捨てられ雑用テイマーですが、森羅万象を統べてもいいですか? 覚醒したので最強ペットと今度こそ楽しく過ごしたい!

登龍乃月

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3巻

3-1

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 第一章 異界の王


 人の住む世界から次元じげんかべへだてた先に、人の知らない世界が存在する。人から幻獣げんじゅうと呼ばれる種族達の住む幻獣界げんじゅうかい、人に馴染なじみ深い精霊せいれい達が住む精霊界せいれいかい、人が天国てんごくと考え天使てんしかみと呼ばれる翼天族よくてんぞくが住む天界てんかい、人から地獄じごくと恐れられおに冥族めいぞくが住む冥界めいかい、人にあだなす悪魔族あくまぞくが住む悪魔界あくまかいの五つの世界である。
 それら全ての世界の狭間はざまにて、姿形の異なる五者が一つのたくを囲んでいた。

「皆、久しいな」

 卓に座る面々を一人一人見つめ、〝幻獣王げんじゅうおう〟バハムートエデンは静かに席に着いた。
 彼こそが幻獣界に住む龍族りゅうぞくの頂点にして幻獣界をべる王である。
 幻獣王以外の四人もまた、各世界をべる王達だ。
 各々おのおのが人族よりも遥かに強大な力を持つ、一癖ひとくせも二癖もある者達だ。

「それじゃー始めますか? いーですよね? 幻獣王バハムートエデン様?」
「構わん、始めてくれ。聖天王せいてんおう殿、それと様付けなどとたわむれはよすのだ。相変わらずおちゃらけた王よ」
「えへへ! ごめんなさーい」

 五人の中で一番小柄な、一見ただの少年にしか見えない彼は、天界を統べる〝聖天王〟スカイ・セントセレスティアという。
 背中から生える純白の翼はそれだけで気高けだかさを感じさせるが、癖の強いクルクルの金髪と愛くるしい笑顔、背丈せたけは百五十センチと少しという、外見の幼さに反して、かもし出す神々こうごうしさが実にアンバランスだ。
 年齢は三千を超えている。にもかかわらず、言動は子供じみており、を追求する事を妥協だきょうしない。
「天界には娯楽ごらくが少ないからね」と言うが、それだけではないのだろう。
 幻獣王と聖天王は長い付き合いになるが、聖天王の腹の中は未だ知れず本心で物事を語る事は決してない。
 これはこの場にいるそれぞれに言える事ではあるのだが。
 各世界は互いに不可侵ふかしんおきてちぎっており、王同士が顔を付き合わせるのは数百年に一度あるかないか。
 顔を合わせたとしても本音で語り合う、などという事はない。

「久しいわね、皆健勝そうでなにより」
「相変わらずの美しさだな。精霊王せいれいおうよ」

 鈴の音のような涼やかな声の持ち主は〝精霊王〟、五人の王の中で唯一の女性であり正式には女王と呼ぶべきなのだが、形式上、王と呼ばれている。
 その名をレミア・スピリティオール。

「……ふん、気に食わん」
「数百年ぶりに会った一言目がそれとはな、お主らしいわい。冥王めいおうよ」

 幻獣王の前方には、座して尚見上げるほどの巨漢きょかん、〝冥王〟トーラス・ガヴァン。
 身の丈五メートルを超える【ヘルジャイアント】という種族であり、武人気質で口数の少ない寡黙かもくな男だが、非常に短気な所がある。
 曲がった事は嫌いで、問題が起これば武力をもって解決に導く武闘派である。
 人間界にんげんかい、すなわち原初げんしょの世界で落とされた魂は、特別な事がない限り皆冥界へと送られていく。
 冥王は冥界だけではなく、死した魂の選別せんべつ浄化じょうかにも携わっている。原初の世界では〝閻魔大王えんまだいおう〟とも呼ばれる者だ。

「多く語る口は持たん。会話が欲しければそこのエゴイストに言え」
「これはこれは……吾輩わがはいはただ理想を追い求めるだけの探究者たんきゅうしゃ。エゴイストとはまったく……素晴らしい褒め言葉ですね」

