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第三王子編
突然のブリザード
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昨日は本当にぐっすり眠れた。
王太子に一発かませたのが精神的に効いたようだ。
気持ち良く目が覚めると、いつもは自主トレーニングをするので先に起きているイヴァンが珍しく眠ったままだった。
こいつも平気な顔をしていたが、やはり色々溜まっていたのだろう。
ガキみたいに口を開けて寝ていて面白かったので、杖でツンツンつついてみた。
「……?おはようございます??」
「おう。おはよう。」
「……何かよく寝ました。」
イヴァンはいつものようにすぐに目を覚まして起き上がった。
シルクだとこうはいかない。
用があればちゃんと起きるが、そうじゃない日はまだ眠いだのチューしてくれなきゃ起きないだの、ぐだぐだして大変だった。
相手が違うだけでこうも違うんだなぁと感心していた。
着替えて朝食を取りに行こうと廊下に出ると、チタニアさんとファレルさんが王子の部屋の前に立っていた。
「おはようございます。」
「おはよう。イヴァン、サーク。」
「どうですか?」
「昨夜は何もなかったよ。静電気の効果かな?」
「王子もぐっすりお休みになられたみたい。ありがとね。」
ふたりの顔も明るい。
朝食を食べたら変わりますねと言い、俺達は警護部隊詰め所に向かった。
俺がこっそり一矢報いた話は皆、知っているようで、顔を合わすと声をかけられた。
イヴァンがくすりと笑う。
「何か……そういうところなんでしょうね、サークさんて。」
「は??」
「だって後から入ってきて今は副隊長代理でしょう?普通、受け入れられにくいのに。でも、誰も出来ないような事を思いもよらない方法で簡単にやってしまうんです、あなたは。」
「いや、単にちょっと思い付いただけで。やられっぱなしでムカついてたし。」
「でも、あなたの思い付きのイタズラが、皆の顔を明るくしたんですよ。」
「う~ん?単なる偶然の結果なんだけど?」
「だから、そういうところなんですよ。僕にも、他の人にもないものです。」
「どういうことだ??」
「う~ん、すいません。何か僕も言っていてわからなくなりました。」
そんな話をしながら俺達は朝食を済ませた。
本家のふたりと交代していると、王子の朝の支度の為にメイドさんたちがやってくる。
メイドさん達は、俺の顔を見て笑顔で小さくガッツポーズをした。
メイドさん達にまでもう広まってるんだなと思うと少しおかしかった。
何はともあれ、全体に雰囲気が回復したのは良かったと思った。
「おはようございます。昨夜は良く休めましたでしょうか?殿下?」
支度が終わったので朝の挨拶に部屋に入ると、王子はとても元気そうだった。
顔色も良くなっている。
王子はにっこりと笑った。
「おはよう。サーク、イヴァン。とても良く眠れました。やはりあなたが居てくれるだけで、とても心強いです。私の騎士。」
「もったいないお言葉です。殿下。」
「朝食は部屋で済ませます。午前中は部屋でゆっくりしたいので、誰か訪ねて来てもその様にお伝え下さい。」
「承知しました。」
王子の方も自分のペースを取り戻せたようで、声に張りが出ている。
まぁ招かれた客とはいえ、一国の王子が言いなりってのもおかしな事だ。
これで良いだろう。
挨拶を済ませた所でメイドさんたちが、朝食を運んできた。
当然のように俺の前で一式乗ったワゴンを止める。
俺は笑って魔力探査をした。
「問題ないです。お願いします。」
「はい。サーク様。」
メイドさんに様付で呼ばれて、俺は目を白黒させて赤くなった。
それをクスクス笑われてしまう。
悪い感じではなく好意的な感じだ。
何だか照れ臭くて、頭を掻きながら外に出てドア前に立つ。
横のイヴァンがまじまじと俺を見ていた。
「……何だよ?」
「サークさんて……何気に女性にもモテますよね……。顔は普通なのに……。僕と何が違うんでしょう……。」
何だその失礼極まりない言い方は!?
悪かったな、平凡顔で!!
多少、見た目が良いからってムカつくな。
「悪かったな。お前らみたいに平均軽く越えてるような顔面偏差値じゃなくて。」
「……しかもサークさんの回りには、老若男女問わず、美人やら男前やら、やたら集まるんですよ?何なんですか??」
「いや、何って言われても知らねぇよ。」
「常にウィルさんとシルクさんをはべらせてて、両手に花といっても!いくらなんでも花のレベルが高すぎなんですよっ!!こんちくしょうっ!!」
イヴァンのテンションがおかしい。
何だ?朝食に酒なんかなかったぞ!?
