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後編
⑤
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「……は……?」
尻の準備を終え、身体も軽く洗い風呂から出た俺は間抜けな声を漏らす。風呂に入る前脱衣カゴに入れておいた服が消えている。代わりに置いてあるのは、Tシャツとバスタオル。それから……おそらく翠の下着。
俺の服はどこに行ったんだと思うけれど、いつまでも全裸ではいられない。俺はTシャツと下着を身につける。翠の服は俺の服よりも少し大きくて、洗剤か柔軟剤のいい香りがした。
(同じやつ買おうかな……)
好きな人と同じ香りに包まれたいなんていう変態みたいなことを考えながらリビングに戻った俺は、ローテーブルが綺麗になっていることに気がついた。俺が風呂に入っているうちに片づけてくれたのだろうか。
手伝わなくて申し訳ないなと思っていると、翠がソファに座ったままこちらを向いた。
「おかえりー」
「ただいま……じゃなくて。俺の服知らない?」
この家に幽霊が出ないかぎり、俺の服をどこかにやった犯人は翠だ。俺が尋ねると、翠はふにゃりと笑った。
「あーうん。汚れた服着るの嫌かなーって。バスタオル出すついでに洗濯機に入れちゃったー」
「え……? 着替え持ってきてないから帰れなくなるんだけど……」
「明日には乾いてるからだいじょーぶ。どうせ泊まるしかないでしょー?」
「まあ……うん……」
さっきですでに終電近い時間だったし、これからいろいろとするならば確実に今日は家に帰れないだろう。
翠の家での泊まりが確定しニヤけそうになる口元を手で隠しながら、俺は口を開く。
「えっと、じゃあ、その……確認とやらを……」
「んー? あーちょっとまってー。僕もシャワーしてくるからー」
「え?」
聞き返す俺にウインクすると、翠は立ち上がり風呂場の方に歩いて行く。
「翠は別にシャワーしなくても……」
「冷蔵庫にお茶とか入ってるから飲んで待っててー。寝室はあっちだからねー」
俺の言葉を遮り翠は寝室の方を指さす。俺が指の動きにつられて寝室に目を向けると、彼はそれじゃ、と行って風呂場に続く洗面所に入りドアを閉めた。
「いや、ホントに、待って……」
翠までシャワーを浴びたらもうセックスするんじゃないかと期待してしまうじゃないか。
(確認が終わったらすぐ寝るとか、そういうことだと思うけど……!)
シャワーを浴びることに深い意味はない。そう心を落ち着けながら冷蔵庫を開く。中にはお茶のペットボトルが何本か入っていた。そのうちの1本を取り出すと、俺は乾いた喉に流し込んでいく。
(……よし。行くか……)
冷たいお茶で喉を潤した俺は、意を決して翠の寝室へと足を踏み入れる。部屋の電気をつけ、明るくなった室内を見渡す。綺麗に片付いている部屋。奥に置かれた少し大きめのベッド。
(ここで翠はいつも寝て、起きてるのか……)
きょろきょろと部屋を見回したあと、少し迷ってから俺はベッドに腰かけ翠を待つことにした。
枕に顔を埋め香りを嗅ぎたくなる衝動を抑えながら、持ってきたスマホを見る。
(……ん? ちょっと待てよ?)
SNSアプリでも開こうかと考えていた俺はふと思い出した。翠が今めちゃくちゃ酔ってることを。泥酔状態で風呂に入るのはかなり危ないんじゃないか。
翠がすっころんでいるところなんて想像つかないけど、万が一ということもある。急に心配になってきた俺は急いで立ち上がり、寝室を出ようとドアに手をかけた。
「……ぅわっ!?」
俺がドアを開こうとした直前に外側から力が加わり勝手にドアが開いていく。驚いた声を上げながらよろけると、目の前にあったなにかに顔をぶつけてしまった。
ふわりと鼻孔をくすぐる、先ほど俺も使ったボディーソープの匂い。
「……ったぁ……」
「わーごめん。明良、だいじょーぶ?」
「だいじょ、ぶ……って、翠……?」
顔を上げると、きょとんとした表情の翠がいた。俺がぶつかったのは彼の身体だったようだ。彼も俺と同じで、Tシャツに下着というラフな格好。
(翠、いい匂いする……)
無意識に息を大きく吸い込めば、風呂上がりでいい匂いがする翠に心臓がドキドキしてくる。俺も今は同じ匂いなんだと思うと余計に胸が高鳴っていく。
まだ風呂に入っていると思っていた人物が目の前にいたことへの驚きと、翠へのときめきで固まっていると、ぽんぽんと頭を撫でられた。
「どっか行くのー?」
「いや、翠が風呂場で倒れてないかなって……」
「えー、まさかぁ」
くすくすと笑う翠に、ほっと胸をなで下ろす。安堵のため息をついていると、部屋に入ってきた翠の手が腰に回される。
「ねー明良。続きしても、いいよねー?」
