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1章
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しおりを挟むご飯は基本的に日持ちする黒パンと干し肉、それとカロリーメントみたいなブロック状の携帯食料だ。携帯食料は不味いというイメージはあるが、中々美味しかった。
外食屋や宿でもそうだったがこの世界の食文化は進んでいる。ファンタジーものでよくある味付けが塩だけとか肉しかないとかいうことは全然ない。
携帯食料はまずいと思い込んでした俺には嬉しい誤算だった。
夜は持ち歩ける簡易結界があるので見張りの心配はなく、外套に包まって焚き火のそばで眠った。
夜中に何かエドウィンさんがごそごそやっているのに気付いたが無視だ無視。気が付いてしまったら何をやらされるか分かったもんじゃない。性的な意味で。
…今まで、そしてこれからお世話になることを考えると少しぐらい手伝ってもいいのかもしれないが、自分からそういうことを申し出るなんて完全にビッチだ。俺は一線は越えないぞ。
…お願いされたらやぶさかではないかもしれないが。
もやもやした気持ちを抱えたまま、イストを出てから一週間が経った。そろそろ携帯食料に飽きてきたなと思ってきた頃、次の町が見えてきた。
馬車ならもっと早く着くらしく、馬車持ちでないことを謝られた。
王都へ行くにつれ強い魔物が出るようになるが、大きな町ほど冒険者が集うので魔物が強くても定期的に討伐されているので早々大きな被害は出ないらしい。
それに王都や大きな町には巨大な結界が張ってあり、例え知能のある魔物が群れを成して襲ってきても結界に阻まれ町の中には入って来れないそうだ。
門でギルドカードを見せると、イストの時とは違って入場料とボディチェック無しにすんなりと中に入れた。
ここはドウナの町。
日持ちはしないが焼きたてのふわふわな美味しいパンが売っている店があることで有名な町らしい。
宿にチェックインを済ませて少し休憩した後、その有名なパン屋に行ってみることにした。
扉を開けるとカランカランと鈴が鳴る。
「いらっしゃ…おっ、エドウィンじゃないか!また来てくれたのか」
「うん、今日はこの子の紹介も兼ねてね」
どうやらエドウィンさんとここの店主は知り合いだったらしい。
店主は俺の方を見て、ピタリと固まった。
少しぽっちゃりとしているが優しそうな雰囲気のおじさんだ。
「その子は…お前さんとどういった関係だ?」
「うーん…大切な人、かな?」
そう言ってエドウィンさんは俺に向かってウィンクをした。美形はどんなことをしても絵になる。
「はっはっは、いったい何人にその言葉を吐いたんだ?あー甘い甘い、クリームパンより甘いぜ」
店主はからかうように笑う。
やっぱり手慣れてるとは思ってたけどエドウィンさんは色んな人に手を出すような人だったのか。
想像して少しムッとする。エドウィンさんは否定はしなかった。
「おっと、申し遅れたな可愛らしい坊主。俺はマルディアってんだ、よろしくな」
「あっ、アキラです。よろしくお願いします」
ぺこりと頭を下げる。
社交辞令だろうか?この人にも俺が可愛い少年に見えているようだ。でも自分で確認してもとんでもない美少年だったしなぁ。
「で、今日は何を買って行ってくれるんだ?」
「アキラ君、好きなものを選んでいいよ」
そう言われたのでお言葉に甘えて、定番のクリームパンとイチゴジャムパンを買ってもらった。
パンを選んでいる間に二人のひそひそ話が耳に入った。
「なぁ、ちょっとだけ貸してくれよ。あんな上物初めて見たぜ」
「お金払われたってダメ。あの子はそんな安物じゃないから」
「な、頼むよ。一発ヤったら返すからさ」
「ダーメ」
「じゃあお前でいいや。久々にどうだ?」
「アンタ荒っぽいから嫌だよ」
「金貨5枚」
「……ダメだよ」
…聞かなかったことにした。
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