【完結】私ですか?ええ、愛されていません

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第七話

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「まぁ、王弟殿下、本日はお招きいただきありがとうございます。殿下とお話できるのは光栄ですわ」
みんな王族に向けて、丁寧なおじぎをする。スリスタも学んだことを活かし、年齢にしては上手なカーテシーができた。
「バリス公爵夫人、そちらの令嬢は‥」
あら、早速反応してるわ、とマリン公爵夫人は顔には出さずに、王弟殿下を評価する。
「訳あって預かっておりますの。スリスタ、王弟殿下にご挨拶なさい」
「はじめまして。王国の知、栄ある我が国の愛し人、王弟殿下にスリスタがご挨拶申し上げます」
そう言って顔を上げると、王弟殿下は一切視線をそらさずに、スリスタを見つめていた。スリスタはマリン公爵夫人に助けを求めるが、にんまりと笑い返されてしまった。
「どこかで会ったかな?」
王弟殿下の言葉にスリスタは驚いた。
「いいえ、殿下。私は今日初めて王宮に参りました」
視線はそのままに王弟殿下は考え続けている。
「まさか」
何かに思い当たったらしく、スリスタからマリン公爵夫人に視線を動かす。マリン公爵夫人は頷いた。
「後で時間をとってもらいたい。公爵夫人とスリスタ嬢に」
「かしこまりました」
マリン公爵夫人はニコニコ笑顔で頷いた。
スリスタはよくわからないが、マリン母様の笑顔を見て不安はなくなった。

「早速だが」
しっかり人払いをした上で、王弟殿下とマリン公爵夫人、リイマ公爵令息、スリスタの4人で話が始まった。
「スリスタは、私の子どもなのだね?」
スリスタは、ぽかんとした。意味がわからない。
「すぐ気づかれましたわね」
マリン公爵夫人はまた、ニコニコ笑顔になっている。
「チェルシーにそっくりだ。間違えるわけがない」
「私どもでは調査するまでわかりませんでしたわ。さすがです」
「スリスタ、すまない」
王弟殿下はスリスタのすぐそばで、目線が合うようにかがんで、頭を撫でた。
「お父様なのですか?」
スリスタはよくわからないままに、問う。
「そうだ」
親子は抱き合った。
「さみしい思いをさせてすまなかった。スリスタの母は、チェルシーといって、キルダ子爵家の令嬢で、王宮の侍女をしていたんだ」
王宮で知り合い、恋をしたこと。
臣籍降下を早めてチェルシーと結婚するつもりだったこと。
報告しようとしたら、チェルシーは王宮にも実家にもいなくなってしまっていたこと。
「チェルシー様は殿下の輝かしい未来を邪魔したくなくて、妊娠したことを隠して消えたのですわ」
「あのときすぐに見つけていたら」
王弟殿下が苦しげにつぶやく。
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