51 / 96
第1章 出会い
買い付け #6
しおりを挟む
「何にせよ賊に襲われていなければ金を使い果たして困ったら帰ってくるだろ。俺は依頼の品を買い揃えたらノフテスに行く。そしたらギルドに行ってギルマスに話してルスタフに連絡を入れてもらうから」
そう言って農園主と買い付けについて話していると外がなにやら騒がしくなった。
急いで全員で外に出る。
『何があった?』
村長が走ってきた村人に聞くとモンスターが出たと言った。
慌てて村の入口に向かうとゴブリンの上位種であるゴブリンライダーとそのお供が数匹いた。
「ココ最近ずっと襲って来ていたのはあいつらか?」
『ち、違う。ライダーはいなかった。三人が出た日にも来たが倒せないやつがいて皆で追い返したんだ…追い返せる程度だった』
それからは来ていなかったと話す。
「おそらくその追い返したやつが強くなって戻ってきたんだろうな…もうないとは思うが、もし今度魔物が来たら出来るだけ殺した方がいい。もしくは一切戦わないか…」
『そりゃ、戦わないに越したことはないが…囲いや門の前に居座られたら厄介だぞ?』
村には街程ではないが一応頑丈な囲いがある。
幅1m、高さ2~3m程の鉱石で出来たものだ。
建築屋の建築士が魔法で建てたもので、たまに点検に訪れるはずだ。
「確かに放置は愚策か。なら罠を作って最終的に仕留めればいいんじゃないか?」
それを聞いて『罠か…』と考え始めた村長を尻目にリミルは魔物に向かって走り出す。
得意武器の一つである長刀を武具収納から取り出し構える。
そのまま流れるように斬りかかった。
ライダーが騎乗しているダークウルフ諸共光に変わる。
お供達も直ぐに倒してドロップを回収する。
ダークウルフの毛皮や牙が手に入ったのは素直に嬉しい。
丈夫で肌触りもよく、使い勝手が非常に良い。
「倒したし俺は買い付けを…」
『あ、ああ。ありがとうな。依頼であんた等が来てなかったら全滅していたかもしれない。昼飯はご馳走させてもらうよ』
そしてリミルは依頼の野菜やその種と苗をそれぞれ指定数買った。
昼には少し早かったがノフテスに向かわないといけないので村長たちが気を使ってくれた。
買い付けた野菜も使った様々な料理に舌鼓をうち、お礼を言うとお礼で返された。
子ども達とすっかり打ち解けたクライ共々別れを惜しまれつつ村を出た。
一応巻き添えを食っていないか森に近い村を見回りながらノフテスを目指す。
が、他の村は問題なさそうだった。
ノフテスへ向かう途中も村までの道のり同様、ノルスの森から出てきた魔物が襲ってきたがクライがサクサク倒し、リミルがドロップを回収して難なくノフテスへ到着する。
ノフテスはその北西一帯がネンドの地と呼ばれる乾いた大地が広がっているのだが、そこには魔物が人型を取った亜人と呼ばれる者達が暮らしている。
そのためノフテスはノルスの森とネンドの地の両方に挟まれる状態で危険がある。
大陸一の広さを誇るリミルの育ったリンドの森。そこを管理し、保護し、ときには防壁であり最後の砦でもあるイレアは堅牢な要塞と化している。
それに比べれば数段落ちるがそれでも小街にしては立派な防壁に包まれたノフテスは危険が多い分、ギルド管理者の数もまた多い。
途中で寄ったルスタフの街は小街でノルスの森の半分程を担当している。
そのためギルドマスターであるルシノの他に4名しかいない。
だがそれで事足りるのだ。
イレアは大街でギルド管理者の人数は20名を超える。
対してノフテスは10名ほどだったか。
どこの街でもギルドマスター、ギルド管理者の他に受付嬢を含むギルド職員が働いている。
彼らは役割や仕事を分担して行い、管理者達が円滑に動けるようにアシストする。
のだが、たまに変わったやつもいる。
ノフテスに到着して直ぐギルドへ行くとギルマスへの取り次ぎを願い出た。
しかし要件を聞かれた。
依頼について話したいことがある旨を伝えたのだが詳しく話さないと取り次ぎ出来ないと言われる。
手紙は本人にのみ直接渡すこと。
と、念押しされているので見せる訳には行かなかった。
困っていると『言えない様でしたらお取次ぎ出来ません』と言われてしまい、更には『次の人ー!』っと邪険にされてしまった。
どうしたものか困っていると森までマーキングをしに行っていたクライが戻ってきた。
