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ハジマリ
真っ白
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…眩しい
光に照らされ、私は目を覚ました。
昨日はいつ寝たんだっけ…?
そんなことを思いながら上体を起こす。
思い出そうにも、どうにも頭にモヤがかかったように思い出せない。
昨日の夕食のことも、自分の部屋の様子や、どこに住んでいたのか、そして自分は誰なのか──────
全てがはっきりと思い出せない
自分の顔をぺたぺたと触ってみるがどうにも自分の顔のように思えなくて気持ち悪い。
不思議に思いながら、思い出す手がかりでも探すように辺りを見回した。
そこは、大きな部屋だった。
白い壁で覆われていて、天井が高い。壇上がある以外は他に何も無い、体育館のような部屋だ。
そこに自分も含め、ざっと100人程が床に無造作に放り出されている。年齢や性別も様々だが、女が白いワンピース、男が白のブラウスに長ズボンという点だけは共通している。この中の何人かは同じように起き上がって見回していた。
「これは一体…」
現実離れした光景に更に頭がこんがらがり、覚束無い動作で立とうと床に手をついた。
「あっ」
不意に手に何か当たり、それが人の手であると直感的に理解する。
パッと手元を見ると、同い年くらいの男の子が寝ている。
まつ毛が長く、栗色の髪はストレートで肩くらいまであり、肌は白い。
何とも中性的な美少年だ。
手に触れたのをきっかけにその瞼がゆっくりと開いた。
「お、おはよう…」
私は慌てて声をかけるが、彼はぼんやりとしたまま起き上がり、当たりを見回していた。
そして、一通り見回したあと、私のほうを向いて、
「おは──────」
「みなさん!おはよぉございまぁすぅ!!!」
彼が口を開いた次の瞬間、いきなり壇上から大きな声が響いた。
起きている人が皆、そちらを向き、寝ていた人も起き上がり出した。
壇上にいたのは、薄ら笑いを浮かべた細身の黒スーツの男だ。
突然のことに驚く私たちを無視して、男は続ける。
「さてさて、お寝坊さんはいませんかねぇー?」
演技を含んだ言い方で私たちを見回したあと、
「みなさん、ちゃあんと起きれてエライ!これなら今から始まるゲームも面白くなりそぉですねぇー!!」
何が面白いのか男はそう言ってケタケタと笑って拍手している。
「ゲーム…?」
「ゲームってどういうこと?」
「ていうかここどこ!」
男の異様な様子に人々は口々に不安を口にする。
私も訳が分からず口を開けたまま男を見ていた。
そんな混乱の中、一人の男性が立ち上がった。
筋肉質な大柄の男はそのまま壇上に飛び乗ると、笑うスーツの男の前に立った。
その大きな体はスーツの男の2倍はあるだろうか。
「なぁ、あんただろ、俺たちをここに連れてきたやつは。早くここから帰せ」
低い声でそう言い、喧嘩腰にスーツの男の首元を左手で掴む。それでも笑うスーツの男を見て、痺れを切らした大柄の男は右手で殴りかかった。
「きゃっ!!」
私は咄嗟のことに手で目を覆う。パンッという音が鳴り、辺りから多くの悲鳴が聞こえた。
スーツの男の鼻がへし折れでもしたのだろうか。
恐る恐る目を開けると、そこには予想と全く違う光景が広がっていた。
殴りかかった男の右手が無くなっているのだ。手首から先が無く、男はその場にその大きな体を震わせながらうずくまっていた。
「暴力はダメですよぉ!それに、冤罪ですぅ!連れてきたのはあくまで僕ではありませぇん。僕の役割はこのゲームについて説明するだけでぇ」
またケタケタと笑うスーツの男は凶器を持っている訳でもない。ましてや、人の手首が一瞬で切れる程の力があるとも思えない。
「静かにしてくれないと進まないんでぇ、話した人はうっかりやっちゃうかもねぇ!」
恐怖で叫んでいた人々もその言葉で静まりかえり、次は何を言われるのかと固唾を飲んで男を見つめている。
「うんうん、やっぱりみなさん賢いですねぇ!殴ってきた彼も大人しくなったようですし、そろそろ始めましょうねぇ」
そう言って、またケタケタと笑った。
光に照らされ、私は目を覚ました。
昨日はいつ寝たんだっけ…?
そんなことを思いながら上体を起こす。
思い出そうにも、どうにも頭にモヤがかかったように思い出せない。
昨日の夕食のことも、自分の部屋の様子や、どこに住んでいたのか、そして自分は誰なのか──────
全てがはっきりと思い出せない
自分の顔をぺたぺたと触ってみるがどうにも自分の顔のように思えなくて気持ち悪い。
不思議に思いながら、思い出す手がかりでも探すように辺りを見回した。
そこは、大きな部屋だった。
白い壁で覆われていて、天井が高い。壇上がある以外は他に何も無い、体育館のような部屋だ。
そこに自分も含め、ざっと100人程が床に無造作に放り出されている。年齢や性別も様々だが、女が白いワンピース、男が白のブラウスに長ズボンという点だけは共通している。この中の何人かは同じように起き上がって見回していた。
「これは一体…」
現実離れした光景に更に頭がこんがらがり、覚束無い動作で立とうと床に手をついた。
「あっ」
不意に手に何か当たり、それが人の手であると直感的に理解する。
パッと手元を見ると、同い年くらいの男の子が寝ている。
まつ毛が長く、栗色の髪はストレートで肩くらいまであり、肌は白い。
何とも中性的な美少年だ。
手に触れたのをきっかけにその瞼がゆっくりと開いた。
「お、おはよう…」
私は慌てて声をかけるが、彼はぼんやりとしたまま起き上がり、当たりを見回していた。
そして、一通り見回したあと、私のほうを向いて、
「おは──────」
「みなさん!おはよぉございまぁすぅ!!!」
彼が口を開いた次の瞬間、いきなり壇上から大きな声が響いた。
起きている人が皆、そちらを向き、寝ていた人も起き上がり出した。
壇上にいたのは、薄ら笑いを浮かべた細身の黒スーツの男だ。
突然のことに驚く私たちを無視して、男は続ける。
「さてさて、お寝坊さんはいませんかねぇー?」
演技を含んだ言い方で私たちを見回したあと、
「みなさん、ちゃあんと起きれてエライ!これなら今から始まるゲームも面白くなりそぉですねぇー!!」
何が面白いのか男はそう言ってケタケタと笑って拍手している。
「ゲーム…?」
「ゲームってどういうこと?」
「ていうかここどこ!」
男の異様な様子に人々は口々に不安を口にする。
私も訳が分からず口を開けたまま男を見ていた。
そんな混乱の中、一人の男性が立ち上がった。
筋肉質な大柄の男はそのまま壇上に飛び乗ると、笑うスーツの男の前に立った。
その大きな体はスーツの男の2倍はあるだろうか。
「なぁ、あんただろ、俺たちをここに連れてきたやつは。早くここから帰せ」
低い声でそう言い、喧嘩腰にスーツの男の首元を左手で掴む。それでも笑うスーツの男を見て、痺れを切らした大柄の男は右手で殴りかかった。
「きゃっ!!」
私は咄嗟のことに手で目を覆う。パンッという音が鳴り、辺りから多くの悲鳴が聞こえた。
スーツの男の鼻がへし折れでもしたのだろうか。
恐る恐る目を開けると、そこには予想と全く違う光景が広がっていた。
殴りかかった男の右手が無くなっているのだ。手首から先が無く、男はその場にその大きな体を震わせながらうずくまっていた。
「暴力はダメですよぉ!それに、冤罪ですぅ!連れてきたのはあくまで僕ではありませぇん。僕の役割はこのゲームについて説明するだけでぇ」
またケタケタと笑うスーツの男は凶器を持っている訳でもない。ましてや、人の手首が一瞬で切れる程の力があるとも思えない。
「静かにしてくれないと進まないんでぇ、話した人はうっかりやっちゃうかもねぇ!」
恐怖で叫んでいた人々もその言葉で静まりかえり、次は何を言われるのかと固唾を飲んで男を見つめている。
「うんうん、やっぱりみなさん賢いですねぇ!殴ってきた彼も大人しくなったようですし、そろそろ始めましょうねぇ」
そう言って、またケタケタと笑った。
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