5 / 7
5、それぞれの理由
しおりを挟むあら、ダルダ殿下の廃嫡の手続きを見送らせた理由に疑問があるのですか? …そうですわね、今の王太子妃の素質を試す、だけでは納得しては頂けませんわよね。
確かにもう一つ理由がありますわ。すごく簡単なお話ですが、私個人してもソロシアン公爵家としても、ダルダ殿下とは今後において煩煩わされたくなかったからですのよ。
自分以外の者を見下す性質をお持ちのダルダ殿下の事ですもの、私との婚約があってこそ王太子としての立場が認められていた、なんて事実を知れば何をしでかすか…。もう一度、私と婚約を、なんて言い出しかねません。もしくは、王太子妃を我がソロシアン侯爵家の養女にして完璧な令嬢に仕上げろ、なんて騒ぐかもしれませんわね。あのダルダ殿下の行動は時として、悪い意味で予測不可能でもありますので、仮にも王族ですし念のために対策が必要でした。
すぐに廃嫡とせずにそれ相応の期間を設ければ、ダルダ殿下の意識は王太子妃のみに向けられるでしょうからね。気に入らない私の事なんてもうお忘れじゃないかしら、ふふふ。
後は何をお聞きになりたいの? …まぁ、そうでしたわね、国と添い遂げる事を決めた際の王家からの遠回しの謝罪について、ですわね。ええ、後でお話しすると言いましたものね。
実は、その…それは、今の私の婚約者と関わりがありまして…。ええ、最初に問われても答えなかった訳、今はまだ私の婚約について正式な発表がされていない理由も関わってきますのよ。
話は私とダルダ殿下が婚約していた頃に戻るのですが、あのままダルダ殿下の妻となった場合、どうあがいても私に負担が大きくのしかかってくることは明白でしょう? そこで国と結婚すると言う私の決意を受け止めて下さった国王陛下が、今後の私の負担軽減を理由に王家からの謝罪代わりの配慮として、優秀な相談役をと、ある殿方を手配して下さいましたの。
それが、マージ・カオウ公爵様ですわ。国王陛下の実の弟君であられますし、当時からすでに『カオウ』の家名を授かって臣下として内政に関わる任についておられましたから、立場的にも侯爵令嬢であり王太子妃となる私の相談相手に相応しいと判断されたようですの。…ええ、ええ、おっしゃる通り本来ならあり得ない事ですわ。マージ様も未婚の身ですし、王家からの謝罪代わりの配慮の形でなければ、私も受け入れませんでした。いくら王家公認とは言え独身のマージ様とのお茶の席を定期的に設けるなど、よからぬ噂がたってもおかしくありませんもの。
何故、王弟であるマージ様が私の相談役として選ばれたのか、ですか? 疑問に思われるのも無理はないですわ。当時、私もそう思って王妃様にお尋ねしたことがあります。私の実家の者以外に城内での私の強い味方となれる者を近くに置いておきたかったから、との返答がございましたわ。詳しく申しますと…ご存知のことだと思いますが、ダルダ殿下にご兄弟はおられませんが、国王陛下にはご兄弟が二人おられます。
国王陛下のすぐ下の弟であられるノーキン・ハドウ様はすでに結婚しておられますが、軍人気質な性格の上妻以外の女性の対応が大変手厳しく相談役としては論外。その奥方様は王妃様の女騎士として今尚仕えておられますので、私と予定を合わせる事が困難であるとこちらも相談役に適さないと判断されたとか。
王妃様には姉妹がおられますが、王妃様自身が隣国から嫁いでこられた方ですので、他国の方を相談役として招待する訳には参りません。同盟国と言えど、国の内情は明かせませんもの。
それらを踏まえまして、選ばれたのがマージ様でした。マージ様は異性ではありますが、王家出身で国王陛下の信頼があり、末の弟君である為比較的私と年が近く、内政に携わるので私が王妃となった際には確実に私の力になれる。王族としての振舞いも教育されておいででしたので、いずれ王妃となる私にとって最上だろうと。…かつての国王夫妻の胸の内では、これらの配慮以外の別の真意があったのでしょうね。今となっては気にしても変わりありませんが。
――ええ、そうですわ、マージ様が今の私の婚約者に当たりますの。
70
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢として断罪? 残念、全員が私を庇うので処刑されませんでした
ゆっこ
恋愛
豪奢な大広間の中心で、私はただひとり立たされていた。
玉座の上には婚約者である王太子・レオンハルト殿下。その隣には、涙を浮かべながら震えている聖女――いえ、平民出身の婚約者候補、ミリア嬢。
そして取り巻くように並ぶ廷臣や貴族たちの視線は、一斉に私へと向けられていた。
そう、これは断罪劇。
「アリシア・フォン・ヴァレンシュタイン! お前は聖女ミリアを虐げ、幾度も侮辱し、王宮の秩序を乱した。その罪により、婚約破棄を宣告し、さらには……」
殿下が声を張り上げた。
「――処刑とする!」
広間がざわめいた。
けれど私は、ただ静かに微笑んだ。
(あぁ……やっぱり、来たわね。この展開)
皇太子殿下の御心のままに~悪役は誰なのか~
桜木弥生
恋愛
「この場にいる皆に証人となって欲しい。私、ウルグスタ皇太子、アーサー・ウルグスタは、レスガンティ公爵令嬢、ロベリア・レスガンティに婚約者の座を降りて貰おうと思う」
ウルグスタ皇国の立太子式典の最中、皇太子になったアーサーは婚約者のロベリアへの急な婚約破棄宣言?