「……っ、ぅ、ん……」
耳元に顔を寄せられ、ちゅ、と耳にキスされる。顔がぶわっと熱くなるのを感じながら、俺はこくんと頷いた。
尻の準備を終え、身体も軽く洗い風呂から出た俺は間抜けな声を漏らす。風呂に入る前脱衣カゴに入れておいた服が消えている。代わりに置いてあるのは、Tシャツとバスタオル。それから……おそらく翠の下着。
俺の服はどこに行ったんだと思うけれど、いつまでも全裸ではいられない。俺はTシャツと下着を身につける。翠の服は俺の服よりも少し大きくて、洗剤か柔軟剤のいい香りがした。
(同じやつ買おうかな……)
好きな人と同じ香りに包まれたいなんていう変態みたいなことを考えながらリビングに戻った俺は、ローテーブルが綺麗になっていることに気がついた。俺が風呂に入っているうちに片づけてくれたのだろうか。
手伝わなくて申し訳ないなと思っていると、翠がソファに座ったままこちらを向いた。
「おかえりー」
「ただいま……じゃなくて。俺の服知らない?」
この家に幽霊が出ないかぎり、俺の服をどこかにやった犯人は翠だ。俺が尋ねると、翠はふにゃりと笑った。
「あーうん。汚れた服着るの嫌かなーって。バスタオル出すついでに洗濯機に入れちゃったー」
「え……? 着替え持ってきてないから帰れなくなるんだけど……」
「明日には乾いてるからだいじょーぶ。どうせ泊まるしかないでしょー?」
「まあ……うん……」
さっきですでに終電近い時間だったし、これからいろいろとするならば確実に今日は家に帰れないだろう。
翠の家での泊まりが確定しニヤけそうになる口元を手で隠しながら、俺は口を開く。
「えっと、じゃあ、その……確認とやらを……」
「んー? あーちょっとまってー。僕もシャワーしてくるからー」
「え?」
聞き返す俺にウインクすると、翠は立ち上がり風呂場の方に歩いて行く。
「翠は別にシャワーしなくても……」
「冷蔵庫にお茶とか入ってるから飲んで待っててー。寝室はあっちだからねー」
俺の言葉を遮り翠は寝室の方を指さす。俺が指の動きにつられて寝室に目を向けると、彼はそれじゃ、と行って風呂場に続く洗面所に入りドアを閉めた。
「いや、ホントに、待って……」
翠までシャワーを浴びたらもうセックスするんじゃないかと期待してしまうじゃないか。
(確認が終わったらすぐ寝るとか、そういうことだと思うけど……!)
シャワーを浴びることに深い意味はない。そう心を落ち着けながら冷蔵庫を開く。中にはお茶のペットボトルが何本か入っていた。そのうちの1本を取り出すと、俺は乾いた喉に流し込んでいく。
(……よし。行くか……)
冷たいお茶で喉を潤した俺は、意を決して翠の寝室へと足を踏み入れる。部屋の電気をつけ、明るくなった室内を見渡す。綺麗に片付いている部屋。奥に置かれた少し大きめのベッド。
(ここで翠はいつも寝て、起きてるのか……)
きょろきょろと部屋を見回したあと、少し迷ってから俺はベッドに腰かけ翠を待つことにした。
枕に顔を埋め香りを嗅ぎたくなる衝動を抑えながら、持ってきたスマホを見る。
(……ん? ちょっと待てよ?)
SNSアプリでも開こうかと考えていた俺はふと思い出した。翠が今めちゃくちゃ酔ってることを。泥酔状態で風呂に入るのはかなり危ないんじゃないか。
翠がすっころんでいるところなんて想像つかないけど、万が一ということもある。急に心配になってきた俺は急いで立ち上がり、寝室を出ようとドアに手をかけた。
「……ぅわっ!?」
俺がドアを開こうとした直前に外側から力が加わり勝手にドアが開いていく。驚いた声を上げながらよろけると、目の前にあったなにかに顔をぶつけてしまった。
ふわりと鼻孔をくすぐる、先ほど俺も使ったボディーソープの匂い。
「……ったぁ……」
「わーごめん。明良、だいじょーぶ?」
「だいじょ、ぶ……って、翠……?」
顔を上げると、きょとんとした表情の翠がいた。俺がぶつかったのは彼の身体だったようだ。彼も俺と同じで、Tシャツに下着というラフな格好。
(翠、いい匂いする……)
無意識に息を大きく吸い込めば、風呂上がりでいい匂いがする翠に心臓がドキドキしてくる。俺も今は同じ匂いなんだと思うと余計に胸が高鳴っていく。
まだ風呂に入っていると思っていた人物が目の前にいたことへの驚きと、翠へのときめきで固まっていると、ぽんぽんと頭を撫でられた。
「どっか行くのー?」
「いや、翠が風呂場で倒れてないかなって……」
「えー、まさかぁ」
くすくすと笑う翠に、ほっと胸をなで下ろす。安堵のため息をついていると、部屋に入ってきた翠の手が腰に回される。
「ねー明良。続きしても、いいよねー?」
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