転生した愛し子は幸せを知る

ひつ

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本編

報告(ファボ司教視点)

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「久しぶりだなファボ司教。」


「ご無沙汰しております陛下。」


 王都へと久しぶりに戻って来た為、陛下へ挨拶にやってきた。本来ならもう少し早い時間に謁見する予定ではあったのですが…まぁ陛下はそこまで気にするような方ではありませんので寛大なお心でお許し下さいました。


「今回はたしか西の方を見てきたのだったか?」


「えぇ。いやはや聖職者で悪事を働く者が居るとの情報が寄せられたので確認にと思い行ってまいりました。全く遺憾なことにその疑いのある者は罪を犯しておりました。民たちからの献金を横領しておりました。許されぬ行いをしたこの者を問いただした所、どうやら裏で糸を引っ張る者がいる模様。黒幕が誰であるか引き出そうとするとその者は狂ったかのように怯えだし叫び出しました。もはや欲しい答えは得られないと言えましょう。」


 あの者は狂ってしまった。いや、狂わされたと言うべきか。1年ほど前までは潔き聖職者だった。民たちに真摯に寄り添い真面目な性格だったのだ。


「黒幕か…目的が分からない以上、警戒しておくべきだな。」


「…そう言えば1つ気になる事を言っておりましたな。"見つけ出さねばならない"と。」


 何を見つけ出さなくてはならないのかと問いただしても、聞こえていないのか話が通じないのだ。


「見つけ出さねばならない…黒幕とやらは何かを探しているのか。その為にお金を集めていると言う事か?この件は何か嫌な予感がする。世界をも揺るがすような、そんな気がしてならない。」


「えぇ。同感です。他国の司教とも連絡を取ってみようと思います。教皇様なら何か情報を得ているかもしれませんがあの方とは簡単には会えませんので。」


 教皇様がおられる所は神聖なる地。限られた者しか会うことが出来ず、鎖国と言ってもおかしくないほどです。どんな権力にも屈しない独立した国とでも言いましょうか。私も数回ほどしか教皇様にお会いした事がありませんし。教皇様自ら動いてくださるか否か分かりませんね。


「教皇様が動いてくれる事を願うしかないな………ところでファボ司教に見てもらいたい子がいるんだがいいか?」


「私に見てもらいたい方ですか?」


「あぁ!名前はティアと言ってつい最近第1騎士団隊長エリックの養子になった子なんだ。私もセルーナもメロメロなんだ。まぁ1番心を奪われているのはレオンハルトだがな。」


 おや?陛下はティアお嬢様の事をご存知だったようですね。


「それでしたら既にお会いしましたよ。」


 それも先ほどですしね。


「なにぃ⁉︎いつの間に…ファボ司教も目をつけるとはティアはやっぱり凄いな!」


 えぇ。偶然とはいえ出会った瞬間、あの子から何かを感じるものがあったのです。神に近い何かと言うべきでしょうか。何故だかそう思ったのです。


「で、どうであった?」


「正直私には分かりません。不思議な子と言いましょうか。」


♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢

「私の加護は…」


 そう言ってティアお嬢様は口を開いた。


「ディオレールの加護です。」


♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢

 ディオレールの加護…ティアお嬢様はディオレール様の事をご存知ないのでしょう。ディオレール様は世界は違えど神なのです。加護と言えば「赤の加護」「青の加護」と言った魔法属性に関するものであったり「武の加護」「技の加護」と言った武術に長けたり技術に長けたりするもの、「商売の加護」「建築の加護」と言ったものであれば職業のものであったりと神自ら加護を与える事はないに等しいのです。これらの加護は主神様の眷属達が付けたりするので、神自ら加護を与えると言うのはここ数世紀に渡ってなかったのです。ましてディオレール様の加護などアティス様が管理する世界の者が受けるなど驚きものですよ。


「陛下、1つ私から言えることがあるとすれば、必ずティアお嬢様をお守りして下さいということです。ティアお嬢様の事を鑑定させてもらったからこそ言えるのです。何かあれば国を挙げてでも守るべき存在だと言えましょう。」


「それは…ティアを鑑定して何か分かったからなのか?」


「陛下は教会で使われる鑑定魔道具をご存知ですよね。そしてこの王都の教会では5型まで使えるのも。それを使ってでも一部鑑定出来なかったのです。ティアお嬢様は5型の鑑定魔道具をも凌ぐ鑑定スキルをお持ちです。故にティアお嬢様自ら私は教えていただいたのです。ティアお嬢様がお持ちの称号…加護を。」


「…つまり、ティアのステータスは5型では測り切れない。かつ、称号も普通ではない加護を持っていると。そして、ファボ司教はティアの加護を知っているが教える事は出来ないと言うことか。」


 まとめるとそうなりますね。


「いくらティアお嬢様の加護を教えてほしいと頼まれても言いませんよ。報告する義務があるとは言え、今回ばかりは陛下であろうと譲りません。」


「はぁ~。分かった。安心しろ。これ以上はティアの加護については聞かんよ。いつか分かる時がくるかもしれないしな。」


 そうしてくれるとありがたいです。


「では私はこれで失礼致します。私の方でも黒幕について調べてみますので何か分かればお知らせしましょう。」


「よろしく頼む。」


 それではまた王都を離れるとしますかね。次は北の方の教会を見て回るとしましょう。








 


 
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