40 / 96
第1章 変化の始まり
評判と依頼 #1
しおりを挟む
ギルレイはエリエッタをリミル達に紹介するつもりだったようで『エリエッタに言っておけばよかった』とボソボソと言っている。
「キャビネットもエリエッタの店の隣にある無口なエリエッタのお兄さんの店で買ったよ」
『そうか。あいつの家具は質も良いし綺麗なデザインだからな。家にあるのはほとんどそこで買ってるな』
そこにグレモスを連れてピギルーイが来た。
挨拶を終えた二人にギルレイが口を開く。
『先程ギルドで報告を受けたんだがゴブリン連れの冒険者が捕まった。高位の冒険者チームにゴブリンを嗾けたようだ。返り討ちにあったゴブリンがテイムされたゴブリンに助けを求める所をその冒険者チームが目撃したそうだ』
<そいつ馬鹿なのか?高位冒険者チームに集団と言えどゴブリンが勝てると思ったのか?>
クライが呆れたように言っている。
ゴブリンは集団だと冒険者によっては脅威になり得るが高位にとってはとても弱い存在だ。
何百匹いても変わらない。
そんなに纏まって行動する種族でもないが、多くて百匹程度か。
『高位と知らずに襲わせたらしいがこれまでに何度もやっているみたいだ。そのうち死んでしまったチームが2つあったようだ。キッチリ償わせるがまずは詳しい取り調べが先だ』
昨日の昼頃には捕まって居たようで簡単な調書が取られたがオーバーフローが始まり、ギルドの地下牢に入れられていたらしい。
そして今朝その報告を受けたようだ。
ギルドに行った用はそれだけでは無さそうだがギルレイが言わないのでリミル達に関係ない事なのだろう。
『そうですか……捕まって本当に良かったです。そいつらに厳しい罰が与えられる事を願っています』
ピギルーイは殺された番を思い出しているのか苦しそうな表情をしている。
それをみたグレモスも励ますように声を掛けた。
『2つもの冒険者チームの方々が亡くなられているのですから厳しい罰が与えられるでしょう』
『ああもちろん。罰が軽いなど有り得ないし簡単には死なせない』
牢に入れられたゴブリン連れの冒険者はゴブリン共々自殺防止用の枷を付けられ、牢に繋がれている。
死んで楽になられてたまるかという意見から作られ、各ギルドの地下牢に必ず設置されている物だ。
取り調べた後罰が決まり、死んで行った人達の無念や遺された者たちの悲しみを思い知るまで罰が与えられる。
思い知った後は…その、まあ…色々だ。
本人の反省の度合いや遺族の意見によって罰後の処遇も変わる。
罰執行後に死刑という事もある。
今回はコレの可能性が高いだろう。
なんせ1チーム6人のパーティが2つ。
十二人も殺されてしまっている。
話の流れを変えようとリミルは気になっていた事を口にした。
「そう言えばさ、ピギルーイと番かもって言ってた女の子は?」
『俺は実はまだ会っていなくて…』
昨日の今日なのでリミルも何か進展を期待しての発言ではなく誰なのかどんな子なのかくらいは聞けるのではと思っての問いだった。
言葉が足りない事は自覚があるので、そのうち機会があればまた聞くことにする。
これはリミルの癖みたいなものだ。
『落ち着いてから会わせようかと思っています。まあ同じ職場なので何時でも会えるのですが彼女がピギルーイを気遣ってくれてまして』
<あいつか?>
クライが見る方向にこちらを見つめる女性がいた。
グレモスの店の制服を来たホステスだ。
『いえ、彼女とは別の従業員です。呼んでいるようですので1度失礼します。今日は昨日のお礼をさせていただきますので存分に楽しんで行ってください。本当にありがとうございました』
『客足も少しずつ戻ってるみたいで良かったな』
『ありがとうございます。今回はピギルーイが担当につきますのでオーダーは彼にお願いします。では、また後ほど』
そう言ってグレモスは中へ入って行った。
リミルは何となくそれを目で追いながら、つい気になっていた視線の主を探してキョロキョロする。
『どうしました?』
「いや、今日はペルルーイは居ないのかと思って」
