幽霊だと婚約者に思われている変態王子

ミクリ21 (新)

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1◆ロザリー視点

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私はロザリー・マリクス公爵令嬢。

私には最近婚約した方がいて、それはクラッシュ・アロン第三王子殿下なの。

でもね、何故か私はクラッシュ殿下に会ったことがないのよ。

顔合わせの席には来なかったり、親睦を深めるためのお茶会にも来なかった。

………クラッシュ殿下は、私がお嫌いなのね。

まぁ、所詮は政略結婚。

私とクラッシュ殿下の間に愛がなくても仕方ないわ。



ところで、最近私は幽霊に取り憑かれているようなの。

ほら、クローゼットから私を覗きみる目がみえているでしょ?

あれは私に取り憑いている男の幽霊なの。

どうして幽霊だと思うかって?

だって、人間のわけないじゃない。

私の身の回り……屋敷とか学園とか外とかに常に当たり前のようにいたり、私の進行方向に何故か寝転がっていたり、人前でも私に抱きつきはぁはぁ言っていたり………こんな人間いるわけないでしょ?

いたら変態じゃないのかしら。

そういえば、顔合わせの日もお茶会の日もいたわね。

思えば、婚約してから取り憑かれているの。

「私、取り憑かれてしまうようなやらかしに身に覚えがないのだけど、貴女はどう思う?」

私はメイドのサラにマドレーヌを食べながら訊いてみた。

「お嬢様、私には幽霊がみえませんので、答えに困ります」

「あら、ごめんなさいね。マドレーヌ食べる?」

「私はお仕事中ですのですみません」

幽霊は私にしかみえないそうなの。

まぁ、そういうものよね。

幽霊は本来みえないものよね。

私も心霊体験は今回が初めてよ。

幽霊って、もっと冷たくてスケスケで足がないのかと思っていたけど、実際は違うのね。

体温があってスケスケじゃなくて足もしっかりある。

もちろん靴も履いているわ。

まるで生きた人間と何も変わらない。

お祓いしてほしくて神殿に行ったら無理って言われたから、このまま取り憑かれて生活をしないといけないの。

………もう慣れたわ。
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