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「……意外と快適ね、ドラゴン移動」
私は上空数千メートルを飛行する、白い飛竜の背中で呟いた。
時速数百キロで吹き付ける猛烈な風圧。
普通なら悲鳴を上げて気絶するところだろうが、私にとっては違う。
(この風圧……全身の体幹トレーニングにちょうどいいわ!)
私は鞍の上でわざと手綱を放し、空気椅子の姿勢をとってバランス感覚を鍛えていた。
前を飛ぶ竜騎士隊長が、チラチラと振り返っては「ヒィッ……あの体勢で微動だにしないなんて……」と怯えているが、気にしない。
数時間のフライトの後。
眼下に巨大な都市が現れた。
ガレリア帝国の帝都。
私の祖国の王都が三つは入りそうな広大な敷地に、整然と並ぶ石造りの建物群。
中央には、威圧的なまでに巨大な皇城がそびえ立っている。
「へぇ、立派な城壁ね。……登り甲斐がありそう」
私がロッククライミング的な視点で感想を述べると、騎士隊長が「やめてください、国宝です」と真顔で止めた。
飛竜たちは皇城の広いテラスに、静かに着陸した。
「コロロ・フォン・ベルガモット嬢、到着!」
騎士の声が響くと、待機していた数百人の近衛兵と侍女たちが、一斉に整列して頭を下げた。
「ようこそお越しくださいました! 未来の国母様!」
「……はい?」
国母? 誰が?
私は自分の格好を見下ろした。
土埃にまみれた作業着。
風でボサボサになった髪。
足元は安全靴(鉄板入り)。
(……これ、完全に不審者じゃない?)
しかし、帝国の皆さんはプロだった。
私の薄汚い姿を見ても、眉一つ動かさない。
むしろ、「作業着こそが最強の証」とでも言いたげな、尊敬の眼差しを向けてくる。
どうやらシリウスが、あることないこと(主に武勇伝)を吹き込んでいるらしい。
「案内しよう」
先頭に立ったのは、初老の侍従長だった。
彼に連れられ、私は城内へと足を踏み入れた。
廊下はピカピカに磨き上げられ、飾られた調度品はどれも国宝級。
リゾートの「成金趣味」とは違う、歴史の重みを感じる豪華さだ。
「こちらでございます」
案内されたのは、最上階にある巨大な扉の前だった。
侍従長が恭しく扉を開ける。
「……入れ」
中から聞こえたのは、よく知っている、けれど少し低い声だった。
私は深呼吸をして、部屋に入った。
そこは、執務室というよりは、玉座の間に近い広間だった。
高い天井、分厚い絨毯。
そして、部屋の中央に置かれた豪奢な椅子に、その男は座っていた。
シリウス・グランディ皇帝陛下。
リゾートにいた時の、少し砕けた雰囲気は微塵もない。
最高級の素材で仕立てられた純白の軍服。
肩には黄金の飾緒、胸には数々の勲章。
銀髪は完璧に整えられ、アイスブルーの瞳が鋭く私を射抜いている。
圧倒的な、支配者のオーラ。
アレック殿下とは比較にならない「本物」の風格だ。
(……うわぁ。本当に皇帝様だったんだ)
改めて実感する。
こんな凄い人が、うちの庭で芋掘りを手伝っていたなんて信じられない。
シリウスは無言で立ち上がり、ゆっくりと私に近づいてきた。
コツ、コツ、と靴音が響く。
私の目の前で立ち止まる。
見下ろされる視線に、少し緊張が走る。
「……久しぶりだな、コロロ」
「ええ。……お元気そうで何よりです、陛下」
私が畏まってカーテシーをしようとすると、
グイッ。
いきなり腕を引かれ、次の瞬間、私は彼の胸の中に埋もれていた。
「……っ!?」
「敬語はやめろと言っただろう。……それに、なんだその他人行儀な態度は」
耳元で聞こえる声は、いつもの「シロ」のそれだった。
甘くて、少し拗ねたような響き。
「寂しかったぞ。……君のいない食事は、砂を噛むようだった」
彼は私の背中に腕を回し、これでもかと言うほど強く抱きしめた。
ギリギリと骨が鳴る。
(……あら? この抱擁力、少し上がった?)
以前より筋肉量が増えている気がする。
私がいない間、彼もトレーニングをしていたのだろうか。
「……ちょっと、シロ。苦しいわよ。それに、私、作業着で汚れてるし」
「構わん。……この土の匂いが、君らしくて安心する」
彼は私の髪に顔を埋め、深呼吸した。
変態か。
しばらくして、ようやく解放された私は、彼をジト目で睨んだ。
「……で? 『スランプ』って何のことよ」
「セバスチャンからの報告だ。『お嬢様が岩を持ち上げられなくなった。これは恋煩いに違いない』とな」
「なっ……! あの爺や、余計なことを!」
私は顔を真っ赤にした。
違うわよ、あれは岩が湿気てただけよ!
シリウスは楽しそうに笑った。
「安心しろ。ここに来たからには、スランプなどすぐに治る」
「どうして言い切れるの?」
「私がいるからだ」
彼は自信満々に言い放った。
このナルシストぶり、アレック殿下とは違うベクトルで重症だ。
「さて、本題だ。明日の夜、建国記念の舞踏会がある」
シリウスは表情を引き締めた。
「そこで、君を私の『公式なパートナー』として、国内外の貴族たちに紹介する」
「……へ?」
パートナー?
それって、つまり……婚約者発表ってこと?
「ちょっと待って! 心の準備が!」
「準備ならできているだろう? リゾートであれだけ大勢の前で、私と手を繋いだ仲じゃないか」
「あれは緊急事態だったから!」
「私にとっては、あれが『予約完了』の合図だったが?」
シリウスは悪戯っぽく笑った。
完全にハメられた。
「それに……舞踏会となると、アレを着なきゃいけないのよね?」
私の顔が曇る。
「アレとは?」
「ドレスよ! コルセットで締め付けて、動きにくいし、ヒラヒラして邪魔だし! あんなの着たら、私の筋肉が窒息死しちゃうわ!」
私はドレスが大嫌いだ。
あんな拘束具を着るくらいなら、作業着でスクワットをしていた方がマシだ。
「……ふむ。やはりそう来たか」
シリウスは顎に手を当て、ニヤリと笑った。
「想定内だ。……安心しろ、コロロ。君のために、『特別なドレス』を用意してある」
「特別?」
「ああ。君の『最強の筋肉』を隠さず、むしろ美しく見せるための……特注品だ」
シリウスがパチンと指を鳴らすと、侍女たちが大きな箱を運んできた。
(……嫌な予感しかしない)
私は箱を見つめ、ゴクリと喉を鳴らした。
バカ皇帝が用意した「特別なドレス」。
それが、明日の舞踏会で新たな伝説(と悲劇)を生むことになるなんて、この時の私はまだ知る由もなかった。
私は上空数千メートルを飛行する、白い飛竜の背中で呟いた。
時速数百キロで吹き付ける猛烈な風圧。
普通なら悲鳴を上げて気絶するところだろうが、私にとっては違う。
(この風圧……全身の体幹トレーニングにちょうどいいわ!)
私は鞍の上でわざと手綱を放し、空気椅子の姿勢をとってバランス感覚を鍛えていた。
前を飛ぶ竜騎士隊長が、チラチラと振り返っては「ヒィッ……あの体勢で微動だにしないなんて……」と怯えているが、気にしない。
数時間のフライトの後。
眼下に巨大な都市が現れた。
ガレリア帝国の帝都。
私の祖国の王都が三つは入りそうな広大な敷地に、整然と並ぶ石造りの建物群。
中央には、威圧的なまでに巨大な皇城がそびえ立っている。
「へぇ、立派な城壁ね。……登り甲斐がありそう」
私がロッククライミング的な視点で感想を述べると、騎士隊長が「やめてください、国宝です」と真顔で止めた。
飛竜たちは皇城の広いテラスに、静かに着陸した。
「コロロ・フォン・ベルガモット嬢、到着!」
騎士の声が響くと、待機していた数百人の近衛兵と侍女たちが、一斉に整列して頭を下げた。
「ようこそお越しくださいました! 未来の国母様!」
「……はい?」
国母? 誰が?
私は自分の格好を見下ろした。
土埃にまみれた作業着。
風でボサボサになった髪。
足元は安全靴(鉄板入り)。
(……これ、完全に不審者じゃない?)
しかし、帝国の皆さんはプロだった。
私の薄汚い姿を見ても、眉一つ動かさない。
むしろ、「作業着こそが最強の証」とでも言いたげな、尊敬の眼差しを向けてくる。
どうやらシリウスが、あることないこと(主に武勇伝)を吹き込んでいるらしい。
「案内しよう」
先頭に立ったのは、初老の侍従長だった。
彼に連れられ、私は城内へと足を踏み入れた。
廊下はピカピカに磨き上げられ、飾られた調度品はどれも国宝級。
リゾートの「成金趣味」とは違う、歴史の重みを感じる豪華さだ。
「こちらでございます」
案内されたのは、最上階にある巨大な扉の前だった。
侍従長が恭しく扉を開ける。
「……入れ」
中から聞こえたのは、よく知っている、けれど少し低い声だった。
私は深呼吸をして、部屋に入った。
そこは、執務室というよりは、玉座の間に近い広間だった。
高い天井、分厚い絨毯。
そして、部屋の中央に置かれた豪奢な椅子に、その男は座っていた。
シリウス・グランディ皇帝陛下。
リゾートにいた時の、少し砕けた雰囲気は微塵もない。
最高級の素材で仕立てられた純白の軍服。
肩には黄金の飾緒、胸には数々の勲章。
銀髪は完璧に整えられ、アイスブルーの瞳が鋭く私を射抜いている。
圧倒的な、支配者のオーラ。
アレック殿下とは比較にならない「本物」の風格だ。
(……うわぁ。本当に皇帝様だったんだ)
改めて実感する。
こんな凄い人が、うちの庭で芋掘りを手伝っていたなんて信じられない。
シリウスは無言で立ち上がり、ゆっくりと私に近づいてきた。
コツ、コツ、と靴音が響く。
私の目の前で立ち止まる。
見下ろされる視線に、少し緊張が走る。
「……久しぶりだな、コロロ」
「ええ。……お元気そうで何よりです、陛下」
私が畏まってカーテシーをしようとすると、
グイッ。
いきなり腕を引かれ、次の瞬間、私は彼の胸の中に埋もれていた。
「……っ!?」
「敬語はやめろと言っただろう。……それに、なんだその他人行儀な態度は」
耳元で聞こえる声は、いつもの「シロ」のそれだった。
甘くて、少し拗ねたような響き。
「寂しかったぞ。……君のいない食事は、砂を噛むようだった」
彼は私の背中に腕を回し、これでもかと言うほど強く抱きしめた。
ギリギリと骨が鳴る。
(……あら? この抱擁力、少し上がった?)
以前より筋肉量が増えている気がする。
私がいない間、彼もトレーニングをしていたのだろうか。
「……ちょっと、シロ。苦しいわよ。それに、私、作業着で汚れてるし」
「構わん。……この土の匂いが、君らしくて安心する」
彼は私の髪に顔を埋め、深呼吸した。
変態か。
しばらくして、ようやく解放された私は、彼をジト目で睨んだ。
「……で? 『スランプ』って何のことよ」
「セバスチャンからの報告だ。『お嬢様が岩を持ち上げられなくなった。これは恋煩いに違いない』とな」
「なっ……! あの爺や、余計なことを!」
私は顔を真っ赤にした。
違うわよ、あれは岩が湿気てただけよ!
シリウスは楽しそうに笑った。
「安心しろ。ここに来たからには、スランプなどすぐに治る」
「どうして言い切れるの?」
「私がいるからだ」
彼は自信満々に言い放った。
このナルシストぶり、アレック殿下とは違うベクトルで重症だ。
「さて、本題だ。明日の夜、建国記念の舞踏会がある」
シリウスは表情を引き締めた。
「そこで、君を私の『公式なパートナー』として、国内外の貴族たちに紹介する」
「……へ?」
パートナー?
それって、つまり……婚約者発表ってこと?
「ちょっと待って! 心の準備が!」
「準備ならできているだろう? リゾートであれだけ大勢の前で、私と手を繋いだ仲じゃないか」
「あれは緊急事態だったから!」
「私にとっては、あれが『予約完了』の合図だったが?」
シリウスは悪戯っぽく笑った。
完全にハメられた。
「それに……舞踏会となると、アレを着なきゃいけないのよね?」
私の顔が曇る。
「アレとは?」
「ドレスよ! コルセットで締め付けて、動きにくいし、ヒラヒラして邪魔だし! あんなの着たら、私の筋肉が窒息死しちゃうわ!」
私はドレスが大嫌いだ。
あんな拘束具を着るくらいなら、作業着でスクワットをしていた方がマシだ。
「……ふむ。やはりそう来たか」
シリウスは顎に手を当て、ニヤリと笑った。
「想定内だ。……安心しろ、コロロ。君のために、『特別なドレス』を用意してある」
「特別?」
「ああ。君の『最強の筋肉』を隠さず、むしろ美しく見せるための……特注品だ」
シリウスがパチンと指を鳴らすと、侍女たちが大きな箱を運んできた。
(……嫌な予感しかしない)
私は箱を見つめ、ゴクリと喉を鳴らした。
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