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後編
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翠の家に着くと、俺はリビングに通された。彼が準備をしてくれている間に手洗いをすませ、リビングに置かれたソファに座る。
以前来ていたときと変わらず、綺麗な家だ。この家に来るたび、俺ももう少し掃除頑張ろうかなって思う。思うだけだけど。
「宅飲みなんて久しぶりだから、多かったかも」
なんて笑いながら翠はソファの前のローテーブルに料理を並べていく。買ってきた容器のままのものもあるけど、ほとんどが皿に盛り付けられている。温め直されたのか湯気とともに美味しそうな匂いが鼻孔をくすぐっていく。
「うまそー。全部スーパーとかのやつ?」
「この辺は買ったので……こっちは作ったやつ」
「えっ、わざわざ作ったのか?」
「うん。時間あったから」
スーパーの惣菜ももちろん美味しそうだけど、俺の目には手作りだと言って翠が指した料理が輝いて見えてしまっていた。だって、好きな人の手作り料理だぞ。俺と一緒に飲むためにって、作ってくれた料理。
食べたいけど、食べるのがもったいない。口の中に溜まった唾液を飲みこみながら心の中で葛藤していると、翠が箸とビールの缶を差し出してきた。
「冷める前に食べよ?」
「あ……、ああ、食べるっ」
箸と缶を慌てて受け取ると、くすくす笑いながら翠が俺の隣に腰掛ける。身体が触れそうなほど近い距離だ。ドキドキする気持ちを酒で紛らわせようと、缶の蓋を開ける。
翠も缶ビールの蓋を開け、俺の方に缶を差し出してきた。
「かんぱーい」
「乾杯っ」
缶同士を軽く当て、俺はぐいっとビールを煽った。先ほどまで冷蔵庫で入っていたであろう冷たくて苦い炭酸が喉を通り、胃に流れていく。半分ほど飲めば、胸のドキドキが少し治まった。
「じゃあ、いただきます」
「うん、召し上がれ」
気持ちを落ち着かせた俺は、翠が作った料理に真っ先に箸を伸ばす。アスパラの肉巻きを口に運べば、チーズと大葉も一緒に巻かれていることに気づく。組み合わせも味付けも最高で、めちゃくちゃ美味い。
「うまっ」
「よかったー」
隣でにこにこと微笑みながら翠はビールをゴクゴクと飲んでいく。あっという間にひと缶開けてしまった彼は、料理をつまみながら次の缶に手を伸ばした。
「明良も好きなだけ飲んでね」
「さんきゅ。あ、金。いくら払えばいい?」
テーブルにはいくつもの料理が並べられ、ビールやチューハイの缶も何本か置かれている。ソファの近くに置いた鞄から財布を取り出そうとすると、翠の手が俺の手に重ねられた。
「あとでいいよ。今は食べて」
「あ、う、うん。わかった……」
俺が頷くとすぐに翠の手が離れていき、彼はまた酒に口をつけていく。手の甲に残る彼のぬくもりを感じながら、俺は鞄をまた床に下ろす。
バクバクする心臓をなだめながら、俺は翠が用意してくれたおつまみを頬張りビールをぐいっと飲み干した。
「あ、そうだ。ワイン開けたら飲む?」
「飲む飲む」
2本目のビールを飲み干した翠に尋ねられ、俺はもちろんと頷く。ちょっと待っててとキッチンに向かった彼は、赤ワインとワイングラスを持って戻ってきた。
翠はローテーブルに2つのワイングラスを並べソファに座り直すと、さっそくワインを注いでいく。
「どうぞー」
「ありがと」
注がれたワインをひと口飲むと、思わず感嘆の声が漏れた。
「わ、すご。うま……え、こんな美味いの初めてかも」
「よかったー。評判いいって聞いて買ってみたんだけど……うん、美味しー」
にこにこと微笑みながら翠はワインをゴクゴクと飲んでいく。店で飲むときよりもハイペースで飲んでいくから少し驚いたけど、ここは彼の家。酔い潰れてもすぐに寝られるから問題ないだろう。
(飲みやすいから俺もぐいぐい飲んじゃいそう……帰れるくらいにはセーブしないとなあ)
なんて思いながらも、ついワインを口に運んでしまう。だから酔いすぎないように、料理もしっかりと食べていく。
翠が作ったトマトの肉巻き串や椎茸の肉詰めがワインにめちゃくちゃ合って、夢中で頬張った。もう二度と食べられないかもしれないからもっとゆっくり味わいたいのに、美味すぎて箸が止まらない。
「ごめん、俺めっちゃ食ってるよな……」
「なんで謝るの。いっぱい食べてくれて嬉しいなぁ。美味しい?」
「めっちゃ美味い。美味すぎる。もっと食べたい」
思わず願望をぽろりと口にすると、翠がふ、と破顔する。
「えーうれしー。次はなに食べたいか考えといてねー」
「……わかった」
