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第六話
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それからの卒業式までの日々は、あっという間だった。
進学先が早々に決まった人は残りの中学生活をマッタリ過ごすし、まだの人は全力で勉強していた。
さーやと杏菜は、とにかく二人で過ごしていた。
栄治の件は、とにかく考えない様にしていたのに、ある日給食の時間に『そう言えばさー、ニノと栄治って付き合ってんの?』と話題が出て、さーやはムセてしまう。
『ちょ、むつみ!』
『やだー!さーやったら!ジェラってんの?』
きゃあきゃあと盛り上がるも、さーや本人からしたらタイムリー過ぎる話題で、気が気では無い。
『違うよ。アタシとハルトは、ただの幼なじみ。
…そんなんじゃ、無いよ』
『えー、だって高校も一緒でしょ?
怪しーい!』
『いやいや、絶対無いから』
苦笑する杏菜だが、こういう時の女子の食い付きは凄まじい。
中々開放されず、ゲンナリするも、さーやと目が合うと『へへ』と笑い合う。
今は、僅かな時間ですら愛おしいのだ。
***
『栄治くん』
卒業式も数日後に控えたある日。
さーやは栄治を呼び出した。
『望月、どうした?』
『少し、良い?』
人気の少ない屋上に行くと、単刀直入に切り出した。
『栄治くん、杏菜の事が好きなんでしょ?』
最初は、『違うし』とか誤魔化そうとしていたが、さーやの真剣な眼差しに、『そうだよ』と認めた。
『そっか』
合点は行ったが、数日後には離れる身としては不安も膨らむ。
『告白、しないの?』
『しても、なぁ…』
さーやの問いに、モゴモゴと言い渋る栄治。
『だって、お前ら付き合ってるんだろ?』
『………。へ?』
突然過ぎる答えに、予想してなかったのか、ただ目をパチパチと瞬きするしか出来なかった。
てっきり、杏菜の悪口を照れ隠しに言う程度の予想しかしていなかったから。
進学先が早々に決まった人は残りの中学生活をマッタリ過ごすし、まだの人は全力で勉強していた。
さーやと杏菜は、とにかく二人で過ごしていた。
栄治の件は、とにかく考えない様にしていたのに、ある日給食の時間に『そう言えばさー、ニノと栄治って付き合ってんの?』と話題が出て、さーやはムセてしまう。
『ちょ、むつみ!』
『やだー!さーやったら!ジェラってんの?』
きゃあきゃあと盛り上がるも、さーや本人からしたらタイムリー過ぎる話題で、気が気では無い。
『違うよ。アタシとハルトは、ただの幼なじみ。
…そんなんじゃ、無いよ』
『えー、だって高校も一緒でしょ?
怪しーい!』
『いやいや、絶対無いから』
苦笑する杏菜だが、こういう時の女子の食い付きは凄まじい。
中々開放されず、ゲンナリするも、さーやと目が合うと『へへ』と笑い合う。
今は、僅かな時間ですら愛おしいのだ。
***
『栄治くん』
卒業式も数日後に控えたある日。
さーやは栄治を呼び出した。
『望月、どうした?』
『少し、良い?』
人気の少ない屋上に行くと、単刀直入に切り出した。
『栄治くん、杏菜の事が好きなんでしょ?』
最初は、『違うし』とか誤魔化そうとしていたが、さーやの真剣な眼差しに、『そうだよ』と認めた。
『そっか』
合点は行ったが、数日後には離れる身としては不安も膨らむ。
『告白、しないの?』
『しても、なぁ…』
さーやの問いに、モゴモゴと言い渋る栄治。
『だって、お前ら付き合ってるんだろ?』
『………。へ?』
突然過ぎる答えに、予想してなかったのか、ただ目をパチパチと瞬きするしか出来なかった。
てっきり、杏菜の悪口を照れ隠しに言う程度の予想しかしていなかったから。
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