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本編
ウォンとティア(ウォン視点)
しおりを挟む「くそっ!!」
荒々しくドアを閉めたウォン。苛立ちが隠せない。
先ほど仕える主に自分は必要ないとはっきりと言われてしまった。それだけでなく、自身よりも人族の男たちの方が強く役に立つとまで。人族の男たちの中には同じ獣人や半分だけだがエルフもいた。彼らはまだ許せる。だが他は人族だ。納得がいかない。
その時、優しくドアが開いた。もしやアルベルタ様かビス様かと期待して振り返るがそこには人族の女の子が立っていた。あとぬいぐるみ…違った。生きてた。ウルフを抱き抱えていた。まだ人族でも子供なら我慢できる。
「……お邪魔します。」
「……出ていけ。」
「でも隣の部屋で待機するようにって言ってたし。」
「???」
誰にだ?俺はここのギルドマスターとかいうやつに言われたからだが、この子は誰に言われたんだ?
「部屋を間違ってるんじゃないか?」
「えっ!間違えてなんかないよ。さっきテルボーさん言ってたじゃん。ここからは関係者のみだから隣の部屋に待機してろって!!」
そのセリフは確かに先程聞いた。お前、あの場にいたのか。気付かなかったぞ。小さすぎて、、、
「というか、それ俺だけに向けて言った言葉だと思うぞ。お前は関係者組なんじゃないか?」
「えっ!?私な~んにも知らないよ?ただ付いてくるようにって言われただけだし。子どもは大人しく待ってなさいって事じゃないの?あっ、でもアルは関係者みたいだったけど。」
こてんと首を傾げる少女。
「お前、まさかとは思うがアルベルタ様の事を愛称で呼んでいるわけじゃないよな?」
「もしかして駄目だった?アルがそう呼んでいいって言ったのに…」
「無礼だぞ!」
思わず怒鳴るように言ってしまった。と、同時にぬいぐるみに扮したウルフが少女の腕から飛び出て俺の腕に噛み付いてきた。全く避けることも出来ず、おもいっきり噛まれた。俺は青薔薇の一員だぞ?ウルフの子どもなんぞに遅れをとるなんて…今の出来事が信じられない。
「あぁああ!!スノウ何してるの!?ごめんなさい、ごめんなさい!スノウ、ビスさんの時みたいに噛むなんて…ヒッ!!血が、、、血が出てるからっ!!」
アワアワと慌て出した少女。そして俺の腕からは少量だが血が垂れていた。それを見た少女は大きな瞳から真珠のような雫を流し始めた。
〈……ッ!?テ、ティア泣かないで!ごめん、僕が悪かったから。血を出させたのは僕のやり過ぎだったよね。反省してるから、僕のせいでこれ以上泣かないでっ!!〉
クゥーンクゥーン
焦ったウルフは俺の腕から離れると少女にかけ寄りオロオロと足下をまわり鳴いて何かを訴えている。
俺は、この少女の涙に弱いみたいだ。まるで妹のリタを思い出させる。
「これくらい痛くも痒くもない。だから泣くな。」
軽くデコピンしてやると、ポカンとしておでこを押さえている。
「フッ、間抜けな顔だな。」
「間抜けな顔してないもん!」
プク~とほっぺを膨らませる少女に思わず知らず笑みが漏れた。
「笑った~!!」
「…笑っていない」
「嘘だー!絶対笑ったもん!」
「気のせいだ。」
ほんとに?ほんとに?と下から顔を覗く少女に顔を背ける。
〈もうティア怒ってない?〉クゥーン?
「スノウ、怒ってないよ。ただ急に誰かを噛んで襲っちゃダメだよ。ちょっと怖いから…」
〈ーーッ!!うん。これからはティアの前では気に入らない奴が居たからってすぐに噛み付いたりしないよ!危害を加えるような奴は別だけど。(噛んでもバレないように)気をつけるから安心して!〉キャンキャン…グルッ♪
チラリと見せつける牙は確かに俺を狙っているだろ。なんて鳴いて言ってるか分からんが安心できないウルフなのは確かだ。
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