もうすでに翠はふわふわしたしゃべり方になりつつある。きっとこの発言も忘れてしまうだろう。
次の機会なんてないだろうなと思いながらも嬉しくて、俺は頬を緩ませた。
以前来ていたときと変わらず、綺麗な家だ。この家に来るたび、俺ももう少し掃除頑張ろうかなって思う。思うだけだけど。
「宅飲みなんて久しぶりだから、多かったかも」
なんて笑いながら翠はソファの前のローテーブルに料理を並べていく。買ってきた容器のままのものもあるけど、ほとんどが皿に盛り付けられている。温め直されたのか湯気とともに美味しそうな匂いが鼻孔をくすぐっていく。
「うまそー。全部スーパーとかのやつ?」
「この辺は買ったので……こっちは作ったやつ」
「えっ、わざわざ作ったのか?」
「うん。時間あったから」
スーパーの惣菜ももちろん美味しそうだけど、俺の目には手作りだと言って翠が指した料理が輝いて見えてしまっていた。だって、好きな人の手作り料理だぞ。俺と一緒に飲むためにって、作ってくれた料理。
食べたいけど、食べるのがもったいない。口の中に溜まった唾液を飲みこみながら心の中で葛藤していると、翠が箸とビールの缶を差し出してきた。
「冷める前に食べよ?」
「あ……、ああ、食べるっ」
箸と缶を慌てて受け取ると、くすくす笑いながら翠が俺の隣に腰掛ける。身体が触れそうなほど近い距離だ。ドキドキする気持ちを酒で紛らわせようと、缶の蓋を開ける。
翠も缶ビールの蓋を開け、俺の方に缶を差し出してきた。
「かんぱーい」
「乾杯っ」
缶同士を軽く当て、俺はぐいっとビールを煽った。先ほどまで冷蔵庫で入っていたであろう冷たくて苦い炭酸が喉を通り、胃に流れていく。半分ほど飲めば、胸のドキドキが少し治まった。
「じゃあ、いただきます」
「うん、召し上がれ」
気持ちを落ち着かせた俺は、翠が作った料理に真っ先に箸を伸ばす。アスパラの肉巻きを口に運べば、チーズと大葉も一緒に巻かれていることに気づく。組み合わせも味付けも最高で、めちゃくちゃ美味い。
「うまっ」
「よかったー」
隣でにこにこと微笑みながら翠はビールをゴクゴクと飲んでいく。あっという間にひと缶開けてしまった彼は、料理をつまみながら次の缶に手を伸ばした。
「明良も好きなだけ飲んでね」
「さんきゅ。あ、金。いくら払えばいい?」
テーブルにはいくつもの料理が並べられ、ビールやチューハイの缶も何本か置かれている。ソファの近くに置いた鞄から財布を取り出そうとすると、翠の手が俺の手に重ねられた。
「あとでいいよ。今は食べて」
「あ、う、うん。わかった……」
俺が頷くとすぐに翠の手が離れていき、彼はまた酒に口をつけていく。手の甲に残る彼のぬくもりを感じながら、俺は鞄をまた床に下ろす。
バクバクする心臓をなだめながら、俺は翠が用意してくれたおつまみを頬張りビールをぐいっと飲み干した。
「あ、そうだ。ワイン開けたら飲む?」
「飲む飲む」
2本目のビールを飲み干した翠に尋ねられ、俺はもちろんと頷く。ちょっと待っててとキッチンに向かった彼は、赤ワインとワイングラスを持って戻ってきた。
翠はローテーブルに2つのワイングラスを並べソファに座り直すと、さっそくワインを注いでいく。
「どうぞー」
「ありがと」
注がれたワインをひと口飲むと、思わず感嘆の声が漏れた。
「わ、すご。うま……え、こんな美味いの初めてかも」
「よかったー。評判いいって聞いて買ってみたんだけど……うん、美味しー」
にこにこと微笑みながら翠はワインをゴクゴクと飲んでいく。店で飲むときよりもハイペースで飲んでいくから少し驚いたけど、ここは彼の家。酔い潰れてもすぐに寝られるから問題ないだろう。
(飲みやすいから俺もぐいぐい飲んじゃいそう……帰れるくらいにはセーブしないとなあ)
なんて思いながらも、ついワインを口に運んでしまう。だから酔いすぎないように、料理もしっかりと食べていく。
翠が作ったトマトの肉巻き串や椎茸の肉詰めがワインにめちゃくちゃ合って、夢中で頬張った。もう二度と食べられないかもしれないからもっとゆっくり味わいたいのに、美味すぎて箸が止まらない。
「ごめん、俺めっちゃ食ってるよな……」
「なんで謝るの。いっぱい食べてくれて嬉しいなぁ。美味しい?」
「めっちゃ美味い。美味すぎる。もっと食べたい」
思わず願望をぽろりと口にすると、翠がふ、と破顔する。
「えーうれしー。次はなに食べたいか考えといてねー」
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次の機会なんてないだろうなと思いながらも嬉しくて、俺は頬を緩ませた。
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