転生した愛し子は幸せを知る

ひつ

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本編

ウォン

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「ここが青薔薇たちのいる部屋だ。ドアを開けるから、ドアから離れてろ。」


 ドアから離れてろって…中にいるのは凶暴な生き物か何かなわけ!?話が通じない系なの!?


「それじゃあ開けるな?……入るぞ。」


 コンコンとドアを叩いて声を掛けたテルボーさん。中からは「気をつけて下さいっ!」と焦った声が聞こえた。……開けて大丈夫⁉︎


ガチャ…


「グルルルッ!!!」


 殴りかかってきたのは1人の獣人さん。テルボーさんにあと一歩のところでお仲間さんたちに後ろからホールドされていた。


「ウォン!いい加減にしろ!」


「ふざけるな!こんな所に閉じ込めておいて信用できるわけないだろ!」


「俺らを閉じこめてるわけじゃないと何度説明すればわかるんだ!」


 話の通じないウォンという人物に青筋立てているお仲間さんたち。


「人族なんて信じられるか…」


 警戒を解こうともしない彼に私の横にいたアルが前に出て言った。


「ウォン、下がれ。」


 そう、ただ一言。たった一言だったが、それを聞いた青薔薇の人たちはピンッと背筋を伸ばし列をなした。ウォンと呼ばれていた人も瞬時に移動したいた。まるで別人のようなアルに目を点にする私。


「アルベルタ様…」


「ウォン、お前は何しに来たつもりだ?」


「それは勿論、あの人族どもを殺しにッ」


「そうか。お前はもういい。国に帰れ。お前は必要ない。」


「ーーッ!!」


 不穏な空気が漂う。私の知るアルとは似ても似つかない様子でなんか怖い。あんな冷たい目のアル知らない。思わず抱えていたスノウをぎゅっと抱きしめる。


「ぁ…な、なんで…ですか。」


「わからないと言うのならそれまでだ。この件にはもうお前は関わらせない。」


「俺は役に立てます!!」


「お前の実力は知っている。だが、お前に足りていないのは実力ではない。」


 あぁ…立派な尻尾がしょげいてる。


「…というわけでウォン、お前にはこの件から抜けてもらう。お前がいなくても強力な助っ人たちがいるから戦力に問題はない。」


 ビスさんがそう言って視線を向けたのはエリック隊長たち。


「おいおい、この流れで俺らに話を振るなよ…」


 視線を投げられたエリック隊長はげんなりのご様子。ウォンは自分よりも戦力になり役に立つ存在だと紹介されたのが自身の嫌っている人族だと分かり、エリック隊長たちを睨んでいる。あからさまな人族嫌悪に流石のエリック隊長も居心地悪そうだ。


「はぁ…まぁ、そういうわけだ。ウォンだっけ?俺らも協力するから。」


「弱そうな人族が威張るな!!アルベルタ様、ビス様、こんな奴より俺の方が強いに決まっている!信用出来ない!」


「お前が信用していないのはエリックさん達個人ではなく、人族という括りだろう?」


 ビスの言葉につまるウォン。肯定しているのと同じだ。


「だから外す。それだけだ。」


 アルベルタの決定に悔しそうに拳を握るウォン。


「こっからは関係者のみだ。悪いがウォンとやらには隣の部屋に待機していてもらう。」


 ウォンは壁に拳を打ちつけると下を向いて部屋を出て行った。乱暴に隣のドアを開け閉めする音が聞こえたので一応待機しておく事は守るようだ。


「おいおい壁が凹んでんぞ。」


「すみません。修繕費はこちらがしっかり出しますので…」


 申し訳なさそうにペコペコ謝る青薔薇の人たちである。


 エリックたちは話をしようと部屋の中心のテーブルに腰をかけた。






 ウォンだけが部屋から出ていったつもりだった。エリックたちは小さな影二つがウォンを追って消えている事に気づいていなかった。






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 補足ですが、ティアだけがまだアルベルタの正体を知っていません。なので、アルベルタの言動に何がどうなっているのか分からず混乱している感じです。ティアがアルベルタが獣王国の王族だと知るのはもう少し後です


 
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