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大成VSマミューラとクラスマッチ終了

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【クラスマッチ・先生と生徒のバトル・リング】

「それでは、次の試合と行きましょう。生徒側のバトル・チケットは終わりましたので、次は先生側のバトル・チケットに移行します。マミューラ先生は先程闘いをしたので、先に違う先生の指命からいきますね。では早速、まずはマイク先生は、えっと、自分のクラスのナイサー君とルナシーさんを指名しています。ですが、先程、マミューラ先生に倒されてグロッキー状態ですので試合は無理そうですね。では、次に行きましょう。あれ?コレも…。それにコレもっと…。え~、他の先生達は大和君を指名しています。どうしますか?大和君。一応お聞きしますが、一人一人闘っていきますか?それとも先程のマミューラ先生みたいに…」
ミクも観客達も相手が先生なので、流石の大成も一人ずつ闘うと思っていたがミクは念のために大成に尋ねる。

だが、大成は違った。

「纏めてで、お願いします」
大成は、表情を変えずに迷わずに決断した。

先生達は馬鹿にされていると思って鋭い眼光で大成を睨みつけるが、大成は気にしておらずゆっくりとリングに上がる。


会場は驚愕して静かになり、そして、ざわめき出した。

観客達とは別の意味で、ジャンヌ達もある意味ビックリしていた。

なぜなら、大成はあまり目立ちたくないと言っていたからだ。

「えっ!?大成君どうしたの?あまり目立たないようにするとか言っていたのに…」

「おそらくですが、マミューラ先生の闘いを見て触発されたのだと思います」
イシリア疑問に、ウルミラは苦笑いしながら答える。

「はぁ、その可能性が高いわね」
ジャンヌは呆れた表情で、ウルミラに肯定した。

「まぁ、ダーリンのカッコいい姿が見れるから私は良いと思うけどね~♪」

「「ま、まぁ、そうね」」

「そ、そうですね」
マキネは嬉しそうに話し、ジャンヌ達は少し頬を染めて肯定した。


「えっと、ほ、本当に良いの?相手は生徒ではなく、先生達だよ?しかも、ランドー先生とマイク先生を除いた28人も居て、その中にマミューラ先生も含まれいるんだよ!?流石の大和君も、キツイというより無謀だと思うけど…」
ミクは、大成に説明をして説得を試みる。

「マミューラ先生の闘いを見せられたら、ここは退くわけにはいかないよ。まぁ、流石に魔力は使わせて貰うけどね」
ウォーミングアップしながら大成は答えた。

「そ、そう…。大和君が良いなら良いけど…。で、では、先生達もリングの上に集まって下さい」
ミクは恐る恐る先生達に指示し、先生達は無言でリングに上がり集まる。

だが、先生達は威圧感を出しており、目を吊り上げておっかない形相で誰が見ても一目でわかるほど激怒していた。

そんな中…。

「ク、ククク…アハハハ…」
マミューラは、腹を抱えて笑っていた。

先生達は、笑っているマミューラを見て顔をしかめながら視線を再び大成に戻す。


「大和君。君が強いのはわかったけど、些か君は高慢だよ。今回は良い機会だ。この試合で、自分の強さを再確認すると良いよ。そして、断言しよう!試合後、君は少しは謙虚になっているとね」

