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3、前代未聞の珍事件
しおりを挟むこれで、私が嫉妬等する必要が無い事、ご理解頂けたかしら。そう、それは良かったわ。では、お話を続けますわね。ダルダ殿下が女生徒と仲良くなり、私どもがいくら注意しても聞く様子もなく、それから一ヶ月後には二人が親密な仲である事が王立学園中に噂として広がりました。
どうやらダルダ殿下の当時の側近候補の方々もその女生徒に恋煩いをされていた様子で、余計に歯止めがかからず騒ぎとなる事もありまして、噂の火消しすらする暇さえありませんでしたわ。まぁ噂ではなく真実でしたし、ダルダ殿下と女生徒が親密な様子でおられる姿は、隠すことなく学園内の至る所で毎日見られましたから余計にですわね。ただ幸いな事に、ダルダ殿下だけでなく当時の側近候補の方々も随分女生徒に便宜を図っていたようでしたが、女生徒はダルダ殿下以外とはそれほど親しくしようとはしておられませんでした。婚約者を持つダルダ殿下に近づく行為は良くありませんでしたが、貞節は守っておられたようですし、ダルダ殿下以外ではしっかり淑女としての礼節を守っておられたのです。…それだけ、女生徒はダルダ殿下を真剣に想っておられたのでしょうね。
それでも、女生徒は一介の子爵家の娘でしかなく。私はソロシアン侯爵家の娘で、ダルダ殿下の婚約者でした。政的にも家柄的にも強い関わりがあり、愛だけではこの構図をひっくり返すことなど不可能です。私は二人を見ているだけでしたわ。余計な手出し等不要ですし、それだけ本気ならばせめて学園に通う間だけでも夢見ても良いでしょう、と思っておりました。
ええ、そうですわね。結果的に不可能であったはずですが、私は婚約破棄となり、ダルダ殿下と女生徒は結婚されましたわ。まさかあんな暴挙に出られるとは誰も思っておりませんでしたし。ご存知でしょう? あの前代未聞の王立学園の卒業パーティーでの、婚約破棄宣言事件を。
あの年は、ダルダ殿下と王妃となるはずでした私が卒業致しますので、王家が気をきかして王宮を借りての卒業パーティーでした。卒業生や学園の関係者達だけでなく、未来の国王夫妻の祝いの場でしたから、他国の使者の方々も出席を認められておりましたのよ? そんな大事なパーティーの中で、私との婚約破棄と女生徒の結婚を宣言するだなんて、誰が思いつきます? ええ、もちろんその事はダルダ殿下も知っておいででした。だからこそ、あのような事を仕出かされたのでしょうね。
本来ならば止めるべき側近候補の方々も、止めるどころか二人が結ばれる為にと率先して協力されていたそうです。後でその話を聞いた時は私、本気で呆れ果てました。以前から、ダルダ殿下の側近候補の方々は頭脳こそ優秀ではあっても、性格に難ありと思っておりましたが、あのような暴挙を許すとは……『側近』と言う立場をはき違えているとしか思えませんでしたわ。彼らが候補止まりでしかなかったのはその辺りが関係していたのでしょうね。私にも私を支えてくれる従者達がいますが、もしも私とダルダ殿下が逆の立場であったなら宣言等する前にその身を挺してでも止めてくれた事でしょう。そもそも、そのような事態にならないように手配していたでしょうけど。
当時の側近候補が今どうしているのか、ですか? 私の友人達から聞いた話で良ければお教えしますが…それでいいのですね、分かりましたわ。彼らは、今それぞれの家の領地で監禁されているそうですわ。仕事も与えられず、外に出る事も許されず、中には毎日反省文を書かされている人もいるとか。今はまだダルダ殿下が王家におられますので、その程度で済んでいるようですが…きっとその内に儚くなられるのではないかしら。それを決めるのは、その家の当主方ですけれど、王家から命じられる可能性もありますわね。
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