それなりに注目を集めつつ小声で話す。
<どうした?ギルマスはまだか?>
「それが…」
断られた経緯を話すと呆れたようにクライが言った。
ならば別のやつの所へ並び直せば良い。
と。
たしかにその通りなのだが嫌な予感がする。
それを話し、先に買い付けを終わらせることにした。
ノフテスでの買い付けは物ではなく馬だ。
この辺りの街で馬を育成し教育し売っているのはここノフテスだけだった。
その馬を5頭買って連れ帰って欲しいとの事だった。
厩のある広い敷地に建った建物に入る。
買い付けの依頼であることを話し5頭買って帰る日までそのまま置いて貰うことにした。
買った馬に印が付けられていく。
お世話をお願いしもう一度ギルドへ向かった。
するとなにやら騒ぎが起きていた。
ここノフテスは狩場が多く、ダンジョンも様々なレベルのものがあり、ルスタフの職人達との連携もあって栄えている。素材も多く集まるため初心者向けの武具から上級者向けの武具まで幅広く売っている。
そのため冒険者もそれなりに多い。
イレアは比較的落ち着いた雰囲気のある街だがノフテスは野蛮な猥雑さがあった。
怒鳴り散らす声が飛び交っている。
リミルとクライはその様子にドン引きしていた。
すると声がかかる。
そう言って農園主と買い付けについて話していると外がなにやら騒がしくなった。
急いで全員で外に出る。
『何があった?』
村長が走ってきた村人に聞くとモンスターが出たと言った。
慌てて村の入口に向かうとゴブリンの上位種であるゴブリンライダーとそのお供が数匹いた。
「ココ最近ずっと襲って来ていたのはあいつらか?」
『ち、違う。ライダーはいなかった。三人が出た日にも来たが倒せないやつがいて皆で追い返したんだ…追い返せる程度だった』
それからは来ていなかったと話す。
「おそらくその追い返したやつが強くなって戻ってきたんだろうな…もうないとは思うが、もし今度魔物が来たら出来るだけ殺した方がいい。もしくは一切戦わないか…」
『そりゃ、戦わないに越したことはないが…囲いや門の前に居座られたら厄介だぞ?』
村には街程ではないが一応頑丈な囲いがある。
幅1m、高さ2~3m程の鉱石で出来たものだ。
建築屋の建築士が魔法で建てたもので、たまに点検に訪れるはずだ。
「確かに放置は愚策か。なら罠を作って最終的に仕留めればいいんじゃないか?」
それを聞いて『罠か…』と考え始めた村長を尻目にリミルは魔物に向かって走り出す。
得意武器の一つである長刀を武具収納から取り出し構える。
そのまま流れるように斬りかかった。
ライダーが騎乗しているダークウルフ諸共光に変わる。
お供達も直ぐに倒してドロップを回収する。
ダークウルフの毛皮や牙が手に入ったのは素直に嬉しい。
丈夫で肌触りもよく、使い勝手が非常に良い。
「倒したし俺は買い付けを…」
『あ、ああ。ありがとうな。依頼であんた等が来てなかったら全滅していたかもしれない。昼飯はご馳走させてもらうよ』
そしてリミルは依頼の野菜やその種と苗をそれぞれ指定数買った。
昼には少し早かったがノフテスに向かわないといけないので村長たちが気を使ってくれた。
買い付けた野菜も使った様々な料理に舌鼓をうち、お礼を言うとお礼で返された。
子ども達とすっかり打ち解けたクライ共々別れを惜しまれつつ村を出た。
一応巻き添えを食っていないか森に近い村を見回りながらノフテスを目指す。
が、他の村は問題なさそうだった。
ノフテスへ向かう途中も村までの道のり同様、ノルスの森から出てきた魔物が襲ってきたがクライがサクサク倒し、リミルがドロップを回収して難なくノフテスへ到着する。
ノフテスはその北西一帯がネンドの地と呼ばれる乾いた大地が広がっているのだが、そこには魔物が人型を取った亜人と呼ばれる者達が暮らしている。
そのためノフテスはノルスの森とネンドの地の両方に挟まれる状態で危険がある。
大陸一の広さを誇るリミルの育ったリンドの森。そこを管理し、保護し、ときには防壁であり最後の砦でもあるイレアは堅牢な要塞と化している。
それに比べれば数段落ちるがそれでも小街にしては立派な防壁に包まれたノフテスは危険が多い分、ギルド管理者の数もまた多い。
途中で寄ったルスタフの街は小街でノルスの森の半分程を担当している。
そのためギルドマスターであるルシノの他に4名しかいない。
