変態ビッチの襲われ日記

紙吹雪

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If_初めての…

視線 #1(男視点 ※はじめて)

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 男は何度目かの溜め息を零した。最近顔が好みの相手と出会えても身体まで好みの相手とは出会えていない。
 署内の同僚には趣味も性癖も何となくだがバレていて、軽く愚痴ったりもするオープンゲイである。
 細くて色白で可愛い顔をした男がタイプではあるが、モロ好みという相手には未だ出会えていない。身体の相性まで求める男は理想が高いのかもしれない。

「はぁ、今日会った奴も顔は好みなのになぁ。」

 思い出してはまた溜め息を吐いて手のひらで顔を覆ったまま路地を抜けた時だった。横から急な衝撃を受け、少しよろめきながらもぶつかった相手の体を支えて声をかけた時、男に別の衝撃が走った。少しオドオドとした様子で『急いでて、ぶつかってごめんなさい。』と謝る少年に釘付けになった。
 顔も服越しに触れた身体も、完全に好みだった。それに嗜虐心を擽ってくる表情も、男のなかでゾクゾクと震えが湧き上がった。あの子を押さえつけて自分のモノにして泣かしてドロドロに甘やかしてやりたい。快楽に歪む表情はどんなに可愛いだろう。

 男は声を掛けたかったが、何やら急いでいた少年はぶつかった事を互いに謝ったら直ぐに離れて行ってしまった。
 ノンケで、しかも初心そうな少年に対してどう接点を持てば良いのか分からず、遠くから眺める事にした。最初は眺めているだけでも楽しく、たまに目が合うと嬉しくなった。

「今日も可愛いな。」

 毎日1度は見れるよう時間を調整して生活し、時間に余裕がある日は朝と夕方に2度、見つめることが多くなって行った。そうしてもっともっとと心が渇望してやまなくなって気がついたら襲ってしまっていた。

 いつもは目が合ってもおどおどとするだけだった少年は自分に組み敷かれて涙を流し、恐怖に震えている。
 やめないと、違う、誤解だ、本当は好きで、接点を持ちたかっただけなんだ、確かに身体を欲する気持ちはあるが恋人になって段階を踏んでからで良い、君が大人になるまでだって待てる、違う、そんな顔で見ないでくれ、抑えが効かなくなる。
 いや、道具を用意した時点で襲うつもりがあった。自制心など今更持ち合わせていない。ただの言い訳だ。

「クククッ。そんなことしないから安心して。言うこと聞けば痛い目にも合わない。いいな?」

 でもこんなこと、言いたいわけじゃないんだ…。
 君の事が好きだ。
 でも無性に苛めたい。
 泣かせたい。
 鳴かせたい。
 ごめん、我慢できない。

「まず、声を上げるな。それから抵抗もするな。」

 ロープやガムテープなんか使って、こんなことしてどうなるかなんか分かりきったことなのにどうしようもなく求めてしまう。

「ああ。イイコだ。」

 フルリと震える少年が無性に可愛くて頬をそっと撫でた。なぜこんなにも唆る表情をするのか。男はゾクゾクと興奮が募るのを感じながら丁寧に服を脱がせた。

「久々の当たりだ…。」

 少年はこれまでに何度も出会えていない、顔も身体も好みの相手だった。男は滾るのを抑えられない。
 少年がこれから起ることを察知したのか首を振って拒絶を示すが、もう後戻りは出来なかった。出来るだけ優しくするからと微笑みそっと少年の身体に触れる。擽ったそうに身を捩る少年に揶揄うように言ってしまう。

「お前感度もいいな。」

 乳首を弄ったときの反応が良く、こんなに敏感で大丈夫かと心配にもなるが、男にとっては都合が良かった。
 玩具を取り出してホットローションをかけて馴染ませると少年のお尻に宛てがった。爪を切るのを忘れたせいで手マンが出来ないことに気づき、少年を傷つけてはいけないと玩具を取り出したのだった。
 触れながら確かめる事が出来ず、モヤモヤするが仕方ない。少年の負担にならないように出来るだけ細いものを選んだせいで解すのにも時間がかかる気がした。身体の出来るだけ敏感な所を触って少年の気を逸らしながら解す。

