異世界から魔王候補として召喚された

フミナベ

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本選とマキネ

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【選手控え室】

予選通過者16人が決まり、予選通過者達は屋敷の前に行き通過順に本選のくじを引いた。

ローケンス→ルーニング→グランベルク→ガディザム→大成→他だった。

ローケンス→3
ルーニング→8
グランベルク→12
ガディザム→15
大成→2
番号札だった。


大成は、会場に戻ろうとした時…。

「お疲れ様、大成」
「大成さん、お疲れ様です」
大成を見つけたジャンヌとウルミラは、大成の傍に駆けつけた。

「本選にどうにか出られたけど。僕は、くじ運ないな…」
大成は2人の方を振り向き、トーナメント表に目をやって苦笑いした。

順調に行けば、大成は2回戦でローケンスと戦うことになる。
そして、勝っても魔王候補達と連戦しないといけなかった。


「それもだけど、大成、どうして魔力とか魔法を使わなかったの?使えばもっと簡単に勝てたはずよ。本選は明日からなのだから、多少の魔力を使っても問題なかったでしょう?」

「そうです、大成さん。いくら相手に手の内を晒したくないと言っても、大成さんの魔法の種類は豊富です。少し晒しても問題ないかと思いますけど」
ジャンヌとウルミラは不満げな表情だった。

ジャンヌとウルミラは、大成が体術やいろんな魔法を駆使して格好良く闘う姿を想像していたのだった。


「そうかもしれないけど。今から、やろうとしていることに魔力を温存しときたかったんだ」

「「えっ!?今から?」」
((今日は予選が終わって、もう闘わないのに?))
大成の言葉に、ジャンヌとウルミラは意味がわからなかった。


「失礼します。大成様、こちらにいらしゃったのですね。こちらの方は準備が整っております」
大成の後ろからメイドが来て、お辞儀して大成に報告した。

「ありがとう。今から行くよ」
「大成、私達もついていっても良いかしら?」
「別に構わないよ」
大成達は会場へと向かった。



【屋敷の外・会場】

大成達は会場に着き、ジャンヌとウルミラは驚いていた。

会場には負傷をした約200人が集まっていたのだ。
ポーションが足らず、手当てが出来なかった人達だった。


大成は、負傷した人達の中央に移動して膨大な魔力を解き放つ。

「グリモア・ブック、ワイド・ヒール」
大成は光魔法ワイド・ヒールを唱え発動し、負傷した人達の足元に巨大な魔法陣が出現した。
魔法陣は光輝き、蛍の光みたいな光が上空へと沢山舞う。

会場にいる人達全員が見とれるほど、綺麗な光景が広がった。

負傷した人達が光に触れると、触れた箇所の傷が癒えていく。

そして、光は徐々に数が減り光の強さが弱まっていき消える。


「「うぉぉぉ~!」」
会場が、あまりの現象で騒ぎ立つ。

「せ、成功し…た…みたいで…良か…った…」
その中で、魔力を使い果たした大成は魔力枯渇となって意識を失い倒れた。

「た、大成!」
「た、大成さん!」
ジャンヌとウルミラは慌てて倒れた大成の傍へ行き、大成を抱き抱えた。

「だ、大丈夫?ねぇ、しかっかりしなさい!大成!」
「だ、大丈夫ですか!?大成さん」
2人は涙ぐみながら大成を揺すったが、大成は目を覚まさなかった。



【過去・屋敷】

大成は、試合が始まる前にメイドにポーションの数は足りるのかを確認していた。

おそらく足らないとメイドは答えたので、予選が終わったらポーションを使えず負傷している人達を会場に集めて欲しいと大成は予め頼んでいたのだ。

そういうことで、大成は魔力をできる限り温存するために予選で魔力も魔法も使わずに闘っていたのだった。



【屋敷一階・医療室】

「こ、ここは…。ジャンヌとウルミラ…」
目を覚ました大成は、傍にいたジャンヌとウルミラに気付いた。

ジャンヌとウルミラは、大成の左右にいて2人とも大成の手を両手で握ったまま疲れて眠っていた。

大成は起き上がり、棚から毛布を2枚を取り出してジャンヌとウルミラにそっと優しくかける。

病室の窓から月の光が射し込み、大成は窓から月を見る。

「2人には、あとでお礼を言わないとね。あの後、どうなったのだろう」
大成は心配したが、疲労で再び眠りについた。



【過去・会場】

大成が倒れた後…。

すぐに膨大な魔力を感じたヘルレウス・メンバー達が集まり、周りの人達を退かしながら大成を医療室へと運んだ。

倒れた原因は、魔力の使い過ぎた時に起こる魔力枯渇だった。

大成の命に別状がないと知ったジャンヌとウルミラはホッとしたが、大成が心配だったので付きっきりで看病をすることにしたのだった。



 【屋敷の外】

早朝、目を覚ました大成は、ジャンヌとウルミラが起きないように医療室を出て屋敷の外へ向かった。

大成は普段通り朝練を始めたが、万全な状態ではないので魔力を消費する魔力コントロールの練習は控えることにした。


「あっ、やっぱり、ここに居たのね。大成」
ジャンヌの呆れた声が聞こえたので、大成は振り返るとジャンヌとウルミラの姿があった。

「おはよう、ジャンヌ、ウルミラ。それと、昨日は看病してくれてありがとう」

「おはよう、大成。気にしないで良いわ。それより、もう無茶はやめなさい」

「わかったよ、ジャンヌ」

「おはようございます、大成さん。少し元気になって良かったです。本当に心配しました」
大成を見つけ傍に駆けつけたジャンヌとウルミラは、すぐに大成を纏う魔力がいつもより不安定だと感じた。


「心配かけてごめん。怒るかもしれないけど、今日から本選だよね?」

「えっ!?大成、まさかとは思うけど出場するつもりなの?残念だけど、棄権しなさい。今の状態で戦っても勝てないわよ。初戦はローケンスや魔王候補達じゃないけど、あの子は、あなたと似た体術を使っていたわよ」

「そうです。棄権して下さい、大成さん」
2人は大成を心配し、怒るよりも呆れた。


「戦ってみて、無理そうだったら棄権する。それで、どうかな?」
大成は、ジャンヌとウルミラの顔を見つめる。

大成の揺るぎない真剣な目を見たジャンヌは、肩を落として判断する。
「仕方ないわね。それなら、良いわよ」

「ひ、姫様!?」

「良いのよ、ウルミラ。その代わり、約束して大成。無理はしないこと。良いわね?」

「ありがとう、ジャンヌ」
2人に感謝した大成は笑顔を浮かべた。



【会場】

数時間後、大会の本選が始まった。
今回は予選で使用したリングではなく、中庭のリングを使用することになっている。

大成の一回戦の相手は、大成が気になっていた同い年ぐらいの少女のマキネという短剣使いだった。

お互い正面に立って顔を見る。

「ウフフフ。一回戦の相手が子供とか、私はラッキーだね。どう殺そうかな~」
マキネは笑みを浮かべており、予選では短剣だったが今は双剣を握っており構えた。

「いや、君も僕と大して歳が変わらないだろ?」

「う、うるさいな!さっさと死ね!」
大成から指摘されたマキネは、顔を真っ赤に染めて怒鳴る。


そして、ジャンヌが試合開始の合図をする。
「では、はじめ!」

同時に会場が盛り上がった。

マキネは気配を希薄にし、ポケットから丸い玉を取り出して自分の足元に叩きつけた。

玉は破裂し、白い煙幕が発生してリングを覆っていく。

「忍者かよ…」
大成は苦笑いをし、リング全体が煙幕で覆われた。

マキネは大成の背後に回り、双剣の片方の剣で大成の首もとを狙ったが大成に避けられ、逆に大成の回し蹴りが手首に当たり剣を落とした。

「え!?嘘…。なぜ、わかったの?」
マキネは驚いて、つい話し掛けてしまった。

「ん?気配が、完全に消えてないから」
大成は、マキネの落とした剣を拾い気配を完全に消した。

「~っ!?何処に行ったの?」
大成が完全に気配を消したので、マキネは大成を完全に見失ってしまい、何処にいるのかわからなくなった。

「きゃっ!」
マキネの背後をとった大成は、マキネを押し倒して背中に馬乗りしてマキネの首元に剣を突きつけた。


風が吹いて煙幕は流されていき、大成とマキネの姿が観客にも見える様になった。

「どうする?」

「降参するしかないじゃん。でも、覚えておいて。いつか必ず、あなたにギャフンと言わせてあげるんだからね」
降参を聞いた大成はマキネから離れ、マキネは頬を赤く染めて大成を指差した。

「それは、やめて欲しいな」
大成は、苦笑いしながら頭を掻く。

「ふん!それに、こんな大衆の前で女の子を押し倒すなんて見かけによらず、君は大胆だね」

「いや、これは…その…ごめん」

「覚悟しておいてよ、ダーリン」
一方、マキネは大成に向けて最後にウィンクした。

「なっ…」
ウィンクするマキネを見た大成は、一瞬ドキッとしたのだった。

「勝者は神崎大成」
大成とマキネのやり取りを見ていたジャンヌは額に青筋を立てながら宣言し、会場は盛り上がった。


大成は、勝利して嬉しいはずなのだが…。
ジャンヌとウルミラに睨まれ、一瞬背筋がブルッと震えて苦笑いをするしかなかった。
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