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6◆共依存
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エリオットは思い出した。
自分が何者だったのかを……。
ラインハルトが何者だったのかを……。
「僕を恨んでるでしょ?殺していいんだよ」
「そんなことはいつでもできる。いつでもできるから、今はお前を愛してやろう」
「こんな穢れた僕なんて愛する価値も生きる価値もない」
「そうだな。だが、俺以外がお前を傷つけることは許さない。だからお前を誰かに渡す気もない」
エリオットを抱きしめるラインハルト。
生きている彼をみて、もうエリオットはわかっている。
自分が討ち取ったのは身代わりだったのだと……。
「ねぇ、僕を殺してよ」
「殺さない」
勇者なんて罪人だ。
守りたい者のために罪なき人々を殺し、守りたい者すら守れなかった罪人だ。
「ねぇ、僕を愛さないでよ」
「愛してる」
エリオットは生きる理由を失ってしまった。
「……ねぇ、僕をずっと許さないでよ」
「……あぁ、許さない」
白かった輝く聖剣は、今では真っ黒で禍々しい魔剣に姿を変えた。
エリオットの心は完全に魔に堕ちたのだ。
エリオットとラインハルト、二人は復讐をする。
互いの大切を奪った者達に、裁きの刃で命を散らすのだ。
歪に愛し合う二人は共依存する。
全ての復讐を終えた時、その共依存も終わりの時を迎えるかもしれない。
それでも今は、心を寄せ合い癒えない傷を慰めるのだった。
【□□□視点】
魔王は勇者を愛してしまった。
魔王は復讐に揺らぎながらも勇者を守り続けた。
けれど壊れてしまった勇者。
勇者の幸せの箱庭を壊しにきた悪意の魔物を、いつものように倒しただけだった。
しかし、それは勇者が唯一大切にしていた可愛い弟。
醜い姿になって、悪意と愛が入り混じるドロドロの姿だったけれど、それはあの美しく純粋だった弟。
だから、勇者の心に強く干渉したのだ。
魔王は弟を燃やしたことで、魔王が用意した幸せの箱庭を壊してしまった。
眠り姫は眠りから覚めて、残酷な現実を知ってしまった。
もう勇者は幸せな夢をみることはできない。
自分が何者だったのかを……。
ラインハルトが何者だったのかを……。
「僕を恨んでるでしょ?殺していいんだよ」
「そんなことはいつでもできる。いつでもできるから、今はお前を愛してやろう」
「こんな穢れた僕なんて愛する価値も生きる価値もない」
「そうだな。だが、俺以外がお前を傷つけることは許さない。だからお前を誰かに渡す気もない」
エリオットを抱きしめるラインハルト。
生きている彼をみて、もうエリオットはわかっている。
自分が討ち取ったのは身代わりだったのだと……。
「ねぇ、僕を殺してよ」
「殺さない」
勇者なんて罪人だ。
守りたい者のために罪なき人々を殺し、守りたい者すら守れなかった罪人だ。
「ねぇ、僕を愛さないでよ」
「愛してる」
エリオットは生きる理由を失ってしまった。
「……ねぇ、僕をずっと許さないでよ」
「……あぁ、許さない」
白かった輝く聖剣は、今では真っ黒で禍々しい魔剣に姿を変えた。
エリオットの心は完全に魔に堕ちたのだ。
エリオットとラインハルト、二人は復讐をする。
互いの大切を奪った者達に、裁きの刃で命を散らすのだ。
歪に愛し合う二人は共依存する。
全ての復讐を終えた時、その共依存も終わりの時を迎えるかもしれない。
それでも今は、心を寄せ合い癒えない傷を慰めるのだった。
【□□□視点】
魔王は勇者を愛してしまった。
魔王は復讐に揺らぎながらも勇者を守り続けた。
けれど壊れてしまった勇者。
勇者の幸せの箱庭を壊しにきた悪意の魔物を、いつものように倒しただけだった。
しかし、それは勇者が唯一大切にしていた可愛い弟。
醜い姿になって、悪意と愛が入り混じるドロドロの姿だったけれど、それはあの美しく純粋だった弟。
だから、勇者の心に強く干渉したのだ。
魔王は弟を燃やしたことで、魔王が用意した幸せの箱庭を壊してしまった。
眠り姫は眠りから覚めて、残酷な現実を知ってしまった。
もう勇者は幸せな夢をみることはできない。
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