「「だな!」」

「「そうね」」
先生達は一致団結しながら大成を睨み、大成は何も言わず瞳を閉じ集中する。


「では、始めましょう泣いても笑っても、最後の闘いです!では、試合開始!」

「「ファイア・アロー」」

「「エア・カッター」」

「「エア・ショット」」

「「アース・ショット」」

「「アース・スピア」」

「「ファイア・ボール」」

ミクの開始の合図と同時に、先生達は身体強化と同時に攻撃魔法を唱えた。

先生達は味方の人数が多いので、迷惑を掛けない様にリングを凍らす氷魔法は使用しなかった。

マミューラは、ルネル達と同じようにリングの端に移動し胡座をかいて見守ることにした。



雨の様な攻撃魔法が大成を襲う。

大成は魔法が間近に迫ってきている中、ゆっくりと目を開くと不敵な笑みを浮かべた。

先生達は大成の表情を見た瞬間、背筋がゾッとして一瞬だが硬直したり一歩後ろに下がる。

「化け物が…」
離れていた場所から見ていたマミューラも、他の先生達と同様に背中がゾッとしたが苦笑いしながら呟いた。


大成は身体強化をして態勢を低くしながら先生達に向かって走る。

次々と飛んでくる攻撃魔法を最小限の動きで躱したり、魔力を纏わせた木の剣で弾いたりしながら先生達との距離を縮めて行く。

「ランキング戦の時といい、相変わらず馬鹿げた身体能力だな」
大成の闘いを見たマミューラは、驚きを通り越して苦笑した。

「おいおい、嘘だろ…」

「足止めどころか、全く止まらないぞ!?」

「こ、このままだと接近されるんじゃないのか?」

「ま、まさか…」
会場は、信じられないという空気が流れておりざわめきだす。


先生達は、今も連続で魔法を唱えて放っており、流石の大成も数多くの魔法を前にして直撃はしていないが掠り傷を負っていく。

それでも、大成は怯むことなく足を止めずに前に突き進む。

「う、嘘だろ!?な、なぜ、怯まないんだ!」

「くっ、このままだと接近戦になります。前衛が自身がある先生方は、接近戦の準備をして下さい!」

「「わかった」」

「「そうね」」
先生達は、追い詰められている雰囲気がする中でも遅れることなく杖から接近戦の武器に持ち替えるが動揺は隠せないでいた。

普通だと相手との距離が近づくにつれて回避が困難になるはずなのだが、大成はその難易度が上がるにつれて高揚感が増して感覚が研ぎ澄まされいき、逆に動きが鋭く切れが増していく。

接近戦になるぐらいの距離まで大成が接近したので攻撃魔法の雨が止み、接近戦ができる先生達は各々の木製の武器を構える。

「流石、先生達だ。切り替えが早いな。その判断はいい、いいぞ。もっと、もっと、俺を楽しませてくれ」
先生達の判断の良さと迅速な対応に、大成は嬉しくなりテンションが上がった。

そして、大成は先生達に接近した。


「く、来るぞっ!」

「「お、オオォ~ッ!」」
先生達は、雄叫びを上げながら大成に襲い掛かる。

「うぉぉ!」
棍棒を持った先生は、棍棒を全力で上から振り下ろす。

しかし、大成は体を横に向け避けると棍棒はリングを粉砕した。

大成は棍棒を踏むことで武器を封じながら、無防備になっている先生の顔面に蹴りを入れて倒した。

だが、先生達の攻撃の波は止まらない。


「貰った!」
大成が先生に蹴り入れた直後、他の先生は木の剣を横から凪ぎ払った。

「な、何だと?!がはっ」
大成はすぐに屈むことで回避し、下から上に向かって木の剣を振り上げて先生の顎に軽く当てて脳震盪を起こして倒した。

「くっ、ノノン先生。だが、これで終わりだ!な、何!?」
続くように先生が木の大剣を両手で握り、大剣を上から振り下ろそうとする。

大成は先生の手首を左手で押さえて途中で止め、木の剣の柄の部分で先生の鳩尾に打ち込んで倒した。


校長は試合が始まってから大成の闘いを見て驚愕しており、今まで呆然と観戦していたが倒される先生達の悲鳴で我に返った。

「こ、このままだといかん!レゾナンス」
校長は精神干渉魔法レゾナンスを発動させ、大成に繋げる。

「しゅ、修羅様、あ、あのですね。このままだと、あなた様の正体がバレます。というより、先生達が纏めて負けてしまいますと、我が学園の名誉がズタズタになってしまいますので申し訳ありませんが…って、聞いてますか修羅様?」

「今、良いところなんだ。すまないが、邪魔しないでくれないか?」
大成はそう言い、校長の頼みでも全く聞く耳を持たなかった。

(ああ…もう駄目だ…。自分が闘いに参戦して止めようにも、修羅様に勝てるかどうか以前に足止めをすることすらできないし…)
校長は、レゾナンスを解除して頭を抱え、結局、諦めるしか選択の余地がなかった。


「たぁっ!」
木の剣を振り下ろした先生。

大成は自分と先生の間合いに、隣にいる先生の胸ぐらを掴み引っ張って盾にした。

「イダッ…」

「すまない、ホエール先生。くっ、盾にするとは…。ぬぉ」
大成は盾にした先生を思いっきり蹴り飛ばして木の剣を振り下ろした先生に当てるだけでなく、その周りいる先生達にも被害が続出して隙ができる。

その隙に大成は木の剣で攻撃したり、蹴りや左手で顎、後ろの首筋、鳩尾、心臓付近など殴ったり蹴ったりして次々に先生達を倒していく。

「ほ、本当に何者なんだ…。あいつは本当に魔力値2なのか!?何で、俺達が魔力値2の生徒1人にこうも倒されていくんだ!?しかも、魔法なしでだぞ。こんなの屈辱だ!糞、その剣を寄越せ!」

「お、おい、待て!俺の剣を返せ!」

「お前は、そこらに落ちている武器を拾って使え。あいつは、俺が倒す!」
1人の先生が近くにいた先生の木の剣を奪って左右の手に剣を一刀ずつ握り全力疾走して、背中を見せている大成に斬り掛かる。


気配で気付いた大成は振り返り、冷静に木の剣で突きを繰り出して牽制した。

「くっ」
大成に斬り掛かった先生は一瞬だったが、左右に握っている剣のどちらで捌くか悩み対応が遅れる。

「先生、慣れていないことをするから咄嗟の判断に戸惑いが生じて隙ができる」

「ぐぁ…」
慌てる先生に、大成は一歩前に踏み込みながら先生の鳩尾に肘打ちを入れて倒した。


「だ、駄目だ…。俺達が束になっても全く勝てそうにない…」
1人の先生が諦め、自らリングアウトした。

それに続くように、残りの先生達も続々と自らリングアウトしたり、降参したりしてリングの上には大成とリングの端で胡座を掻いているマミューラの2人になった。


大成は深呼吸し、マミューラの方へ振り向く。

「お待たせしました、マミューラ先生」

「あまり待っていないがな。それにしても、相変わらずの化け物ぷりだったぞ、大和」
苦笑いしながらマミューラは、ゆっくりと立ち上がる。

「ミクさん。申し訳ないけど、試合開始の合図をもう一度して欲しいんだけど良いかな?」
大成は、ミクの方を向いて頼んだ。

大成に声を掛けられ、少し間を置いて我に返ったミク。

「う、うん、わかった。ゴホン。では、マミューラ先生と大和君の一騎打ちとなりました。学園最強と噂されている先生と学園最強かもしれないと思わせる生徒!いったい、どちらが勝つのでしょうか!見物です!最後のイベントを締め括るには、これ以上のない試合だと思います。それでは、試合開始です!」
ミクの試合開始の合図と共に、大成とマミューラは身体強化をして2人は魔法を唱えず接近しながら身体強化をする。


大成は必要な場所だけを身体強化し、不必要な強化をしていない箇所の魔力を必要な箇所に上乗せするスタイル。

それに対して…。

「バーサーク」
マミューラは、攻撃特化な身体強化なのでバーサークと呼ばれるようになった部分強化で対応する。

頭、両手、両足だけを、ずっと身体強化を維持し、強化していない箇所の魔力を強化している箇所に上乗せするスタイルだった。


「さぁ、どちらが勝つのでしょうか?両者とも、達人しかできない部分強化です!いえ、達人でも2~3箇所の部分しか強化できず、強化の切り替えも遅く維持も長くできないはずなのですが、マミューラ先生は戦いながら同時に5箇所全て維持しております!一方、大和君は必要な時に必要な場所だけに部分強化をするスタイルです。こちらは、部分強化の箇所、対応スピード、魔力の移動が滑らか過ぎて寒気がするほど不気味です!」
観客達に、わかりやすく説明をしながら実況するミク。


「大和、お前しかできないのかもな。その、見ているだけで鳥肌が立つほどの無駄のなさ過ぎる滑らかな部分身体強化は。どれだけ魔力コントロールが化け物じみているかが誰もが見てわかるほどだ」
マミューラは、右足の蹴りで大成の左横腹を狙う。

「マミューラ先生も、戦いながら部分強化同時に5箇所もして維持できるなんて凄いですよ」
大成はマミューラの蹴りを左肘と左足で挟んで迎撃しようとしたが、マミューラは途中で蹴りを止めて地面に足をつけて左手で殴りに掛かる。

「大和、お前は本当に油断も隙もないな。危うく蹴りを止めなければ、私の右足が折られるところだったぞ」

「そうですか?普通だと思いますが、マミューラ先生」
大成は一歩前に踏み出し、マミューラの左拳を避けながら左拳でクロス・カウンターを狙った。

「チッ」
マミューラは、舌打ちしながら右腕で防いだ。

そして、大成とマミューラは、同時にその場で回転し、お互いの頭を狙って回し蹴りを放つ。

お互いの蹴りは、中央で衝突して衝撃波が生まれた。

「くっ」
大成は力負けし体勢を整えるためにバックステップしてマミューラとの距離をとろうとしたが、マミューラは追撃しに来ていた。

大成の方が身体強化は優秀だが、マミューラとの体格の差や種族の差が出た。


「オラッ」
マミューラは、勢いがついたまま右足で大成の鳩尾を狙い蹴りを繰り出す。

「ぐっ」
大成は、両腕をクロスにして防いだが後ろにズリ下がった。
(まともに正面から受けたら分が悪過ぎる)

「どうした?大和」
再びマミューラは、接近して右拳で殴りに掛かる。

大成は体を反ってマミューラの右拳を避けたと同時に大成は両手でマミューラの右手を掴み、絡み付くように両足でマミューラの首を絞めながら関節技を決めた。

だが、マミューラは倒れずに右膝で大成の背中を強打しようとする。

大成はすぐさま両足を外して右足でマミューラを蹴り、その反動を利用して離れたが、マミューラは怯まずに大成に接近して攻め続ける。

「マミューラ先生、痛くないのですか?」

「痛かったに決まっているだろ!今さっきので、靭帯を痛めたかもな。しかし、少し大振りになっただけで反撃がくるとはな。だが、お前の強さはこんなものではないのだろ?大和」
隙を与えない様に猛攻を仕掛けるマミューラは、大成に期待しているような表情で尋ねる。

「さぁ、どうでしょう?」
大成はマミューラに勢いをつけさせてしまい、凌ぐことしかできずにいた。


「ククク…。初め、シュゲールが魔力がない子供に負けたと聞いた時は信じられず耳を疑ったもんだが、こうして相手をしてみると納得できる」

「え?シュゲールをご存じでしたか?」
お互いの拳が交差し、ギリギリのところで頬を掠りながら互いに避けた。

「ん?大和、ジャンヌ達から聞いてないのか?私は、魔人の国で最強最悪と有名になった盗賊団【デビル・ソレイユ】の初代の頭だぞ。因みに、【ノルダン】のリーダー・ダビルドは私の部下だ。というより、ダビルドが団の名を変えて引き継いだ形だな」

 「そうでしたか」
大成とマミューラは、激しい攻防を繰り広げながら会話をする。

大成は可能な限りマミューラの攻撃を避け、避けきれない攻撃は攻撃を受け流していた。

「ん?驚くかと思ったが、あまり驚いてないようだな。つまらん」

「すみません。マミューラ先生が、こんなに強い理由がわかりましたので驚きより納得した感じですね」
大成の反応を見て、マミューラは物足りなさそうな表情をする。


マミューラの右拳を大成は左手で防ぎながら内側から外側に向けて弾き、隙を作って反撃しようとした。

だが、マミューラは左膝で更に攻撃を繰り出して大成に反撃させないようにする。

大成は右手でマミューラの膝を押さえて防ぎ、さらにその反動を使って自ら後ろに飛ぶことで衝撃をいなしながら距離をとった。


そして、大成は自然に見えるように、わざと攻撃を防いだ右手が痺れたように見せるために左手で押さえて隙を作った。

「これで、終わりだ!」
大成に接近し、マミューラは右フックを繰り出す。

しかし、追い詰められたはずの大成の冷静さにマミューラは気付いた。

「しまった!」
マミューラは攻撃をしたのではなく、大成に誘導されて攻撃をさせられたことに気づいたが既に遅かった。


「ハッ!」
大成はマミューラの右フックが当たる前に左手でマミューラの右手を掴み、右肘をマミューラの鳩尾に叩き込んだ。

「ぐぁ」
マミューラの体は、【く】の字になり息が止まる。

大成は流れる動作でマミューラを掴んでいる手とマミューラの上腕を掴み、一本背負いをして地面に叩きつける瞬間に、マミューラの頭部に蹴りを入れようとする。

だが、マミューラは片手を地面につき、すぐに地面を押して跳びはねて回避し距離をとった。


「ぐっ、危なかった。もう少し、肘打ちの威力があったら最後の蹴りは避けれずに負けていたな。しかし、恐ろしい連続技だな」

「今のを避けた人は、マミューラ先生で2人目ですよ」

「ほう、私以外にもいるのか…」

「はい、僕の義兄であり僕を強くしてくれた恩師です」

「お前より強い奴が居るなんてな。本当に世界は広いな。ククク…」
マミューラは、嬉しそうに笑う。

そして、大成とマミューラは再び接近して衝突し、再び激しい攻防が繰り広げた。


「そういえば、マミューラ先生ってフェアなんですね。ユニとマルチスの時は魔力値4で、ルネルの時は魔力値5で、魔力をコントロールして相手と同じ魔力値で闘っていましたよね?」
激しい攻防の中で、大成は話し掛ける。

