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北の民
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シュウトもレイ達がやって来たのを確認したため、不安も無くなりひたすらに戦いに専念できた。
ハルカのためにすぐにでもアンリを助けたかったが、王とユウの会話も聞いていたため、彼らに任せる事にした。国の始末は自分達でするべきだろう。シュウトが最期を決めるべきではなかった。シュウトは彼らが負担にならないよう、手前の兵士らを風のように倒していった。
戦いの初めを思えば数はだいぶ減っており、じきに終着が見えてきそうだった。手下の軍兵の数がまばらになってくると、一人、シュウトの方に進んでくる人物が見えた。
北の軍と同じ色の服を着ているが、誰よりも豪華に着飾っていた。多分一番上の者だろう。目的ありげな様子に、シュウトもただじっとその人物を眺めた。
メリアメ王と比べるとそれほど体格は大きくなかったが、色白の肌に鋭い顔つきをしていた。歳は四十前後だろうか。シュウトの知った顔ではなかった。ただ、この時が来るべくして来たような、不思議な感覚に襲われた。北の長は、剣が届かないくらいの距離で立ち止まった。一応、突然の襲撃を警戒しているようだったが、剣は腰の鞘にしまわれていた。シュウトも、ただ立ち尽くして彼と向き合うだけだった。
長は、おもむろに話し始めた。
「古くから、王族に語り継がれていた話がある。我々は、南の軍と戦い全滅しそうになったところを、一人の息子を犠牲にして生き延びたと。彼のおかげで、今の私達が存在するのだと。私の遠い先祖の話だ。さほど信じてはいなかったが。もしかして、あなたではないか?」
シュウトは何も言葉を返せなかった。見ず知らずの男が突然に話す事としてはあまりにも衝撃的すぎた。
「…何故俺だと?」
「私もお姿までは知りません。ただ、我々はずっと、その方を崇めて祀ってきたのです。彼の正体は、戦いの神だったのです。あなたの戦うお姿、お顔を見て、もしやと思いました。私達の一族と同じ顔をしている」
彼が自分に似ているなどと、全く思えなかったが、傍から見ればそうかもしれなかった。どこか肌の色、雰囲気は似ている気がした。彼の言っている事も、シュウトの記憶と重なり否定ができなかった。
「捨てられたんだ…、俺は」
かなり小さな声だったが、精一杯のシュウトの言葉だった。すると、長は一切の躊躇なく頭を深く下げた。
「すいませんでした。我々は弱かった。そして卑怯だった。けれど、あなたのおかげで、今私達は存在しているのです」
シュウトの目から一筋涙が伝った。自分では何の意識もないのに、どこからかこみ上げてくるものがあった。彼の一言を聞いて、全て洗い流されたようだった。あの時の悲しみも、ずっと感じてきた疎外感にやるせなさ、死ねない苦しみの何もかも。
「すでにたくさん倒してしまったが…」
シュウトは困惑しながら辺りに横たわっている兵達を見回した。
長は初めて笑顔を見せて首を振った。
「あなたの戦い方なら、彼らは意識を取り戻すでしょう」
「キヌンと共闘しているんだろう」
「ええ。戦が始まる前に、彼から計画の全てを教えられました。我々も、自国の利益を考えて賛同しはしましたが。ただ、この光景を見れば一目瞭然です。王は、メリアメ王です」
「そうだな」
「この戦が無事に終わった時には、メリアメ王とぜひ同盟を結びましょう」
二人も並んで戦の最後を見守った。
ハルカのためにすぐにでもアンリを助けたかったが、王とユウの会話も聞いていたため、彼らに任せる事にした。国の始末は自分達でするべきだろう。シュウトが最期を決めるべきではなかった。シュウトは彼らが負担にならないよう、手前の兵士らを風のように倒していった。
戦いの初めを思えば数はだいぶ減っており、じきに終着が見えてきそうだった。手下の軍兵の数がまばらになってくると、一人、シュウトの方に進んでくる人物が見えた。
北の軍と同じ色の服を着ているが、誰よりも豪華に着飾っていた。多分一番上の者だろう。目的ありげな様子に、シュウトもただじっとその人物を眺めた。
メリアメ王と比べるとそれほど体格は大きくなかったが、色白の肌に鋭い顔つきをしていた。歳は四十前後だろうか。シュウトの知った顔ではなかった。ただ、この時が来るべくして来たような、不思議な感覚に襲われた。北の長は、剣が届かないくらいの距離で立ち止まった。一応、突然の襲撃を警戒しているようだったが、剣は腰の鞘にしまわれていた。シュウトも、ただ立ち尽くして彼と向き合うだけだった。
長は、おもむろに話し始めた。
「古くから、王族に語り継がれていた話がある。我々は、南の軍と戦い全滅しそうになったところを、一人の息子を犠牲にして生き延びたと。彼のおかげで、今の私達が存在するのだと。私の遠い先祖の話だ。さほど信じてはいなかったが。もしかして、あなたではないか?」
シュウトは何も言葉を返せなかった。見ず知らずの男が突然に話す事としてはあまりにも衝撃的すぎた。
「…何故俺だと?」
「私もお姿までは知りません。ただ、我々はずっと、その方を崇めて祀ってきたのです。彼の正体は、戦いの神だったのです。あなたの戦うお姿、お顔を見て、もしやと思いました。私達の一族と同じ顔をしている」
彼が自分に似ているなどと、全く思えなかったが、傍から見ればそうかもしれなかった。どこか肌の色、雰囲気は似ている気がした。彼の言っている事も、シュウトの記憶と重なり否定ができなかった。
「捨てられたんだ…、俺は」
かなり小さな声だったが、精一杯のシュウトの言葉だった。すると、長は一切の躊躇なく頭を深く下げた。
「すいませんでした。我々は弱かった。そして卑怯だった。けれど、あなたのおかげで、今私達は存在しているのです」
シュウトの目から一筋涙が伝った。自分では何の意識もないのに、どこからかこみ上げてくるものがあった。彼の一言を聞いて、全て洗い流されたようだった。あの時の悲しみも、ずっと感じてきた疎外感にやるせなさ、死ねない苦しみの何もかも。
「すでにたくさん倒してしまったが…」
シュウトは困惑しながら辺りに横たわっている兵達を見回した。
長は初めて笑顔を見せて首を振った。
「あなたの戦い方なら、彼らは意識を取り戻すでしょう」
「キヌンと共闘しているんだろう」
「ええ。戦が始まる前に、彼から計画の全てを教えられました。我々も、自国の利益を考えて賛同しはしましたが。ただ、この光景を見れば一目瞭然です。王は、メリアメ王です」
「そうだな」
「この戦が無事に終わった時には、メリアメ王とぜひ同盟を結びましょう」
二人も並んで戦の最後を見守った。
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