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64 第三勢力
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「な、なんだよあれ!」
部隊兵の一人が謎の音を探して上空を仰ぐと、指を指して叫んだ。
ダラスやアスター、革命軍の面々もつられて上空を仰いだ。
「モンスター……か?」
「兵器のようにも見受けられますが……どこにも我が軍の紋章がないゆえ、我が軍のものではないかと」
やがて、それはバラバラと大きな音を立てながら屋敷の裏手に追い詰められていたダラス達の上空にやって来た。
一見して尻尾の長い豚のように見えるそれの腹部がスライドし、四本のロープが垂れ下がった。
「うわっ!」 何だこいつ!」
「どうした! って……コイツらどこから湧いて来やがった!」
ダラスの視線は空に浮かぶ豚に釘付けになっていたが、離れた所から部下の声が飛んできてさらに驚くことになる。
今さっきまでここにはダラス達正規軍と、命を顧みずに自爆する革命軍の二勢力のみ。
しかし今まさに、目の前に唐突に、まるで地面から生えてきたかのように、両陣営の間に割って入ってきた存在、その数はおよそ二百。
全身を覆うフルプレートメイルによく似た形状の鎧を着込み、手には何も持っていない。
ヘルメットのスリット部分にはガラスのような物が嵌め込まれ、その奥を伺う事は難しい。
出現しただけでピクリとも動こうとしないのは、敵意の無さを表しているのだろうか。
正規軍も革命軍も、唐突に現れた甲冑兵の所在が分からずに手を出せずにいた。
だがしかし、ダラスはテイル王国の兵ではないと確信していた。
自分の着用している甲冑とはデザインがまるで違っている。
ダラスの元に新しい形状の鎧が作られたという報告は入っていない。
唖然とし、膠着状態に陥った両陣営だが、ダラスはこの出現方法に心当たりがあった。
しかしその心当たりがこの場所にいるわけはなく、心当たりはテイル王国の遥か遠方魔界へと飛び去ったと聞いていた。
「ダラス司令!」
だからその声が上空から聞こえた時は、ついに幻聴が聞こえるほどにヤキが回ったかと、自嘲気味に笑った。
「アスター将軍!」
そして二度目の声を聞いて、ダラスは空を見上げた。
空に留まる豚のような何かの横腹から体を半分出し、突風に煽られている心当たりの顔を見た時、俺はいつの間にか死んでいたのか? という考えが一瞬頭を過った。
「なぜ貴様がここにいる! クロード・ラスト!」
しかし、傍らにいたアスターが上空を見上げてながら大声を上げた時、これが現実であるというのを確信した。
「……馬鹿野郎。粋な事するじゃねぇか」
ダラスは声を上げるクロードに片手を上げて応じ、ふんっ、と鼻を鳴らした。
その口角はきりりと上がり、友の忘れ形見との再会を静かに喜んでいた。
「邪魔するぜぇ!」
そんな声が聞こえ、クロードの横から人影がひゅっと飛び出したと思えば、そのまま地面に着地、剥き出しの大剣を握りしめた青年がニヒルな笑みを浮かべていた。
「アンタがダラスさんかい?」
「あ、ああ、そうだが……」
「俺はダレクってんだ。よろしくな」
「よ、よろしく……ではなくて! クロード! これはどう言う事だ!」
「待って下さい! 今降りますから!」
そう言ってクロードは垂れ下がったロープを握り締め、するすると地面に降り立った。
「お久しぶりですね、ダラス司令」
「俺はもう司令じゃない。だが久しぶりだな、元気そうで何よりだ」
「クロード! 貴様今までどこをほっつき歩いていた! 心配したんだぞ!」
「す、すみません、アスター将軍……」
ヘルメットを外したアスターが額に浮き出た汗を拭い、食ってかかるように言った。
部隊兵の一人が謎の音を探して上空を仰ぐと、指を指して叫んだ。
ダラスやアスター、革命軍の面々もつられて上空を仰いだ。
「モンスター……か?」
「兵器のようにも見受けられますが……どこにも我が軍の紋章がないゆえ、我が軍のものではないかと」
やがて、それはバラバラと大きな音を立てながら屋敷の裏手に追い詰められていたダラス達の上空にやって来た。
一見して尻尾の長い豚のように見えるそれの腹部がスライドし、四本のロープが垂れ下がった。
「うわっ!」 何だこいつ!」
「どうした! って……コイツらどこから湧いて来やがった!」
ダラスの視線は空に浮かぶ豚に釘付けになっていたが、離れた所から部下の声が飛んできてさらに驚くことになる。
今さっきまでここにはダラス達正規軍と、命を顧みずに自爆する革命軍の二勢力のみ。
しかし今まさに、目の前に唐突に、まるで地面から生えてきたかのように、両陣営の間に割って入ってきた存在、その数はおよそ二百。
全身を覆うフルプレートメイルによく似た形状の鎧を着込み、手には何も持っていない。
ヘルメットのスリット部分にはガラスのような物が嵌め込まれ、その奥を伺う事は難しい。
出現しただけでピクリとも動こうとしないのは、敵意の無さを表しているのだろうか。
正規軍も革命軍も、唐突に現れた甲冑兵の所在が分からずに手を出せずにいた。
だがしかし、ダラスはテイル王国の兵ではないと確信していた。
自分の着用している甲冑とはデザインがまるで違っている。
ダラスの元に新しい形状の鎧が作られたという報告は入っていない。
唖然とし、膠着状態に陥った両陣営だが、ダラスはこの出現方法に心当たりがあった。
しかしその心当たりがこの場所にいるわけはなく、心当たりはテイル王国の遥か遠方魔界へと飛び去ったと聞いていた。
「ダラス司令!」
だからその声が上空から聞こえた時は、ついに幻聴が聞こえるほどにヤキが回ったかと、自嘲気味に笑った。
「アスター将軍!」
そして二度目の声を聞いて、ダラスは空を見上げた。
空に留まる豚のような何かの横腹から体を半分出し、突風に煽られている心当たりの顔を見た時、俺はいつの間にか死んでいたのか? という考えが一瞬頭を過った。
「なぜ貴様がここにいる! クロード・ラスト!」
しかし、傍らにいたアスターが上空を見上げてながら大声を上げた時、これが現実であるというのを確信した。
「……馬鹿野郎。粋な事するじゃねぇか」
ダラスは声を上げるクロードに片手を上げて応じ、ふんっ、と鼻を鳴らした。
その口角はきりりと上がり、友の忘れ形見との再会を静かに喜んでいた。
「邪魔するぜぇ!」
そんな声が聞こえ、クロードの横から人影がひゅっと飛び出したと思えば、そのまま地面に着地、剥き出しの大剣を握りしめた青年がニヒルな笑みを浮かべていた。
「アンタがダラスさんかい?」
「あ、ああ、そうだが……」
「俺はダレクってんだ。よろしくな」
「よ、よろしく……ではなくて! クロード! これはどう言う事だ!」
「待って下さい! 今降りますから!」
そう言ってクロードは垂れ下がったロープを握り締め、するすると地面に降り立った。
「お久しぶりですね、ダラス司令」
「俺はもう司令じゃない。だが久しぶりだな、元気そうで何よりだ」
「クロード! 貴様今までどこをほっつき歩いていた! 心配したんだぞ!」
「す、すみません、アスター将軍……」
ヘルメットを外したアスターが額に浮き出た汗を拭い、食ってかかるように言った。
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