「まぁな、フェアではないと楽しめないだろ!」

「まぁ、その気持ちはわかります!」
お互い右拳と右拳がぶつかり衝撃波が生まれ、2人は左手をリングに付いた状態で踏ん張りながら後ろにズリ下がった。

「だろ?もう少し楽しみたかったが、そろそろ終わりにするか?なぁ、大和」

「それも、そうですね。次で、終わりにしましょうか」

「「……。」」
大成とマミューラは構えて無言になり動きを止め、お互いに相手の出方を窺う。

会場も静まり返り観客達が息を飲む中、闘技場に風が吹き1枚の葉っぱが2人の間に落ちた瞬間、大成とマミューラは同時に動いた。

一瞬で、リングの中央に移動した大成とマミューラは右拳に魔力を込める。

「はぁぁ!」

「ヤァァ!」
お互い、同時に渾身の右ストレートを放つ。


大成はマミューラの右拳が左頬に、マミューラは大成の右拳が鳩尾にお互いに決まり、大成は後ろに吹き飛ばされリングの上を転がり端で止まり倒れ、マミューラはその場に崩れ落ちた。

「りょ、両者ダウンです!どちらが、先に立ち上がるのでしょうか?では、カウントを開始します。10…9…8…」
ミクがカウントするが、どちらもピクリとも動かない。


「おいおい、2人は大丈夫なのか?」

「少年の方は無理だろう。何せ、あんなに吹っ飛ぶほどのものを貰ったのだからな」

「そ、そうだな」
会場は、ざわめきだす。


そして…。

「3…2…1…0。何と!両者共に起き上がることができませんでした。よって、この試合はドローのなります!そして、2人は大丈夫なのでしょうか?特に、遠くまで吹き飛ばされた大和君は…」
ミクが勝敗を宣言し、すぐに大成の心配をして駆けつけ、他の先生達はタンカーを用意して、リングに上がろうとする。


「なぁ、あの人間の子供は本当に大丈夫なのか?」

「さぁ?どうだろ…」
会場は盛り上がるどころか、大成の心配をする声があちらこちらで聞こえてくる。


先生達が2人に駆けようとした時だった。

「くっ」

「……。」
マミューラはお腹を押さえながら立ち上がり大成に近づく、大成もムクッと何もなかった様に起き上がりマミューラに歩み寄る。

「フッ、やはりな」
大成の顔を見て納得したような表情を浮かべるマミューラ。

大成は、バツが悪そうに頭を掻きながら苦笑いをした。


観客席にいるジャンヌ達は、少し不満げな表情になっていた。

「何で、ダーリンは殆どダメージ受けてないのにカウントの時、すぐに起き上がらなかったのかな?」
マキネは、不思議そうに首を傾げながら尋ねる。

「学園の名誉のためじゃない?魔力値2の人間の子供1人に先生達が一斉に掛かっても、勝てなかったことが世間に広まる大変だもの」
ジャンヌが少し不満なげな声で説明した。

「そうですね…」

「まぁ、そうね…」
ジャンヌに肯定するウルミラとイシリアは理解して頷くが心の中では不満だった。

例え、噂になろうとも、それでもジャンヌ達は大成に勝って欲しかった。

最後の一撃はほぼ同時に見えたが、実際は少し先に大成の右ストレートがマミューラの鳩尾に決まっており、大成は渾身の攻撃を決めた直後、コンマ数秒後、マミューラの右ストレートが大成の顔面に直撃した。

その時に、大成は顔に魔力を集中させて身体強化を高めて防御力を上げていた。

だが、そのせいで踏ん張りがきかず、大成ら吹き飛んだったのだ。

なので、派手にやられたように見えたマミューラの一撃はほぼダメージを受けなかったマミューラ。
その証拠に大成の顔は、腫れてもいなかった。
そのことにマミューラは、気付いていた。



大成とマミューラは握手した。

「あ~、楽しかった。また、やろうな大和。だが
、今回みたいに手を抜くのはなしだ」

「良いですよ」
2人は笑った。

そんな2人を見た観客は盛大に盛り上がった。

「良い試合だったわ」

「2人とも、ナイスファイトだったぞ」

「来年も楽しみにしているからな」
など一時の間、観客達の喝采と拍手が止まなかった。

こうして、クラスマッチは閉幕したのだった。
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