「そろそろ入りそうだな。」

 興奮で痛いほどに勃起している自分のモノをようやく入れられそうだと歓喜したのか心臓がうるさい。何故かやけに緊張している。

「くっ。まだちょいキツいな。おいっ、力抜けっ。」

 傷つけてしまわないように力を抜かせようと乳首を触るが逆効果で、仕方なくできる限りゆっくりと押し進めることにした。
 それでもいい所に当たるのか、中が痛いほどに締め付けてくる事もあり堪えるのが大変だった。それでも男のモノが萎えないのは少年の萎えていたはずの陰茎が、男が奥に進むにつれ勃ってきたからだ。男は歓喜した。しかしそのことが恥ずかしく素直に喜べはしなかった。男が与えた刺激に反応しただけで、男に興奮してでは無いとわかっている。

「おっ勃ってきた。ネコの才能あるな。」

 事実、少年はネコの才能があった。挿入しているだけで快感に身悶えしている姿はとても扇情的で劣情を掻き立てる。
 初めての行為に戸惑う少年の負担にならないように、ゆるゆると腰を動かすと動きに合わせてたまに嬌声が聞こえる。

「っ……っ…っ…っ…んっ…。」

 声を必死に堪えているのがわかり、そんないじらしい姿が可愛くて愛おしい。ククッと喉の奥で笑いが零れる。
 本来なら甘やかしてグズグズにしたい所だが、今回はそういうプレイではなく本当のレイプ。せめて写真に残して置きたい。もう会えないだろう、俺は犯罪者だ…。
 それでも彼とのこの時間だけは幸せを感じていたい。
 ごめんな。

「ほら、綺麗だろ。黒に白が良く映える。」

 撮った写真を少年に見せると恥ずかしがりながらも中を締め付けてくる。たまに見せる興奮した様子や物欲しそうな表情のせいで勘違いしそうになる。
 エロい顔でぼーっとする少年の頬に口付け、最後の思い出にとツーショットを撮った。
 軽くタオルで拭いてやると、しばらく少年を眺めた。
 これで見納めだ。やっぱいいな。
 頬をそっと撫で、立ち上がろうとしたとき近くを通った人達の会話が聞こえた。その瞬間、少年が泣き出してしまった。

「ふっぅう…。」
「ぉぃっこらっ!」

 今気づかれたら少年の汚れた姿を見られてしまう。そんなのは嫌だ。この姿を見れるのは自分だけだと思いたかった。

「なんだ?何か聞こえたよな?」
「えぇ、泣き声みたいな…。」

 せめて裸体は見られないようにとできる限りタオルで拭き取ってから、はだけさせていた服を肌が見えない程度には整えた。

「だれか…えあ!?…お前うちの息子に何してんだ!!」
「嘘っ…。なんてこと…。母さん達がいるからもう大丈夫よ…。ごめんね、もっと早く帰って来ればよかった。」
「だ、ぃじょ…ぅぶ。ひっく。」

 両親だと気づいて慌てて逃げるも追いかけてきた父親に捕まり警察に連絡がいった。やって来た警官は2人とも顔見知りだった。
 片方はギョッとし、片方はまたですかと言う顔をした。これまでとは違う。今回は俺に非がありすぎる。

「うーん…1度お家で身を清めて来られますか?息子さんお辛そうですが…。犯人はこちらで預かり、署で待っていますので。」
「ではそうさせていただきます。配慮ありがとうございます。」

 3人を見送ると2人が事情を聞いてきた。

「何があったんです?今回もいつものですか?」
「いつものってなんですか?」

 1人はよく知る相手だが、もう1人はまだ日が浅かった。証拠品となる物をひとまとめにして他の持ち物とは別に車に積み込み、見回り中で徒歩だった2人を乗せて署に向かった。
 車の中で"いつもの"について話す。