 巨岩のような冥王の隣に座る、せぎすの男がニタリと笑う。
 この男は、〝悪魔王あくまおう〟ケストル・デモニア。
 悪魔は饒舌じょうぜつにして狡猾こうかつ、他者の弱みを握り、悪意を操り、恐怖や悲しみ、憎悪の感情を特に好む。
 口八丁くちはっちょう甘言かんげんで人をもてあそび魂を喰らう、恐怖の象徴ともされている。
 そんな種族の王たるケストル・デモニアも、例に漏れず生粋きっすいの悪魔と言える。
 五界の他種族からも嫌われ、避けられる悪魔王は再びニタリと笑い、枯れ木のような腕を振り上げ、歌い上げるように朗々と語る。

「お久しぶりですね、バハムートエデン殿。相変わらず力強い生気と魂の輝き、眩しすぎて目がくらんでしまいそうだ……だがしかし、吾輩は闇深の底の遥かな闇、その光すらいずれ呑み込んでさしあげよう」
「ふん、そんな時が来るとは思えんがな? とはいえ、そなたの強さを侮っているわけではない」
「さすがは龍の王、慧眼けいがん恐ろしきものです。不可侵の決まり事がなければ、我々はいの一番に幻獣界へ遊びに行きたく常々思っているのをお忘れなく」

 悪魔という種族はえてして好戦的であり、戦いこそ至高と考えている。
 戦いの中には恐怖、怯え、悲しみ、血、暴力、魂、悪魔の求めるものが全て凝縮ぎょうしゅくされているのだから、当たり前ではあるが。

「それじゃー皆! 予言者よげんしゃよりしらせのあった【森羅万象しんらばんしょうおう】覚醒について意見を出し合っていこうよ」

 聖天王スカイの明るい声で、五王会議ごおうかいぎが始まった。

「おい、エデン。貴様はよく平気な顔でここに座っていられるな?」
「吾輩もトーラス殿と同意見ですよ。幻獣王たる貴方あなたが一体何をお考えなのですか? バハムートエデン殿」

 途端に口火を切ったのはトーラスとケストル。

「はて、ワシにはなんの事か、皆目見当もつかん、なんの話じゃ」
「とぼけるな! 貴様、森羅万象の王が覚醒した瞬間、自分の娘を送り込んだそうじゃないか!」
「そうです! 一人抜け駆けをなさっておいて、厚かましいにもほどがあります」

 トーラスは憤慨ふんがいし、ケストルは微笑みを浮かべている。二人の言う娘とは、幻獣王の愛娘まなむすめであるリリスの事。
 確かに二者の言う通り、幻獣王は二百年前に予言を受けた後、リリスをわずかな眠りにつかせた。眠らせたのは万の可能性を考え、十全に力を溜め込ませるため。
 そして、森羅万象の王アダムが覚醒し、リリスはアダムの元へと転移した。

「抜け駆けではない。幻獣王にのみ伝わる約束事があってな、実は――」

 なぜ幻獣王が抜け駆けともとられる事をしたのか。その理由は三千年前に崩御ほうぎょした先代の森羅万象の王との約束にある。
 ――人は弱い、森羅万象の王へ至る者は必ず、覚醒時に苛烈かれつ凄惨せいさんな運命を迎える。その運命を超える手助けをしてやって欲しい――これが当時の約束。
 精霊と共に人に身近な存在である幻獣、その中でも最強と名高い龍族に託したい、と直接言われれば、断る事の出来る者などいないだろう。

「ふむ……我の知らんところでそんな約束が交わされていたとは」
「どうですかね? エデン殿の作り話かもしれませんよ?」

 互いに違う反応を見せるトーラスとケストル。特にケストルは信じていない。

「証明出来る文書もないでな、信じてもらいたいと言うしかないんじゃがな」

 とはいえ、ここでああだこうだと揉めても利はない。元々トーラスとケストルは森羅万象の王に対して敵対的というか、少なくとも好意的でない。
 ケストルはなんやかんや文句を付けて、森羅万象の王と懇意こんいにしていたバハムートエデンを糾弾きゅうだんしたいのだろう。

「はいはいはーい、冥王も悪魔王も今はその話じゃないでしょ? 今は覚醒した森羅万象の王に対して、どうするか、って話だよ」
「ふん」
「これは失礼を……」

 スカイが手を叩いて話を元に戻した。今回五王が集まったのはアダムという男をどうするか、という話をまとめるため。

「ワシから述べさせてもらおうかの。皆も知っておる通り、我が娘リリスは原初の世界へと渡り、森羅万象の王であるアダムの元で力添えをしておる。なぜワシがその名前を知っているかだが――まぁ娘が心配での、使い魔を送って度々連絡を取っておるからじゃ。リリスが言うには、森羅万象の王としての覚醒度合いは、まだそこまでではないらしい。ただ、やはり他の人族とは隔絶した基礎能力を有しておるとの事じゃ。従者も着々と進化しておるらしい。が、本来の力を得るには今しばらくかかりそうじゃ。幻獣王と精霊王の意見としては、このまま見守っていき、来るべき時がくればこうべを垂れようと思っておる」

 最初に口を開いたのは、やはりバハムートエデン。

(約束は真実であるが、ワシがその約束に「森羅万象の王の嫁になれ」と付け加えてリリスに言付けたのは、秘密にしておいた方が無難じゃな。なんせ先代の幻獣王であった姉君の嫁ぎ先も、当時の森羅万象の王だったのじゃから、そう、人で言う形式美というヤツじゃな)

 そのままバハムートエデンが続ける。

「のう、冥王よ。アダムの元にはミミルという名の鬼姫がいるそうじゃぞ。確か〝鬼王おにおう″の娘の一人にそのような名の娘がいたと記憶しておるのじゃが?」
「なんだと!? 鬼王の娘ミミルは――死んだはずだ。棺に入れ、鬼王の墓所ぼしょの一画に埋葬された……葬儀そうぎには我も参列している、間違いない」

 そう、リリスからの報告にあった″鬼王姫おにおうき〟ミミルは既に亡き者であり、亡骸なきがらは冥界にあるはずなのだ。生きて原初の世界に現れる、など到底信じられる事ではない。

「とは言うてもなぁ、リリスがそう言うんじゃし、そうなんじゃろうて……」
「馬鹿な……! ふん、そんなもの冥界に帰り確認すればいい事だ。エデン殿、何が言いたい?」

 トーラスは苛立ちを含んだ口調で幻獣王に問う。

「なぁに、ワシを抜け駆けと言うなら鬼王の娘っ子はどういう扱いになるのか、と思っただけじゃよ」
「なっ! そこまで言うのなら調べた後、報告してやる! それで満足だろう!」

 場にピリついた空気が流れたところで、スカイが仏頂面ぶっちょうづらで割り込んだ。

「もう! 御三方! やめてよね! 話が全然進まないよ! もっとちゃんとして欲しいな?」
「これは失礼を、冥王と幻獣王に代わり、この悪魔王ケストル・デモニアが謝罪させていただきます」

 大仰に道化師どうけしのような深いお辞儀をしたケストルは、さらに身振り手振りを加えて言葉を紡いだ。

「新たな森羅万象の王、そのお方がどのような人間なのかは分かりませんが――よろしければこのケストル、一度相まみえてみたいのですが――」
「ふん。貴様はただ戦いたいだけだろう。この戦闘狂せんとうきょうが」
「貴方には言われたくないですよ? トーラス殿」

