転生した愛し子は幸せを知る

ひつ

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本編

迷子になってしまったようだ

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 早速ですが、迷子です。えへっ。やっちまったとはこの事だね。はしゃぎ過ぎたとも言うけど。





 最初は一応、キャワルンズの3人が言っていた通り真っ直ぐに道を進んでいたんだよ。フラーレンの宿は何処かを聞きながら目的地へとスノウと歩いてたもん。でもさでもさ!やっぱり気になるお店とか沢山あるじゃん?知らない街って探検したいなっていう子供心が勝っちゃったわけよ。色々な所をいつの間にか周りだして道を聞くとかをしなくなっていたわけ。結果、どうなったのかって?そんなの……


 ま・い・ご!迷子だよ!!!


 気づいた時には大通りから逸れた所に出てきちゃってましたよ。不思議だよね~。さっきまで人通りの多い所にいたはずなのに。さすがに人が周りにいないのはヤバいなと思って、来た道を戻ったつもりでした。はい、つもりだったわけですよ。似た道ばかりで余計に迷子になっただけだったよ。くそぉ…


 スノウの鼻を頼りに戻ろうとした時にはすでに遅く、そこらかしこを歩き回った私たちの匂いは彼方此方にあり、正解の道への匂いはかき消されていたとさ。私もスノウも後先考えずに、はしゃぎ過ぎた事を後悔したよ。


〈ティア、ごめんね…僕がしっかり道を覚えていれば良かったのに。〉


「スノウのせいじゃないよ!私があっちに行こう、こっちに行こう、やっぱりあそこも気になるとか言って色々と変な道を試したせいだし。」


 スノウが最初、道を確認していたのを知っているもん。スノウは道を覚えながら歩いていたのに、私がちょろちょろとすぐに目を離すとどっかに行ってしまうから…うぅ大変申し訳ない。落ち着けとあの時の私に誰か教えてくれ~。


 トボトボとスノウを抱き上げ歩く。


〈クンクン…ティア、人が近くにいるよ!〉


「えっ、ほんと!?やったー!」


〈うん!でも、どんな人物かは……ちょっ、ティア走ったら危なっ…!!〉



 私は人がいると聞いて、何がなんでも逃すものかと必死になって走った。曲がり角を曲がった瞬間、ちょうど同じく角を曲がろうとしていただろう人物とぶつかった。


「おわっ!?」


「きゃっ!」


 尻もちついた。いてて…


「アルベルタ様!ご無事で!?何者だ!」


「ふぇ!?」


 ぶつかった人物と一緒にいただろうフードを被った男は剣を私に向けてきた。スノウは私とフード男の間に立ち、瞬時に攻撃態勢に入る。


「落ち着けビス!剣を下げろ!」


 私がぶつかった人物は剣を向けたフード男に命令をする。ぶつかった人物もフードを被っているため、顔はわからない。だが身長的に私と同じくらいの歳ではないだろうか。


「すまない、護衛が失礼した。その従魔のウルフも攻撃態勢を解いてくれないか。」


 私は剣を目の前に突きつけられたことで放心状態になっていたが、フード男が剣を下ろした事で一気に涙が溢れ出てきた。


「う、うわーん」(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)


「「!?!?」」


 スノウは私の涙を必死に舐めて、涙を止めようとしている。目の前のフード組の2人はオロオロとしだす。


「お、おいビス!お前のせいだぞ。ど、どうするんだ!?泣かせたぞ!?」


「アルベルタ様っ!?私に言われましても…人族の、それも子供の対応は分かりかねますよ!!」


「俺だって、分からないぞ!?でも、どうにかしないとこのウルフが今にも飛びかかってきそうだ。このウルフ、まだ小さいとはいえかなりの強さだぞ。」


 ティアにぶつかった人物はスノウから何かしら感じるものがあり、普通のウルフとは違うと肌で感じていた。


「あ、あー君、泣き止んでくれないかな?」


 フード男(剣を向けた方)はジリジリ近寄ってくる。


「ひぅ…ふぇーん!!!」


 大きな大人が怪しいフードを被り、帯剣したまま近づいてきたらそりゃ怖いよね!


 私の泣き声がより一層大きくなった事に敏感に反応したスノウは、殺気を撒き散らし風の刃を創り出し放とうとする。


 ギョッとしたもう一人のフードの人物が慌てて私に近づいたフード男を後ろに引っ張る。


「待て待て待て!!ビス、お前はそこで待機だ。ウルフ、俺たちは敵ではない。」


グルルル…


「フードを取るだけだ!何もしないから!」


 フードに手をかけた事に警戒したスノウが威嚇の声を鳴らす。


 そっとフードから顔を出した人物は、手をあげ何もしないアピールをしている。


「俺はアルベルタという。」


 私は顔をあげてアルベルタと名乗る人物を見る。彼は私が名を名乗るのを待っているようだった。


「ぐすん…ぐすん…私は…ティア」


「そうかティアと言うのか。いい名前だな。ティアはここで何をしていたんだ?」


「…泊まってる宿、探してた」


「つまり、迷子か?」


 コクンと頷くティア。


「ならばその宿まで送っていこう。」


「アルベルタ様よろしいので?」


「ビス、お前まさかここにこの子を置いて行く気か?」


「いえ、そのようなつもりではありません!大通りまで出て、誰か人に任せればと思ったまでです。アルベルタ様が自ら送っていく必要は…」


「はぁ…いいかビス、この子を泣かせたのは誰だ?俺たちだろ。せめて謝罪の意味を込めて無事に宿へ送り届けるのが誠意だと思うが?」


 スノウはアルベルタという少年は話の分かる奴だと思ったのか警戒は残りのフード男に向けることにしたようだ。


「まぁ、その通りですが………わかりましたよ。私はアルベルタ様に従うまでですからね。それに、私も悪いことしたなと思っていますし。」


 というわけで脱迷子にはなりそうだ。




 




 


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