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6:ネフェル①
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朝から期待と興奮でそわそわしながら過ごし、ようやく迎えた放課後。爆速で帰り支度をすませると、鞄を手に持ち教室の外へと歩き出す。
素晴らしき肉便器生活を迎えるために授業中もずっとシミュレートしていた内容を、最終確認としてもう一度頭に浮かべる。
(まず別館に着いたら最上階の自習室に向かって……)
「……ト……ケイトっ」
「うぉっ!?」
教室を出る直前、突然後ろから名前を呼ばれながら手を掴まれた。何事かと思って振り返ると、そこには心配そうな顔をしたリリオンが立っていた。
「……リリオン? どうした?」
「あ、えっと……」
オレの手を掴んでいた手を離したリリオンは、きょろきょろと周りを見渡したあと再び口を開く。
「ケイト、今日ずっとぼんやりしてたから……もしかしてまた身体がつらいのかと思って……」
「あー……」
授業そっちのけでエロいことを考えていただけなんだが。もしかして、昨日オレが魔力過多症の話をしたから心配してくれたのか。
「教室で話しかけると迷惑かと思ったんだけど……もしつらかったら魔力の発散に付き合えればと思って……」
「そうだったのか。ごめん、今日はいいや」
提案はありがたいが、今日はこれから大事な用がある。オレが断ると、リリオンははっと目を見開いた。
「あ……そ、そうだよね……ぼくなんかじゃ、ダメだよね……」
「え? いやいやいや……!」
見るからにしょんぼりするリリオン。昨日もだが、これまでの境遇のせいか彼は物事をかなりネガティブに捉える傾向があるようだ。だけどオレも言葉足らずだったと気づき、慌てて口を開く。
「全然、ちがくて。今日は予定があるから無理ってだけで……そう、明日! 明日は空いてるから! 明日お願いしてもいいか……?」
明日は魔法を使う授業が少ない曜日なので、いつも放課後に屋内訓練場で魔力を発散して帰っている。とっさにそのことを思い出して提案すると、涙目になっていたリリオンがゆっくりと頷いた。美男子の涙は美しいがとても心臓に悪い。
「……気を遣わせちゃってごめんね。うん、明日も大丈夫だよ」
「オレの方こそごめんな、せっかく誘ってくれたのに。そんじゃ明日、よろしくな」
「うん……!」
再び頷いてぱっと笑顔の花を咲かせるリリオンを見て、オレは内心ほっと息をつく。やっぱりリリオンには笑顔が似合う。
「じゃあ、オレはもう行かなきゃ。また明日なー」
「うん……また明日……!」
リリオンに手を振って、オレは今度こそ教室を出て目的地へと向かう。先ほどの小動物のような彼の表情を思い浮かべながら、ぽりぽりと頬をかく。
(うーむ……昨日ので懐かれちゃったみたいだな……まあ、原作を考えればそうか……)
子爵家の人間や周りの人たちから虐げられ婚約者と仲良くなろうとしても邪魔をされ、当の婚約者からはまったく関心を向けられない日々。
そんな中オレが助けたもんだから、そりゃ好意を抱くだろう。しかも名前で呼び合って気軽に接していいなんて言えば、人からほとんど優しくされたことのないリリオンが懐きたくなるのは当然か。
とはいえオレもほかのやつらと同じで、入学してから昨日までの1年以上は見て見ぬ振りをしてきたわけで。身勝手なのは重々承知しているが、罪悪感が襲ってくるからあんまり懐かれすぎるのも正直困る。
(リリオンに幸せになってほしいって原作を読みながらずっと思ってたし、今も思ってるけど……今世がループしなくなったら困るんだよな……)
覚悟もないくせに中途半端に関わるのはよくないと実感し、思わず大きなため息をついてしまう。マジな話、オレはリリオンを虐めているやつよりもクソでクズだ。転生したのがオレだったのが申し訳ない。
(でもごめんリリオン……! オレは自分の欲望の方が大事なんだ……! 本編が始まって記憶が戻ったらいくらでも復讐してくれていいから、今世は好きにさせてくれ……!)