俺はこのテンションについていけず慌てた。
「イヴァン??お前、どうした!?」
「何なんですか!?サークさん!!その異様にモテる秘訣は!?」
「イヴァン!?落ち着け!!」
「僕とあなたの違いは何なんですか~っ!!」
「おい!いい加減にしろっ!!」
何故か襟元を掴んで揺さぶって来る。
俺は慌ててそれをほどいて、頭に一撃チョップした。
どうしたの?イヴァン!?
何か知らんが、鬱憤溜まってたのか!?
燻っていたものを吐き出してすっきりしたのか、イヴァンはおとなしくなったので聞いてみた。
「で?何なんだよ、いきなり??」
「……サークさんばかりモテて、狡いって話です。」
「そのこころは?」
「………。僕も早く、恋人が欲しいです……。」
あ、あ~。
そうだよな、まぁ……。
シルクにフラれて、その後、特に何もないもんな……。
まわりは結婚やら婚約やらしてんのに。
仕事でシルクとはずっと顔を合わせてるし、ギルとラブラブなのも間近で見てる訳だし……。
何だか可哀想な立ち位置だ。
「う~ん。こればっかりはな~。だからと言って、俺が紹介できると言ったら、リグぐらいだし。でもあの節操なしを紹介するのは気が引けるし……。」
「リグさんて、あの飲み会でシルクさんと口喧嘩していた人ですか?」
「うん。性格は大型犬の子犬だ。可愛いって言えば結構可愛い。だが中身はシルクに近い。あいつらが仲悪いのは同属嫌悪だ。」
「ん~。確かに結構可愛い人でしたけど、僕、どちらかと言うと可愛い系より美人系が好きですし、年下系より年上系が好きですし。何よりあの人、好きな人いるじゃないですか。」
「……は??リグに好きな人??」
俺の言葉に、イヴァンの顔がスンと真顔になった。
そして冷ややかに視線を反らせた。
「あ、何でもないです。」
「いや待て!マジで!?聞いてないんだけど!?」
「無自覚って本当、ムカつきますね~。」
イヴァンは自分から言い出したのに、それ以上、何も言おうとしなかった。
何か、俺が怒られてる感じなのは気のせいか!?
良くわからないまま、しばらくの間、イヴァンの凍った空気にさらされる事になった。
王太子に一発かませたのが精神的に効いたようだ。
気持ち良く目が覚めると、いつもは自主トレーニングをするので先に起きているイヴァンが珍しく眠ったままだった。
こいつも平気な顔をしていたが、やはり色々溜まっていたのだろう。
ガキみたいに口を開けて寝ていて面白かったので、杖でツンツンつついてみた。
「……?おはようございます??」
「おう。おはよう。」
「……何かよく寝ました。」
イヴァンはいつものようにすぐに目を覚まして起き上がった。
シルクだとこうはいかない。
用があればちゃんと起きるが、そうじゃない日はまだ眠いだのチューしてくれなきゃ起きないだの、ぐだぐだして大変だった。
相手が違うだけでこうも違うんだなぁと感心していた。
着替えて朝食を取りに行こうと廊下に出ると、チタニアさんとファレルさんが王子の部屋の前に立っていた。
「おはようございます。」
「おはよう。イヴァン、サーク。」
「どうですか?」
「昨夜は何もなかったよ。静電気の効果かな?」
「王子もぐっすりお休みになられたみたい。ありがとね。」
ふたりの顔も明るい。
朝食を食べたら変わりますねと言い、俺達は警護部隊詰め所に向かった。
俺がこっそり一矢報いた話は皆、知っているようで、顔を合わすと声をかけられた。
イヴァンがくすりと笑う。
「何か……そういうところなんでしょうね、サークさんて。」
「は??」
「だって後から入ってきて今は副隊長代理でしょう?普通、受け入れられにくいのに。でも、誰も出来ないような事を思いもよらない方法で簡単にやってしまうんです、あなたは。」
「いや、単にちょっと思い付いただけで。やられっぱなしでムカついてたし。」
「でも、あなたの思い付きのイタズラが、皆の顔を明るくしたんですよ。」
「う~ん?単なる偶然の結果なんだけど?」
「だから、そういうところなんですよ。僕にも、他の人にもないものです。」
「どういうことだ??」
「う~ん、すいません。何か僕も言っていてわからなくなりました。」
そんな話をしながら俺達は朝食を済ませた。
本家のふたりと交代していると、王子の朝の支度の為にメイドさんたちがやってくる。
メイドさん達は、俺の顔を見て笑顔で小さくガッツポーズをした。