リミルはペルルーイの視線を気にしていた。
悪意や敵意などは感じなかったので会って確認しようと思っていたのだった。
『ペルルーイは今日は休みですね。たぶん上の自室にいると思うので呼ぼうと思えば呼べますが?』
『んー…いやまた今度にするよ。知り合いでもないのに休みの時間を貰うわけにいかないしな』
ギルレイが『優しいな』と頭を撫でてくれるが、リミルは考え事をしていて気づかない。
何かあったときにギルレイ達を巻き込まないためにも個人もしくはクライといる時に話しかけてみようと考えていたのだった。
『そうですか。明日の午前中ならここで仕事していると思いますが。伝言などあれば伝えておきましょうか?』
『別に何も言わなくて良い…あ、でも話しかけるかもしれない事だけ言っといてくれるか?急に話しかけると吃驚するかもしれないから』
快く了承したピギルーイにギルレイが早速コース内容を注文し始める。
ササッと決まってピギルーイがオーダーを伝えに行く。
暫くすると料理が運ばれて来て豪華さに驚きつつも三人は食べ終えた。
「キャビネットもエリエッタの店の隣にある無口なエリエッタのお兄さんの店で買ったよ」
『そうか。あいつの家具は質も良いし綺麗なデザインだからな。家にあるのはほとんどそこで買ってるな』
そこにグレモスを連れてピギルーイが来た。
挨拶を終えた二人にギルレイが口を開く。
『先程ギルドで報告を受けたんだがゴブリン連れの冒険者が捕まった。高位の冒険者チームにゴブリンを嗾けたようだ。返り討ちにあったゴブリンがテイムされたゴブリンに助けを求める所をその冒険者チームが目撃したそうだ』
<そいつ馬鹿なのか?高位冒険者チームに集団と言えどゴブリンが勝てると思ったのか?>
クライが呆れたように言っている。
ゴブリンは集団だと冒険者によっては脅威になり得るが高位にとってはとても弱い存在だ。
何百匹いても変わらない。
そんなに纏まって行動する種族でもないが、多くて百匹程度か。
『高位と知らずに襲わせたらしいがこれまでに何度もやっているみたいだ。そのうち死んでしまったチームが2つあったようだ。キッチリ償わせるがまずは詳しい取り調べが先だ』
昨日の昼頃には捕まって居たようで簡単な調書が取られたがオーバーフローが始まり、ギルドの地下牢に入れられていたらしい。
そして今朝その報告を受けたようだ。
ギルドに行った用はそれだけでは無さそうだがギルレイが言わないのでリミル達に関係ない事なのだろう。
『そうですか……捕まって本当に良かったです。そいつらに厳しい罰が与えられる事を願っています』
ピギルーイは殺された番を思い出しているのか苦しそうな表情をしている。
それをみたグレモスも励ますように声を掛けた。
『2つもの冒険者チームの方々が亡くなられているのですから厳しい罰が与えられるでしょう』
『ああもちろん。罰が軽いなど有り得ないし簡単には死なせない』
牢に入れられたゴブリン連れの冒険者はゴブリン共々自殺防止用の枷を付けられ、牢に繋がれている。
死んで楽になられてたまるかという意見から作られ、各ギルドの地下牢に必ず設置されている物だ。
取り調べた後罰が決まり、死んで行った人達の無念や遺された者たちの悲しみを思い知るまで罰が与えられる。
思い知った後は…その、まあ…色々だ。
本人の反省の度合いや遺族の意見によって罰後の処遇も変わる。
罰執行後に死刑という事もある。
今回はコレの可能性が高いだろう。
なんせ1チーム6人のパーティが2つ。
十二人も殺されてしまっている。
話の流れを変えようとリミルは気になっていた事を口にした。
「そう言えばさ、ピギルーイと番かもって言ってた女の子は?」
『俺は実はまだ会っていなくて…』
昨日の今日なのでリミルも何か進展を期待しての発言ではなく誰なのかどんな子なのかくらいは聞けるのではと思っての問いだった。
言葉が足りない事は自覚があるので、そのうち機会があればまた聞くことにする。
これはリミルの癖みたいなものだ。
『落ち着いてから会わせようかと思っています。まあ同じ職場なので何時でも会えるのですが彼女がピギルーイを気遣ってくれてまして』
<あいつか?>
クライが見る方向にこちらを見つめる女性がいた。
グレモスの店の制服を来たホステスだ。
『いえ、彼女とは別の従業員です。呼んでいるようですので1度失礼します。今日は昨日のお礼をさせていただきますので存分に楽しんで行ってください。本当にありがとうございました』
『客足も少しずつ戻ってるみたいで良かったな』
『ありがとうございます。今回はピギルーイが担当につきますのでオーダーは彼にお願いします。では、また後ほど』
そう言ってグレモスは中へ入って行った。
リミルは何となくそれを目で追いながら、つい気になっていた視線の主を探してキョロキョロする。
『どうしました?』
「いや、今日はペルルーイは居ないのかと思って」
リミルはペルルーイの視線を気にしていた。
悪意や敵意などは感じなかったので会って確認しようと思っていたのだった。
『ペルルーイは今日は休みですね。たぶん上の自室にいると思うので呼ぼうと思えば呼べますが?』
『んー…いやまた今度にするよ。知り合いでもないのに休みの時間を貰うわけにいかないしな』
ギルレイが『優しいな』と頭を撫でてくれるが、リミルは考え事をしていて気づかない。
何かあったときにギルレイ達を巻き込まないためにも個人もしくはクライといる時に話しかけてみようと考えていたのだった。
『そうですか。明日の午前中ならここで仕事していると思いますが。伝言などあれば伝えておきましょうか?』
『別に何も言わなくて良い…あ、でも話しかけるかもしれない事だけ言っといてくれるか?急に話しかけると吃驚するかもしれないから』
快く了承したピギルーイにギルレイが早速コース内容を注文し始める。
ササッと決まってピギルーイがオーダーを伝えに行く。
暫くすると料理が運ばれて来て豪華さに驚きつつも三人は食べ終えた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
おいでよ!死にゲーの森~異世界転生したら地獄のような死にゲーファンタジー世界だったが俺のステータスとスキルだけがスローライフゲーム仕様
あけちともあき
ファンタジー
上澄タマルは過労死した。
死に際にスローライフを夢見た彼が目覚めた時、そこはファンタジー世界だった。
「異世界転生……!? 俺のスローライフの夢が叶うのか!」
だが、その世界はダークファンタジーばりばり。
人々が争い、魔が跳梁跋扈し、天はかき曇り地は荒れ果て、死と滅びがすぐ隣りにあるような地獄だった。
こんな世界でタマルが手にしたスキルは、スローライフ。
あらゆる環境でスローライフを敢行するためのスキルである。
ダンジョンを採掘して素材を得、毒沼を干拓して畑にし、モンスターを捕獲して飼いならす。
死にゲー世界よ、これがほんわかスローライフの力だ!
タマルを異世界に呼び込んだ謎の神ヌキチータ。
様々な道具を売ってくれ、何でも買い取ってくれる怪しい双子の魔人が経営する店。
世界の異形をコレクションし、タマルのゲットしたモンスターやアイテムたちを寄付できる博物館。
地獄のような世界をスローライフで侵食しながら、タマルのドキドキワクワクの日常が始まる。
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
おばさんは、ひっそり暮らしたい
波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜
芍薬甘草湯
ファンタジー
アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。
ふとした事でスキルが発動。
使えないスキルではない事に気付いたアルフレッドは様々なものを合成しながら密かに活躍していく。
⭐︎注意⭐︎
女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる