カオスの遺子

浜口耕平

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第一部 エルマの町

第四十三話 新たなる力

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 ロイドとの戦いを終え、魔力を全て吸い取ったロードは突然の頭痛に倒れ宿舎に運ばれた後、リード、メリナ、アレスの順に看病していた。
 三日後、アレスがロードの看病をしていると目を覚ました。
 「お、おお! 起きたかロード! おーいお前らロードが目を覚ましたぞー!」
 アレスが呼ぶとリードとメリナが部屋になだれ込んできた。
 「やっと起きたのね。よかったわ~このまま寝たきりになるかもって思ってたからアナタが目覚めて嬉しいわ」
 「ありがとうメリナ、でもホラ、僕は元気いっぱいだよ」
 「それよりロード、その手は何だ?」
 「え?」
 ロードの頭の上を見ると小さな手が乗っかていて頭を優しくなでていた。
 「何コレ何コレ!!」
 「落ち着けロード、ただの手だろ」
 「いやいや手だけが頭に乗っているのはおかしいわよ。この手ロイドの手じゃないかしら?」
 「ハハハ何だよ魔力を奪ったらロイドもついてきちゃったのか~?」
 「ああ~ツンツンしないで~」
 アレスが人差し指でロードの腹をツンツンしていると、ロイドの手がアレスの指を掴んで折った、その時、平等の力が発動してアレスの手の指がすべて折れた。
 「はぅああ!!」
 変な悲鳴を上げると共にアレスは床に蹲った。
 その様子を見ていた三人はアレスを心配する以上に平等の力がロードの体に身についたことに驚いた。
 「これって僕にロイドの力が身についたってこと?」
 「どうやらそのようだな」
 「やったやった! これでもっと多くの人を助けられるよ! 僕ちょっと町の外に行って魔物倒してくる」
 「おい待てロード、お前はまだ病み上がりだから外には出るな」
 「じゃあ兄さん早く治してよ! 早く早く!!」
 「わかったわかったそう急かすな」
 ロードは地団駄を踏んでリードを急かすのは、新たに手に入れた力を早く使いたいからであり、いつも以上にやる気で満ち溢れていた。
 そうして元気になったロードはリードを連れて部屋から出て行った。
 部屋に残ったメリナは先ほどから一物の不安が頭に浮かんでいた。
 (さっきの力、ロードの意思じゃないわよね… あの力が暴走して私たちに向けられたら……)
 「いけない、いけない私ったら仲間を疑うだなんて。でも、今はあの子がどうなるのか心配だわ…」
 メリナはロードを疑いたくはないが、平等の力の恐ろしさを知っているゆえに今はまだ静観して見極めることにした。
 「メ、メリナ… お願いだリードを呼び戻してくれ……」
 アレスの願いを聞いたメリナはリードを追って部屋から出て行った。

 町から出たロードは魔物を見つけると大はしゃぎして向かって行った。
 「えい!」
 ロードは魔神の腕を出そうと殴る素振りをするが腕が現れる気配はない。
 「あれえ? 平等の力が宿ったんだからあの腕も出せると思ってたんだけどな~、やり方が悪いのかな。えい! えい!」
 しかし、何度やっても魔神の腕が出てこないので、がむしゃらに手を振り回し始めた。
 「おいおい、そんなおうちゃくしてると痛い目にあうぞ」
 「いいから見てて! でろ!」
 すると、魔神の腕が飛び出してロードを突き飛ばした。
 「ほら言わんこっちゃない」
 「ふええ、、 痛いよ……」
 ケガしたロードを手当てしていると、ロードは手に向かって怒った。
 「もう! お前は僕のものになったんだから僕の言うこと聞いてよ!」
 ロイドの手はそれを聞いてなのか親指を立てて了解の合図をした。
 ロード達がもたもたしている間に、わらわらと魔物たちが集まってきた。
 「よしじゃあ行くよ! えい!」
 今度はちゃんと魔神の腕が出現して一体の魔物を殺すと、それと同時に周りにいた魔物たちも同様に死んだ。
 「わあスゴイスゴイ!! これなら魔物のを一網打尽にできるよ!」
 「そうとは限らんぞ」
 「え?」
 「お前たちが戦った際の平等の力の影響はダンタリオン、ベガ、アルタイル地方までしか効果は見られなかったようだ、まあそれでもクソ広い範囲だけどな。お前がすべての魔物をこの世界から一掃するにはもっとカオスの遺子と戦って力を集めないとな」
 「そうだね僕もっと頑張るよ! この力を使いこなせるようにもね」
 力を試したロードは再びカオスの遺子と戦っていくことを誓った。
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