「この人ゲイでレイプみたいなプレイをするらしいんだけど、これまでそのお相手の何人かが襲われたって金を要求して来たことがあって。」
「マジですか。」
「同意を得て会ったはずだったんだけどな。会って直接良いのか確認してから行為に及んだのに。」
「何人かは付き合うまで至らなかった腹いせにって言ってたよ。」
「本当かどうか怪しいもんだけどな。」
「ガチ泣きしてたやつもいたからマジじゃないか?」
「今回もですか?」
「いや、今回は俺が全面的に悪い。逮捕してくれて構わない。」

 署に着いて先輩刑事と後輩刑事も交えて説明したが、これまでの事があって後輩はまたですかと面倒くさそうにしていて先輩は署員から逮捕者を出すまいと抜け道を探そうとしていた。
 自分が警察だと少年にバレたら彼はどう思うだろう。少年のことを考え出すと胸が詰まり胃がキリキリとした。

「そもそも、その少年は本当に嫌がっていたんですか?性に興味を持つ年頃でしょう?」
「逃げられは…しなかったが、首を降って抵抗はされた。実際無理やりだったんだし。」
「ロープの痕は残っていなかったんですよね?」
「はい。キツく縛られた様子はなく、縛る際の抵抗の痕跡も見つかりませんでした。」
「それは俺が抵抗するなと言ったからで…。」
「何か凶器になり得るものでも持って脅したんですか?」
「そんなもの好きな子に向けるか?」
「こちらが質問しているんです。質問で返答しないでください。それに好きな子って…。」
「もういいから。それで持ってなかったって事だろ。お前がストーキングしてた事実はあるがそちらの被害届は幸いまだない。今回の事もいつものプレイって事にすれば皆納得するだろ。相手が少年だって気付かれないように個室で話し合う。レイプだった証拠も幸いなことに無いからな。」

 写真は見せられなかった。いや、見せたくなかった。あれは自分だけの宝物だ。彼自身に見せるのは良いが他のやつが見るくらいなら燃やす。


 少年とその両親が部屋に通され話し合いが始まった。少年は辛そうな様子で話だし、心が痛んだ。最中は抵抗も拒否もそんなに感じなかった。今になって思えば、少年はそれほど俺のことが怖かったのだろう。自分の理性が弱いせいで少年の心を傷つけてしまった。
 しかし後輩の『同意だったのでは?』という発言に母親が激昂し、声を荒らげて抗議している横でピクリと動き何かを考えたのか頭を振る様子にもしかしたらと思ってしまった。
 考え始めると確認せずにはいられなかった。試すような発言をする。

「でもあなたの息子さんは1度も逃げようとしませんでしたよ。むしろ悦んでいるように見えましたけど。」

 これは事実だ。逃げだす素振りはなかったし、無理やりとはいえ勃起はしていた。何も言わなくていいから肯定的な反応を見せてくれることを期待して笑みが漏れた。目が合うと少年は目を泳がせフルリと震えた。一瞬垣間見えた色気を孕んだ顔に期待が膨らむ。

「レイプするようなやつの言葉なんか信用できるか!自分に良いように解釈してるだけだろう!」

 確かにその通りだ。父親に怒鳴られて冷静さを取り戻した。何を馬鹿な妄想をしているんだ。
 これじゃ余計に嫌われるだけだ。またもや失敗してしまった。少年のことになると途端に上手く立ち回れなくなる。もっと自然に近づいて仲良くなって気持ちを打ち明けるとかすればよかったのに。でも少年はそれで俺に振り向いてくれただろうか。
 先輩の苦言を聞き流し、男はつらつらと少年についてあれこれと考えを馳せた。
 写真の話になってようやくハッとした。

「先程息子さんから話があった写真ですが、確認しましたがそのような写真はありませんでした。」
「ええっ…いやでも消されたのならそれで良いです。正直見られたくないです。」

 後輩の声にドキッとするが見せる気はない。少年には悪いが…いや、見られたくないのは少年もらしい。警察が本気を出せば見つかるだろうが捕まる事を想定してクラウドに保存したのでアカウントの特定が大変だろう。
 後輩は面倒くさがっているし、先輩は俺を捕まえる気がないので一先ず安心できる。もし見られたら…。いや、考えないでおこう。

