世界を救え?うるせぇバーカ!! 〜転生して勇者になれと言われたが命が惜しかったので断った結果〜

一☆一

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初、異世界飯

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 陽に瞼を照らされて眩しさに目を覚まし、襲いくる強烈な空腹感に俺は腹を抱えた。

「……腹と背中がくっつきそうだ……」

 飛び起きて木から降り、すたこらと森の奥まで入っていく。
 気怠さもなく、気分自体は爽快そのもの。
 どうやら魔法はまた使えるようになったようだし、危険もない筈だ。
 木のみでも手に入れば上出来だ。キノコはさっきからちらほら目に入ってくるんだが、見たこともないものばかりで毒があるかもしれないから手を出したくない。

「いや、魔法を使えば毒探知とか出来るのか……? しかしちょっと想像しにくいな。『キノコに毒があるかどうか』なんて」

 俺は一人、うむむと唸る。
 俺の想像力に全てが委ねられる分、案外使い勝手が悪いのが難点かもしれない。魔法で言葉ペラペラとかちょっと期待したけど無理そうだ。もし出来たら街に降りても良かったんだけど。

「ま、試行錯誤するしかないな……っと」

 バサバサバサ!!
 不意に音がして上を見ると、その場を離れんと鳩くらいの大きさの鳥が、俺の頭上で羽ばたいていた。全身緑色の羽毛に覆われている。保護色すぎて飛ばなかったら絶対に気づかなかっただろう。

 しかし、間が悪かったのか歩いてきた俺に怯えたのか知らないが、出てきてしまったのが運の尽きだ。

「んー……よし、アレを食べてみるか」

 流石に鳥の身体に毒はないだろう。フグじゃあるまいし……いや、よくは知らないが。
 鳥に向かって半身になり、俺は左腕を目の高さまで掲げて右手を合わせ、弓を引くように右手を胸まで引き戻す。

 俺は今・・・弓を持っている・・・・・・・。そう強くイメージする。

 キュイイ──と。
 耳鳴りのような音が鳴ったかと思えば、俺の両手に光で出来た弓と矢が握られている。

 引き絞られた弦を離せば、長い光の矢は俺の素人以下の狙いの付け方とは裏腹に、吸い込まれるように鳥に向かっていって、その胸に鋭く刺さった。
 ギィィと悲鳴を漏らして、鳥が墜落してくる。

「よし……随分慣れてきたな、魔法」

 バトル漫画をよく読んでいたお陰か、日本では普通接しないような超常現象がかなり頭の中で絵として想像しやすい。

 しかし、刺さるところまでの一連の流れを想像することで矢にホーミング機能が付くとは……この魔法、本当になんでもありだな。

「さて、まぁ焼いたら食べれんだろ。味付けようにも塩すら無いけど…………いや、もしかして塩も魔法で出せんのかな?」

 物は試しと左手を受け皿に、右手の指を擦り合わせると、その間からサラサラと白い結晶が降り注いだ。
 クンクンと匂いを嗅ぐ。何の匂いもしない。さて、これは本当に塩なんだろうか?
 指先に軽くつけ、ペロリと舐める。
 こ、これは──!!

「塩だ……!! なんか若干味違うけど塩で通じるぞ、これ!」

 多分ちょっとの味の違いは俺の記憶が間違っていたからだろうが。いや、誤差だ誤差。

 手近にあった細い木を魔法で一閃、切り倒し、細かく切ってたきぎにする。

 少し開けた空間があったのでそこに薪と鳥の死体を持ち込み、薪を山のように盛って指を鳴らして火をつける。
 指パッチンという動作自体に意味はないが、こうした方がイメージが持ちやすいのだ。さっきみたいに魔法で物を切断するときとか、多分実際に剣を持っていた方が簡単だと思う。

 さて、落ちている枝に鳥をぶっ刺して焚き火にかけて、火事になったりしないように俺が座っている周りに生えている草を待っている間に魔法で刈り取っておく。
 刈り取った大量の草は邪魔なので風を局所的に起こして何処かに飛ばしておくことにする。

 しばらく待っていると、鳥の肉からポタポタと油が落ちて、火の中に入ればジュワッと音を立てた。
 俺はよだれをこらえて塩を軽くふりかけて枝を持ち上げ、一口かぶりつく。

 ──────!!!!

「うっめえええぇぇぇ!!!」

 よく味のついた肉を口の中で噛みしめる度、肉汁が溢れ出す。
 空腹は最高の調味料というが、こんなに美味い食べ物は初めてだ。

 骨に気をつけながら夢中になってガツガツと平らげる。かなり大きな鳥だったので肉は結構な量だったが、しかしまだ腹の虫は治りそうもない。

 俺は焚き火をそのままに、高まる気持ちを抑えようともせずに再び森の中へと入って行った。
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