34封印した恋心

華蓮

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別荘

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私は、ある別荘に戻った。
ここは、以前サライズと付き合ってた時に、訪れたことがある別荘を私が買ったのだ。
たまたま安く売り出されていたから、私の稼ぎでも買うことができた。

今、サライズのところには、帰りたくなかった。

全身傷だらけの私は、屋敷に着くと、ソファに倒れ込んだ。

「サライズ、、、」

会いたい。でも今会うと迷惑をかける。



その頃サライズは、街で事故があったという話を聞き、不安を感じた。場所を聞くとパリアナが行くと言っていたところだから、急いで街に行った。

近くにいた人に話を聞くと、女の人が轢かれたけど、馬車に乗ってどこかに行ったと。
みなりを聞くと今日のパリアナによく似ていた。
不安を感じて、パリアナの屋敷に行った。

今、パリアナが事故にあったら、私に連絡をしないだろう。
もし事故が仕組まれたものなら、お祖父様の可能性が高い。
それなら絶対と言ってもいい、俺の前に怪我をした状態ではこない。



屋敷に着いたけど、誰もいないように感じた。部屋に入るが、誰もいない。

どこに行ったんだ?今の状況を隠したいなら、誰も知らないところ、、あそこか。

サライズは、帰国後、パリアナとの思い出の地を手当たり次第買っていた。
あの時はお金がないから、私有地でなかったから、今はお金もあるし、他に使うことがあまりない。
パリアナとの思い出の地のものを買い、自分の気持ちを落ち着かせていた。



別荘を買おうとしたけど、誰かに買われていて、その人から買おうとは考えていた。
アリーナという名前だけわかっていたけど、接触ができなかった。


この前、パリアナが、アリーナとわかって驚いた。
あの別荘を買った人の名前だったから。

だから、俺をまだ愛してると確信できた。
だから、パリアナに積極的にアプローチできたんだ。
自信満々のようで臆病者なんだよな。俺は、、、



自分の屋敷にも俺たちの家にも帰らなかったということは、バレたくないわけだ。

誰にもバレないように、乗合の馬車で途中まで乗り、そこから走って別荘に行った。


部屋のドアを開けるとドレスが見えた

「パリアナ」

駆け寄るとパリアナがいた。
泥だらけ、、血も流れていた、

「パリアナ!!」

「サライズっ」

声が聞こえた。
「病院に行こう。」

「ダメ。今はいけない。」

「わかった。体を見せることと説明して」


服を脱いだ。自分で脱ぐのも辛いけど、そこは頑張らないとサライズが心配する。


馬車に轢かれたと言うと、病院に行こうと言う。
でも、今は行けない。

サライズは医師を呼んだ。
診察が終わると

全身打撲。と擦り傷
骨には異常はない。
もちろん内臓も。

ただ、全身打撲のため、しばらくは痛みが引かないので、鎮痛剤を処方する。

医師には口止めのために、金を渡し、帰ってもらった。

「今日は眠りな。痛いだろ?」

「一緒にいてくれる?」

「もちろんだ。」パリアナはすぐ眠りについた

「絶対許さない子爵家を潰そう」

怒りで眠れなそうになかった。
パリアナも眠りについたから、シャワーに入って少しスッキリしよう。

さすがに心配だから、早めに出た。

ふと棚を見るとバスローブが置いてあった。このバスローブは、以前私が使っていたものだ。
パリアナは、離れている間、私を思ってくれてたことが嬉しかった。

それを羽織って、部屋に戻った。


この部屋をよく見ると、思い出の品がたくさんあった。

パリアナにプレゼントしたものが、綺麗に飾ってあった。

パリアナをもらった時に渡したバラの押し花もあった。


この別荘は、たびたび訪れていたんだな。




パリアナがうなされて始めた。
サライズは、すぐに手を繋いだ。

「助けて。もう嫌。お願い私に関わらないで。」

「パリアナ。」

「サライズ。助けて!」
そこで目を覚ました。

大丈夫か、、、

「大丈夫。」

抱きつき、サライズの胸に顔を埋めた。

「そばにいるから。」

そこでパリアナは落ち着いて、、、顔をあげた時に気がついた。

「これ、、ダメっ。」

「このバスローブ借りたけどダメだった?」

「ダメ、、いやダメじゃないけど、、ダメ。」

「どうして?ウーズリが着てたのか?」

「違う。この別荘にウーズリは来たことないし、誰も来ていない。それは、、、、」

「俺のだろ?」

「覚えていたの?」

「覚えているよ。俺と一つになった時に使ったやつだろ?でもだいぶくたびれたな。」

パリアナの顔が真っ赤になった。

「どうした?」

「なんでもない、」


「何?教えて」

「あのね、、私が着てたから。寂しい時、辛い時、、バスローブで眠ると安心できたの。」  

「可愛い。ウーズリに取られなくてよかった。」

「私は、あなたの前だけ、可愛くいたいの。あなたはどんな姿でも、見つけてくれる。」

「愛してるからな。もう遅いから眠ろう。バスローブはもういらないだろ?俺がいるんだから。」

「うん。抱きしめて。」
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