欠陥品の文殊使いは最強の希少職でした。

登龍乃月

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第八章 ロンシャン撤退戦ー後編ー

三五二話 説明

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「皆さんが不安なのはわかります! ですがどうか落ち着いて下さい!」

「俺はお前が俺より強いってのが気に入らない。俺は白金等級だぞ。だのにお前みたいな子供が? ふざけるのも大概にしろよ」

 囚われていた人々の意見が二つに割れ、俺の言葉に耳を傾けてくれる人がで始めた時、長身の青年が再び口を開いた。
 気障ったらしい笑みを浮かべて俺の前に立ち、思い切り見下してくる。
 この男は白金等級だと言うが、俺からしてみればランチアでお世話になったブレイブの面々、バルティーやタッカー、カーチスと同じ白金等級とは思えない。
 やはりあの人達が出来た人間だったのだろう、等級が同じでも強さや人格に違いが出るのは当たり前の話なのだからな。

「申し訳ございません。お気持ちは分かりますが、今はどうか……」

「こんななよなよしてるヤツが王の使いとはね。俺も革命軍に参加すればよかったぜ」

 俺が低姿勢でいるのをいい事に、男の態度はますます増長しているがここは我慢だ。揉める為に来たんじゃ無い。
 
「フィガロ、ブラック達が出て来たよ。歩兵部隊も管理塔の周囲五百メートル地点に展開済みさ。うん、敵もいい具合に釣り出されて外に出て来ているよ」

「分かった。ありがとう」

 連絡をくれたリッチモンドに返答し、目の前に立つ青年に再び語りかける。

「現在管理塔内部でこちらの手の者が敵を外におびき出す事に成功しました。この後は次のフェーズに移行します」

「はぁ!? 次って何だよ。いきなり話を振ってくんなよ」

「私の事を信じられないのでしょうが、作戦は順調に進んでいます。その窓から見えるのでは無いですか?」

「くそ……! 調子狂うな……!」

 青年は俺の言葉を受けて窓際へ向かっていった。
 あの青年は自分の強さを過信しているのか血の気が多いのかは知らないが、あまり長生きはしなさそうだな。
 正直あともう少し絡まれていたら、俺も手を出していたかもしれない。
 言い合いをしていた他の人々も、青年を習って一堂に窓を覗きこもうと躍起になっている。
 この部屋にいる人数はバカにならないので、全員が全員窓の外を見る事はできない。
 
「出て行く! 敵が出て行くぞ!」

 窓際からそんな声が聞こえ、喝采が沸き起こる。
 しかしこの管理塔にいる敵を全て排出させるのは無理な話であり、だからこそこの管理塔をも砲撃対象としているのだ。
 魔導砲にはいくつかの種類があるが、風属性や光属性の魔法を撃ち出して直線的に敵を葬るレイザー砲、爆発魔法を込めた魔弾を放物線状に放つ広域破壊砲、地属性の魔弾を使用し建物や城門など建築物を破壊するのに特化した魔導徹甲砲の三種類が主に使用される。
 管理塔に撃ち込まれるのは広域破壊砲と魔導徹甲砲のどちらか、もしくは両方を使用する可能性もある。
 もしシャルルが作り出したこのシェルターが持たなければ、俺の魔法で強度を底上げしてやればいい。
 キメラルクリーガー隊は管理塔から脱出した後は姿を隠す手筈になっており、後は王城の正面に配置されている魔導砲とヘカテーが配置したトラップの餌食となる。
 恐らく大体の敵が魔導砲の餌食になり、分断されて生き残った少数がトラップの餌食になるのだろう。
 
「リッチモンド、そっちはどうだ?」

「うん。こっちは上手くいっている。どうやら革命軍は足並み揃えて王城へ進行するつもりだよ? 正門の前に続々と人が集まってる」

「ブラック達、いい仕事してくれたみたいだな。全軍出撃とかしないかな」

「あっはっは! そんな事をするバカはいないって! 所でさ、管理塔への砲撃が終わったら歩兵部隊を突入させるんだよね?」

「あぁ、その手筈になってる」

「その時は僕も戦っていいんだよね?」

「勿論だ、けど本性は出すなよ?」

「大丈夫、そんな事はしないさ。おや、出発するようだよ? 随分と行動が早いね」

「分かった、一度切るぞ?」

「うん。何かあればこちらからも連絡するよ」

 ウィスパーリングを切り、歓声をあげる人々を見る。
 横にいるシャルルは動かないので本体側で近況報告をしているのだろう。
 シェルターにいる人達を数えてみるとざっと五百人はいる。
 この規模の人数を収容出来るシェルターを作り出せるとは……シャルルもやるな。
 正直に凄いと思う。
 あの自立する扉はどうやって産み出したのだろうか?
 是非ともやり方を教えて欲しい。
 ゴーレムとかの類になるのかな。
 もしゴーレムとかなら……うちの屋敷で新しく作ってもらって、何かしらに使えないだろうか。
 荷物運びとかそういうの。

「なぁあんた、フィガロって言ったか」

「はい?」

「俺っちは冒険者だが採集ばっかりやってるもんであまり強くは無い。だが人を見る目はあるつもりだ」

 俺がぼけっと考えていると、ヒゲを生やした小柄な男性が話しかけて来た。
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