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第二章 鬼囃子編
103 洞窟の攻防
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「「「「そらそらそら!」」」」
「本当に鬱陶しいですわねぇ!」
リリスと相対しているバアルの姿は既に八体まで増殖している。
粉砕しては再生して纏わりついてくるバアルにリリスもイラつきを感じ始めているようだった。
ミミルは無事尻尾を吸収したようで、大きなあくびをかましながらゆっくりとこちらに歩いてきている。
ミミルからもこちらの戦闘は見えているはずなのだが、あいつ、全く焦った顔をしていない。
興味がないのか、全く心配していないかのどちらかだな。
「リリス、退却だ」
「んふぇっ!? いいんですの?」
「ここじゃキリがない。洞窟と地魔法の相性は完璧だ。一度洞窟から出てそこでバアルを仕留める」
「敵の前で作戦会議とは随分と余裕だな!」
「さぁな」
余裕だな、と余裕そうに言うバアルを横目に入れながらゴーレムの猛撃を受け止める。
ゴーレムもバアルと同じように、打撃を加えて破壊してもすぐに再生してしまうのでこちらもキリがない状態だ。
上も下も左も右もゴーレムの材料で満ち満ちているこの洞窟で、このまま戦い続けても終わりは無い。
バアルと相対したのが俺達ではなく低級冒険者や一般人相手だったとしたら、痛みも恐れも感じないこの戦闘人形の果てしない物量で鏖殺されているだろう。
鬼獣教十二司教の一人、確かに恐ろしい相手だ。
「くくく、アダムよ。この俺の【無限傀儡】から逃げられると思うのか?」
「逃げる? それは違うな。そのお高く止まった長い鼻をへし折ってやるよ」
しかしそれは一般常識に当てはめた場合の話。
こちらにも一般常識を超えた存在がいるのだ。
負ける要素などどこにも無い。
「戦略的撤退っ! ダッシュ!」
「はいですわ!」
「わかった!」
「よーけ逃げようの」
ゴーレムの一撃をかわし、俺は洞窟の出口目指して一目散に駆け出した。
――アダムはにげだした! ダカダカダカッ!
「させんよ!」
背後でバアルの声が聞こえたと思えば、進行方向に数十体のゴーレムが出現した。
――しかし回り込まれてしまった!。
「せええぇい!」
――リリスはばくれつけんを放った!。
「邪魔じゃ退け」
――ミミルはまわしげりを放った!。
「退いて下さい!」
――モニカは祈った! しかし効果が無かった!。
「ホーアチャチャチャチャア!」
――アダムはきたとひゃくれつけんを放った!。
モニカを除く三人の攻撃が一斉に襲いかかり、数十体いたゴーレムは瞬時に粉砕された。
「甘いわぁ!」
ゴーレムの壁を突破したと思えば、その先に新たなゴーレムの壁が出現する。
「それはこっちのセリフですわよ! せいっ!」
――リリスのメガトンパンチ! 効果はばつぐんだ!
脳内に響く理ちゃんの実況を聞きながら、次々と現れるゴーレムの壁を次々に粉砕していく。
そして数度の交戦の果てに俺達は洞窟から飛び出し、ある程度の距離を取って洞窟の入口を睨みつけながら、隣にいたモニカに耳打ちをした。
モニカはコクリと頷いて後ろに下がっていった。
「やっと出れたぜ」
「ふん……! 図に乗るなよ」
そう言いながら洞窟からゆっくりと姿を表したバアルは、忌々しそうに俺を睨みつけた。
「本当に鬱陶しいですわねぇ!」
リリスと相対しているバアルの姿は既に八体まで増殖している。
粉砕しては再生して纏わりついてくるバアルにリリスもイラつきを感じ始めているようだった。
ミミルは無事尻尾を吸収したようで、大きなあくびをかましながらゆっくりとこちらに歩いてきている。
ミミルからもこちらの戦闘は見えているはずなのだが、あいつ、全く焦った顔をしていない。
興味がないのか、全く心配していないかのどちらかだな。
「リリス、退却だ」
「んふぇっ!? いいんですの?」
「ここじゃキリがない。洞窟と地魔法の相性は完璧だ。一度洞窟から出てそこでバアルを仕留める」
「敵の前で作戦会議とは随分と余裕だな!」
「さぁな」
余裕だな、と余裕そうに言うバアルを横目に入れながらゴーレムの猛撃を受け止める。
ゴーレムもバアルと同じように、打撃を加えて破壊してもすぐに再生してしまうのでこちらもキリがない状態だ。
上も下も左も右もゴーレムの材料で満ち満ちているこの洞窟で、このまま戦い続けても終わりは無い。
バアルと相対したのが俺達ではなく低級冒険者や一般人相手だったとしたら、痛みも恐れも感じないこの戦闘人形の果てしない物量で鏖殺されているだろう。
鬼獣教十二司教の一人、確かに恐ろしい相手だ。
「くくく、アダムよ。この俺の【無限傀儡】から逃げられると思うのか?」
「逃げる? それは違うな。そのお高く止まった長い鼻をへし折ってやるよ」
しかしそれは一般常識に当てはめた場合の話。
こちらにも一般常識を超えた存在がいるのだ。
負ける要素などどこにも無い。
「戦略的撤退っ! ダッシュ!」
「はいですわ!」
「わかった!」
「よーけ逃げようの」
ゴーレムの一撃をかわし、俺は洞窟の出口目指して一目散に駆け出した。
――アダムはにげだした! ダカダカダカッ!
「させんよ!」
背後でバアルの声が聞こえたと思えば、進行方向に数十体のゴーレムが出現した。
――しかし回り込まれてしまった!。
「せええぇい!」
――リリスはばくれつけんを放った!。
「邪魔じゃ退け」
――ミミルはまわしげりを放った!。
「退いて下さい!」
――モニカは祈った! しかし効果が無かった!。
「ホーアチャチャチャチャア!」
――アダムはきたとひゃくれつけんを放った!。
モニカを除く三人の攻撃が一斉に襲いかかり、数十体いたゴーレムは瞬時に粉砕された。
「甘いわぁ!」
ゴーレムの壁を突破したと思えば、その先に新たなゴーレムの壁が出現する。
「それはこっちのセリフですわよ! せいっ!」
――リリスのメガトンパンチ! 効果はばつぐんだ!
脳内に響く理ちゃんの実況を聞きながら、次々と現れるゴーレムの壁を次々に粉砕していく。
そして数度の交戦の果てに俺達は洞窟から飛び出し、ある程度の距離を取って洞窟の入口を睨みつけながら、隣にいたモニカに耳打ちをした。
モニカはコクリと頷いて後ろに下がっていった。
「やっと出れたぜ」
「ふん……! 図に乗るなよ」
そう言いながら洞窟からゆっくりと姿を表したバアルは、忌々しそうに俺を睨みつけた。
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