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「さあ、皆様。続きましては当領地が誇る『氷晶の庭園』へご案内いたします」
翌日。
ルーアは観光ガイドよろしく旗を掲げ、視察団一行を先導していた。
「この庭園の氷の彫刻は、すべて天然の魔力で形成されたもので、見る角度によって七色に輝きます。ちなみに、庭園への入場料は特別価格で金貨三枚となっております」
「た、高い! 高すぎる!」
ロランド王子が寒さに震えながら文句を言う。
「普通の庭園なら銅貨数枚だろうが!」
「殿下、芸術には対価が必要です。それに、この庭園の維持管理費(主に除雪費用)をご存知ですか? 嫌なら入り口で雪だるまを作って待機されていても構いませんが」
「ぐぬぬ……払う! 払えばいいんだろう!」
ロランドは悔しそうに財布の紐を緩めた。
財務大臣のガミール伯爵も、「これも調査費……後で不正経理として告発してやる……」とブツブツ言いながら支払う。
ルーアは回収した金貨をチャリンと鳴らし、満足げに頷いた。
(よし、順調。このペースなら、午前中だけで目標売上の120%を達成できるわ)
一行が庭園に入ると、そこには息を呑むような幻想的な光景が広がっていた。
太陽の光を浴びて宝石のように煌めく氷の木々。
視察団員たちは「おお……!」と感嘆の声を上げ、一時的に敵対心を忘れて見入っている。
そんな中、一人だけ不満げな顔をしている人物がいた。
ミナだ。
彼女は厚着で着膨れした自分の姿と、寒さで赤くなった鼻が気に入らないらしい。
(つまんなぁい。ロランド様もガミール様も、氷ばっかり見て私を見てくれないしぃ……)
彼女はふと視線を巡らせ、庭園の奥で腕を組んで立っている男に目を留めた。
クラウス・フォン・ドラグーン。
氷の彫刻よりも美しく、そして冷たい公爵様。
彼は視察団には目もくれず、少し離れた場所で、次の集金ポイントの準備をしているルーアをじっと見つめている。
ミナの頭の中で、お花畑回路が高速回転を始めた。
(あの公爵様、いつもルーアにいじめられてて可哀想……)
ミナの目には、ルーアがクラウスに指示を出し、こき使っているように映っていた(実際は業務提携だが)。
(あんな怖い顔してるけど、本当は誰かに癒されたいはずだわ。ルーアみたいなギスギスした女じゃなくて、私みたいな「守ってあげたくなる女の子」に!)
ミナは自信満々だった。
何しろ、一国の王子を「か弱さ」と「上目遣い」だけで落とした実績があるのだ。
(私が慰めてあげれば、公爵様もイチコロね。そうすれば、ロランド様と公爵様の二人から愛される最強のヒロインになれちゃうかも!)
ミナはマフラーを少し緩めて首元を見せ(氷点下なのに)、チョコチョコとクラウスの方へ歩み寄った。
「あのぉ、公爵様ぁ?」
甘ったるい猫なで声。
クラウスはピクリと眉を動かし、ゆっくりと視線を落とした。
その瞳は、ゴミを見るような冷たさだったが、ミナには「クールな視線」に変換された。
「……何だ?」
「私、見ちゃいましたぁ。さっき、ルーア様が公爵様に『もっと早く歩いてください』って命令してるところ……」
ミナは潤んだ瞳(寒さのせい)でクラウスを見上げる。
「公爵様、可哀想……。あんな怖い女の人にこき使われて、辛いですよねぇ?」
「…………」
「私ならぁ、公爵様にもっと優しくしてあげられるのにぃ。肩をお揉みしましょうかぁ? それとも、冷えた手を温めてあげましょうかぁ?」
ミナは大胆にも、クラウスの腕に自分の体を押し付けようとした。
「私、体温が高いってよく言われるんですぅ。ほら、触ってみてくださぁい」
その瞬間。
パキィン!
乾いた音が響き、ミナの足元の地面が瞬時に凍結した。
「ひゃっ!?」
ミナは足を滑らせ、無様に尻餅をついた。
「い、痛ぁい……何これぇ?」
見上げると、そこには先ほどまでの無表情が嘘のような、激しい嫌悪感を露わにしたクラウスが立っていた。
彼の全身から、視認できるほどの冷気が立ち上っている。
「……気安く触れるな」
地を這うような低い声。
「その安っぽい香水の匂いが、私の鼻を麻痺させる。ルーアの残り香が消えてしまうだろう」
「え……?」
「『可哀想』? 『こき使われている』? 貴様、眼球が曇っているのではないか? あれは崇高なる業務提携であり、彼女の指示は私にとって至上の導きだ」
クラウスは汚らわしいものを見る目でミナを見下ろした。
「それに、癒しだと? 不要だ。私にとっての癒しは、ルーアが電卓を叩く音と、私を罵倒する際の声の張りだけだ」
「は、はいぃ……?」
ミナは理解が追いつかず、口をパクパクさせた。
この公爵、何かがおかしい。美形なのに、中身が残念すぎる。
「大体、貴様のような中身の空っぽな女に、何の価値がある? ルーアの爪の垢ほどの生産性もないだろう。酸素の無駄だ」
「ひどい……私、ただ優しくしてあげようと……」
「優しさなどいらん。私が欲しいのは『効率』と『利益』、そして『ルーア』だけだ。失せろ。二度と私の半径五メートル以内に入るな」
ゴゴゴゴ……とクラウスの背後に氷の槍が出現する。
「ひいいいいッ!」
ミナは悲鳴を上げ、這いつくばって逃げ出した。
「ロ、ロランド様ぁぁぁ! 公爵様がいじめるぅぅぅ!」
その騒ぎを聞きつけ、ルーアが早足でやってきた。
「何事ですか? 商品である氷の彫刻の前で騒がないでください。振動でヒビが入ったら弁償ですよ」
ルーアは尻餅をついているミナと、殺気立っているクラウスを見て、瞬時に状況を理解した。
「……ははん。さてはミナ様、閣下に色目を使いましたね?」
「ち、違いますぅ! ご挨拶をしただけですぅ!」
「挨拶で上腕二頭筋に触れる必要はありません。それはセクハラです」
ルーアは懐から伝票を取り出し、サラサラと書き込んだ。
「迷惑行為による慰謝料、および公爵閣下の精神的苦痛に対する賠償金……〆て金貨十枚です」
「高っ!? 挨拶しただけで!?」
「閣下は繊細なのです。変な虫がつくと、除菌作業(という名の不機嫌タイム)に半日はかかります。その間の業務停滞による損失を考えれば、これでも安い方ですよ」
ルーアは書き上げた伝票をミナのデコにピタリと貼り付けた。
「支払いはロランド殿下のツケにしておきますね。さあ、次に行きますよ! 次は『極寒体験カフェ』で一杯千円のホットミルクを飲んでいただきます!」
ルーアは何事もなかったかのように旗を振り、再び歩き出した。
ミナは涙目でロランドの元へ走っていく。
残されたクラウスは、怒りが収まらない様子だったが、ルーアが振り返って声をかけると表情が一変した。
「閣下、何をしてるんですか? 早く来てください。雪かきのスタッフが足りないんです」
「……あ、ああ! 今行く!」
クラウスは氷の槍を消し、尻尾を振る大型犬のようにルーアの元へ駆け寄った。
「ルーア、さっきの女が私に触れようとしたんだ。消毒用アルコールはあるか?」
「ありません。雪で洗ってください」
「冷たいな……そこがいいのだが」
そのやり取りを遠くから見ていたロランドは、ガタガタ震えながら呟いた。
「……あいつら、絶対におかしい。あの氷男、ルーアのどこがいいんだ? ただの銭ゲバじゃないか」
「殿下、声が大きいです。悪口料金を追加しますよ」
遠くからルーアの地獄耳が声を拾う。
「ひいっ! なんで聞こえるんだ!」
「風に乗って聞こえるんですよ。さあ、もっとお金を落としてくださいね、大切なお客様♪」
ドラグーン公爵領の観光ツアーは、まだ始まったばかりである。
ミナの勘違いマウントは、公爵の鉄壁の「ルーア愛(という名の崇拝)」と、ルーアの「集金システム」の前には無力であった。
しかし、この視察団の中に、ただ一人、冷静な目でルーアたちを観察し、メモを取り続けている人物がいた。
財務大臣ガミール伯爵だ。
彼は眼鏡の奥の目を光らせ、ブツブツと呟いていた。
「……ふむ。不当労働の証拠はないが……この異常なまでの収益性。もしや、禁制品の取引でもしているのでは? あるいは……」
ガミールの邪推は、思わぬ方向へと転がり始めていた。
彼が狙いを定めたのは、ルーアが肌身離さず持っている、あの『魔導計算機』だった。
翌日。
ルーアは観光ガイドよろしく旗を掲げ、視察団一行を先導していた。
「この庭園の氷の彫刻は、すべて天然の魔力で形成されたもので、見る角度によって七色に輝きます。ちなみに、庭園への入場料は特別価格で金貨三枚となっております」
「た、高い! 高すぎる!」
ロランド王子が寒さに震えながら文句を言う。
「普通の庭園なら銅貨数枚だろうが!」
「殿下、芸術には対価が必要です。それに、この庭園の維持管理費(主に除雪費用)をご存知ですか? 嫌なら入り口で雪だるまを作って待機されていても構いませんが」
「ぐぬぬ……払う! 払えばいいんだろう!」
ロランドは悔しそうに財布の紐を緩めた。
財務大臣のガミール伯爵も、「これも調査費……後で不正経理として告発してやる……」とブツブツ言いながら支払う。
ルーアは回収した金貨をチャリンと鳴らし、満足げに頷いた。
(よし、順調。このペースなら、午前中だけで目標売上の120%を達成できるわ)
一行が庭園に入ると、そこには息を呑むような幻想的な光景が広がっていた。
太陽の光を浴びて宝石のように煌めく氷の木々。
視察団員たちは「おお……!」と感嘆の声を上げ、一時的に敵対心を忘れて見入っている。
そんな中、一人だけ不満げな顔をしている人物がいた。
ミナだ。
彼女は厚着で着膨れした自分の姿と、寒さで赤くなった鼻が気に入らないらしい。
(つまんなぁい。ロランド様もガミール様も、氷ばっかり見て私を見てくれないしぃ……)
彼女はふと視線を巡らせ、庭園の奥で腕を組んで立っている男に目を留めた。
クラウス・フォン・ドラグーン。
氷の彫刻よりも美しく、そして冷たい公爵様。
彼は視察団には目もくれず、少し離れた場所で、次の集金ポイントの準備をしているルーアをじっと見つめている。
ミナの頭の中で、お花畑回路が高速回転を始めた。
(あの公爵様、いつもルーアにいじめられてて可哀想……)
ミナの目には、ルーアがクラウスに指示を出し、こき使っているように映っていた(実際は業務提携だが)。
(あんな怖い顔してるけど、本当は誰かに癒されたいはずだわ。ルーアみたいなギスギスした女じゃなくて、私みたいな「守ってあげたくなる女の子」に!)
ミナは自信満々だった。
何しろ、一国の王子を「か弱さ」と「上目遣い」だけで落とした実績があるのだ。
(私が慰めてあげれば、公爵様もイチコロね。そうすれば、ロランド様と公爵様の二人から愛される最強のヒロインになれちゃうかも!)
ミナはマフラーを少し緩めて首元を見せ(氷点下なのに)、チョコチョコとクラウスの方へ歩み寄った。
「あのぉ、公爵様ぁ?」
甘ったるい猫なで声。
クラウスはピクリと眉を動かし、ゆっくりと視線を落とした。
その瞳は、ゴミを見るような冷たさだったが、ミナには「クールな視線」に変換された。
「……何だ?」
「私、見ちゃいましたぁ。さっき、ルーア様が公爵様に『もっと早く歩いてください』って命令してるところ……」
ミナは潤んだ瞳(寒さのせい)でクラウスを見上げる。
「公爵様、可哀想……。あんな怖い女の人にこき使われて、辛いですよねぇ?」
「…………」
「私ならぁ、公爵様にもっと優しくしてあげられるのにぃ。肩をお揉みしましょうかぁ? それとも、冷えた手を温めてあげましょうかぁ?」
ミナは大胆にも、クラウスの腕に自分の体を押し付けようとした。
「私、体温が高いってよく言われるんですぅ。ほら、触ってみてくださぁい」
その瞬間。
パキィン!
乾いた音が響き、ミナの足元の地面が瞬時に凍結した。
「ひゃっ!?」
ミナは足を滑らせ、無様に尻餅をついた。
「い、痛ぁい……何これぇ?」
見上げると、そこには先ほどまでの無表情が嘘のような、激しい嫌悪感を露わにしたクラウスが立っていた。
彼の全身から、視認できるほどの冷気が立ち上っている。
「……気安く触れるな」
地を這うような低い声。
「その安っぽい香水の匂いが、私の鼻を麻痺させる。ルーアの残り香が消えてしまうだろう」
「え……?」
「『可哀想』? 『こき使われている』? 貴様、眼球が曇っているのではないか? あれは崇高なる業務提携であり、彼女の指示は私にとって至上の導きだ」
クラウスは汚らわしいものを見る目でミナを見下ろした。
「それに、癒しだと? 不要だ。私にとっての癒しは、ルーアが電卓を叩く音と、私を罵倒する際の声の張りだけだ」
「は、はいぃ……?」
ミナは理解が追いつかず、口をパクパクさせた。
この公爵、何かがおかしい。美形なのに、中身が残念すぎる。
「大体、貴様のような中身の空っぽな女に、何の価値がある? ルーアの爪の垢ほどの生産性もないだろう。酸素の無駄だ」
「ひどい……私、ただ優しくしてあげようと……」
「優しさなどいらん。私が欲しいのは『効率』と『利益』、そして『ルーア』だけだ。失せろ。二度と私の半径五メートル以内に入るな」
ゴゴゴゴ……とクラウスの背後に氷の槍が出現する。
「ひいいいいッ!」
ミナは悲鳴を上げ、這いつくばって逃げ出した。
「ロ、ロランド様ぁぁぁ! 公爵様がいじめるぅぅぅ!」
その騒ぎを聞きつけ、ルーアが早足でやってきた。
「何事ですか? 商品である氷の彫刻の前で騒がないでください。振動でヒビが入ったら弁償ですよ」
ルーアは尻餅をついているミナと、殺気立っているクラウスを見て、瞬時に状況を理解した。
「……ははん。さてはミナ様、閣下に色目を使いましたね?」
「ち、違いますぅ! ご挨拶をしただけですぅ!」
「挨拶で上腕二頭筋に触れる必要はありません。それはセクハラです」
ルーアは懐から伝票を取り出し、サラサラと書き込んだ。
「迷惑行為による慰謝料、および公爵閣下の精神的苦痛に対する賠償金……〆て金貨十枚です」
「高っ!? 挨拶しただけで!?」
「閣下は繊細なのです。変な虫がつくと、除菌作業(という名の不機嫌タイム)に半日はかかります。その間の業務停滞による損失を考えれば、これでも安い方ですよ」
ルーアは書き上げた伝票をミナのデコにピタリと貼り付けた。
「支払いはロランド殿下のツケにしておきますね。さあ、次に行きますよ! 次は『極寒体験カフェ』で一杯千円のホットミルクを飲んでいただきます!」
ルーアは何事もなかったかのように旗を振り、再び歩き出した。
ミナは涙目でロランドの元へ走っていく。
残されたクラウスは、怒りが収まらない様子だったが、ルーアが振り返って声をかけると表情が一変した。
「閣下、何をしてるんですか? 早く来てください。雪かきのスタッフが足りないんです」
「……あ、ああ! 今行く!」
クラウスは氷の槍を消し、尻尾を振る大型犬のようにルーアの元へ駆け寄った。
「ルーア、さっきの女が私に触れようとしたんだ。消毒用アルコールはあるか?」
「ありません。雪で洗ってください」
「冷たいな……そこがいいのだが」
そのやり取りを遠くから見ていたロランドは、ガタガタ震えながら呟いた。
「……あいつら、絶対におかしい。あの氷男、ルーアのどこがいいんだ? ただの銭ゲバじゃないか」
「殿下、声が大きいです。悪口料金を追加しますよ」
遠くからルーアの地獄耳が声を拾う。
「ひいっ! なんで聞こえるんだ!」
「風に乗って聞こえるんですよ。さあ、もっとお金を落としてくださいね、大切なお客様♪」
ドラグーン公爵領の観光ツアーは、まだ始まったばかりである。
ミナの勘違いマウントは、公爵の鉄壁の「ルーア愛(という名の崇拝)」と、ルーアの「集金システム」の前には無力であった。
しかし、この視察団の中に、ただ一人、冷静な目でルーアたちを観察し、メモを取り続けている人物がいた。
財務大臣ガミール伯爵だ。
彼は眼鏡の奥の目を光らせ、ブツブツと呟いていた。
「……ふむ。不当労働の証拠はないが……この異常なまでの収益性。もしや、禁制品の取引でもしているのでは? あるいは……」
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