エッセイ ~時代~

千田 陽斗(せんだ はると)

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寛容さを涵養するために

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  新装開店、不定期エッセイ連載、第一段は寛容さのついて

 二〇一九年はどんな年だったか? 
 印象的な言葉を思い浮かべてみましょう
 さまざまな不自由な案件、炎上、正義やらイズムをめぐるネット世論の混乱、コンプライアンスやポリコレ、差別やセクハラ。
 こういった語彙の氾濫と実感とのズレもあるような気がしますが、多くの人が感じているのは空気の循環の悪い部屋にいるような居心地の悪さなのかもしれません。
 どうやら寛容さというものを考えてみる必要があるのかもしれませんね。 

 ・寛容さと必要悪とは?
 さて寛容さとはなんでしょうか。
 ぼくが愛用する新明解国語辞典によると
 (失敗などをとがめだてしないで)他のいい面を積極的に認めようとする様子
 とあります。
 言い換えれば必要悪を認めることともいえるでしょう。
 人類は、知恵と社会性を引き換えに、個としては決して強くない生き物に進化したといえます。
 生き残りのために築いた複雑な社会は、大自然のなかでかろうじて存続しているのに、社会の営みが切実なものにも感じられます。
 そんな複雑な社会には、みんなのために仕方ないことがどうしてもでてきます。
 たとえば、ぼくは注射が苦手ですが、インフルエンザのワクチンを接種しないと、インフルエンザに感染してほかの人に染してしまうかもしれません。
 ならば、痛いのを我慢してワクチン接種を受けるとか。
 やはり、こうような寛容な構えが社会にとって必要であるといえます。
 ただしここで気をつけなければならないのは、必要悪と悪をあえて分けて考えることです。

 セクハラ告発や反差別には賛否両論がつきまとうようになりました。
 いわく、正義をふりかざすにも慎重にならなければならない。
 それも一理ありますが、ではセクハラや差別・排外主義が必要悪といえるのか?
 ほとんどの場合において、いえないと思います。  
 他者の尊厳を殺しかねないような振るまいはさまざまな人が共存することを困難にしてしまからです。
 セクハラや差別はある種のぶちまけコミュニケーションであるともいえますが、しかるべき場面においては、そのぶちまけを我慢する。 
 我慢はストレスかもしれないが、場を守るためにそうするべきであるともいえます。
 必要悪とはなんであるのかを整理する必要がああります。

 悪いという語には、不道徳や非倫理的という意味もありますが、単に好ましくないとか、劣っておるという意味もあります。
 繰り返すと、とかくある物事において、悪さよりよい面のほうが勝っているなら、その物事を安易に否定しない、これが寛容さであるといえましょう。
 ただ、ある物事のよい面・悪い面は、簡単にははかれないし、それをどこから見るのかによっても評価は変わります。
 事実性を共有していくことが大事であるといえるでしょう。
 具体的に考えると、価値観の多様化。
 いろんな考えの人が入ってくると一時的には混乱もするけど、そのほうがいいアイデアが生まれるから、多様な価値観を受け入れるとか。 
 あるいは不便なものでも、あえてそれを残したほうが人々のコミュニケーションが途絶えず、有用なので不便さを残すとか。
 こういののも必要悪を認める寛容さであるといえるでしょう。 
 
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