ループもの小説のモブに転生したがどうやら今世もループしそうなのでオレは肉便器になる

このえりと

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63:ケイト・エスターのこれから④

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「ネフェル様……?」
「やあ、ケイト。探したよ。せっかく用事が片付いたから会いに行ったのに、こんなところにいるなんて」
「え? あ、すみません……」

 反射的に謝ると、ネフェル様はにこにこと微笑みながらリオとは逆側のオレの隣に腰掛ける。ネフェル様が座れるようにリオの方に身体を詰めようとすると、ネフェル様がオレの腰を抱いて引き寄せた。

「……トリスティア様、邪魔しないでいただけますか? ケイは今ぼくと話しているんです」

 オレの肩から頭を離したリオはむくれたような声を出す。握り込まれていた手がさらに強く握られる。
 リオがいつものオドオドした話し方じゃないのにネフェル様は気にする様子もなく口を開く。

「それを言うなら、邪魔はきみじゃないかな、アミス。用事が片付いたら可愛がってあげるって、ケイトは僕との先約があるからね。ね、ケイト?」
「え、えっと……」

 たしかにネフェル様の用事が片付いたら使ってくれるとは思っていたが、別に今日約束していたわけじゃない。どう返事しようかと考えあぐねていると、オレたちの方に近づいてくる足音が聞こえた。

「優先順位で言うならば……俺がこの中ではもっとも優先されるべきだろう。なあ、ケイト」
「……お久しぶりです、ケイト」
「あっ……グレン様、イザード……お久しぶりで……っ」

 オレたちの前でグレン様とイザードが立ち止まったので、起立して挨拶するために腰を浮かすとネフェル様にがっちりと腰を掴まれる。

「そのままでいい」
「ありがとうございます……」

 礼を言ってベンチに座り直すと、隣からネフェル様の大きなため息が聞こえた。

「まったく、邪魔者ばかりで困るね。ようやくケイトとゆっくりできると思っていたんだけど」
「お前はもうすでに何度もケイトを抱いているんだろう? しばらくはこちらに譲ってもらおうか」

 ネフェル様とグレン様がオレを使うために話し合っている。普通ならときめくような場面だろうが、今のオレは冷や汗しか出ない。ほかの生徒にでも見られたら、まるでオレを取り合っているかのように見えるのではないだろうか。それはまずい。まずすぎる。

(どうしよ……軽率にかけた催眠魔法のせいでこんなことに……ん? 催眠……?)

 絶体絶命かと思っていると、ふっと頭がクリアになる。そうだ。リオ以外の3人には催眠魔法がかかっているのだ。
 オレはリオに顔を近づけ、小声で話しかける。

「なあ、リオ……ちょっと今から3人の催眠解くから、口裏を合わせてくれないか?」
「え?」
「今世がループしないんなら催眠かけとくのは危険だからな。ここらで潮時にしておかないと。催眠解いたらオレとのあれこれの記憶は消えるから、お前の付き添いでいるってことにしておいてくれ。頼む」
「えっと、ケイ? 言いにくいんだけど……」

 リオがなにか言いかけているのを無視して、オレはネフェル様たちの催眠魔法を解く呪文を唱えた。すると催眠をかけていた3人がピタリと動きを止め、そしてそれぞれがゆっくりと辺りを見回していく。

「……俺は何故、ここに……」
「……えっと、アミス子爵の件で進捗を伺おうとぼくがお呼びしたんです」

 ぽつりと呟いたグレン様にリオが答える。いろんな記憶を取り戻したリオは咄嗟の嘘にも臨機応変に対応できるようでよかった。ひとまず切り抜けられそうだと小さくため息を吐くと、隣から、ねえ、と声かけられる。

「……きみはどうしてここにいるのかな?」

 ネフェル様の方を向くと、きょとんとした様子で尋ねられた。オレはにっこり微笑む。

「リオの付き添いです。でもそろそろお暇しますね……」

 これ以上追求されないようにオレは腰を上げる。催眠を解いたときに腰に回された手の力も弱まったので、このまま抜け出せば大丈夫だろう。

「そうだったんだね。気をつけてね」
「はい、ありがとうございま……」
「――なあんて、言うと思った?」
「へ……うわっ!?」

 くす、と笑ったネフェル様が、ぐいっとオレを抱き寄せる。中腰だったので体勢を崩してしまい、オレの身体はすっぽりとネフェル様に抱きすくめられた。
 なにが起こったんだと混乱するオレの耳に、ふう、と息を吹きかけられる。

「ん……っ♡」
「ふふ、ケイト……逃がさないよ?」
「え、っと……? あれ、オレ催眠……」

 解いたはずだよなと思いながら、ふとリオの方を見る。リオは小さくため息を吐き、なぜか首を横に振った。
 さらに混乱するオレの頭上から、クツクツと笑う声が降ってくる。

「……催眠を解けば俺たちがすべて忘れると思ったんだろう? まったく……愛らしいな、ケイトは」
「は……なんで……」

 グレン様が急に催眠魔法のことを口にして、いよいよわけがわからなくなる。すると、耳にくすくすと笑う声が届き、ネフェル様がオレを抱きしめる腕に力を込めた。
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