ダンジョン・エクスプローラー

或日

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076:地下4階4

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 階段を下りた場所は左右に伸びる通路の中間だった。近くには魔物の気配はなく、まずは右からということで再びフリアが先行して進んでいく。しばらく先で右に分かれ道、また進んでいくと右に分かれ道と現れる。そこもそのまま真っすぐ進もうというところで先行していたフリアが前方にジャイアント・アント1体を発見。これはフェリクスとカリーナのファイアー・ボルトを受けた段階でふらふらで、エディが盾で殴りつけたところで動かなくなった。
 前進を再開してしばらく先で通路は右へ折れ、その先で部屋にたどり着く。ジャイアント・アント2体を確認、フェリクスとカリーナのファイアー・ボルトがそれぞれに命中し、突撃したエディとクリストが立て続けに攻撃してこれを撃破した。ここまでは3階から完全に続いているといった状況で、魔物にも変化はなく難易度は低いままだ。
 部屋の中には他に何もなく、ここまでと判断して通路を引き返す。途中の分かれ道を左に折れ、その先の丁字路も左に折れる。右へ折れた先は最初の分かれ道と合流するのではないかと予想したからだ。通路をしばらく進むと十字路、そこを直進すると部屋へたどり着いた。ここまでは魔物の出現も少なく非常に順調だったのだが、この部屋で久しぶりに扉があり、何かしらの変化が始まることを予感させた。

 扉を開けた先も同じように通路は続き、しばらく先で十字路になる。右は少し先に扉があり、この先は戻るルートになるのではと想像させる。正面と左はそのままずっと通路が続きそうで、そうなると進む先はひとまず正面と決まり、そのまま進むと丁字路へたどり着いた。そして右を調べに行ったフリアが報告する。
「こっち、たぶんそのダークゾーン? ていうのになるよ。あの光が通らないところ」
「ああ抜けるとここへ出るわけだな。てことはこっちからこれを抜けていくとゴブリンのところか」
「そうなると、やっぱりここが目的のエリアっていうことみたいだね」
 遠回りだとは聞いていたが、そのおかげか宝箱をいくつも見つけている。ランタンもたいまつもライトの魔法も効果がないというそのダークゾーンを避けた行程だったが、結果としては消耗もほぼなくここまで来れたのだ。正解だったといっていいだろう。そして問題はこの先にある。6階はタイガー、7階はグリフォン、9階はマイコニドの王かあるいはそのマインド・フレイヤーという聞いたことのなかった魔物か、そういった他よりも強力な相手がいるということだ。

 丁字路は左へと進み、少し先で右に折れてまたしばらく真っすぐ進む。また丁字路に差し掛かるかというところでフリアが後続を止め気配を探る。
「たぶんジャイアント・アント、なんだけどちょっと違う気もするから気をつけて。右に2、左に1だよ」
「ここから上位種が混ざるとかかもな。よし、エディ、右を見てくれ。俺が左をやる」
 準備をし、エディが丁字路から右へ、クリストは分かれて左へと進む。エディが右へ出てすぐ目の前が部屋のようになっていて、そしてジャイアント・アントが2体。そのうちの左の1体が右のものよりも一回りほど大きく見えた。エディはそちら側に盾を構え、右の見慣れたサイズのアントの方へと斧を突き出した。
 左に飛び出したクリストの先、まだ少しは距離があったがそこに1体のアントがいたが、これもやはりサイズが大きかった。これまでに戦ったアントよりも上位種と見ておいた方がいいだろう。と、そのアントが頭を持ち上げ、あごを開くと口から紫色をした液体を吐き出した。飛び出していたクリストは避けきれずに左腕にその液体を受けてしまう。シュウシュウという音がして直接かかったわけでもないのに腕に痛みを覚えた。それでも避けながらもアントに迫ると剣を振るう。
 2人に続いて通路に出たフェリクスとカリーナはとにかくクリストの側の1体を倒すことに決めファイアー・ボルトを放つ。液体を吐き出したあとの顔面にまとめて炎の矢が当たるが、これまでのようにこれで倒すとはならない。アントはそこからクリストにかみつこうと頭を振るった。
 のけ反るようにしてそれをかわしたクリストは液体を吐きかけられないように立ち位置を変えながら攻撃を加えていく。追い掛けるようにしてアントが横を向いたところを狙ってフリアが飛び込みナイフを頭の付け根に深く突き刺し、手を離して飛び退くと、アントが反撃しようと振り回した足が空振りし、結局ナイフがとどめになったのか、そのままその場に崩れ落ちた。
 反対側で2体を相手取っていたエディの盾からはアントが吐き出した液体がシュウシュウと音と煙を立ち上らせていた。エディはそちら側の相手はせずに弱いだろう方のアントに向かって斧を振るう。手の空いたフェリクスがそちらへファイアー・ボルトを撃ち込んでこれを撃破した。これで残るは1体だ。
 カリーナもファイアー・ボルトを用意していたがエディの体にさえぎられてアントを狙えない。一度行動は保留にして狙えるタイミングを待つことになる。クリストとフリアはまだ反対側の通路から駆けつけるまでに時間が必要だ。
 アントがあごを開いて攻撃しようとしたところをエディは盾を横へずらすように動かして位置をずらす。これで頭が見えたところにカリーナのファイアー・ボルトが放たれて命中した。だがこれで倒すことはできず、アントは再び顔を上げ、頭を振るようにしながら紫色の液体をまき散らした。この液体を盾ごしにもかけられたエディの鎧からもシュウシュウと音がする。だがここで振り回した斧がその頭をとらえ、殴りつけられたアントが壁に押しつけられる。そこへ駆け込んだクリストが剣を振るうと、ずりずりと落ちるように崩れていった。
「よし、いいな、あとは、大丈夫そうか。ふぅ、これは毒か酸か、鎧越しにもダメージがあるってのがな」
「盾で受け止めたはずなのに手に痛みを感じるってのは何だろうな。ああ、そこの部屋は空なようだ、そこで回復させてくれ」
 全員が部屋へ入り、入り口を警戒しながら休憩をとる。ヒーリングポーションを使って体力を回復。そして装備の痛みを確認し、必要であればそれも修理することになる。

 部屋での休憩のあとは通路を直進していくことになる。途中で左への分かれ道が2本あったが、それもパスして今は直進だ。結局その先でたどり着いたのはどう見ても今までの部屋の数倍はあるだろうという広いいびつながら円形を保っている部屋だった。天上の高さも2倍程度はありそうで、かなりの広さを持っている。砂が敷き詰められたような地面の様子が変わっていないことからこのエリアのうちということで良さそうで、そうなるとこの部屋がこのエリアのボスのいる場所になるのではないかと想像させた。部屋の奥の方は暗くてよく見えないが、もしかしたらその暗がりの中にいるかもしれない。
 そろそろと部屋へと近づいていくと、少しずつその様子が分かってくる。左右に少し大きめのジャイアント・アントが2体、天上近くに羽の生えたジャイアント・アントが1体、そして最奥には大きく膨れ上がった腹部を持ったジャイアント・アントが1体だ。恐らくあの最奥の1体がクイーンと呼ばれるものだろう。
「さて、あれがボスってことで良さそうだが、どうするかな」
「数が多いよね。ファイアー・ウォールかファイアー・ボールか」
「そうね、2人で手分けしましょう、私がウォールの方かしら。その前にブレスはかけておくわね」
「フリア、マジック・ミサイル・ワンドを持っておいてくれ。で、ファイアー・ウォールはどっちに、右だな、よし、そうしたらそっちはなしとして、俺とエディで左から回るようにして入る。フェリクス、その前にファイアーボールを頼む」
 右側の壁際からファイアーウォールでふさぎ、ついでにアントと羽付きの2体はそれに巻き込む。左から接近し、アントとクイーンをファイアーボールで巻き込む。方針は決まった。カリーナがブレスを前衛にかけ、さらに後衛2人はシールドとメイジ・アーマーを使い防御を固める。
「ファイアー・ウォール!」
 アントと羽付きがまとまったと見たところでカリーナがファイアー・スタッフを振って炎の壁を作りだし、それを巻き込む。炎の中に取り込まれた2体が炎上した。
 その壁の左側を回るように駆けだしたエディとクリストの前方で、クイーンが大きく体を起こし、そしてその近くにいたアントがこちらに気がついて動き出す。
「ファイアー・ボール!」
 そのアントとクイーンを巻き込むようにして火球がはじけ、渦巻く炎が魔物の体を包み込んだ。
 炎の消えたあとにはまだクイーンとアントも健在で、そのアント目掛けてクリストが剣を構えて突撃し、串刺しにする。その脇を駆け抜けたエディは斧をクイーンの前に突き出して引きつけた。
 炎の壁の中からようやく脱してきた羽付きがちょうど近くに来ていたエディの頭上から尻尾のトゲを突き刺そうと飛びかかろうとし、そこへフリアがナイフを投げつけて攻撃を止めさせる。
 炎の壁の維持をやめたカリーナは次にフロストバイトを選択し、それを羽付きに放ち、さらにフェリクスもマジック・ミサイルを放ち立て続けに命中させたことでこれを撃破。目の前のアントから剣を引き抜いたクリストがエディと2人がかりでクイーンの前に立ち、これに攻撃を開始する。
 ただ目の前に敵の集まったクイーンも見ているだけのつもりはないようだった。あごを開いて口から紫色の液体を大量に吐き出し、それがエディとクリストに頭上から吹きかけられた。
「ち、でかいんだよなあ」
 普通のジャイアント・アントであれば体高がそこまででもないのだが、クイーンは腹がふくらんでいる分だけ体高が高くなり、そして吐き出す液体が頭上からになってしまいかわすことが難しい。
 ピリピリとしたダメージに耐えながら剣を振り、斧を振り、盾を突き入れる。クイーンも負けじと手を伸ばし、爪を盾にひっかけ、そしてもう1本の手で斧ごとエディの腕をつかんで動きを止める。エディは盾から手を離して腰の剣を抜こうと動く、その頭上から大きなあごが迫ってきたが、そこへフリアがマジック・ミサイル・ワンドを使って魔法の矢を放ち命中させた。
 クイーンがひるんだところへ追撃とばかりにフェリクスはライトニング・ボルトを放つと、これに胴体を貫かれてけいれんする。最後はエディとクリスト、2本の剣が突き立てられたことで決着となった。

「よし、これでいいな。大丈夫か?」
「大丈夫かって結構紫よ、ほら、回復するわ」
 エディとクリストは頭上からかぶった液体で体中が紫色になっていた。おそらくはダメージと毒もあるのだろう、まだピリピリとした痛みがある。カリーナは2人に状態異常と体力の両方を回復させるために魔法をかけた。
「ね、見て見て、壁が崩れたよ」
 宝箱を探して部屋の中をうろうろしていたフリアが報告する。入った時には壁が崩れている箇所などなかったような気がするのだが、今見渡すと、確かに一部の壁が崩れてその向こうに石組みが見えていた。しかもそこには宝箱、そして下りの階段の姿もある。どうやらここのボスの場合は部屋の中に宝箱、倒すとそこに宝箱というパターンではなく、倒したことで開放された場所に宝箱という形になるようだ。
「こんなところにも下り階段、当然下は5階だよな。てことはあれか、他の道を探すっていっていたやつらはうまくやればここを見つけられていたかもしれないのか」
「そうだね。そしてこっちだとメフィットに合わずに地上まで行けるんじゃないかな」
「なるほどね、そういうルートも用意してあったと。とはいえ当時にこの壁がどうなっていたか、アントどもがどうなっていたかが分からないしな、結局そういうことも考えられるってだけか」
 この場所で探していた金属板は結局クイーンの後ろ足に結びつけられた形で見つかった。数字は2がしるされていて、ここに挑んだ目的は達成された。宝箱からは指輪が一つ見つかり、これで4階でやるべきことは全て終了。せっかく下り階段があるのだから5階へ下りて昇降機で1階へ行くことに決めると、クリストたちは階段を下りていった。
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