【完結】私ですか?ええ、愛されていません

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第五話

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スリスタは、ラピス商会にもバリス公爵家にも居場所ができつつあった。まだふんわりした地位ではあるが、何もない自分ではなくなりつつある。
「スーちゃん、今日のお菓子はねぇ、特別なのよ」
マリン公爵夫人は相変わらずで、ピアス商会のことより、スリスタの貴族としてのステータスアップを深い愛情のもとに行っている。
「わぁ」
スリスタはだんだん表情が出せるようになってきた。誰から見ても、自然とうれしいときや悲しいときの顔がわかるようになってきた。令嬢教育ではポーカーフェイスを教わっているが、それ以外の時間は思ってるそのままでいいのよ、とマリン公爵夫人は優しく言った。
「マリン母様、これはイチゴのケーキですよね?」
「そうよ!特別なイチゴで作られたタルトよ」
畏れ多くて呼べなかった名前も、呼べるようになったのだ。そのことに、マリン夫人はご満悦である。毎日のお茶の時間には時々珍しいお菓子を用意する。スリスタのためなら、マリン夫人は何でもやってあげたいのだ。

スリスタは何もかもあきらめていた人生が全然ちがうものになって、うれしかった。もうマイナがうらやましいとは思わない。誰とも血のつながりはないけれど、みんなが優しい。スリスタもみんなのために何かしたいと思う。しなきゃいけないんじゃなくて、自分がしたいのだ。

「スリスタ、明日のお茶会のためのドレスはあるのか?」
リイマは少し慌てているようだ。普段人前に出ないスリスタの身の回りのことを考えていなかったことに前日にやっと気がついた。
「マリン母様がいっぱい作ってくださいました」
うれしそうなスリスタは、リイマにそっと
衣装部屋を見せてくれた。そこにはいろんなドレスがあった。フリルやレースはもちろん、中には宝石が飾りになっているドレスまである。
「これはすごいな」
スリスタは顔を輝かせて、明日着る予定のドレスをリイマに見せた。衣装部屋の中にあるものでは、シンプルだけど品のいいドレスだ。
「明日は王家のお茶会だ。とはいえ、第一王子殿下は心の広い方だし、問題はないだろう」
スリスタは楽しみにしていたのだ。お茶会に行くのは初めてだ。ドレスもうれしい。ずっと憧れていたかわいいドレスがたくさんある。採寸された時は何が起きているのかわからなくて焦って人見知りを爆発させていたが、マリン母様はうれしそうだった。次々にいろんなドレスを試着させては、ああでもないこうでもないとデザイナーと思案していた。その結果、スリスタにぴったりな素敵なドレスができあがった。
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