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言い合い
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庭を通り過ぎようとしたハルカは、元気な声が飛んでいて思わず足をとめた。
よくよく聞けば、アマネとユウが言い合っているようだった。旅の最中には何度かあったものの、久しぶりにその掛け合いを聞いたため、興味が湧いたのだった。ただ、なかなか話が収まらないため、ついには会話に参加してしまった。
「お二人さん。どうしたんだよ」
アマネはハルカを見るなり、仲間を得たと顔を輝かせた。ユウは隣で決まりの悪そうな顔をする。ハルカは二人に見つめられ、きょとんとして首をかしげた。
「実はね、明日お姉さまの誕生日なの」
「えっ、そうなのか」
さすがのハルカも誕生日までは初耳だった。思わず驚いて声が大きくなる。
「毎年お姉さまに贈り物をしているのだけど、用意するのをすっかり忘れてしまっていたの。今から街に買いに出たいんだけど、ユウが許してくれないのよ」
「街は危険です。僕達の行方を探している者もいるはずです」
「お姉さまの喜んだ顔が見たいのよ」
「もし何かあれば、アンリ様は間違いなく悲しまれます」
ユウがぴしゃりと言うと、アマネはすぐに頬を膨らました。そして、何か訴えるようにハルカを見た。
ハルカはどちらの言い分も納得できてしまうため、険しい顔で二人を見た。そして、何か考え込むように目を閉じて俯いた。
「わかった。俺が行こう」
名案が湧いたとハルカは顔を輝かせた。
「何を言っているんだ」
ユウは度肝を抜かれて思わずしどろもどろになって言った。そんな彼を見て、ハルカは陽気に笑った。屈託のない表情だった。既に心を決めたようだった。
「アマネちゃんは危ないから、俺が買いに行ってくる。何がいい?」
ユウの制止が聞こえないとでも言うように、ハルカはアマネと話を進めた。
「香水がいいかなと思っているの」
「おっ、いいね。とびきりのを選んでくるよ」
「ありがとうハルカ」
「ちょっと待ってください」
ハルカが歩き出しかけたので、ユウは慌てて割って入った。
「まだ傷も完治していないでしょう。もう少しご自分を大事にしてください。どれだけみんな心配したと思ってるんですか」
「嬉しいよ」
止めるつもりで言ったユウだったが、ハルカは予想外にも落ち着き払って礼を述べた。ユウはそんなつもりなど全くなく、彼の態度を怪訝そうな顔で見た。
「やっぱ良い奴だな。大丈夫。ちょっと行ってすぐに戻るから。この格好してたら気付かれないだろ」
ハルカはそう言って両手を広げた。傷を締め付けないために、神官が衣を貸してくれていたのだった。ふわりと全身を覆う白い衣とハルカは不似合いではあったが、ユウはそこまでは言わなかった。かわりに頭を抱えて悩んでしまった。どうすれば彼が諦めてくれるか、必死に考えを巡らせた。
「ユウも一緒に行ったらどう?」
今まで黙っていたアマネが、突然提案をした。冗談めかしている訳ではなく、ごく真面目な顔をしていた。言われた二人は否定も肯定もできずにお互いを見つめた。
「私はここに居れば安全だし、護衛もいらないでしょ」
アマネは畳み掛けるように続ける。
「外に出れば、ハルカが危険な目にあうかもしれないんですよ」
「ユウが守ってよ」
「もしなんかあったら、怒られちまうだろ。いいよ、俺一人で行くよ」
三人共意見が合わず、並行線を辿りそうだった。仕方なく折れたのはユウだった。
「分かりました。僕もハルカと行きます」
ハルカは「そうか」と小さく頷くだけにとどめた。
アマネだけが全て上手くいったとでもいうように満面の笑みを浮かべていた。
よくよく聞けば、アマネとユウが言い合っているようだった。旅の最中には何度かあったものの、久しぶりにその掛け合いを聞いたため、興味が湧いたのだった。ただ、なかなか話が収まらないため、ついには会話に参加してしまった。
「お二人さん。どうしたんだよ」
アマネはハルカを見るなり、仲間を得たと顔を輝かせた。ユウは隣で決まりの悪そうな顔をする。ハルカは二人に見つめられ、きょとんとして首をかしげた。
「実はね、明日お姉さまの誕生日なの」
「えっ、そうなのか」
さすがのハルカも誕生日までは初耳だった。思わず驚いて声が大きくなる。
「毎年お姉さまに贈り物をしているのだけど、用意するのをすっかり忘れてしまっていたの。今から街に買いに出たいんだけど、ユウが許してくれないのよ」
「街は危険です。僕達の行方を探している者もいるはずです」
「お姉さまの喜んだ顔が見たいのよ」
「もし何かあれば、アンリ様は間違いなく悲しまれます」
ユウがぴしゃりと言うと、アマネはすぐに頬を膨らました。そして、何か訴えるようにハルカを見た。
ハルカはどちらの言い分も納得できてしまうため、険しい顔で二人を見た。そして、何か考え込むように目を閉じて俯いた。
「わかった。俺が行こう」
名案が湧いたとハルカは顔を輝かせた。
「何を言っているんだ」
ユウは度肝を抜かれて思わずしどろもどろになって言った。そんな彼を見て、ハルカは陽気に笑った。屈託のない表情だった。既に心を決めたようだった。
「アマネちゃんは危ないから、俺が買いに行ってくる。何がいい?」
ユウの制止が聞こえないとでも言うように、ハルカはアマネと話を進めた。
「香水がいいかなと思っているの」
「おっ、いいね。とびきりのを選んでくるよ」
「ありがとうハルカ」
「ちょっと待ってください」
ハルカが歩き出しかけたので、ユウは慌てて割って入った。
「まだ傷も完治していないでしょう。もう少しご自分を大事にしてください。どれだけみんな心配したと思ってるんですか」
「嬉しいよ」
止めるつもりで言ったユウだったが、ハルカは予想外にも落ち着き払って礼を述べた。ユウはそんなつもりなど全くなく、彼の態度を怪訝そうな顔で見た。
「やっぱ良い奴だな。大丈夫。ちょっと行ってすぐに戻るから。この格好してたら気付かれないだろ」
ハルカはそう言って両手を広げた。傷を締め付けないために、神官が衣を貸してくれていたのだった。ふわりと全身を覆う白い衣とハルカは不似合いではあったが、ユウはそこまでは言わなかった。かわりに頭を抱えて悩んでしまった。どうすれば彼が諦めてくれるか、必死に考えを巡らせた。
「ユウも一緒に行ったらどう?」
今まで黙っていたアマネが、突然提案をした。冗談めかしている訳ではなく、ごく真面目な顔をしていた。言われた二人は否定も肯定もできずにお互いを見つめた。
「私はここに居れば安全だし、護衛もいらないでしょ」
アマネは畳み掛けるように続ける。
「外に出れば、ハルカが危険な目にあうかもしれないんですよ」
「ユウが守ってよ」
「もしなんかあったら、怒られちまうだろ。いいよ、俺一人で行くよ」
三人共意見が合わず、並行線を辿りそうだった。仕方なく折れたのはユウだった。
「分かりました。僕もハルカと行きます」
ハルカは「そうか」と小さく頷くだけにとどめた。
アマネだけが全て上手くいったとでもいうように満面の笑みを浮かべていた。
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