だがそれで事足りるのだ。
イレアは大街でギルド管理者の人数は20名を超える。
対してノフテスは10名ほどだったか。
どこの街でもギルドマスター、ギルド管理者の他に受付嬢を含むギルド職員が働いている。
彼らは役割や仕事を分担して行い、管理者達が円滑に動けるようにアシストする。
のだが、たまに変わったやつもいる。
ノフテスに到着して直ぐギルドへ行くとギルマスへの取り次ぎを願い出た。
しかし要件を聞かれた。
依頼について話したいことがある旨を伝えたのだが詳しく話さないと取り次ぎ出来ないと言われる。
手紙は本人にのみ直接渡すこと。
と、念押しされているので見せる訳には行かなかった。
困っていると『言えない様でしたらお取次ぎ出来ません』と言われてしまい、更には『次の人ー!』っと邪険にされてしまった。
どうしたものか困っていると森までマーキングをしに行っていたクライが戻ってきた。
それなりに注目を集めつつ小声で話す。
<どうした?ギルマスはまだか?>
「それが…」
断られた経緯を話すと呆れたようにクライが言った。
ならば別のやつの所へ並び直せば良い。
と。
たしかにその通りなのだが嫌な予感がする。
それを話し、先に買い付けを終わらせることにした。
ノフテスでの買い付けは物ではなく馬だ。
この辺りの街で馬を育成し教育し売っているのはここノフテスだけだった。
その馬を5頭買って連れ帰って欲しいとの事だった。
厩のある広い敷地に建った建物に入る。
買い付けの依頼であることを話し5頭買って帰る日までそのまま置いて貰うことにした。
買った馬に印が付けられていく。
お世話をお願いしもう一度ギルドへ向かった。
するとなにやら騒ぎが起きていた。
ここノフテスは狩場が多く、ダンジョンも様々なレベルのものがあり、ルスタフの職人達との連携もあって栄えている。素材も多く集まるため初心者向けの武具から上級者向けの武具まで幅広く売っている。
そのため冒険者もそれなりに多い。
イレアは比較的落ち着いた雰囲気のある街だがノフテスは野蛮な猥雑さがあった。
怒鳴り散らす声が飛び交っている。
リミルとクライはその様子にドン引きしていた。
すると声がかかる。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
おいでよ!死にゲーの森~異世界転生したら地獄のような死にゲーファンタジー世界だったが俺のステータスとスキルだけがスローライフゲーム仕様
あけちともあき
ファンタジー
上澄タマルは過労死した。
死に際にスローライフを夢見た彼が目覚めた時、そこはファンタジー世界だった。
「異世界転生……!? 俺のスローライフの夢が叶うのか!」
だが、その世界はダークファンタジーばりばり。
人々が争い、魔が跳梁跋扈し、天はかき曇り地は荒れ果て、死と滅びがすぐ隣りにあるような地獄だった。
こんな世界でタマルが手にしたスキルは、スローライフ。
あらゆる環境でスローライフを敢行するためのスキルである。
ダンジョンを採掘して素材を得、毒沼を干拓して畑にし、モンスターを捕獲して飼いならす。
死にゲー世界よ、これがほんわかスローライフの力だ!
タマルを異世界に呼び込んだ謎の神ヌキチータ。
様々な道具を売ってくれ、何でも買い取ってくれる怪しい双子の魔人が経営する店。
世界の異形をコレクションし、タマルのゲットしたモンスターやアイテムたちを寄付できる博物館。
地獄のような世界をスローライフで侵食しながら、タマルのドキドキワクワクの日常が始まる。
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
おばさんは、ひっそり暮らしたい
波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜
芍薬甘草湯
ファンタジー
アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。
ふとした事でスキルが発動。
使えないスキルではない事に気付いたアルフレッドは様々なものを合成しながら密かに活躍していく。
⭐︎注意⭐︎
女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる