転生した愛し子は幸せを知る

ひつ

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本編

ギルマスとの出会い後編(ローブ視点)

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 あははは!嘘だろ、、、魔法使えちゃったよ。

 しかも、ワシですら見たこともない魔法もあるんだけど!どういうことだ!?びっくりすぎて混乱しているとベティに現実に呼び戻された。

 ニールはワシより魔法に優れておるから、ここはニールに任せた方がいいな。案の定、ワシが聞きたかったことを的確に質問しておる。

 赤魔法といえば赤い炎というイメージだったんだが…青い炎なんて人工的に作れるなんて知らないぞ。何かの自然現象だと言われているのだぞ。そしてその仕組みは、威力ではなく、温度を変える事らしい。威力を変えることで炎を変化させることはあるが温度を変えるなんて考えた奴いないんじゃないのか?しかも青以外の炎もあるだと!?面白いな。


 青魔法は上位魔法の氷が使えてるよ!青魔法を極めし者が長い年月をかけて使えるようになると思っておったぞ。曰く、こちらも水の温度を変えたらしい。

 黄魔法ではゴーレム作りだしたぞ。なんかひとりでに動いておるんだが…どゆこと?話しかけると理解しているのか反応しているし。指示もないのに自由に動くゴーレムっているのか!?これにはニールの奴も「すごいな」とか呟いてやがる。

 緑魔法もすごいな。浮遊魔法なんて難易度高すぎて世界に何人出来ると思ってる…わずかだぞ。規格外すぎるだろ。ニールの奴が疲れてるじゃないか。ワシも疲れたがな!

 ワシにはもう1つ気になった事があるのだ。


「おい!ニール!他にも気になったことがあるだろ!?無詠唱だったぞ。ティア、詠唱はどうしたんだ?」

 そう、魔法を発動する時は詠唱をするものなのだ。だがティアは詠唱をしていなかった。完全無詠唱だった。ニールでも簡単なものは詠唱しなくても出来るが難易度が高いものは流石に詠唱を必要とする。上位魔法なんかは詠唱がなくては使えない。しかし、ティアは青魔法の上位魔法すら無詠唱。おそらくどんな魔法も詠唱しなくても発動する…完全無詠唱だろう。

 なんか出来ちゃった。で済む問題なのか!?そんなわけ無いだろ!

 エリックがこれでティアが全属性だとわかったなと聞いてきた。これにはニールともども…

「「とても」」

 嫌でもわかったわい!納得しているワシらにドヤ顔しているティア。いや、これ本当にドヤれることだからな!!

 とりあえず全属性で登録するか。虚偽は認められんからな。ティアにはこの事を所構わず話してはならないと教える。全属性なんてこの世界におそらくティアくらいなんじゃないだろうか。これを知られたら、戦争の火種になりかねん。

 ベティが登録しに行っている間にエリックと話しをしておくか。

「おいエリック。今のうちに話しておこう。ティアとの出会いについて。」

 ワシとエリックは席を立ちワシの部屋へと向かった。ニールと2人で残すことになるが…大丈夫だろう。誰にでも壁を作りがちなニールだがティアになら心を開けそうな気がする。




♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢

 ワシの部屋にエリックを連れて入ると、早速ティアについて話しを切り出した。

「先程ティアはモーリーの森で保護したと言っていたが…」

「本当だぞ。それも夜だ。最初は冒険者が襲われているのかと思って様子見で近くを探したんだ。そしたら、グレーウルフに襲われていてな。マズイと思って助けたのがティアだった。助かって安心したんだろう。そのまま眠ってしまったから騎士団の寮に連れて帰ってきたんだ。で、次の日に目が覚めたからどうしてあの森にいたのか聞いたら分からないと…覚えてないと言っていた。また記憶が曖昧なようでこの世界の事………いわゆる常識的なものなんかは全然ダメだな。ティアのやつ初めてアップルを食べたと言っていたしな。」

「はぁ!?アップルを初めて食べただと!?そんなことあり得るのか?」

「俺も驚いた。だが本当に食べたことないみたいなんだよ。」

「どんな生活してたんだ…」

 アップルはこの世界中で食べられている果物だぞ。生きてりゃ一度は必ず食べる。それは王族や貴族でも同じだ。

「ローブさん、その…ティアの属性なんですが。全属性なんて持つ者が存在するとか俺は信じられないというか知らないんだが…ましてやティアが使った魔法、はっきり言って異常な出来じゃなかったか?」

「ワシもあれには驚いた。この世に全属性を持つ者がいるなんて信じられん。それに、あの魔法。規格外ではないか。しかも完全無詠唱!初めての魔法で出来ることじゃないだろう。」

 あれには肝が冷えたわい!夢でも見とるかと焦ったぞ。夢なら良かったのに。

「本当に規格外だよなぁ。それでいてあの容姿だ。狙われる可能性が高いんだよな。」

「そうだな。あれほどまでに整った容姿など滅多にいないだろう。変な奴らに目をつけられたら厄介だぞ」

「その事なんだが俺の家が後ろ盾になろうと思う。ティアがルーゼルト家の庇護下にあるとなればある程度は守れるからな。」

「それならワシもなるぞ。伊達にギルマスをしているわけではない。Sランクまで上り詰めたワシだ。少なからず力になれるだろう。」

 これでもワシは冒険者としてはSランクの実力を持っているのだ。エリックだけにティアを独占させるか!!おっと、本音が……

「そろそろ戻るとするか。何かまたあれば連絡してくれ。」

「助かるよローブさん。」




♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢



 ティアたちがいる部屋に入ると、目の前にはニールの膝の上に乗ったティアがいた。ちょこんと座っているティアに目がいった。ニールめ!こんなにも憎らしいと思ったのはいつぶりか。

「なっ!ニールさん、ずるいぞ。」

「何を言いますか。ティアさんもここがいいですよね?」

 あのニールが何かに対して譲る気がないとは…エリックと睨み合っているとは……いったいワシらが話し合ってる間に何があったんだ!?いや、今はそれどころではないな。

「「あっ!」」

「全く…ティアはワシの膝の上がいいに決まっているだろう!」

 2人からティアを奪うと間抜けな声が聞こえたが知らん!ワシは満足気にティアを膝の上に乗せてイスに座った。ここで1つティアにお願いをした。

「ワシの事はローブおじいちゃんって呼んでくれないか?」

 すると、なんということでしょう!!

「ローブおじいちゃん!」
 
 おじいちゃん…おじいちゃん…いいな!なんだこれ。孫娘がいたらこんな感じなのか。

 おっと、どうやら声に出ていたらしい。

「「「チッ」」」

 おい!今舌打ちしたな?しかも、ベティ!お前壁と同化しすぎだろう。お前、そんなキャラだったか?ギルマスのワシにそんな事しちゃうの!?ティアよ、慰めて!!

「……お、おじいちゃんよしよし。」

 ヌオォオおおおお!!!もう、おじいちゃん今なら書類の山を片付けられそうだ。ふはははは!今のワシにはお前らの舌打ちなんて怖くないもんね!ティアからのよしよしパワーいいだろう!ドヤッ



 そういえば今は騎士団に保護されているんだったな!エリックとも話したが後ろ盾になるのと住居は別だもんな!そう思いこれからについて聞いてみると、決めてないという。それなら!

「ならばワシと一緒に住ま……」

「何言ってるんだ!ティアはずっと俺と一緒だ。なんなら、俺の家に来い。ティアの親を見つけるまでいたらいい。」

 うぉい!ワシが先に言うつもりだったのに!先越されたではないか。ニールやベティも同じ事を思っていそうだな。









 ニールがワシらが席を外していた時の事を説明してくれた。そうか、そうか、ティアは白金貨を持っているのか。

 …………は?い・ま・な・ん・て?開いた口が塞がらないぞ。


 しかも、その白金貨、パパにもらっただと!?お小遣いとして?いやいや、、、

「「「「どんなパパだよ!」」」」

 あ、ハモった。じゃないわ!お小遣いの域、超えてるからな。いや、本当どんなパパなんだ!?疑問が山積みだ…この事は他言無用だな。ベティとニールに念のため言う。こいつらは心配しなくても大丈夫だろう。話も終わり解散となる。


 エリックがティアを抱っこしてドアへ向かう。

「ばいばーい!またね、ローブおじいちゃん、ニールさん、ベティさん!!」

 

 考えるだけ無駄のような気がしてきたワシはティアに手を振り見送った。





♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢

 ティアとエリックが帰った後、部屋に残っていたベティが話しかけてきた。

「ティアちゃんですが、がいるようです。パパとは別のようなのです。その…ティアちゃん、と違って、パパは愛してくれていると話していました。」

 その時を思い出したのだろう。ニールも顔を歪めている。

「それは気になるな。ティアについてワシも独自に調べてみる。」

 ティアがどこの誰であれワシにとっては可愛い孫娘のようなものだ。

 またギルドに来てくれるのが楽しみだな。そして、おじいちゃんと呼んでもらうのだ!

「ベティ、ニール。ティアの家族が誰であれワシらにとってはティアはティアだろう。ティアは天使だ。それが全てだと思うぞ。」

「「ですね。天使……ぴったりです」」

「ではワシは知り合いにティアの情報について聞いて見ようと……」

「先に書類終わらせて下さい。」

 ニールの奴、流されてくれないか!!



 その後ワシは書類の山を必死に終わらせるのだった。







ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 ローブ視点ずいぶん長くなりました。本当は1話で終わらせるつもりが…前編と後編になりました。
ニール視点も入れるつもりです。ローブ視点より短くなる予定ですので、ティア視点に戻るまで少しお待ち下さい。٩( 'ω' )و





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