お狐様は油揚げのために神社から家出中

ミクリ21 (新)

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4◆田中視点

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 夢をみた。

 神主っぽい男の人が話しかけてくる夢だ。

「あの子は寂しがり屋なんだ」

「あの子?」

「あの子は誰にもみえない。あの子の声も誰にも聞こえない。だからあの子は、寂しがり屋なんだ」

「!」

 その人は誰かわからない。

 でも八雲のことを言っているんだとなんとなく分かった。

 もしかして、八雲のいた神社の神主だろうか?

「僕があの子を見える人と知った時、あの子はそのことにどれほど喜んでくれたことか。あの子の好きな油揚げを僕が作って持っていくことに、どれほど喜んでくれたことか………」

 これはもしかしたら、夢枕というやつかもしれない。

 でも、どうして急に?

 俺は不思議に思った。

「………幸せだった。僕もあの子も。僕が寿命で死んだ、あの日までは………」

「!!」

 寿命。

 人間には当たり前にあるものだけど、たぶん八雲には………ない。

 もしかしたらあるのかもしれないけれど、多分それは人間とは比べることができないほどのものだろう。

「あの子を泣かせてしまった。あの日から、またあの子はずっと孤独だった。それが、僕の心残りだったんだ」

 あぁ、そうか。

 八雲のことが心配だったから、夢枕に立っているんだな。

 そう理解した俺は、彼に返事をする。

「八雲のことを大切にするから、安心してくれ」

「あんまりエッチな要求ばっかりしないでね?あの子は油揚げのためなら、服も脱ぐし空も飛ぶけど………ちゃんと大切にしてよ?」

 え、八雲って飛べるの!?

 彼の前で飛んだことあるの!?

 たぶん、きっと、言葉の綾というやつだろう。

 ………いや、八雲なら妖術で飛べるのかな。

 尻尾七本あるしな………。

 それはともかく。

「任せろ」

「うん。田中さん、八雲をお願いします。八雲に優しくしてくれてありがとう。あと、僕がきたことは内緒ね?八雲は純粋だから、きっと気にしてしまう」

「わかった」

「………僕はもういかないと。田中さん、さよなら」

 彼は手を振りながら輝き、そしていってしまった。



 ………名も知らぬ神主さん。

 俺、八雲のことが好きだよ。

 だから、エッチなことはやめない。

 けど、手作りの油揚げが作れるように頑張る。

 たくさん八雲に美味しい油揚げを食べさせて、笑顔にさせる。

 だから、安心して成仏してね。



 翌朝目覚めると、ちょっと酒臭い八雲がベッドで白い狐になって寝ている。

 尻尾七本の本来の姿バージョンだ。

 スマホで写真を無音設定で連写してから、八雲の寝顔をじっとみつめた。

 八雲は、真夜中に友達と飲みに行ったんだ。

 酔っていても白い毛並みは白いままなんだな。

 モフッと撫でて思う。

 いつか俺に寿命がきても、それはどうしようもないことだ。

 でも、それまではずっと一緒にいよう。

 八雲を寂しくさせないように、一緒に楽しく幸せに。



 完

 ★

 読んでくれてありがとうございました!
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