 悪魔王ケストル・デモニア。いかにも紳士然とした立ち振る舞いをし、常に微笑みを絶やさず言葉遣いも丁寧ていねい。しかしながら、その実態は卑劣ひれつ冷酷れいこく、快楽のために命を奪い、言葉巧みに相手をかどわかし騙し魂を奪い啜る、サディストかつサイコパス。
 彼には数十人の子供がいたが、子供に対し愛情などというものは一切持たず、自分の都合の良い道具程度の認識しか持っていない。
 さらに数十人いた子供も、現在では二人しか生存が確認されていない。
 それはなぜか。答えは簡単で、ケストルは子供達同士で殺し合いをさせ、強き者を選別していったからだ。
 しかし、たとえ生き残ったとしても、ケストル自身が定めた基準値に満たない子供は容赦ようしゃなく殺されていった。
 そうして生き残ったのがたった二人、というわけである。
 ケストルは無謀にも先代の森羅万象の王へ挑み、あっさりと返り討ちにあったのだが、戦いを挑んだ理由も「ただ戦いたかったから」というもので、強さを求める純粋な戦闘狂なのだ。

「君の趣味嗜好しゅみしこうは知っているけど、王が直接出向くのは容認出来ないなぁ。君が原初の世界に行ったら、ついでに数万の人間の魂を食い散らかすだろうしさ」
「これは手厳しい……否定はいたしませんがね?」

 ケストルはスカイの指摘に悪気のない笑みを向け、その後で全ての王へ視線を送ってから指をパチリと鳴らした。
 すると、ケストルの背後に渦状のモヤが広がり、中から一体の悪魔が現れた。

「お呼びですか、陛下へいか
「ヴァルフレイアよ。貴方は原初の世界に用事があると言っていましたね? そのついでに覚醒した森羅万象の王の資質を見極めてきなさい」
「ついで……ですか?」
「何か問題でも?」
「い、いえ! 拝命いたしました!」

 ヴァルフレイアと呼ばれた悪魔は慌てたように一礼し、そのままモヤの中へと消えた。

「ケストル殿。今のは?」

 急に現れた悪魔に怪訝そうな顔をする王達を代表して、バハムートエデンがケストルに尋ねる。

「今のは吾輩の近衛騎士団このえきしだんの団長ですよ。実に使い勝手のいい部下なのです」

 この五王会議の空間に王以外は存在しないが、一時的に従者を呼ぶ事は禁止されていない。
 しかし、ケストルの近衛騎士団長といえば、その戦闘力は悪魔界でも上位に食い込むと言われる。
 悪魔的な思考からすれば、資質を見極めるイコールどれだけの強さがあるかを試す、となり、アダムと接触すれば戦闘になる事は間違いない。
 いくらアダムの従者が進化して強くなったとはいえ、それは原初の世界での話。
 ついでと言ったのは、アダムの力があの近衛騎士団長には及ばぬだろうとたかを括っているからだった。
 バハムートエデンは、リリスからの報告と、自分の目で見たヴァルフレイアの実力を比較する。
 対抗出来るとすればリリスくらいのものだが……と続けて考えるが、リリスが戦い勝利したとて、それはアダム自身の強さの判断材料にはならない。
 そうなれば、ケストルはアダムの事を認めないし、何かしらの理由を付けて、無理矢理にでも争いの火種を作るだろう。
 アダムに対して好意的なのは精霊王と幻獣王、聖天王は中立であるがゆえ何も言わず傍観ぼうかんを決め込んでいる。
 冥王は敵対的なため悪魔王を止める事はしない。
 そしてバハムートエデンとレミリアとて、アダムに対し真の王となれるのかという疑問を持っているのは事実。
 これからアダムの進む道は非常に険しく困難なものになる。
 バハムートエデンはそう確信していた。

(アダムよ、そなたは一人ではない。仲間と自分自身を強く信じひたむきに進むのじゃ。今は交わりなき世界同士ではあるが、きっとそなたに力を貸す異界の者は現れる)
「まったく、ケストル殿は本当に勝手なんだから……でも僕的には面白そうだし問題はないかな」

 聖天王は満面の笑みで言い、冥王は目を閉じて無言、精霊王はため息を吐いて肩を落としていた。
 今日の議題は覚醒した森羅万象の王について話し合う、という非常に曖昧あいまいなもの。
 これまでに何度も話し合いの場を作っても、まともな結論など出たためしがない。

「それでは皆々様、今回は吾輩の番という事で……新たな森羅万象の王の力を見たいのは、決して吾輩だけではないはずですからね?」

 これ以上の話は不要と、ケストルが会議をまとめるため口を開く。

「ワシは……何も言う事はない。ケストル殿の言う通り、その素質を見極める必要があるのは確かじゃからな」
「では! ケストル殿から良い報告を聞ける事を楽しみに、今回は閉会としまーす」

 スカイが締めの言葉を口に出す。こうして会議は終了し、皆各々の世界へと帰って行った。


 第二章 廃屋敷はいやしきひそかげ  


 鬼獣教きじゅうきょう、そして大きな力を得て復活したヤシャとの戦いから早数ヶ月。
 やや肌寒い季節になり、俺、アダムがリーダーを務めるパーティ、【聖王龍鬼せいおうりゅうき】は日々依頼をこなしながら平穏な日常を過ごしていた。
 そんな折、リリスに話があると言われ、俺は行きつけのカフェに足を運んだ。

「アダム様! 私、実家へ帰らせていただきますわ!」
「ブッファ!」

 唐突なリリスの帰郷宣言ききょうせんげんに、俺は思わず飲みかけの紅茶を噴き出してしまった。
 俺が森羅万象の王に覚醒した時から一緒に過ごしているリリスが、改まった顔をして言うもんだから、どうしたのかと気になってしまう。

「い、いきなり何を言い出すんだ!?」
「お父様からお手紙をいただきましたの。一度帰ってこいとの事でして……きっと私とアダム様との結婚について直接話を聞きたいのだと思いますわ!」
「ああ、そういう事か……って、待て待て!? 幻獣王から直接連絡があったのか?」
「え? あぁ、実は今までも何度かお父様とはお手紙を交わしておりますの。幻獣界からの使い魔てで、ですけれど」

 しれっと言っているが、リリスが幻獣王と連絡を取っていたなんて事は初耳だった。

「使い魔が来てたのか……? いつ、どこで……」
「ええと、どこで、とは明確には覚えておりませんけれど、闇ギルドの【ミッドナイト】を壊滅させた後や、鬼獣教と初めて接触した後など様々なタイミングで送ったり届いたりですわ!」
「そ、そうか……」

 使い魔とは、魔力としろを使用して人工的に作られる魔法生物の事だ。熟練者ともなれば指パッチンで作り出す事もあるとかないとか。
 使用する魔力量が尋常ではないので、魔法の専門職にしか扱えないと聞いていたが……まぁリリスも父のバハムートエデンもドラゴンだしな、使えて当たり前ってとこだろう。

「て事はアレか? 俺の情報は筒抜けって認識でいいのか?」
「はい! アダム様の凛々りりしいお姿やいさましいお姿、可愛らしい一面や天性のたらしっぷりなど、つらつらと書き連ねてはお父様へ送っておりました!」

 妙に誇らしそうなリリスの顔を見ながら、俺はため息を吐いた。

「はぁ……可愛らしい一面やら天性のたらしっぷりって所が非常に気になるけど……そうか、知られているのか」
「何か問題がありまして?」
「いや、特にないんだけど……幻獣王からは何か返事があったか?」
「そうですわね……孫はまだかとか、ちゃんと食事はしているかとか、きちんとアダム様の役に立っているか、程度のふんわりとしたものですわね」

 孫……気が早いよ幻獣王さん……だがまぁ、話だけ聞くとそこまで怖いドラゴンではなさそうな気がする。
 いつか会いに行く事があるんだろうか? 龍族の流儀なんてものもあるのだろうか? そこはリリスに色々と教えてもらえばいいだろうけど。

「という事で、ちょっくら行って参りますわ!」
「すぐにつのか?」
「はい。ささっと行ってちゃちゃっと帰ってきたいですから! お父様との顔合わせやら何やら色々やる事があるので……恐らく三、四日程度になると思いますわ!」
「分かった」

 そう言ってリリスは紅茶をぐいと飲み干し、満面の笑みを浮かべて店を出ていった。


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