俺、今、女子リア充

acolorofsugar

文字の大きさ
64 / 99
俺、今、女子パリポ

俺、今、女子シャワー中

しおりを挟む
 突然の喜多見美亜あいつからの電話だった。昨日は昼から動き始めて夕方から踊り、そしてまた夜通し踊って朝帰り。ベットに入ると泥のように眠りつくが、まだまだ寝足りない昼過ぎに電話! ——と、ちょっとムッとした俺であった。
 が、熟睡しすぎてまだまだ寝ぼけてしまっている俺。睡眠を妨げた着信に怒って出るはずの言葉は、喉元で詰まり、淀み、混乱して、
「はい。なんでございましょうか?」
 逆に妙に丁寧なものになってしまってしまう。
 ならば、
「なにそれ? そのへんな言葉遣い」
 確かに、喜多見美亜あいつのおっしゃる通り。俺は、なんだか自分の間抜けな対応に、怒りもあっという間にどこかにいって、恥ずかしさに顔を赤らめながら、
「いや……」
 何か言おうと思っても、まだ頭が朦朧として、舌もさっぱり回らない——となると、なんだかあっという間に文句を言う気力も衰えて、
「……なんでもない。気にしないで」
 俺は矛を出す前からあっさりと納めるのであった。
 すると、そんな寝ぼけた様子を電話越しにもさっしたのか、
「……? まあ、いいわ……いえ、起こして悪かったけど。でも、さあ……」
 喜多見美亜あいつは、なんだかちょっと申し訳なさそうな口調で言うのだが、
「今日はちょうど良い昼のパーティが無いから、どこにも行かないで夏休みの宿題でもするつもりだったんだけど。萌夏さんがやっぱり何もないと暇だって言うから考えたんだけど」
 ああどっか連れて行かれるパターンだなこれ。
「今日はよく考えたら踊ってみたの仲間がやるアニクラがあったのよ……集合は三時でお願いね!」
 でも、
「……今日は休みにしないか」
 俺は、さすがに今日は少し抵抗を試みる。
「えっ……」
 断られると思ってなかったのか。意外そうな声のあいつ。
「昨日は……あの後に夜もパーティに行って、正直疲れているし……また今晩も別のパーティが……もうちょっと寝ていたいんだけど」
 俺は、どんと体に溜まった疲労から、とても今日はまだ動けないことを訴えるが、
「まあ。大丈夫、大丈夫。萌夏さんが、自分の体はパーティに行ってる限りは壊れないって言ってたわよ……動き出せば疲れも取れるって……」
 なんだその理論。疲れが取れるんじゃなくて忘れるだけだろ。俺は、そんな人たちとは違うんだよ。パーティで疲れをあっさり忘れられるような人種とは違う。インドア派で頭脳派のヒッキーオタクなんだよ。俺はもっとゆっくりしていたいんだよ。
 でも、
「……それに、もし来ないって言ったらどうなるか分かってるのよね?」
「……?」
「ハードディスク……」
「大至急準備して駆けつけさせていただきます!」
 喜多見美亜あいつ弱点ハードディスクを握られている俺にノーと言う答えはありえないのであった。

 で、電話の騒ぎで、よし子さんこと佳奈よしなさんも目を覚まし、
「……随分冷や汗かいてるようだけど何?」
 俺、と言うか萌さんの顔がびっしょりと汗をかいているのを見て不思議がられるのだった。
 最初に体入れ替わりが起きた直後、喜多見美亜あいつにコピーをとられた俺のハードディスク。それを脅しに使われると、俺は直立不動で身体中汗びっしょりになってしまうのであった。あいつは、俺が何か言うことを効かないのなら、その中身を、間違ったふりしてネットに公開すると言うのだ、実名で……。
 体の入れ替わった時に動転してしまい、オロオロと何もできなかった俺と違い——女は強い。というか喜多見美亜あいつは、どっちかと言うと迂闊な奴なのに、こう言うとこだけは機転が効くんだよな。IT系は弱いはずなのに、スマホに場所検索のサービス入れられたりもしてたしな。おれもあの時もう少し機転がきけば……。
 ——とまあ、今更悔やんでいてもしょうがない。
 それよりも、今日はまたすぐにイベントに参加することになったので、さっさと準備をして出発しないといけないのだが、
「へえ。それ面白そう。たまにはそう言うの良いよね」
 今日の午後の予定を告げたら、よし子さんは意外にもずいぶんと乗り気になる。でも、なんで突然アニソンのクラブイベントなんて行こうと思ったのかって言われて、あいつのことを伝えるのだが、
「へえ、この頃知り合ったって言う高校生の子達の紹介なの? なんでそんな子達と知り合ったの」
 それは、
「——泥酔したときに入れちがった? え? トイレで入れちがう時に落としたスマホを拾ってもらって届けてもらって……へえ、そんなこともあるのね」
 さすがにそれだけで仲良くなるのかと、社交的で能天気な友達萌さんでもありえるのかとちょっと疑問に思っているようだが、
「……ともかく。行くなら急がないと。帰って来てすぐ寝たから……シャワーも浴びたいし」
 どっちにしても、もう時間がないので、それを言い訳に俺は話をうやむやにしようとすると、
「あっ——そうね。三時に集合ならあんまり時間もないし……ぎりぎりね……じゃあ……」
「…………?」
 高校生と仲良くなった経緯はもうどうでも良いようだが、かわりにちょっと色っぽい目になったよし子さんは、
「一緒にお風呂入っちゃうか!」
 と嬉しそうに言うと、
「え……」
「ほら、じゃあ早速入るわよ……」
 キョトンとした様子で立ちすくむ俺の手を引いて浴室の前の板間まで連れて行く。
 そして、
「あ……」
 俺は、目の前でさっとワンピース脱いでキャミソールとショーツ姿になったよし子さんの姿に、その場で凍りついたように固まってしまう。
 ——ああ、そう言えば、まだあまりよし子さんの容姿について語っていなかったが、実は……なんというか大変な体の持ち主である。
 体入れ替わり以来、なんだか随分と女の子の知り合いが多くなった俺であるが、周りにいるのはなぜかみんな、どちからかと言うと可愛い系やモデル系……スタイルは良いがドカンと言うからだの持ち主はいない。いや、下北沢花奈の事件の時に知り合った代々木お姉様は胸とかも大きくて随分と妖艶な大人な感じではあったがどこか儚げと言うか線画細いと言うか……このよし子さんこと佳奈よしなさんは、それとは異なるダイナマイト系ボディであった。
 ダンサー体型というのだろうか。腹回りとかはちょっと太いかなと思いきや、それは踊るための筋肉がその下にあるためで、じつは贅肉なんてあんまりない。手足は結構細いが強靭な筋肉がその下にあることを感じさせる躍動感を持ってしなやかなに伸び……そして、なんと言っても尻。
 引き締まったその後ろ姿は、俺の男としての衝動を極限まで高め——危なかった。俺が今女の体にいなければ。これはなんか限界突破……いや天元突破! 俺のドリルは……いや、やめとこ。
「ん、どうしたの。じっとしちゃって?」
 俺のドギマギに気づかずに、キャミソールに手をかけて腹を半分だしながら、振り返り言うよし子さん。どどど……童貞じゃなくて……どちらかと言うと地味な、女子銀行員や役所事務とかにいそうな顔のよし子さんが、ポニーテールの髪をぷるんと言わせながら、その強烈なボディをくねらせれば、その落差がなんだかとてもエッチな感じで、
「…………」
 俺の心の中で悪魔と天使が争っていた。
 体入れ替わりのことなどしらないよし子さんを良いことに、このまま何も言わずにこの人が服を脱ぐのをじっと見ていることもできる。
 いや、そんなことはしてはいけない。何かの折にこの時萌さんの中にいたのが俺であったことがバレたとき、だまっていた俺は軽蔑されるのだぞ。あるいはそのことが俺の知り合いに言いふらされたら、俺は周りの連中からも軽蔑されるかもしれない。
 でも、喜多見美亜あいつなら笑って許してくれそうだが、もしかして百合ちゃんに知られたら? いや許してくれても、あの天使にそう思われると言うことだけでも俺は耐えられない。
 なら、
「ん、ほんとどうしたの? なんかおかしいかな?」
 でも、小首をちょと傾げたらぐっとねじれてさらにくいっと上がる尻の様子を見てしまうと、おれの決心はぐらぐらと揺れる。このまま。このままちょっとだけで良い。惰性に身を任せれば。怠惰にあれば——桃源郷ははっとする。
 と思えば、迷う俺は、ごくりと唾を飲みながら、何も選択しないことで、実のところ悪魔の方に心を任せてしまっていたのだが、
「ああ、何。もしかして服脱ぐの恥ずかしがっているの? そんな何度も一緒に温泉に行った仲じゃない」
「…………」
 よし子さんはなんだかエロい目つきになると、
「大丈夫だって。恥ずかしいなら脱がしてあげる」
「いや……」
 お構いなく。脱ぐとあれなんだよね。よし子さんの至宝を前にして俺の意識が飛んじゃうんだよね。
 だから、くねくねと指をウネらせながら俺のシャツの襟口に近づくよし子さんの手を少し拒否するように、体を横にするが、
「ふふ……そっちかと思った?」
「……?」
「こっちでした!」
 そう言いながらさっとスカートに手をかけて凄まじい早業でショーツごとに引き摺り下ろす、その瞬間に感じた頼りなさ。そして、すぐにやってくる羞恥の念の中……。
 この体の入れ替わりの倫理規程——俺は萌さんの乙女の秘密を認識する前に……いつものようにあっという間に意識が飛んで行ってしまうのであった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―

ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」 前世、15歳で人生を終えたぼく。 目が覚めたら異世界の、5歳の王子様! けど、人質として大国に送られた危ない身分。 そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。 「ぼく、このお話知ってる!!」 生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!? このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!! 「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」 生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。 とにかく周りに気を使いまくって! 王子様たちは全力尊重! 侍女さんたちには迷惑かけない! ひたすら頑張れ、ぼく! ――猶予は後10年。 原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない! お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。 それでも、ぼくは諦めない。 だって、絶対の絶対に死にたくないからっ! 原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。 健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。 どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。 (全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)

大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば
ファンタジー
剣があって、魔法があって、けれども機械はない世界。妖魔族、俗に言う魔族と人間族の、原因は最早誰にもわからない、終わらない小競り合いに、いつからあらわれたのかは皆わからないが、一旦の終止符をねじ込んだ聖女様と、それを守る5人の英雄様。 それが約50年前。 聖女様はそれから2回代替わりをし、数年前に3回目の代替わりをしたばかりで、英雄様は数え切れないぐらい替わってる。 英雄の座は常に5つで、基本的にどこから英雄を選ぶかは決まってる。 俺は、なんとしても、聖女様のすぐ隣に居たい。 でも…英雄は5人もいらないな。

処理中です...