
「ガ、ガァァァ」
痛みと恐怖でオーガは後退りする。
「逃がさない。グリモア・ブック、アイス・ロック」
大成はグリモアを出して、氷魔法・アイス・ロックを唱え発動してオーガの両足を氷漬けにして動きを封じた。
大成は、ゆっくりとオーガに歩み寄る。
オーガは、左拳で大成を殴ろうとし腕を動かした瞬間、大成はオーガを無数の肉片に切断した。
「こんな感じかな?」
大成は、魔力の発動と制御を確認しながらジャンヌ達に振り向いた。
「あっ、そこ窪(くぼ)みができているから気をつけて」
大成が指を差した先は、オーガが突進して木をへし折った際、根っこごと抉れた場所だった。
「「……。」」
大成の戦いを見たていたジャンヌ達は、固まっていた。
大成が何をしたのかはわかったが、秘めた膨大な魔力とそれを完全にコントロールした魔力コントロールがあまりにも精密過ぎて鳥肌がたっていた。
棍棒とオーガを切断した大成の力は、魔法ではなくただの魔力を込めた右手の手刀だった。
攻撃を当てる瞬間に、魔力を右手に集中して刃物をイメージした攻撃。
それに加え、目に霞むほどの速さは攻撃する時だけ身体強化して極限までに速度あげていた。
そして何より、普段は穏やかな大成が容赦がないほど冷酷で冷徹な心。
ジャンヌやウルミラは大成がシュゲールの時に冷酷な大成を知っていたが、冷酷な大成を知らないニールとシリーダは目を見開いて驚愕していた。
この技の説明を聞けば、魔法は使わずに、ただの魔力コントロールだけなので簡単そうに聞こえるのだが、実は大変難しく神業といえた。
なぜなら、精密な魔力コントロールと高度な武術がないと、あの目に霞むような速さは出ない。
そして、オーガは筋肉質で魔力も高く攻防が高い魔物だ。
あの防御力の高いオーガを、切断するほどの攻撃力を出すには、膨大な魔力や精密な魔力コントロールだけではなく、イメージ力も必要なのだ。
大成が、イメージしたのは日本刀だった。
大成は警戒されないように、いつも一般人程度の魔力に抑えている。
「ん?どうしました?先に進みませんか?」
固まっているジャンヌ達に、大成は話しかける。
「い、いえ…。もう、手合わせはする必要がありません。大成殿の強さは、今の戦いを見てわかりました。出場を認めます」
「で、ですわね。疑ってごめんなさいね。これからは、よろしく大成君」
ニールとシリーダは、大成の実力を認め握手を交わす。
「そうですか」
大成も自分の戦い方を、これ以上見せなくて済むと思いホッとしたが…。
「何を言っているのよ。せっかく、ここまで来たのよ。手合わせしなさい」
「「え!?」」
ジャンヌの意見に、誰もがジャンヌに振り向いた。
「先に進むわよ」
ジャンヌは周りを気にしないで先を進み、大成達は苦笑いしながら後を追った。
オーガと遭遇した以降は何事もなく、大成達は無事に目的だった森の奥に辿り着き、奥はニールが言ってた通り広場になっていた。
「では、大成殿。申し訳ないのですが、手合わせしましょうか」
「ハァ~、せっかく認められたのに…。それに、あまり手の内を見せたくないって言っているのに。はぁ、ジャンヌは一体何を考えているんだ」
「さぁ、早く始めなさいよ」
ニールと大成は苦笑いしながら話していたら、ジャンヌが急がせる。
大成とニールはお互い距離をとり、ジャンヌ達は2人から離れた。
「では、コインを弾きます」
ウルミラがコイントスし、コインが宙を舞い地面に落ちた音が響く。
大成は身体強化して、ニールに向かって一直線に走る。
ニールも身体強化して、横に走りながらポケットからパチンコ玉みたいなものを5つ取り出して大成に投げつけた。
「ん?」
怪しいと思った大成は鉄の玉を回避してニールに接近しようとしたが、ニールの手元から離れたパチンコ玉ぐらいの大きさの鉄の玉は急に大きくなり、1つの大きさが大体直径1メートルぐらいになった。
「う、嘘だろ!」
あまりにも予想外のできごとで大成は驚愕し、大きくなった鉄の玉は大成の退路を塞ぎながら迫る。
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