良心を心の底に追いやりながら、オレは肉便器への第一歩を踏み出すべく本館を出た。
素晴らしき肉便器生活を迎えるために授業中もずっとシミュレートしていた内容を、最終確認としてもう一度頭に浮かべる。
(まず別館に着いたら最上階の自習室に向かって……)
「……ト……ケイトっ」
「うぉっ!?」
教室を出る直前、突然後ろから名前を呼ばれながら手を掴まれた。何事かと思って振り返ると、そこには心配そうな顔をしたリリオンが立っていた。
「……リリオン? どうした?」
「あ、えっと……」
オレの手を掴んでいた手を離したリリオンは、きょろきょろと周りを見渡したあと再び口を開く。
「ケイト、今日ずっとぼんやりしてたから……もしかしてまた身体がつらいのかと思って……」
「あー……」
授業そっちのけでエロいことを考えていただけなんだが。もしかして、昨日オレが魔力過多症の話をしたから心配してくれたのか。
「教室で話しかけると迷惑かと思ったんだけど……もしつらかったら魔力の発散に付き合えればと思って……」
「そうだったのか。ごめん、今日はいいや」
提案はありがたいが、今日はこれから大事な用がある。オレが断ると、リリオンははっと目を見開いた。
「あ……そ、そうだよね……ぼくなんかじゃ、ダメだよね……」
「え? いやいやいや……!」
見るからにしょんぼりするリリオン。昨日もだが、これまでの境遇のせいか彼は物事をかなりネガティブに捉える傾向があるようだ。だけどオレも言葉足らずだったと気づき、慌てて口を開く。
「全然、ちがくて。今日は予定があるから無理ってだけで……そう、明日! 明日は空いてるから! 明日お願いしてもいいか……?」
明日は魔法を使う授業が少ない曜日なので、いつも放課後に屋内訓練場で魔力を発散して帰っている。とっさにそのことを思い出して提案すると、涙目になっていたリリオンがゆっくりと頷いた。美男子の涙は美しいがとても心臓に悪い。
「……気を遣わせちゃってごめんね。うん、明日も大丈夫だよ」
「オレの方こそごめんな、せっかく誘ってくれたのに。そんじゃ明日、よろしくな」
「うん……!」
再び頷いてぱっと笑顔の花を咲かせるリリオンを見て、オレは内心ほっと息をつく。やっぱりリリオンには笑顔が似合う。
「じゃあ、オレはもう行かなきゃ。また明日なー」
「うん……また明日……!」
リリオンに手を振って、オレは今度こそ教室を出て目的地へと向かう。先ほどの小動物のような彼の表情を思い浮かべながら、ぽりぽりと頬をかく。
(うーむ……昨日ので懐かれちゃったみたいだな……まあ、原作を考えればそうか……)
子爵家の人間や周りの人たちから虐げられ婚約者と仲良くなろうとしても邪魔をされ、当の婚約者からはまったく関心を向けられない日々。
そんな中オレが助けたもんだから、そりゃ好意を抱くだろう。しかも名前で呼び合って気軽に接していいなんて言えば、人からほとんど優しくされたことのないリリオンが懐きたくなるのは当然か。
とはいえオレもほかのやつらと同じで、入学してから昨日までの1年以上は見て見ぬ振りをしてきたわけで。身勝手なのは重々承知しているが、罪悪感が襲ってくるからあんまり懐かれすぎるのも正直困る。
(リリオンに幸せになってほしいって原作を読みながらずっと思ってたし、今も思ってるけど……今世がループしなくなったら困るんだよな……)
覚悟もないくせに中途半端に関わるのはよくないと実感し、思わず大きなため息をついてしまう。マジな話、オレはリリオンを虐めているやつよりもクソでクズだ。転生したのがオレだったのが申し訳ない。
(でもごめんリリオン……! オレは自分の欲望の方が大事なんだ……! 本編が始まって記憶が戻ったらいくらでも復讐してくれていいから、今世は好きにさせてくれ……!)
良心を心の底に追いやりながら、オレは肉便器への第一歩を踏み出すべく本館を出た。
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