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嵐のような騒動から、数日が過ぎた。
ロランド王子とミナは、三時間後に無事(?)解凍された後、ルーアが手配した『生鮮食品輸送用』の馬車に乗せられ、着払いで国へと返送された。
送り状の品名欄には『要冷蔵・生もの(返品不可)』と記載しておいたので、国境の検問もスムーズに通過したらしい。
そして、ドラグーン公爵領には再び、平和で効率的な日常が戻っていた。
「……ふう。これで今月の予算案は完成ですね」
夕暮れ時の執務室。
ルーアは最後の書類に承認印を押し、大きく伸びをした。
「予定より二日早い。素晴らしい進捗だわ」
彼女が自画自賛していると、執務机の向こうから、どこか落ち着きのない視線を感じた。
クラウスだ。
彼は先ほどから書類を読んでいるフリをして、チラチラとルーアの様子を窺っている。
その様子は、イタズラがバレるのを恐れる子供か、あるいは獲物に飛びかかるタイミングを計る猛獣のようだった。
「……閣下。何か言いたいことがあるなら、はっきりおっしゃってください。視線が気になって作業効率が0.5%低下します」
「……気づいていたか」
「あからさまですから。まさか、また私が知らない間に高額な壺でも買いましたか?」
ルーアが疑いの眼差しを向けると、クラウスは慌てて首を横に振った。
「違う! 断じて違う。……その、今日は君に渡したいものがあってな」
「渡したいもの?」
クラウスは引き出しから、掌サイズの小箱を取り出した。
ベルベットのような高級な布張りで、金色の縁取りが施されている。
どう見ても、宝石が入っている箱だ。
ルーアの眉間にシワが寄った。
(……出たわね。貴族の悪い癖。『女は宝石を渡せば喜ぶ』という浅はかな思考回路)
彼女は内心でため息をついた。
宝石は美しいが、管理が面倒だ。盗難保険に入らなければならないし、つける場所も選ぶ。換金性は高いが、プレゼントされたものを即座に売るのはさすがに角が立つ。
「閣下。お気持ちは嬉しいですが、私は装飾品の類には興味が――」
「まあ、開けてみてくれ」
クラウスは強引に箱をルーアのデスクに置いた。
その表情は、なぜか自信満々だ。
ルーアは仕方なく、リボンを解き、箱の蓋をパカッと開けた。
「……え?」
そこに入っていたのは、輝くダイヤモンドでも、真っ赤なルビーでもなかった。
鈍い銀色の光沢を放つ、金属の塊。
無骨だが、洗練されたフォルム。
整然と並んだ数字のボタンと、魔力を帯びて微かに発光するディスプレイ。
「こ、これは……まさか……」
ルーアの声が震えた。
「『賢者の石』社製、最新型魔導計算機……『アビス・カリキュレーター・モデルX』!?」
「正解だ」
クラウスがニヤリと笑った。
「君が使っている計算機は、私が凍らせてしまったものだろう? 解凍しても少し反応が鈍くなっていたようだからな。代わりを用意させてもらった」
「だ、代わりなんてレベルじゃありません!」
ルーアは震える手で、その計算機をそっと取り出した。
まるで壊れ物を扱うように、慈しむような手つきで。
「これ、王都の研究機関でしか手に入らない幻の逸品ですよ!? 並列演算処理機能付きで、桁数は驚異の二十桁! しかも、魔力チャージ式だから電池交換不要!」
彼女は頬を紅潮させ、早口でまくし立てた。
「キーの打鍵感も最高……! この『カチッ』じゃなくて『コトッ』という静音仕様! これなら深夜の執務でも音が気にならないわ!」
ルーアは試しにキーを叩いてみた。
コト、コト、コト……。
指に吸い付くような感触。計算結果が瞬時にディスプレイに浮かび上がる。
「速い……! 従来の三倍の速度! これなら、来年度の税収予測も五分で終わるわ!」
ルーアは計算機を抱きしめ、うっとりと頬ずりをした。
「素敵……最高だわ。こんな機能美、見たことない……」
その瞬間。
