卒業まで、あと少し。

春瀬さくら

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第四話

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『まぁねー。
ま、そんな訳で高校は別々だしアンタとも、もーすぐバイバイね』

『いや、俺も同じ高校だぞ?』 


栄治は何言ってんだ?と不思議そうに見つめる。

杏菜の表情は、『鳩が豆鉄砲を食らった』そのものだ。


『は?何それ!?アタシ聞いてないよ?』


『そもそも言ってないからな?



-…お前だって、俺に言ってなかっただろ?





たまたまだよ』




『いや、そうだけど…!



でも…!




ええええええー!


また同じ学校なのー!?』



マジかと頭を抱える杏菜を、さーやは静かに見た後に、静かに栄治を睨み付けた。


『何だ?望月』

『別に。栄治くんには関係ない』

ぷいと視線を反らすと、そのまま一人で教室へ向かう。


『ちょっと、さーや!』


『何だ?あいつ』


『もう!春人が無神経なんだよ!
さーやは、もうすぐ引っ越しするのに、春からの話なんかするから!』


『いや、俺はそんなつもりじゃ…!』



確かに、たまたま居合わせた栄治に推薦の話をしたのは自分だ。

でも、さーやが良い気分じゃ無いのは察するべきだった。

杏菜は慌てて、教室へ足を向ける。

栄治は残されたまま、杏菜の後ろ姿を見つめていた。
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