「それは内容が酷くてですか?それともレイプではない証拠でも写っているのですか?」
「酷い状況だからに決まってるじゃないですか……。」

 後輩は一貫して同意の上だったと思っているようだ。今回は本当にレイプなんだよな…。でも認めたくはない…気持ちが一方的な事を。
 掠れた声で答えた少年は震えていた。震え方がいつもとは違って見えた。やはりお父さんの言う通りなのだろうか。俺は自分に都合のいい思い込みをしていたのか。
 そう考えると目の前が真っ暗になった。

「さっきのお巡りさんが現場の状況を確認していたはずだ。それは証拠になり得ないのか?私たち身内の証言だけじゃ駄目なんだろう?」
「そういう行為が行われた証拠はありますが強要されたという証拠がでていません。」
「息子の腕の痣は?」
「そういったプレイだと彼が。」

 そんなこと言ってない!そう言おうと勢いで立ち上がりかけた所を先輩に押さえつけられた。
 腕の痣はロープ等で付いたものではなく、彼自身の自重で付いたものだった。もう少し気にかけてやれば良かった。外でやるから…。初めてなのに外なんかで…。
 考えれば考えるほどに自分の行動に嫌気がさしていく。

 雑な捜査に両親が気づいた様子だったがもうどうでも良かった。写真は簡単には見つからないようにしてあるし、別に少年の証言だけで捕まったとしても良い。
 もう少年との仲が深まることはありえないと気づいたのだから。

 先輩は思ってもないくせに『お好きなように』と言った。そして、面倒くさがっていたはずの後輩が脅すような事を言ったのには驚いた。

「外部に調べて貰ったとしてそのあとどうするんです?まさか息子にあった出来事を公にしたりは出来ないですよね?それなら今この時に示談にして接近禁止とかの方がいいんじゃないですか?」
「お金で解決しろってこと?それじゃあこの子が安心して外を歩けないじゃない!!」

 母親は一瞬、ほんとに僅かに金に反応した。共働きのようだし、恐らく家計のことが過ぎったのだろう。少しでも贖罪になるのなら払ってしまった方が気持ちが楽になるかもしれない。

「…30万払う。彼に会えなくなるのは寂しいがこちらも引くんだそちらもこれで納得してくれ。」
「出来るわけないでしょ!!」
「息子を襲っておいてどの口が寂しいなんて言ってんだ!ふざけるな!」

 会えなくなると思ってつい零してしまった本音は今この場にいる誰にも本気には取られなかっただろう。
 好きな相手に気持ちが伝わることがないというのはこんなにも辛いものかと今まで振った相手から受けた仕打ちに納得してしまった。
 どうにかお金を受け取って貰えるように説得しようと試みるが上手くいかない。相手を怒らせてしまって取り返しがつかない状況になってようやく、少年が言葉を発した。

「もういいです。それでいいですから。あの人と居るのはもう怖いんです。会わなくて済むならそれでいいですから。」

 両親も自分もその言葉で沈黙した。両親の沈黙は何故かはわからないが俺は絶句だ。もう会いたくないと、言われてしまったのがショックだった。
 行為中に感じた少年の、気持ち良さげな表情や強請っているような雰囲気は、本当に勘違いだったのか。


 示談成立後、魂の抜けたような男に先輩刑事も後輩刑事も声をかけられなかった。仕事に打ち込んでいる間は良かったが1人になるとふらっと消えてしまいそうな危うさを感じたのだ。
 男自身はというと、少年のことを何度も思い返していた。何度思い出しても写真を見返しても"良い雰囲気"の時間が間違いなくあったと思えた。
 そこに後輩が来て言った。

「今回の相手は両親に現場を見られて引くにひけなくなったように見えましたけど。そんなに落ち込むならちゃんとホテルで…いや、無理ですね。そもそも未成年ですし。未成年に手を出したとあの両親が先輩を責めなかったのは、大事にしたくはなかったからでしょう。僕が同意の上だったのではと話した時、少年は否定も肯定もしませんでしたから。ご両親も息子が泣いていて動転していたのかも知れませんね。まぁ、元気だして下さい。」

 後輩の言葉にまた揺さぶられる。でもまた期待しているだけしゃないか?勘違いや都合のいい思い込みをしようとしているんじゃないか?
 男は負の感情に支配されていった。
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