彼女の顔に、これまでにない笑みが浮かんだ。
それは、商談成立の際の「営業スマイル」でも、敵を論破した時の「冷笑」でもない。
心からの喜びが溢れ出た、少女のような無垢な笑顔だった。
「ありがとうございます、閣下! これ、すごく嬉しいです!」
花が咲いたような、と形容するしかない満面の笑み。
その破壊力は凄まじかった。
ドキン。
クラウスの心臓が、早鐘を打った。
彼は椅子から転げ落ちそうになるのを、必死にこらえなければならなかった。
(な、なんだ今の顔は……)
いつも冷静沈着で、数字と効率のことしか考えていない鉄の女。
その彼女が、たかが計算機一つで、こんなにも可愛らしい顔を見せるとは。
「……あ、あぁ。気に入ってくれたなら何よりだ」
クラウスの声が上ずった。
顔が熱い。氷の魔導公爵であるはずの彼が、自分の体温で溶けそうだ。
「はい! 早速、使い心地を試してもいいですか? そうだ、閣下の資産運用シミュレーションを再計算してみますね!」
ルーアは嬉々として計算機を叩き始めた。
その横顔を見つめながら、クラウスは口元を手で覆った。
(……計算外だ。これほど愛おしいとは)
彼はこれまで、多くの女性から言い寄られてきた。
宝石やドレスを贈れば、彼女たちは喜んだ。だが、その瞳はいつも「物」の価値を見ていた。
しかしルーアは違う。
彼女は、彼が「彼女のために選んだ道具」の「機能」を愛してくれている。
それが、ひねくれ者の公爵にはたまらなく嬉しかった。
「ルーア」
「はいっ! あ、すごい! 複利計算が一瞬で!」
「その計算機には、もう一つ機能がある」
「え? まだあるんですか? 自動グラフ作成機能とか?」
「いや。……通信機能だ」
クラウスは自分の胸元から、対になるもう一台の計算機(黒色)を取り出した。
「二台の計算機を魔力でリンクさせてある。片方に入力した数字や文字を、もう片方に送信できる」
「へえ、ショートメッセージ機能ですか。便利ですね。内線代わりに使えます」
ルーアは感心したように頷いた。
「では、テスト送信してみますね。『明日の・朝食・七時』……と」
ピロン。
クラウスの手元の計算機に文字が表示される。
「届きましたか?」
「ああ。……では、私からも送ろう」
クラウスは少し迷った後、慎重にキーを叩いた。
ピロン。
ルーアの手元のディスプレイに、文字が浮かぶ。
『ありがとう・最高の・パートナー』
ルーアはそれを見て、一瞬だけ動きを止めた。
そして、小さく吹き出した。
「……閣下、文字数制限があるんですよ? そんなポエムを送ってどうするんですか」
「ポエムではない。事実だ」
「はいはい。では、返信します。『給与・アップ・期待』」
「……色気がないな、君は」
「色気より食い気、愛より金貨です。それが私のモットーですから」
二人は顔を見合わせ、クスクスと笑い合った。
執務室の空気が、かつてないほど柔らかく、温かいものに変わっていた。
窓の外では雪が降り始めていたが、部屋の中は春のような穏やかさに包まれている。
ルーアは新しい計算機を愛おしそうに撫でながら、ふと思った。
(この人……意外と、私のことを見てくれているのかもしれない)
宝石ではなく、実用的な道具を選んでくれたこと。
それが何よりも、彼女を理解しようとする彼の不器用な誠意の証だった。
「大切に使いますね。壊れるまで」
「壊れたら修理してやる。あるいは、もっといいものを贈ろう」
「ふふ、期待しています」
ルーアは再びキーを叩き始めた。
その音は、まるで二人の心拍数のように、軽やかにリズムを刻んでいた。
こうして、ルーアとクラウスの距離は、「魔導計算機」というなんとも色気のないアイテムを通じて、確実に縮まったのだった。
しかし。
この幸せな時間は、長くは続かなかった。
翌日、隣国から「とある報せ」が届くことによって、二人の関係は新たな局面を迎えることになる。
ロランド王子たちが戻った国で、何やら不穏な動きが始まっていたのだ。
ロランド王子とミナは、三時間後に無事(?)解凍された後、ルーアが手配した『生鮮食品輸送用』の馬車に乗せられ、着払いで国へと返送された。
送り状の品名欄には『要冷蔵・生もの(返品不可)』と記載しておいたので、国境の検問もスムーズに通過したらしい。
そして、ドラグーン公爵領には再び、平和で効率的な日常が戻っていた。
「……ふう。これで今月の予算案は完成ですね」
夕暮れ時の執務室。
ルーアは最後の書類に承認印を押し、大きく伸びをした。
「予定より二日早い。素晴らしい進捗だわ」
彼女が自画自賛していると、執務机の向こうから、どこか落ち着きのない視線を感じた。
クラウスだ。
彼は先ほどから書類を読んでいるフリをして、チラチラとルーアの様子を窺っている。
その様子は、イタズラがバレるのを恐れる子供か、あるいは獲物に飛びかかるタイミングを計る猛獣のようだった。
「……閣下。何か言いたいことがあるなら、はっきりおっしゃってください。視線が気になって作業効率が0.5%低下します」
「……気づいていたか」
「あからさまですから。まさか、また私が知らない間に高額な壺でも買いましたか?」
ルーアが疑いの眼差しを向けると、クラウスは慌てて首を横に振った。
「違う! 断じて違う。……その、今日は君に渡したいものがあってな」
「渡したいもの?」
クラウスは引き出しから、掌サイズの小箱を取り出した。
ベルベットのような高級な布張りで、金色の縁取りが施されている。
どう見ても、宝石が入っている箱だ。
ルーアの眉間にシワが寄った。
(……出たわね。貴族の悪い癖。『女は宝石を渡せば喜ぶ』という浅はかな思考回路)
彼女は内心でため息をついた。
宝石は美しいが、管理が面倒だ。盗難保険に入らなければならないし、つける場所も選ぶ。換金性は高いが、プレゼントされたものを即座に売るのはさすがに角が立つ。
「閣下。お気持ちは嬉しいですが、私は装飾品の類には興味が――」
「まあ、開けてみてくれ」
クラウスは強引に箱をルーアのデスクに置いた。
その表情は、なぜか自信満々だ。
ルーアは仕方なく、リボンを解き、箱の蓋をパカッと開けた。
「……え?」
そこに入っていたのは、輝くダイヤモンドでも、真っ赤なルビーでもなかった。
鈍い銀色の光沢を放つ、金属の塊。
無骨だが、洗練されたフォルム。
整然と並んだ数字のボタンと、魔力を帯びて微かに発光するディスプレイ。
「こ、これは……まさか……」
ルーアの声が震えた。
「『賢者の石』社製、最新型魔導計算機……『アビス・カリキュレーター・モデルX』!?」
「正解だ」
クラウスがニヤリと笑った。
「君が使っている計算機は、私が凍らせてしまったものだろう? 解凍しても少し反応が鈍くなっていたようだからな。代わりを用意させてもらった」
「だ、代わりなんてレベルじゃありません!」
ルーアは震える手で、その計算機をそっと取り出した。
まるで壊れ物を扱うように、慈しむような手つきで。
「これ、王都の研究機関でしか手に入らない幻の逸品ですよ!? 並列演算処理機能付きで、桁数は驚異の二十桁! しかも、魔力チャージ式だから電池交換不要!」
彼女は頬を紅潮させ、早口でまくし立てた。
「キーの打鍵感も最高……! この『カチッ』じゃなくて『コトッ』という静音仕様! これなら深夜の執務でも音が気にならないわ!」
ルーアは試しにキーを叩いてみた。
コト、コト、コト……。
指に吸い付くような感触。計算結果が瞬時にディスプレイに浮かび上がる。
「速い……! 従来の三倍の速度! これなら、来年度の税収予測も五分で終わるわ!」
ルーアは計算機を抱きしめ、うっとりと頬ずりをした。
「素敵……最高だわ。こんな機能美、見たことない……」
その瞬間。
彼女の顔に、これまでにない笑みが浮かんだ。
それは、商談成立の際の「営業スマイル」でも、敵を論破した時の「冷笑」でもない。
