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10◆選択肢などない

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「ジゼル、出かけるぞ」

「はい?」

休日の早朝にいきなりリューレンが部屋にきたと思ったら、何故か出かけると言い出した。

これはまさか、デートのお誘いなんだろうか?

それとも仕事を手伝えという意味なんだろうか?

何もわからないまま服を寝巻きから普段着に着替えさせられ、抱えられて攫われるように一緒に馬車に乗ったのだった。

………ちなみに、翼が生えてる馬だったんだけど、もしかしてペガサスかな?

ちょっと気になったので、後で触らせてもらおうと心に決めた。



龍神様の森というものが浮島の一つにある。

馬車は空を飛んで浮島に行き、その森に俺達はやってきた。

神聖な力に満ち溢れたその森は、様々な果物が季節関係なく実り、龍神様がゆっくり休むための東屋がある。

「ここの果物はとても美味しいぞ」

リューレンは当たり前のように東屋の立派な椅子に座って俺を膝に座らせた。

膝に座らせるのはもはや絶対なのだろうか。

できたら普通に座りたい……。

だってお尻に当たるもっこりとした龍神様の龍神様がめちゃくちゃ気になるんだもの。

そんな大層立派だろう龍神様の龍神様に目が遠くをみてしまう。

「リューレン様、本日は何故俺をここに?」

「うむ。ジゼルに誤解されないためにな……。私はミレイユとはなんの関係もない。激しくタイプじゃないから婚約したこともない。私の好きな者はジ……ごっほん!!」

「?」

とても必死にミレイユと何の関係もないと言い募るリューレンに、俺は首を傾げてしまう。

俺にそんな必死に言うべきことなんだろうか?

あと、今何か言いかけたけどジ……なんだろう。

もしかして………ジルベルト!?

『はぁ~い!うっふん!』

俺はつい、ジルベルトがセクシーポーズで投げキッスをする妄想をしてしまった。

「……ミレイユみたいなのが好みだと思われたくないからな」

「はぁ」

「と、ところで、ジゼルは好きな者はいるのか?例えば、私とか私とか私とか」

リューレンはちょっともじもじとしながらそう聞いてくる。

「……好きな者といえば、昔飼っていた角が生えた猫が好みでした」

「あぁ、うん、そうか………」

いつの間にかいなくなっていたけど、あの猫元気かな?

角が生えてる時点でたぶん魔物だったんだろうけど、人懐っこい子だったのをよく覚えている。

何故かリューレンが複雑な顔をしているけれど、どうしたんだ?

そんなリューレンが意を決したように一度深呼吸をしてから俺をみた。

「ジゼル」

「はい」

「私の番になれ」

「……意味わからないです」

リューレン曰く、ミレイユに迷惑しているから虫除けとして番になってほしいらしい。

リューレンに番がいればミレイユもリューレンを諦めるだろうというのがリューレンの考えなんだとか。

「何故に俺」

「嫌なら私の宝玉を返せ」

「……番になります」

「うむ!!」

嬉しそうなリューレンに抱きしめられ、俺の瞳はレイプ目というやつになってしまった。

宝玉を返せないから仕方ないけれど、これからもこんな風に脅されるんだろうか………。
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