メイドさん達にまでもう広まってるんだなと思うと少しおかしかった。
何はともあれ、全体に雰囲気が回復したのは良かったと思った。
「おはようございます。昨夜は良く休めましたでしょうか?殿下?」
支度が終わったので朝の挨拶に部屋に入ると、王子はとても元気そうだった。
顔色も良くなっている。
王子はにっこりと笑った。
「おはよう。サーク、イヴァン。とても良く眠れました。やはりあなたが居てくれるだけで、とても心強いです。私の騎士。」
「もったいないお言葉です。殿下。」
「朝食は部屋で済ませます。午前中は部屋でゆっくりしたいので、誰か訪ねて来てもその様にお伝え下さい。」
「承知しました。」
王子の方も自分のペースを取り戻せたようで、声に張りが出ている。
まぁ招かれた客とはいえ、一国の王子が言いなりってのもおかしな事だ。
これで良いだろう。
挨拶を済ませた所でメイドさんたちが、朝食を運んできた。
当然のように俺の前で一式乗ったワゴンを止める。
俺は笑って魔力探査をした。
「問題ないです。お願いします。」
「はい。サーク様。」
メイドさんに様付で呼ばれて、俺は目を白黒させて赤くなった。
それをクスクス笑われてしまう。
悪い感じではなく好意的な感じだ。
何だか照れ臭くて、頭を掻きながら外に出てドア前に立つ。
横のイヴァンがまじまじと俺を見ていた。
「……何だよ?」
「サークさんて……何気に女性にもモテますよね……。顔は普通なのに……。僕と何が違うんでしょう……。」
何だその失礼極まりない言い方は!?
悪かったな、平凡顔で!!
多少、見た目が良いからってムカつくな。
「悪かったな。お前らみたいに平均軽く越えてるような顔面偏差値じゃなくて。」
「……しかもサークさんの回りには、老若男女問わず、美人やら男前やら、やたら集まるんですよ?何なんですか??」
「いや、何って言われても知らねぇよ。」
「常にウィルさんとシルクさんをはべらせてて、両手に花といっても!いくらなんでも花のレベルが高すぎなんですよっ!!こんちくしょうっ!!」
イヴァンのテンションがおかしい。
何だ?朝食に酒なんかなかったぞ!?
俺はこのテンションについていけず慌てた。
「イヴァン??お前、どうした!?」
「何なんですか!?サークさん!!その異様にモテる秘訣は!?」
「イヴァン!?落ち着け!!」
「僕とあなたの違いは何なんですか~っ!!」
「おい!いい加減にしろっ!!」
何故か襟元を掴んで揺さぶって来る。
俺は慌ててそれをほどいて、頭に一撃チョップした。
どうしたの?イヴァン!?
何か知らんが、鬱憤溜まってたのか!?
燻っていたものを吐き出してすっきりしたのか、イヴァンはおとなしくなったので聞いてみた。
「で?何なんだよ、いきなり??」
「……サークさんばかりモテて、狡いって話です。」
「そのこころは?」
「………。僕も早く、恋人が欲しいです……。」
あ、あ~。
そうだよな、まぁ……。
シルクにフラれて、その後、特に何もないもんな……。
まわりは結婚やら婚約やらしてんのに。
仕事でシルクとはずっと顔を合わせてるし、ギルとラブラブなのも間近で見てる訳だし……。
何だか可哀想な立ち位置だ。
「う~ん。こればっかりはな~。だからと言って、俺が紹介できると言ったら、リグぐらいだし。でもあの節操なしを紹介するのは気が引けるし……。」
「リグさんて、あの飲み会でシルクさんと口喧嘩していた人ですか?」
「うん。性格は大型犬の子犬だ。可愛いって言えば結構可愛い。だが中身はシルクに近い。あいつらが仲悪いのは同属嫌悪だ。」
「ん~。確かに結構可愛い人でしたけど、僕、どちらかと言うと可愛い系より美人系が好きですし、年下系より年上系が好きですし。何よりあの人、好きな人いるじゃないですか。」
「……は??リグに好きな人??」
俺の言葉に、イヴァンの顔がスンと真顔になった。
そして冷ややかに視線を反らせた。
「あ、何でもないです。」
「いや待て!マジで!?聞いてないんだけど!?」
「無自覚って本当、ムカつきますね~。」
イヴァンは自分から言い出したのに、それ以上、何も言おうとしなかった。
何か、俺が怒られてる感じなのは気のせいか!?
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