心からの喜びが溢れ出た、少女のような無垢な笑顔だった。
「ありがとうございます、閣下! これ、すごく嬉しいです!」
花が咲いたような、と形容するしかない満面の笑み。
その破壊力は凄まじかった。
ドキン。
クラウスの心臓が、早鐘を打った。
彼は椅子から転げ落ちそうになるのを、必死にこらえなければならなかった。
(な、なんだ今の顔は……)
いつも冷静沈着で、数字と効率のことしか考えていない鉄の女。
その彼女が、たかが計算機一つで、こんなにも可愛らしい顔を見せるとは。
「……あ、あぁ。気に入ってくれたなら何よりだ」
クラウスの声が上ずった。
顔が熱い。氷の魔導公爵であるはずの彼が、自分の体温で溶けそうだ。
「はい! 早速、使い心地を試してもいいですか? そうだ、閣下の資産運用シミュレーションを再計算してみますね!」
ルーアは嬉々として計算機を叩き始めた。
その横顔を見つめながら、クラウスは口元を手で覆った。
(……計算外だ。これほど愛おしいとは)
彼はこれまで、多くの女性から言い寄られてきた。
宝石やドレスを贈れば、彼女たちは喜んだ。だが、その瞳はいつも「物」の価値を見ていた。
しかしルーアは違う。
彼女は、彼が「彼女のために選んだ道具」の「機能」を愛してくれている。
それが、ひねくれ者の公爵にはたまらなく嬉しかった。
「ルーア」
「はいっ! あ、すごい! 複利計算が一瞬で!」
「その計算機には、もう一つ機能がある」
「え? まだあるんですか? 自動グラフ作成機能とか?」
「いや。……通信機能だ」
クラウスは自分の胸元から、対になるもう一台の計算機(黒色)を取り出した。
「二台の計算機を魔力でリンクさせてある。片方に入力した数字や文字を、もう片方に送信できる」
「へえ、ショートメッセージ機能ですか。便利ですね。内線代わりに使えます」
ルーアは感心したように頷いた。
「では、テスト送信してみますね。『明日の・朝食・七時』……と」
ピロン。
クラウスの手元の計算機に文字が表示される。
「届きましたか?」
「ああ。……では、私からも送ろう」
クラウスは少し迷った後、慎重にキーを叩いた。
ピロン。
ルーアの手元のディスプレイに、文字が浮かぶ。
『ありがとう・最高の・パートナー』
ルーアはそれを見て、一瞬だけ動きを止めた。
そして、小さく吹き出した。
「……閣下、文字数制限があるんですよ? そんなポエムを送ってどうするんですか」
「ポエムではない。事実だ」
「はいはい。では、返信します。『給与・アップ・期待』」
「……色気がないな、君は」
「色気より食い気、愛より金貨です。それが私のモットーですから」
二人は顔を見合わせ、クスクスと笑い合った。
執務室の空気が、かつてないほど柔らかく、温かいものに変わっていた。
窓の外では雪が降り始めていたが、部屋の中は春のような穏やかさに包まれている。
ルーアは新しい計算機を愛おしそうに撫でながら、ふと思った。
(この人……意外と、私のことを見てくれているのかもしれない)
宝石ではなく、実用的な道具を選んでくれたこと。
それが何よりも、彼女を理解しようとする彼の不器用な誠意の証だった。
「大切に使いますね。壊れるまで」
「壊れたら修理してやる。あるいは、もっといいものを贈ろう」
「ふふ、期待しています」
ルーアは再びキーを叩き始めた。
その音は、まるで二人の心拍数のように、軽やかにリズムを刻んでいた。
こうして、ルーアとクラウスの距離は、「魔導計算機」というなんとも色気のないアイテムを通じて、確実に縮まったのだった。
しかし。
この幸せな時間は、長くは続かなかった。
翌日、隣国から「とある報せ」が届くことによって、二人の関係は新たな局面を迎えることになる。
ロランド王子たちが戻った国で、何やら不穏な動きが始まっていたのだ。
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