【完結】私ですか?ええ、愛されていません

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番外編 スリスタは9歳になりました

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「スリスタ、お誕生日おめでとう」
スリスタは瞳を輝かせた。祝ってくれる優しいパパがいる幸せ。そして、パパはお祝い出来て嬉しい、という。
スリスタもうれしい。パパは優しい。パパは頭を撫でてくれる。スリスタはもうさみしくない。
「さぁ、プレゼントだ。受け取ってくれるかい?」
大きな包みを開くと、そこにはうさぎのぬいぐるみがいた。初めてもらった熊のぬいぐるみと同じくらいの大きさだ。
「パパありがとう、この子はルシーよ。ランとすぐ仲良しになるわ」
アランは涙がこぼれてしまいそうになる。
スリスタは本当に優しい子だ。アランは、いつものように、天にいるチェルシーに心の中で話しかける。チェルシー、君と僕の子どもは、人の気持ちを大切にできる子だ。つらい日々もあったはずなのに、人を恨んだりせず、前を向いて生きる子だ。
「ねぇ、パパ。そろそろラピス商会で働いてもいい?私こう見えて意外とお仕事できるのよ」
アランとしては、なるべくスリスタと一緒にいたい。自分の執務以外の時間は、スリスタといたいのだ。
「スリスタ、パパはまだスリスタとずっと一緒にいたいんだ。ラピス商会で働くのは少し先ではダメかい?」
スリスタは考える。
「私もパパといたいわ。ラピス商会は欠員補充してしまうかもしれないけど」
「わかったよ。パパが少し話してみよう」

そうは言ったものの、アランはリイマが少し苦手だった。結果的に彼のおかげでスリスタに会えたのだから、感謝はしている。ただ警戒した方がいい相手だと本能が告げるのだ。彼は別にスリスタに恋しているとかそんな話ではない。けれども、スリスタの婚約者に彼がふさわしくないとは思わない。でも、なんだか複雑な気持ちになるのだ。スリスタは9歳。婚約者がいても、相手が少し年上でもおかしくはない。ただただアランがスリスタを独り占めしたいから、婚約者なんてまだ早いと思ってしまうのだ。

「スリスタのことなんだが」
苦手意識はそのままだが、リイマと話をすることにしたアランは、どことなく不機嫌な声になっている。
「ラピス商会ですか?心配はいらないですよ。一年後に復帰でもかまいません」
「そうか。君はそんなにも」
「えっ?ちがいますよ。スリスタはなかなか有能なので、働くのなら、いつでも大歓迎です」
「そうか。助かる。スリスタも働きたいようなんだ。私はまだ心の整理ができてなくてね。君がそう言ってくれて助かるよ」
リイマはなんとなく複雑な顔になっていた。アランと似たような気持ちになっている。スリスタが年を取るたび、アランは大変だろうなとも思う。1年でも、娘ができた喜びや独占欲から抜けられないのだ。それが様々なことに影響するだろう。けれど、今はまだスリスタは幼い。大変なのはこれからだ。
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