◆本編◆
婚約破棄を回避しようとしたけれど物語の強制力に巻き込まれた公爵令嬢ロベリア。
物語の通りに進めようとして画策したヒロインエリー。
そして攻略者達の後日談の三部作です。
◆番外編◆
番外編を随時更新しています。
全てタイトルの人物が主役となっています。
ありがちな設定なので、もしかしたら同じようなお話があるかもしれません。もし似たような作品があったら大変申し訳ありません。
なろう様にも掲載中です。
義母と義妹に虐げられていましたが、陰からじっくり復讐させていただきます〜おしとやか令嬢の裏の顔〜
有賀冬馬
ファンタジー
貴族の令嬢リディアは、父の再婚によりやってきた継母と義妹から、日々いじめと侮蔑を受けていた。
「あら、またそのみすぼらしいドレス? まるで使用人ね」
本当の母は早くに亡くなり、父も病死。残されたのは、冷たい屋敷と陰湿な支配。
けれど、リディアは泣き寝入りする女じゃなかった――。
おしとやかで無力な令嬢を演じながら、彼女はじわじわと仕返しを始める。
貴族社会の裏の裏。人の噂。人間関係。
「ふふ、気づいた時には遅いのよ」
優しげな仮面の下に、冷たい微笑みを宿すリディアの復讐劇が今、始まる。
ざまぁ×恋愛×ファンタジーの三拍子で贈る、スカッと復讐劇!
勧善懲悪が好きな方、読後感すっきりしたい方にオススメです!
【完結】従姉妹と婚約者と叔父さんがグルになり私を当主の座から追放し婚約破棄されましたが密かに嬉しいのは内緒です!
ジャン・幸田
恋愛
私マリーは伯爵当主の臨時代理をしていたけど、欲に駆られた叔父さんが、娘を使い婚約者を奪い婚約破棄と伯爵家からの追放を決行した!
でも私はそれでよかったのよ! なぜなら・・・家を守るよりも彼との愛を選んだから。
「役立たず」と婚約破棄されたけれど、私の価値に気づいたのは国中であなた一人だけでしたね?
ゆっこ
恋愛
「――リリアーヌ、お前との婚約は今日限りで破棄する」
王城の謁見の間。高い天井に声が響いた。
そう告げたのは、私の婚約者である第二王子アレクシス殿下だった。
周囲の貴族たちがくすくすと笑うのが聞こえる。彼らは、殿下の隣に寄り添う美しい茶髪の令嬢――伯爵令嬢ミリアが勝ち誇ったように微笑んでいるのを見て、もうすべてを察していた。
「理由は……何でしょうか?」
私は静かに問う。
出て行けと言われても
もふっとしたクリームパン
恋愛
よくあるざまぁ話です。設定はゆるゆるで、何番煎じといった感じです。*主人公は女性。書きたいとこだけ書きましたので、軽くざまぁな話を読みたい方向け、だとおもいます。*前編と後編+登場人物紹介で完結。*カクヨム様でも公開しています。
悪役令嬢は永眠しました
詩海猫(8/29書籍発売)
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」
長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。
だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。
ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」
*思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m
婚約破棄でよろしいんですの?
かぜかおる
恋愛
婚約者のエリックが懇意にしているご令嬢が突撃してまいりましたの
そして婚約破棄を求めて来ましたわ
わたくしはそれでもよろしいのだけど、本当にあなた達はそれでよろしいの?
4話完結、完結まで毎日更新です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる