【完結】私ですか?ええ、愛されていません

ここ

文字の大きさ
6 / 13

第六話

しおりを挟む
王家のお茶会は華やかで美しい。天気に恵まれることでも有名だ。招待されるのは伯爵以上が基本だが、コネがあれば、特別枠での参加も可能だ。王妃が場を仕切り、お客様をお迎えする。今回は、15歳と13歳の王子たちの婚約者探しではないかと囁かれている。
「さぁ、しっかりね。今日がスリスタのデビューよ」
「はい、マリン母様。スリスタは頑張ります!」
「あら、やる気ね。でも、お淑やかにね」
「大丈夫です!」
スリスタはまだ成人していないから、夜会には出られない。だが、お茶会には良識の範囲で小さな子どもの参加も許されている。他の招待客もスリスタと同年代の子どもたちと参加している。
「噂は本当かしら。スリスタはわりと年齢差はあるけど、対象にはなるわよね」
リイマは眉間に皺を寄せた。
「王子殿下はまだやんちゃ盛りだ。スリスタには近づかせない」
「あら、リイマ、心配なのかしら?うちのスーちゃんなら、何の問題もないと思うわ。詳しい出自を一々確認したりしないでしょうし」
「スリスタは可愛いから、王子殿下たちに目をつけられそうで心配なんだよ」
「まあたしかにその心配はあるわね」
実はバリス公爵家では、スリスタの父母の調査を終えていた。子爵令嬢でここ数年で亡くなり、子どもを産んだ令嬢というあたりで、だいたい見当がついた。父親探しもあっという間だった。どうしてスリスタがファルガ伯爵のもとにいたか以外は、いろいろはっきりした。
「もしかしたら、あの方も気づくかもしれないわね」
「そうしたらどうする?」
「まあ相手の出方次第ね」

マリン公爵夫人は顔が広いし、溌剌とした性格だから、みんなに知られているし、寄ってくる相手も多い。スリスタを紹介しながら、楽しいおしゃべりに興じている。マリン公爵夫人は噂話や悪口が嫌いだ。そんな話をしているくらいなら、天気の話をしていた方がまだマシだ。みんな、そのこともわかっているから、話題には気をつけている。ドレスの流行や美味しいお店の話が自然と多くなる。今度、スリスタと行ってみようと思うお店のストックが増えるのは喜ばしい。
「失礼、私も話に入れてもらえないだろうか」
女性たちの目の色が変わる。王弟殿下だった。王弟殿下は、もうすぐ臣籍降下して公爵になることが決まっている。王宮から外に出る。王子が無事育ったため、スペアの役割が終わったため、邪魔にならないよう王位継承権を捨てるのだ。王弟殿下は穏やかで賢く、見た目も王族の中で一番美しい。彼のファンはとても多い。だが、本人は結婚には興味がないと明言している。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。 すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。 だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。 イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。 変わり果てた現実を前に、 夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。 深い後悔と悲しみに苛まれながら、 失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。 しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。 贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。 そして、母の心を知っていく子供たち。 イネスが求める愛とは、 そして、幸せとは――。

男の仕事に口を出すなと言ったのはあなたでしょうに、いまさら手伝えと言われましても。

kieiku
ファンタジー
旦那様、私の商会は渡しませんので、あなたはご自分の商会で、男の仕事とやらをなさってくださいね。

善人ぶった姉に奪われ続けてきましたが、逃げた先で溺愛されて私のスキルで領地は豊作です

しろこねこ
ファンタジー
「あなたのためを思って」という一見優しい伯爵家の姉ジュリナに虐げられている妹セリナ。醜いセリナの言うことを家族は誰も聞いてくれない。そんな中、唯一差別しない家庭教師に貴族子女にははしたないとされる魔法を教わるが、親切ぶってセリナを孤立させる姉。植物魔法に目覚めたセリナはペット?のヴィリオをともに家を出て南の辺境を目指す。

お前を愛することはないと言われたので、姑をハニトラに引っ掛けて婚家を内側から崩壊させます

碧井 汐桜香
ファンタジー
「お前を愛することはない」 そんな夫と 「そうよ! あなたなんか息子にふさわしくない!」 そんな義母のいる伯爵家に嫁いだケリナ。 嫁を大切にしない?ならば、内部から崩壊させて見せましょう

本当に、貴女は彼と王妃の座が欲しいのですか?

もにゃむ
ファンタジー
侯爵令嬢のオリビアは、生まれた瞬間から第一王子である王太子の婚約者だった。 政略ではあったが、二人の間には信頼と親愛があり、お互いを大切にしている、とオリビアは信じていた。 王子妃教育を終えたオリビアは、王城に移り住んで王妃教育を受け始めた。 王妃教育で用意された大量の教材の中のある一冊の教本を読んだオリビアは、婚約者である第一王子との関係に疑問を抱き始める。 オリビアの心が揺れ始めたとき、異世界から聖女が召喚された。

なぜ、私に関係あるのかしら?

シエル
ファンタジー
「初めまして、アシュフォード公爵家一女、セシリア・アシュフォードと申します」 彼女は、つい先日までこの国の王太子殿下の婚約者だった。 そして今日、このトレヴァント辺境伯家へと嫁いできた。 「…レオンハルト・トレヴァントだ」 非道にも自らの実妹を長年にわたり虐げ、婚約者以外の男との不適切な関係を理由に、王太子妃に不適格とされ、貴族学院の卒業式で婚約破棄を宣告された。 そして、新たな婚約者として、その妹が王太子本人から指名されたのだった。 「私は君と夫婦になるつもりはないし、辺境伯夫人として扱うこともない」 この判断によって、どうなるかなども考えずに… ※ 中世ヨーロッパ風の世界観です。 ※ ご都合主義ですので、ご了承下さい、 ※ 画像はAIにて作成しております

私の愛しいアンジュ

毒島醜女
ファンタジー
横暴でメンヘラなアンジュ。 でも唯一の妹だと思って耐え、支えてきた。 そんな時、妹が取り換えられた子だと判明した。 本物の私の妹はとてもいい子でこれからも上手くやっていけそう。 一方で、もう片方は……

私の、虐げられていた親友の幸せな結婚

オレンジ方解石
ファンタジー
 女学院に通う、女学生のイリス。  彼女は、親友のシュゼットがいつも妹に持ち物や見せ場を奪われることに怒りつつも、何もできずに悔しい思いをしていた。  だがある日、シュゼットは名門公爵令息に見初められ、婚約する。 「もう、シュゼットが妹や両親に利用されることはない」  安堵したイリスだが、親友の言葉に違和感が残り…………。

処理中です...