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047:地下8階3
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ジャイアント・リザードと小さなリザードが大量にいた場所から先は右に大きく曲がっていて、その先では今度は左と正面に分かれていた。正面の先はどうやらフロッグが大量にいる場所のようで、探索はまずは左へということになる。
その先は狭い通路を通って広い場所に出る形だったのだが、その広がった場所全体が水で覆われていた。ところどころに地面のでこぼこが頭を見せていることから深くはない、水たまりと言える程度だろうと思える。その水たまりの上にはジャイアント・バットが舞っている姿も見て取れた。その数は2か3か。
先ほどの水たまりには状態異常の罠があったのだ。ここも違うとは考えにくい。
ではここは避けてフロッグの群れを対処するかとも考えたところで、水につかるようにして宝箱があることに気が付いた。ということは罠があるかもしれない水に踏み入り、頭上のバットを処理して宝箱を開けなければならないということだ。なかなかに面倒な場所を用意してきていた。
「バットは魔法で狙い撃ちにするとして、水をどうするかだな」
「シェイプ・ウォーターで凍らせるか、ウォーター・ウォークで水の上を歩くかね。ウォーター・ウォークは3レベルだから少しもったいないかしらね」
「そうか、よし、先にバットを片付けてそれから凍らせよう」
方針が決まれば戦闘の準備だ。
エディとクリストが武器を構えたところでフェリクスとカリーナがファイヤー・ボルトを放つ。これを受けたバットが近寄ってきたところで迎撃する形だ。
エディが斧を突き入れ、クリストが剣を振り切り落とす。これで2体が倒されて地面に落下すると、残りは1体だ。そうなってしまえば後は簡単な話になる。魔法も不要と判断し、フリアが投じた石に誘われて近寄ってきたところをエディが盾をたたきつけ、降りてきたところに斧と剣が突き刺さる。
「終わったか。後はないな? よし」
ジャイアント・バット3体では勝負にもならない。恐らくここは水に踏み入った場合の罠とセットということなのだろう。魔物の脅威度だけを考えれば7階で使ってくるようなものではないのだ。
「シェイプ・ウォーター」
戦闘終了を確認したところでカリーナが水面を凍らせる。わざわざ罠の危険がある水に足を突っ込む必要などない。凍らせたところでフリアが宝箱を調べに行った。
「鍵なし、罠なし、開けるよ。うーん、革袋。中身は、うん? 小さい紙包みが1個入っているだけだね」
「またよく分からんものが出たか。鑑定送りだな」
たまには見ただけで価値が分かるようなものが出てくれても良かったのだが、これはこれでこのダンジョンの楽しみのうちなのだろう。
凍らせた水面を越え、再び洞窟の探索に移る。
洞窟の広かった空間も次第に狭くなり始め、右へ曲がり左へ曲がりしてからまた広い空間へとたどり着いた。もう少しで視界が広がるというところでフリアが後続を制止し、壁によって影からその先をのぞき込んだ。
「この先で、えっと、右側の通路っぽいところと合流して広くなってる。それで、どこだっけ、2階だっけ、魚っぽい人型の魔物。あれがいる」
ここに来て2階で遭遇していた人型の魔物を投入してきた。もっともあの魔物はアニメイテッド・アーマーが門番を務めていたエリアにいた魔物だ。2階といっても脅威度はもう少し上と考えていいのだろうが、それにしても2階の魔物だったのだ。
何か意図はあるのだろうが、それが何かはこの時点では分からない。いずれにせよ、ここまではリザードやフロッグ、バットといった動物系で固めたエリアで、そしてここからはその魚のような人型の魔物のエリアに切り替わるということなのだろう。
「クオトア、だったか。あの時は数が少なかったからな。ここで本格的に投入してくるとなるとそこが不安か」
「そうだね、あの、捕まえる用の槍? あれを持っていたのが強かったような印象はあるね。ああいうのが数で押してきたらきついかな?」
2階での話なのでだいぶ印象が薄くなってはいた。
「よし、ここで切り替えだ。クオトアの強さを見ていこう」
通路から広い場所を伺う。見える範囲には2体、うろうろと歩き回っている手にはネットを持っているように見えた。
「何だろ、何か獲物がいて捕まえに来たのかな。離れているし1つ釣ってみるね」
そう言ってフリアが壁沿いに移動を開始する。
右のクオトアと左のクオトアの間隔は開いていて、それぞれが壁の方を見ているようだ。
フリアは左手沿いに前進するとタイミングを見てクオトアの視界にわずかに入り、すぐに後退する。
これに引っかかったクオトアが関心を持ったのかネットを構えて近づいてきた。やはり何か獲物を探していたのだろうか。
近寄ってきたクオトアに気づかれないように影にエディが盾を立て、その後ろに隠れるように待ち構えた。
目の前に来たというタイミングでその足にエディが斧を引っかけ手前に引く。これに足を取られたクオトアが膝から崩れて倒れた。後はそこに攻撃を重ねるだけだ。
剣の斧のたたきつける音と、クオトアの悲鳴が響く。さすがにこれにはもう1体のクオトアも気がついたようで、何事かを叫ぶとネットを振り上げてこちらに駆けてくる。
1体目を倒しきったエディが盾を構えて迎え撃とうとするが、その前にクオトアの手からネットが投げかけられた。エディは盾ではなく斧を立てることでネットをそれに引っかけると、だらりと垂れ下がったネットごと邪魔にならないように放り投げた。
「ファイアー・ボルト!」
フェリクスの魔法が命中する。それを追うようにして駆け込んだクリストが剣を振るうと、あえなくクオトアは倒されることとなった。ネットを投げてエディの武器を捨てさせたところまでは良かったが、その先の手段が何もなかった。これをやるのなら数をそろえるか後続に戦えるものがいるべきだっただろう。
「こんなもんだったか? こんなもんか。ネットはうまい手だがその後がなかったな」
悪くない手だが1体でやることではなかった。まだ丸めて振り回した方が武器としては有効だったかもしれない。
クオトアの後始末を済ませたら探索を続ける。
フリアが広い空間を横切って前方へ。そして壁に張り付くようにして先を確認した。
「右に通路っぽい、それと左? 前? とにかくこっちの方に広い場所がずっと。そっちにクオトアがいっぱいいそう。何となくだけどちょっと大きいのもいた」
「左がメインか? 数が多いってのは面倒だな。まずは右の方を確認していくか」
通路になっている場所に入り少し進むと、また洞窟は二股に別れ、その右側は狭く、左側は少し広くなっている。右側を見に行ったフリアがすぐに戻ってきた。
「この先、広くなっていて、それで、こうかがり火があって。それで、えーっと、湖になっていた」
「湖? 8階にか?」
「うん。広いような気がする。ね、そこのところがちょっと出っ張っていて、湖が見られると思う。気をつけて、かがり火の向こうにクオトアがいる」
フリアの先導で右手の壁沿いにそろそろと進み、かがり火の赤い光が地面を照らし出しているのがわかる場所まで進む。壁に張り付くようにしてそこからのぞき込んだフリアがうなずくと、場所を換わる。
前に出たクリストが同じようにして壁に張り付いてその先をのぞき込む。
前にかがり火が見える。その向こう側には確かにクオトアのようなものが立っているのが見えた。そして視線を右へと送ると、そこには水面が見えた。
水面だ。これまでにも水たまりは幾度も見たが、これは明らかに違っている。深く広く、水をたたえた場所だった。
地下8階に突如現れた湖は広く、ダンジョンの薄闇の中では対岸を見通すことはできなかった。湖までの間にはクオトアのうろつく広い空間があり、地面は凹凸があってところどころで水たまりを作っている。中央付近には大きなかがり火があり、その光が空間を赤く染めていた。
湖の中程だろうか、ここからぎりぎり見えるところににもかがり火が見える。あれが対岸の位置になるのか、それとも島にでもなるのだろうか。
左の方から両手で籠のような物を支えたクオトアがやってくる。
籠の中身は何か判然とはしないが、かがり火の近くにいた大きな二股の槍、ピンサーを持ったクオトアがそれに気が付き、水際の方を指さした。
籠を持ったクオトアが水辺に行くと、水面にいくつもの波紋が広がり、そのうちの1つから人のような上半身が浮かび上がってきた。青い肌はうろこで覆われ、頭や肩、背中にはヒレがある。右手には鋭い爪があり、左手に銛を持っている。
それはクオトアから籠を受け取り、中から何かを一つかみ取ると口に持っていった。どうやら食べ物のようだ。何度か口を動かして納得したのかうなずくと、籠の中身を背後の水面に向かって放り投げる。そして空になった籠はクオトアへと投げ返すと、身をひるがえして水中へと潜っていった。
ピンサーを持っていたクオトアが奥の方へ向かって何事かを指示すると、ネットを持ったクオトアが4体現れ、そして湖面へと向かってそのネットを放った。どうやら魚でも取る場合にはあの魔物に貢ぎ物のような物を渡しているようだ。
そしてこの場所にはクオトアが数多くいるということも分かった。今の時点でピンサー持ちが1体、籠を持ってきた1体と、最初からいたクオトアが1体、後から来たネットを持った4体だ。漁をしているということは、この奥にはもっと多くのクオトアがいるのかもしれなかった。
「クオトアの数が多すぎる。ここはきついだろう。それに水中にどうやらメロウがいるようだな」
「メロウもか、そうなると水際はどこも危険だな」
「だけどさ、見なかった? 島かな、あったよね? あそこに建物があったよ」
「島にか? 気が付かなかったが」
「これ使って見てみて、もしかしたらもしかするよ」
フリアから小型望遠鏡を手渡される。6階の視察で借りて使った物だがどうやら継続使用の許可を取り付けていたようだ。クリストはそれを持つともう一度湖面を見るために移動した。
岩陰からのぞき見てクオトアの位置を確認すると、望遠鏡を目に当てて見え方を調整する。湖面がしっかりと捉えられるようになったらそれを動かして島の様子を確認した。
どうやら島という認識で良いのだろう。その島にもかがり火がたかれているおかげで様子をよく見ることができた。
島のはるか向こうにも壁のようなものが見えているし、湖面の形を見ても島で良いのだろう。その島の上をなぞるように見ていくと、右の方に建物らしきものがあった。建物と言って良いのだろうか。あずまやのような構造で、四方に柱が立ち屋根を支えている。壁は膝くらいの高さしかなく容易にまたいで越えられそうだ。
そしてその建物に中に、手すりが見えた。見覚えのある、階段の手すりのように思える。もしあれが階段ならば、島に渡らなければならないということだった。
「もしかしたかもしれないぞ。島に建物、で、階段だと思う」
「え、島に階段? ていうことは渡らないといけないんだよね?」
「当然そうなるな。クオトアの群れをやり過ごしてメロウのいる湖を渡って。なかなか難易度を上げてくれる」
「湖はウォーター・ウォークで歩いて渡るとして、クオトアとメロウはなかなかよね。確かクオトアに魔法を使うのがいたでしょう」
「ああー、そういやいたな。狙い撃ちになるのか。ウォールで防げるもんか?」
「どうだろう。ウォールで防げるのなんて一方向だけだよ。それにさ、確かあれがいるんじゃないかな。何だっけ6階に書いてあった」
「アボレスか。そうか、ここか。ここから上がって6階か、なるほどな。あー、そうすると時間がかかるのはまずいな。一気に駆け抜ける必要がある。エディ、ちょっと見てくれ、行けると思うか」
メンバーで最も重量があるのがエディだ。鎧、盾、斧と重い物しか持っていない。背後から攻撃を受けながら湖面を走って島まで行けるかという問題だ。
望遠鏡を受け取って確認に行っていたエディがすぐに戻ってくる。
「だいぶ距離があるな。20か30メートルといったところか。せめて背後は安全であってほしいってところか」
「そうだよな。同時に走り出せばどうしたってエディが最後方になって狙い撃ちの的だろう。おまけに湖面に出てから遅いとなればメロウの的だ。そうなるとエディが渡っている間は援護したいところなんだが、そうすると安全な場所で渡るべきだよな」
「クオトアを増援がなくなるまで倒してから渡るってこと? 大丈夫なの?」
「分からん。なあ、嫌なことを考えたんだが。島に階段があるとして、戻れるのか? 戻るたびにクオトアとメロウに対処しながら湖を渡るのか?」
「9階に降りたら戻ってこられない可能性か、そこまで考えていなかったね」
9階に下りて限界まで探索したとして休憩が取れるのかということだ。8階の階段室が休憩を取れるような場所ではない可能性だ。
そうなると常に体力魔力気力を温存しての探索になってしまい進展がかなり遅くなるだろう。では覚悟を決めて9階10階は一気に終わらせるということだろうか。それができれば良いのだが。
「よし、今回はクオトアを削れるか、安全に渡り始められるような状況を作れるかを確認しよう。うまくいけば湖を渡って島の様子を見る。階段だったら下りて9階を確認だ」
これで9階に下りられたら順調に行っていると言えるだろう。8階の成果自体は今のところ少ないが、10階を目指すという目標に対してはかなり順調だ。
まずはかがり火周辺のクオトアを倒していくことにする。こちらは岩陰から狙って近いところからクオトアを釣り、できれば各個撃破を狙う。背後に回り込まれることだけ注意していればそこまで問題にはならないだろう。
問題になるとしたら増援の数だろうが、それはやってみなければ分からない。
まずは湖面に向かってネットを投げて漁をしているクオトアを狙う。フリアが壁沿いに手近な1体に近づき、石を投げる。それを当てられた1体がネットから手を離してこちらに近づいてきた。フリアがもう一度石を投げて引きつけると、それをエディとクリストが引き取って攻撃し、倒す。
基本的にはこの繰り返しになるだろう。
やること自体は単純なもので、クオトアも面白いように投石に釣られてくる。2体目、3体目と倒したところで、次からはかがり火近くのクオトアだ。
ネットを持っているクオトアが少し遠い。近いのはかがり火の脇に立つピンサーを持ったクオトアだった。
フリアが岩陰から石を投げるとそれに気がついたクオトアが近づいてくる。そして次を投げようかというところで足を止め、左、湖の方を見た。そこで漁をしていなければならない仲間がいないことに気がついたのか、ピンサーを両手で構え、足取りが慎重になった。どうやらこのピンサー持ちのクオトアは他のものよりも知能も高いようだ。
それを見たフリアも慎重に後退し、その途中でもう一度クオトアに向かって石を投げ、注意を引く。クオトアの足が止まり、こちらの方を見ている。まだ距離はあるはずだが、見えているのか。口を開け、左手を槍から手を離してこちらに向かって何かのしぐさをした。すると後退を続けていたフリアの頭上から炎のようや輝きが降り注いだ。
「うひゃ!」
予想していなかったフリアが慌ててエディの盾の陰に向かって転がるように飛び込んでくる。何とか炎からは逃げ切れたようだが、クオトアはすでにピンサーを構え直してこちらに向かって突っ込んでくるところだった。
そのピンサーをエディが盾を構えて受け止め、ガツンッという激しい音が鳴る。盾に対して斜めにぶつけられたピンサーが閉じられ、盾に食らいついた。
「ファイアー・ボルト!」
そこへフェリクスが魔法を放ち、そして回り込んだクリストが剣を振るがその厚いうろこに遮られてそこまで効果的な攻撃にはならなかったようだ。
「フロストバイト!」
カリーナが放った魔法が命中し、クオトアの左半身が霜が降りたように白くなる。
エディの構えた盾はクオトアのピンサーに捕まれた状態になってしまい、互いにそれ以上動かせなくなる。
クオトアが口を開け何事かをいいながら左手を振った。
「げ、何か食らった! 動きが鈍い!」
クリストが言いながら振った剣がクオトアの右肩を滑る。エディが斧を使って攻撃しようとしたがこれはかみつこうとしたクオトアの牙と打ち合う格好になってしまった。
「スコーチング・レイ!」
フェリクスが使う魔法を少しでも多くのダメージを稼ぐ方向へ切り替える。3本の炎の矢が命中し、クオトアがよろめく。だがまだダメージを稼ぎ切れてはいないようだ。
エディとクオトアはもみ合い、クリストの剣がその脇を切る。そして再びフェリクスとカリーナの魔法がさく裂したところでようやくクオトアが膝から崩れた。
だが崩れ落ちる瞬間に大きく口を開け何事かを叫ぶ。するとその場に雷鳴のような音が響き、遠くかがり火の向こうにいたクオトアがこちらを見ている。気がつかれたのだ。
「やられたわね。ソーマタージーよ。たぶんこれから増援が来るわよ」
ダメージを発生させない、雷の音を鳴らしただけの魔法だが、その魔法の効果は絶大だった。遠くのクオトアにこの場所の危険を知らせたのだ。どうやら想定していたのとは違う形での戦闘が始まりそうだった。
その先は狭い通路を通って広い場所に出る形だったのだが、その広がった場所全体が水で覆われていた。ところどころに地面のでこぼこが頭を見せていることから深くはない、水たまりと言える程度だろうと思える。その水たまりの上にはジャイアント・バットが舞っている姿も見て取れた。その数は2か3か。
先ほどの水たまりには状態異常の罠があったのだ。ここも違うとは考えにくい。
ではここは避けてフロッグの群れを対処するかとも考えたところで、水につかるようにして宝箱があることに気が付いた。ということは罠があるかもしれない水に踏み入り、頭上のバットを処理して宝箱を開けなければならないということだ。なかなかに面倒な場所を用意してきていた。
「バットは魔法で狙い撃ちにするとして、水をどうするかだな」
「シェイプ・ウォーターで凍らせるか、ウォーター・ウォークで水の上を歩くかね。ウォーター・ウォークは3レベルだから少しもったいないかしらね」
「そうか、よし、先にバットを片付けてそれから凍らせよう」
方針が決まれば戦闘の準備だ。
エディとクリストが武器を構えたところでフェリクスとカリーナがファイヤー・ボルトを放つ。これを受けたバットが近寄ってきたところで迎撃する形だ。
エディが斧を突き入れ、クリストが剣を振り切り落とす。これで2体が倒されて地面に落下すると、残りは1体だ。そうなってしまえば後は簡単な話になる。魔法も不要と判断し、フリアが投じた石に誘われて近寄ってきたところをエディが盾をたたきつけ、降りてきたところに斧と剣が突き刺さる。
「終わったか。後はないな? よし」
ジャイアント・バット3体では勝負にもならない。恐らくここは水に踏み入った場合の罠とセットということなのだろう。魔物の脅威度だけを考えれば7階で使ってくるようなものではないのだ。
「シェイプ・ウォーター」
戦闘終了を確認したところでカリーナが水面を凍らせる。わざわざ罠の危険がある水に足を突っ込む必要などない。凍らせたところでフリアが宝箱を調べに行った。
「鍵なし、罠なし、開けるよ。うーん、革袋。中身は、うん? 小さい紙包みが1個入っているだけだね」
「またよく分からんものが出たか。鑑定送りだな」
たまには見ただけで価値が分かるようなものが出てくれても良かったのだが、これはこれでこのダンジョンの楽しみのうちなのだろう。
凍らせた水面を越え、再び洞窟の探索に移る。
洞窟の広かった空間も次第に狭くなり始め、右へ曲がり左へ曲がりしてからまた広い空間へとたどり着いた。もう少しで視界が広がるというところでフリアが後続を制止し、壁によって影からその先をのぞき込んだ。
「この先で、えっと、右側の通路っぽいところと合流して広くなってる。それで、どこだっけ、2階だっけ、魚っぽい人型の魔物。あれがいる」
ここに来て2階で遭遇していた人型の魔物を投入してきた。もっともあの魔物はアニメイテッド・アーマーが門番を務めていたエリアにいた魔物だ。2階といっても脅威度はもう少し上と考えていいのだろうが、それにしても2階の魔物だったのだ。
何か意図はあるのだろうが、それが何かはこの時点では分からない。いずれにせよ、ここまではリザードやフロッグ、バットといった動物系で固めたエリアで、そしてここからはその魚のような人型の魔物のエリアに切り替わるということなのだろう。
「クオトア、だったか。あの時は数が少なかったからな。ここで本格的に投入してくるとなるとそこが不安か」
「そうだね、あの、捕まえる用の槍? あれを持っていたのが強かったような印象はあるね。ああいうのが数で押してきたらきついかな?」
2階での話なのでだいぶ印象が薄くなってはいた。
「よし、ここで切り替えだ。クオトアの強さを見ていこう」
通路から広い場所を伺う。見える範囲には2体、うろうろと歩き回っている手にはネットを持っているように見えた。
「何だろ、何か獲物がいて捕まえに来たのかな。離れているし1つ釣ってみるね」
そう言ってフリアが壁沿いに移動を開始する。
右のクオトアと左のクオトアの間隔は開いていて、それぞれが壁の方を見ているようだ。
フリアは左手沿いに前進するとタイミングを見てクオトアの視界にわずかに入り、すぐに後退する。
これに引っかかったクオトアが関心を持ったのかネットを構えて近づいてきた。やはり何か獲物を探していたのだろうか。
近寄ってきたクオトアに気づかれないように影にエディが盾を立て、その後ろに隠れるように待ち構えた。
目の前に来たというタイミングでその足にエディが斧を引っかけ手前に引く。これに足を取られたクオトアが膝から崩れて倒れた。後はそこに攻撃を重ねるだけだ。
剣の斧のたたきつける音と、クオトアの悲鳴が響く。さすがにこれにはもう1体のクオトアも気がついたようで、何事かを叫ぶとネットを振り上げてこちらに駆けてくる。
1体目を倒しきったエディが盾を構えて迎え撃とうとするが、その前にクオトアの手からネットが投げかけられた。エディは盾ではなく斧を立てることでネットをそれに引っかけると、だらりと垂れ下がったネットごと邪魔にならないように放り投げた。
「ファイアー・ボルト!」
フェリクスの魔法が命中する。それを追うようにして駆け込んだクリストが剣を振るうと、あえなくクオトアは倒されることとなった。ネットを投げてエディの武器を捨てさせたところまでは良かったが、その先の手段が何もなかった。これをやるのなら数をそろえるか後続に戦えるものがいるべきだっただろう。
「こんなもんだったか? こんなもんか。ネットはうまい手だがその後がなかったな」
悪くない手だが1体でやることではなかった。まだ丸めて振り回した方が武器としては有効だったかもしれない。
クオトアの後始末を済ませたら探索を続ける。
フリアが広い空間を横切って前方へ。そして壁に張り付くようにして先を確認した。
「右に通路っぽい、それと左? 前? とにかくこっちの方に広い場所がずっと。そっちにクオトアがいっぱいいそう。何となくだけどちょっと大きいのもいた」
「左がメインか? 数が多いってのは面倒だな。まずは右の方を確認していくか」
通路になっている場所に入り少し進むと、また洞窟は二股に別れ、その右側は狭く、左側は少し広くなっている。右側を見に行ったフリアがすぐに戻ってきた。
「この先、広くなっていて、それで、こうかがり火があって。それで、えーっと、湖になっていた」
「湖? 8階にか?」
「うん。広いような気がする。ね、そこのところがちょっと出っ張っていて、湖が見られると思う。気をつけて、かがり火の向こうにクオトアがいる」
フリアの先導で右手の壁沿いにそろそろと進み、かがり火の赤い光が地面を照らし出しているのがわかる場所まで進む。壁に張り付くようにしてそこからのぞき込んだフリアがうなずくと、場所を換わる。
前に出たクリストが同じようにして壁に張り付いてその先をのぞき込む。
前にかがり火が見える。その向こう側には確かにクオトアのようなものが立っているのが見えた。そして視線を右へと送ると、そこには水面が見えた。
水面だ。これまでにも水たまりは幾度も見たが、これは明らかに違っている。深く広く、水をたたえた場所だった。
地下8階に突如現れた湖は広く、ダンジョンの薄闇の中では対岸を見通すことはできなかった。湖までの間にはクオトアのうろつく広い空間があり、地面は凹凸があってところどころで水たまりを作っている。中央付近には大きなかがり火があり、その光が空間を赤く染めていた。
湖の中程だろうか、ここからぎりぎり見えるところににもかがり火が見える。あれが対岸の位置になるのか、それとも島にでもなるのだろうか。
左の方から両手で籠のような物を支えたクオトアがやってくる。
籠の中身は何か判然とはしないが、かがり火の近くにいた大きな二股の槍、ピンサーを持ったクオトアがそれに気が付き、水際の方を指さした。
籠を持ったクオトアが水辺に行くと、水面にいくつもの波紋が広がり、そのうちの1つから人のような上半身が浮かび上がってきた。青い肌はうろこで覆われ、頭や肩、背中にはヒレがある。右手には鋭い爪があり、左手に銛を持っている。
それはクオトアから籠を受け取り、中から何かを一つかみ取ると口に持っていった。どうやら食べ物のようだ。何度か口を動かして納得したのかうなずくと、籠の中身を背後の水面に向かって放り投げる。そして空になった籠はクオトアへと投げ返すと、身をひるがえして水中へと潜っていった。
ピンサーを持っていたクオトアが奥の方へ向かって何事かを指示すると、ネットを持ったクオトアが4体現れ、そして湖面へと向かってそのネットを放った。どうやら魚でも取る場合にはあの魔物に貢ぎ物のような物を渡しているようだ。
そしてこの場所にはクオトアが数多くいるということも分かった。今の時点でピンサー持ちが1体、籠を持ってきた1体と、最初からいたクオトアが1体、後から来たネットを持った4体だ。漁をしているということは、この奥にはもっと多くのクオトアがいるのかもしれなかった。
「クオトアの数が多すぎる。ここはきついだろう。それに水中にどうやらメロウがいるようだな」
「メロウもか、そうなると水際はどこも危険だな」
「だけどさ、見なかった? 島かな、あったよね? あそこに建物があったよ」
「島にか? 気が付かなかったが」
「これ使って見てみて、もしかしたらもしかするよ」
フリアから小型望遠鏡を手渡される。6階の視察で借りて使った物だがどうやら継続使用の許可を取り付けていたようだ。クリストはそれを持つともう一度湖面を見るために移動した。
岩陰からのぞき見てクオトアの位置を確認すると、望遠鏡を目に当てて見え方を調整する。湖面がしっかりと捉えられるようになったらそれを動かして島の様子を確認した。
どうやら島という認識で良いのだろう。その島にもかがり火がたかれているおかげで様子をよく見ることができた。
島のはるか向こうにも壁のようなものが見えているし、湖面の形を見ても島で良いのだろう。その島の上をなぞるように見ていくと、右の方に建物らしきものがあった。建物と言って良いのだろうか。あずまやのような構造で、四方に柱が立ち屋根を支えている。壁は膝くらいの高さしかなく容易にまたいで越えられそうだ。
そしてその建物に中に、手すりが見えた。見覚えのある、階段の手すりのように思える。もしあれが階段ならば、島に渡らなければならないということだった。
「もしかしたかもしれないぞ。島に建物、で、階段だと思う」
「え、島に階段? ていうことは渡らないといけないんだよね?」
「当然そうなるな。クオトアの群れをやり過ごしてメロウのいる湖を渡って。なかなか難易度を上げてくれる」
「湖はウォーター・ウォークで歩いて渡るとして、クオトアとメロウはなかなかよね。確かクオトアに魔法を使うのがいたでしょう」
「ああー、そういやいたな。狙い撃ちになるのか。ウォールで防げるもんか?」
「どうだろう。ウォールで防げるのなんて一方向だけだよ。それにさ、確かあれがいるんじゃないかな。何だっけ6階に書いてあった」
「アボレスか。そうか、ここか。ここから上がって6階か、なるほどな。あー、そうすると時間がかかるのはまずいな。一気に駆け抜ける必要がある。エディ、ちょっと見てくれ、行けると思うか」
メンバーで最も重量があるのがエディだ。鎧、盾、斧と重い物しか持っていない。背後から攻撃を受けながら湖面を走って島まで行けるかという問題だ。
望遠鏡を受け取って確認に行っていたエディがすぐに戻ってくる。
「だいぶ距離があるな。20か30メートルといったところか。せめて背後は安全であってほしいってところか」
「そうだよな。同時に走り出せばどうしたってエディが最後方になって狙い撃ちの的だろう。おまけに湖面に出てから遅いとなればメロウの的だ。そうなるとエディが渡っている間は援護したいところなんだが、そうすると安全な場所で渡るべきだよな」
「クオトアを増援がなくなるまで倒してから渡るってこと? 大丈夫なの?」
「分からん。なあ、嫌なことを考えたんだが。島に階段があるとして、戻れるのか? 戻るたびにクオトアとメロウに対処しながら湖を渡るのか?」
「9階に降りたら戻ってこられない可能性か、そこまで考えていなかったね」
9階に下りて限界まで探索したとして休憩が取れるのかということだ。8階の階段室が休憩を取れるような場所ではない可能性だ。
そうなると常に体力魔力気力を温存しての探索になってしまい進展がかなり遅くなるだろう。では覚悟を決めて9階10階は一気に終わらせるということだろうか。それができれば良いのだが。
「よし、今回はクオトアを削れるか、安全に渡り始められるような状況を作れるかを確認しよう。うまくいけば湖を渡って島の様子を見る。階段だったら下りて9階を確認だ」
これで9階に下りられたら順調に行っていると言えるだろう。8階の成果自体は今のところ少ないが、10階を目指すという目標に対してはかなり順調だ。
まずはかがり火周辺のクオトアを倒していくことにする。こちらは岩陰から狙って近いところからクオトアを釣り、できれば各個撃破を狙う。背後に回り込まれることだけ注意していればそこまで問題にはならないだろう。
問題になるとしたら増援の数だろうが、それはやってみなければ分からない。
まずは湖面に向かってネットを投げて漁をしているクオトアを狙う。フリアが壁沿いに手近な1体に近づき、石を投げる。それを当てられた1体がネットから手を離してこちらに近づいてきた。フリアがもう一度石を投げて引きつけると、それをエディとクリストが引き取って攻撃し、倒す。
基本的にはこの繰り返しになるだろう。
やること自体は単純なもので、クオトアも面白いように投石に釣られてくる。2体目、3体目と倒したところで、次からはかがり火近くのクオトアだ。
ネットを持っているクオトアが少し遠い。近いのはかがり火の脇に立つピンサーを持ったクオトアだった。
フリアが岩陰から石を投げるとそれに気がついたクオトアが近づいてくる。そして次を投げようかというところで足を止め、左、湖の方を見た。そこで漁をしていなければならない仲間がいないことに気がついたのか、ピンサーを両手で構え、足取りが慎重になった。どうやらこのピンサー持ちのクオトアは他のものよりも知能も高いようだ。
それを見たフリアも慎重に後退し、その途中でもう一度クオトアに向かって石を投げ、注意を引く。クオトアの足が止まり、こちらの方を見ている。まだ距離はあるはずだが、見えているのか。口を開け、左手を槍から手を離してこちらに向かって何かのしぐさをした。すると後退を続けていたフリアの頭上から炎のようや輝きが降り注いだ。
「うひゃ!」
予想していなかったフリアが慌ててエディの盾の陰に向かって転がるように飛び込んでくる。何とか炎からは逃げ切れたようだが、クオトアはすでにピンサーを構え直してこちらに向かって突っ込んでくるところだった。
そのピンサーをエディが盾を構えて受け止め、ガツンッという激しい音が鳴る。盾に対して斜めにぶつけられたピンサーが閉じられ、盾に食らいついた。
「ファイアー・ボルト!」
そこへフェリクスが魔法を放ち、そして回り込んだクリストが剣を振るがその厚いうろこに遮られてそこまで効果的な攻撃にはならなかったようだ。
「フロストバイト!」
カリーナが放った魔法が命中し、クオトアの左半身が霜が降りたように白くなる。
エディの構えた盾はクオトアのピンサーに捕まれた状態になってしまい、互いにそれ以上動かせなくなる。
クオトアが口を開け何事かをいいながら左手を振った。
「げ、何か食らった! 動きが鈍い!」
クリストが言いながら振った剣がクオトアの右肩を滑る。エディが斧を使って攻撃しようとしたがこれはかみつこうとしたクオトアの牙と打ち合う格好になってしまった。
「スコーチング・レイ!」
フェリクスが使う魔法を少しでも多くのダメージを稼ぐ方向へ切り替える。3本の炎の矢が命中し、クオトアがよろめく。だがまだダメージを稼ぎ切れてはいないようだ。
エディとクオトアはもみ合い、クリストの剣がその脇を切る。そして再びフェリクスとカリーナの魔法がさく裂したところでようやくクオトアが膝から崩れた。
だが崩れ落ちる瞬間に大きく口を開け何事かを叫ぶ。するとその場に雷鳴のような音が響き、遠くかがり火の向こうにいたクオトアがこちらを見ている。気がつかれたのだ。
「やられたわね。ソーマタージーよ。たぶんこれから増援が来るわよ」
ダメージを発生させない、雷の音を鳴らしただけの魔法だが、その魔法の効果は絶大だった。遠くのクオトアにこの場所の危険を知らせたのだ。どうやら想定していたのとは違う形での戦闘が始まりそうだった。
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