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23◆人間の王、たった一つの大切なもの
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城の敷地内にある封印塔。
そこには大昔に封印された強欲の魔物という災いがいると、歴史で習う。
封印が破られないように、魔物が目を覚まさないように、番人としての力を歴代の王は継承してきた。
王以外の王族は、封印塔に近寄ることを禁じられていた。
でも、禁じられていると入ってみたくなるものである。
大昔の災いは、時が過ぎてただの御伽話のようになってしまった。
今でも王は力を継承しているけれど、王以外からは強欲の魔物という災いの恐ろしさがわからない。
………子供だったグランも、強欲の魔物なんてただの子供騙しだと思っていたのだ。
「えっ、夜に封印塔に肝試しするだって!?」
「私の勇姿をメロウにみせてあげますよ」
まだ子供だったメロウは、令息としていつもグランの側にいる。
兄弟のように育ち、グランの側近になることが生まれながらに決まっていた。
「まったく、グランの好奇心には参るよ」
「そんなこと言って、私の勇姿をみたくないんですか?」
「ははっ!みたいみたい」
「なんか軽い!?」
二人は軽口をたたきながらも、夜になるのを待って封印塔に忍び込んだ。
扉はしっかり閉まっているが、実は子供ならギリギリ通れる穴があるのをグランは見つけていたのだ。
ただの肝試しに何かが起こるなんて思わず、遊びのつもりで入った塔の中には、床一面に魔法陣が描かれている。
そして宙に浮いている謎の球体。
もしかして、あの球体の中に封印されているんだろうか?
メロウがそう思っていると、グランの様子がおかしくなった。
「メロウ、知っていますか?私に婚約者ができるそうです。政略結婚だからと、私の気持ちなんて関係ないそうです」
「……グラン?」
「メロウは生まれながら側近と決まっていて、私がメロウをどう思っているかなんて関係ない。私のことなのに、私には関係ない。酷いですよね?」
「えっと、そうだな」
「だから、私は思ったんです。私が王になれば、私が自由に決められるって………」
パキンッ……!
「グラン!?」
球体が割れて悍ましい光がグランに襲いかかる!
メロウは咄嗟にグランに飛びかかり光から守ろうとするが、そんなこと無意味だと言わんばかりに光はグランだけを飲み込んだ。
「ふ…ふふ……!ねぇメロウ、私は王になります。私がほしいものを手に入れるんです。そして、たった一つの大切なものを私のものにするんです。メロウは、私の邪魔なんてしませんよね?だってメロウは、私のこと、好きですからね」
純粋だった笑顔が、ニチャァとした笑顔に変わってしまったグラン。
無垢だった瞳が、欲に素直に歪んでいる。
動揺するメロウは球体をみるが、もうそこに球体はなかった。
床の魔法陣もいつの間にか消えてしまっていて、強欲の魔物がグランに取り憑いたんだと、メロウはやっと理解する。
魔物に取り憑かれたグランは、入り口を壊してメロウと外に出て、国王夫妻の眠る寝室に向かうと………。
自ら眠る夫妻を手に掛けた。
「メロウ、これで私が次の王です。だからメロウ、私の側近の間は私の婚約者になりなさい。そして、いずれは私の妻になるのです」
「………わかった。なら、今日から俺はレディになる。グランに相応しい淑女になってみせる」
「おや、それは嬉しいですね。愛してますよ、メロウ」
「………あぁ、俺も愛してるよ…グラン」
こうして、親殺しの王グランが誕生した。
グランを止められなかった……いや、止めなかったメロウは、罪を忘れないように黒いドレスを身にまとうようになる。
黒いドレスは喪服の色だから。
強欲の魔物が清められても、親殺しという罪は消えない。
そこには大昔に封印された強欲の魔物という災いがいると、歴史で習う。
封印が破られないように、魔物が目を覚まさないように、番人としての力を歴代の王は継承してきた。
王以外の王族は、封印塔に近寄ることを禁じられていた。
でも、禁じられていると入ってみたくなるものである。
大昔の災いは、時が過ぎてただの御伽話のようになってしまった。
今でも王は力を継承しているけれど、王以外からは強欲の魔物という災いの恐ろしさがわからない。
………子供だったグランも、強欲の魔物なんてただの子供騙しだと思っていたのだ。
「えっ、夜に封印塔に肝試しするだって!?」
「私の勇姿をメロウにみせてあげますよ」
まだ子供だったメロウは、令息としていつもグランの側にいる。
兄弟のように育ち、グランの側近になることが生まれながらに決まっていた。
「まったく、グランの好奇心には参るよ」
「そんなこと言って、私の勇姿をみたくないんですか?」
「ははっ!みたいみたい」
「なんか軽い!?」
二人は軽口をたたきながらも、夜になるのを待って封印塔に忍び込んだ。
扉はしっかり閉まっているが、実は子供ならギリギリ通れる穴があるのをグランは見つけていたのだ。
ただの肝試しに何かが起こるなんて思わず、遊びのつもりで入った塔の中には、床一面に魔法陣が描かれている。
そして宙に浮いている謎の球体。
もしかして、あの球体の中に封印されているんだろうか?
メロウがそう思っていると、グランの様子がおかしくなった。
「メロウ、知っていますか?私に婚約者ができるそうです。政略結婚だからと、私の気持ちなんて関係ないそうです」
「……グラン?」
「メロウは生まれながら側近と決まっていて、私がメロウをどう思っているかなんて関係ない。私のことなのに、私には関係ない。酷いですよね?」
「えっと、そうだな」
「だから、私は思ったんです。私が王になれば、私が自由に決められるって………」
パキンッ……!
「グラン!?」
球体が割れて悍ましい光がグランに襲いかかる!
メロウは咄嗟にグランに飛びかかり光から守ろうとするが、そんなこと無意味だと言わんばかりに光はグランだけを飲み込んだ。
「ふ…ふふ……!ねぇメロウ、私は王になります。私がほしいものを手に入れるんです。そして、たった一つの大切なものを私のものにするんです。メロウは、私の邪魔なんてしませんよね?だってメロウは、私のこと、好きですからね」
純粋だった笑顔が、ニチャァとした笑顔に変わってしまったグラン。
無垢だった瞳が、欲に素直に歪んでいる。
動揺するメロウは球体をみるが、もうそこに球体はなかった。
床の魔法陣もいつの間にか消えてしまっていて、強欲の魔物がグランに取り憑いたんだと、メロウはやっと理解する。
魔物に取り憑かれたグランは、入り口を壊してメロウと外に出て、国王夫妻の眠る寝室に向かうと………。
自ら眠る夫妻を手に掛けた。
「メロウ、これで私が次の王です。だからメロウ、私の側近の間は私の婚約者になりなさい。そして、いずれは私の妻になるのです」
「………わかった。なら、今日から俺はレディになる。グランに相応しい淑女になってみせる」
「おや、それは嬉しいですね。愛してますよ、メロウ」
「………あぁ、俺も愛してるよ…グラン」
こうして、親殺しの王グランが誕生した。
グランを止められなかった……いや、止めなかったメロウは、罪を忘れないように黒いドレスを身にまとうようになる。
黒いドレスは喪服の色だから。
強欲の魔物が清められても、親殺しという罪は消えない。
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